オベサの害虫|カイガラムシ・ネジラミ・ハダニの見分け方と対処、予防まで

オベサにつく虫で多いのは、稜の谷や株元に白い綿のように固まるカイガラムシと、根について鉢の中で増えるネジラミ(根につくカイガラムシの仲間)です。乾いた室内では表面をかすれさせるハダニ、春の花にはアブラムシがつくこともあります。見つけたら、まずその鉢をほかの鉢から離し、地上の虫は湿らせた綿棒で取り、根の虫は鉢から抜いて土を落とし、根を洗って植え直します。薬剤を使うときは、ラベルの適用植物と使い方を確かめてからにします。いちばんの予防は、新しく迎えた株をしばらく別に置くことと、植え替えのたびに根を見ることです。
オベサの稜の谷に白いものがついている、育つ季節なのにふくらまない、表面がなんとなくくすんできた——そんなとき、虫を疑う人は多いと思います。オベサは葉の少ない硬い株なので虫がつきにくい植物ですが、つく虫の種類はおおよそ決まっていて、見つけ方と取り除き方にも型があります。この記事では、見た目から虫を逆引きする表から始めて、虫ごとの見分け方と取り除き方、薬剤を使うときの確かめ方、虫を持ち込まないための迎え方と置き方までをまとめます。オベサ鉄甲(オベ鉄)や鉄甲丸も、扱いは同じです。育て方の全体像はオベサの育て方にあります。
見た目から逆引きする|いま株に出ているのはどの虫か
まずは、気になっている変化がどこに・どんな形で出ているかを見ます。当てはまる行から読み進めると早く済みます。
| 気になる変化 | 考えられる虫 | 最初にすること |
|---|---|---|
| 稜の谷・株元・頂部に白い綿のかたまり | コナカイガラムシ | 鉢を離し、湿らせた綿棒で取る |
| 表面に小さな殻のような粒が貼りついている | 殻をもつカイガラムシ | 爪楊枝や綿棒でそっと外す |
| 育つ季節なのに張りが戻らない・根元がぐらつく | ネジラミ(根の虫) | 鉢から抜いて根を見る |
| 表面が細かくかすれ、くすんだ色になる | ハダニ | ルーペで確かめ、表面を洗い流す |
| 花や花柄に緑・黒の小さな虫が群れる | アブラムシ | 花柄ごと取るか、筆で払う |
| 土の上を小さな黒いハエが飛ぶ | キノコバエ | 土の表面を乾かし、有機質を減らす |
| 夜のうちに表面がかじられ、光る筋が残る | ナメクジ | 夜に見回り、鉢の周りを片づける |
白いものがついていても、虫とは限りません。咲き終わった花の柄が乾いて残っているだけのことも多く、触れて落ちる茶色や白っぽい柄なら心配はいりません。点や筋の茶色い跡が気になるときは、傷や日焼けとの見分け方をオベサが茶色くなったときにまとめています。
カイガラムシ|稜の谷と株元の白い綿
オベサでいちばん見かけるのがカイガラムシの仲間です。中でも多いのは、白い粉をまとった体を綿のようなものでくるんで固まるコナカイガラムシです。動きはゆっくりで、指先ほどの範囲に数匹から数十匹がまとまっています。
稜の谷の奥や株元は、目が届きにくく虫が隠れやすい場所です。綿棒の先で掘り出すように取ります。(AIで生成したイメージです)
つきやすい場所
オベサは球の表面がなめらかなぶん、虫が隠れられる場所は限られています。見るのは次のところです。
- 稜と稜のあいだの谷:特に株元に近い、影になる側
- 土と球体が接するところ:鉢を少し傾けて、土の際を一周見ます
- 頂部の花柄の付け根:花が咲いたあとのすき間
- 子吹きした株の、子と親のすき間
取り除き方
- その鉢をほかの鉢から離して置きます。カイガラムシの幼虫は小さく、隣の鉢へ歩いて移ります。
- 綿棒や柔らかい筆を水で湿らせ、谷の奥から掻き出すように取ります。表皮を強くこすると傷になるので、力は入れません。
- 株元についていたら、土の表面を1〜2cmほど取り除き、新しい用土を足します。土の際に卵が残っていることがあるためです。
- 1週間ほどあけて、同じ場所をもう一度見ます。取りこぼした卵から幼虫が出てくることがあり、2〜3回見直すと落ち着きます。
小さな殻をかぶったタイプは、殻の下に体があり、表面に貼りついています。爪楊枝の先や綿棒でそっと外します。
