亀甲竜の花|咲く時期と花の特徴、雄株と雌株の違い、何年で咲くか、咲いたあとの扱い

亀甲竜の花は、秋から春の生育期、葉が茂ったころに咲きます。葉のつけ根から細い花穂が伸び、数mmほどの黄緑色の小さな花がいくつも連なります。雄株と雌株に分かれていて、種ができるのは両方の花が同じ時期に咲き、雌株に受粉したときだけです。種から育てた株が咲くまでは5〜10年ほど。咲いても株への負担は小さく、そのまま咲かせて構いません。
亀甲竜は、亀の甲羅のように割れた塊根を眺める植物ですが、育ったものは生育期に花も咲かせます。花は小さく、色も葉に近い黄緑色なので、咲いていることに気づかないまま季節が過ぎることもあるほど控えめです。この記事では、咲く時期と花の姿を先に、雄株と雌株の違い、種から何年で咲くか、咲かせるための条件、咲いたあとの花穂と種のさやの扱いを順にまとめました。一年を通した管理は亀甲竜の育て方で扱っています。
亀甲竜の花が咲く時期|冬の生育期、葉が茂ったころ
亀甲竜(アフリカ亀甲竜・Dioscorea elephantipes)は、秋に芽を出して冬に葉を茂らせ、初夏に休む冬型の塊根植物です。花が咲くのも、この生育期のなかです。秋に伸びた蔓に葉が十分に広がったあと、冬から春先にかけて花穂が出てくることが多く、咲く時期には株や置いている環境によって幅があります。
| 時期 | 株の様子 | 花との関係 |
|---|---|---|
| 9〜11月 | 塊根の頭から芽が出て、蔓が伸びる | まだ咲かない。葉を広げる時期 |
| 12〜3月 | 葉がもっとも茂る | 育った株は、このころ花穂を出すことが多い |
| 4〜5月 | 葉の色がさめはじめる | 雌株ではさやがふくらむ |
| 6〜8月 | 葉と蔓が枯れ、塊根だけになる | 休眠。花は咲かない |
花が咲くのは葉が光を受けて働いている時期だけで、休眠中の夏に花が咲くことはありません。「夏に咲く」と覚えていると見落としやすいので、葉が茂っているあいだに咲くと考えておくと、花穂に気づきやすくなります。休眠と目覚めの一年の流れは亀甲竜の休眠期にまとめています。
花の特徴|葉のつけ根から垂れる、黄緑色の小さな花
亀甲竜の花は、蔓の途中、葉のつけ根から伸びる細い花穂につきます。ひとつひとつの花は数mmほどの小さな星形で、色は淡い黄緑から黄白色。ヤマノイモの仲間らしい、つつましい花です。花びらが大きく開いて目を引くタイプではなく、葉と蔓のあいだに細い穂がいくつも下がっている姿になります。
葉のつけ根から下がる細い花穂に、数mmほどの小さな花が連なります。(AIで生成したイメージです)
花が目立たないぶん、気づくきっかけは次のようなところです。
- 葉のつけ根に、葉ではない細い穂が出ている:新しい蔓の先とは違い、穂は葉のつけ根から横や下へ向かって伸びます。
- 鉢の周りに小さな花がこぼれている:咲き終えた花が落ちて、棚や鉢の縁に黄色い粒のように残ります。
- 支柱に絡んだ蔓のあちこちに同じ形の穂がある:1本の蔓にいくつもつくことがあります。
塊根の姿を楽しむ植物なので、花そのものを目当てに育てる人は多くありません。それでも、冬のあいだに葉の陰で咲く小さな花は、株が十分に育ったしるしとして見る楽しみがあります。
雄株と雌株|花のつき方が違う
亀甲竜は雄株と雌株に分かれる植物で、1つの株には雄花か雌花のどちらかしか咲きません。花の形はどちらも小さく似ていますが、穂のつき方に違いがあります。
| 雄株 | 雌株 | |
|---|---|---|
| 花穂のつき方 | 穂が立ち気味に伸び、小さな花が多めにつく | 穂が垂れる、または横に広がる |
| 花のもと | 花だけで、ふくらむ部分がない | 花のつけ根に、3つの稜(かど)のある小さなふくらみがある |
| 咲いたあと | 花が落ちて終わる | 受粉すると、つけ根のふくらみが育ってさやになる |
花が咲くまでは、雄株か雌株かを外から見分けることはできません。塊根の形や大きさにも違いは出ないので、手元の株がどちらなのかは、はじめて咲いた年にわかります。
雌株の花のつけ根が少しふくらんでいても、近くに咲いている雄株がなければ受粉せず、ふくらみはやがてしぼんで落ちます。種ができるのは、雄株と雌株が同じ時期に咲いて、雌花に花粉が届いたときだけです。
種から何年で咲くか|5〜10年ほど
種から育てた亀甲竜が花を咲かせるまでは、5〜10年ほどかかります。種まきから1〜2年の株は直径5cm前後で、表面もまだなめらか。亀甲状の割れがはっきりしてくる5年前後から、生育期の葉の量も増え、咲く株が出てくるようになります。
| 年数