ユーフォルビアの仲間は、傷がつくと白い乳液が出ます。肌につくとかぶれることがあるので、手袋をして作業すると安心です。乳液が出たときは拭き取らずにそのまま乾かせば、傷はふさがります。
放っておくとどうなるか
カイガラムシは株の汁を吸うため、数が増えると株の勢いが落ち、ついた場所の肌が黄ばんだり、へこんだ跡が残ったりします。また、虫の出す甘い排せつ物に黒いカビがついて、表面が煤けたように黒くなることもあります(すす病)。アリが鉢の周りを行き来しているときは、この排せつ物が目当てのことがあるので、株を見直す合図になります。
ネジラミ|育つ季節に張りが戻らないときは根を見る
ネジラミは、根につくカイガラムシの仲間です。鉢の中で増えるため、地上からは見えません。気づくきっかけは、株の様子の変化です。
- 春や秋の育つ季節に、水を与えても球に張りが戻らない
- しばらく大きさが変わらず、頂部の新しい組織が動かない
- 根が弱って、株元がぐらつくようになった
- 鉢の内側や鉢底の穴のまわりに、白い粉のようなものがついている
水切れのしわは、水を与えれば3〜4日で戻ります。戻らないときは、根に何かが起きています。根腐れでも同じように張りが戻らないので、どちらかは鉢から抜いて確かめるのがいちばん確実です。しわが戻らないときの切り分けはオベサがしわしわになったときに、根が黒く崩れていたときの手当てはオベサが腐ったときにまとめています。
根に白い粉や綿のようなものがまとわりついていたら、ネジラミを疑います。新聞紙の上で土を落としてから確かめます。(AIで生成したイメージです)
根の洗い方と植え直し
- 鉢から抜き、新聞紙などの上で古い土をできるだけ落とします。
- 白い粉や綿がついた根を、流水でていねいに洗い流します。細かい根に固まっているところは、柔らかい筆で払います。
- 虫が多くついていた根や、黒く傷んだ根は切り落とします。
- 根を乾かします。明るい日陰で、根の表面がしっかり乾くまで数日置きます。
- 新しい用土と、洗った鉢(できれば別の鉢)で植え直します。古い土には卵が残っていることがあるので、ほかの鉢には使いません。
- 植え直したあとの水は、すぐには与えず、数日から1週間ほどあけてからにします。
植え直しの段取りそのものは、オベサの植え替えと同じです。根を洗ったあとの乾かし方や、水を戻す時期の見方もそちらにあります。
ネジラミが見つかった鉢の隣に置いていた株も、鉢底の穴どうしが近いと移っていることがあります。同じ棚に並べていた株は、次の植え替えのときに根を見ておくと安心です。
ハダニ・アブラムシ・そのほかの虫
ハダニ|乾いた室内で表面をかすれさせる
ハダニは、肉眼ではほとんど見えないほど小さな虫です。乾いて風のない暖かい場所で増えやすく、冬に室内へ取り込んだ時期や、暖房の効いた部屋で見かけます。葉の多い植物ほどつきやすく、オベサではまれですが、つくと表面が細かくかすれたように色がくすみます。ルーペで見ると、赤や黄色の小さな点が動いていて、ひどくなると細い糸を張ります。
見つけたら、ほかの鉢から離し、シャワーや霧吹きで表面を洗い流します。ハダニは水に弱く、これだけで数が減ることがあります。ただしオベサは頂部に水がたまると傷みやすいので、洗ったあとは風の通るところで表面を乾かし、頂部のくぼみに水を残さないようにします。
アブラムシ|春の花まわりに
春にオベサが花を咲かせると、花や花柄にアブラムシが集まることがあります。球の本体にはあまりつきません。数が少なければ柔らかい筆で払い、多ければ花柄ごと取り除きます。花のあとの柄は、乾いてから取れば株を傷めません。
キノコバエ|土の上を飛ぶ小さな黒いハエ
土の上を小さな黒いハエが飛ぶのは、キノコバエのことが多いです。幼虫は湿った土の中の有機物を食べて育ちます。オベサの用土は軽石や赤玉土が中心で有機質が少ないので、本来は出にくい虫です。出ているときは、土がいつまでも湿っている、腐葉土や堆肥が多く混ざっている、といった用土の側を見直します。用土の配合は塊根植物の用土配合にまとめています。
ナメクジ|屋外の夜
春から秋に屋外の棚で育てていると、夜のうちにナメクジが表面をかじり、光る筋を残すことがあります。かじられた跡は乾けば治りますが、傷の入口になります。鉢の下や周りに落ち葉や板を置かず、夜に一度見回ると見つけられます。
薬剤を使うときに確かめること
虫の数が多いとき、何度取っても出てくるときは、薬剤を使う選択もあります。園芸用の殺虫剤には、株に直接かけるスプレーのタイプと、土にまいて根から吸わせる粒のタイプなどがあります。
使う前に、次のことをラベルで確かめます。
- 適用植物:多肉植物、観葉植物、花き類など、オベサが含まれる区分が書かれているか
- 対象の虫:カイガラムシ、ハダニなど、いま困っている虫が対象に入っているか
- 使い方:薄める倍率、使う量、使える回数、使う時期
農薬は、ラベルに書かれた植物と使い方でしか使えない決まりがあります。また、同じ薬剤でも、ハダニとカイガラムシでは効く・効かないが分かれることがあり、殻をかぶったカイガラムシのように薬剤が届きにくい虫もいます。迷ったときは、園芸店で「オベサ(多肉植物)に、この虫で」と伝えて選んでもらうのが確かです。
薬剤を使う場合も、まず綿棒や水で取れるだけ取ってからにすると、使う量を減らせます。散布したあとは、強い日差しの下に置かず、明るい日陰で表面を乾かします。
虫を持ち込まない・増やさないための置き方
オベサの虫は、外から持ち込まれて、風のない場所で増えることがほとんどです。日々の手間は多くありません。
- 新しく迎えた株は、2〜3週間ほかの鉢と離して置く:その間に稜の谷・株元・土の際を見ておきます。根のついていない状態で届く株の迎え方は、ベアルートの迎え方にあります
- 植え替えのたびに根を見る:ネジラミは鉢から抜かないと見つかりません。年に一度の植え替えが、いちばん確実な点検になります
- 古い土を使い回さない:虫の卵が残っていることがあります
- 風を通す:空気のよどむ場所は、カイガラムシやハダニが増えやすい場所です。室内では小さな扇風機で空気を動かすだけでも違います。風の当て方は塊根植物のサーキュレーターにまとめています
- 鉢を詰めて並べない:隣の鉢と触れていると、虫が歩いて移ります
- 月に一度、ルーペで一周見る:水やりのついでに、稜の谷と株元を見る習慣をつけると、数匹のうちに見つけられます
季節ごとに、気をつける虫も変わります。
| 時期 | 気をつける虫 | 見るところ |
|---|---|---|
| 春 | アブラムシ、カイガラムシの幼虫 | 花まわり、稜の谷 |
| 梅雨〜夏 | カイガラムシ、キノコバエ、ナメクジ | 株元、土の表面、鉢の下 |
| 秋 | カイガラムシ、ネジラミ | 株元、植え替え時の根 |
| 冬(室内) | ハダニ、カイガラムシ | 表面のかすれ、稜の谷 |
夏と冬の置き場所の整え方は、オベサの夏越しとオベサを室内で育てるにまとめています。
よくある質問
白い綿を取ったあと、表面に跡が残りました。治りますか?
虫が吸っていた場所は、黄ばみや小さなへこみとして跡が残ることがあります。硬く乾いていれば株の成長には関わらず、新しく育つ頂部の組織はきれいな肌で作られていきます。跡の周りが柔らかくなってくるときだけは、傷から傷んでいる可能性があるので、水を控えて様子を見ます。
カイガラムシは、ほかの鉢にも移りますか?
移ります。成虫はほとんど動きませんが、生まれたばかりの幼虫は小さく、歩いて隣の鉢へ移ります。見つけた鉢は離して置き、同じ棚の株も稜の谷と株元を一通り見ておくと安心です。
ネジラミがいた株は、植え直せば元どおりに育ちますか?
根を洗って新しい土に植え直し、根が出直せば、また張りが戻って育ちはじめることが多いです。根を多く切ったときは、根が張るまで水を吸う力が弱いので、水は少なめから戻します。球体まで柔らかくなっている場合は、虫より腐りの手当てが先になります。
虫よけのために、定期的に薬剤をまいたほうがいいですか?
オベサは虫のつきにくい植物なので、まず新しい株を離して置く・植え替えで根を見る・風を通すといった置き方で防げることがほとんどです。虫が繰り返し出る場合に薬剤を使うときは、ラベルの適用植物と使い方を確かめてからにします。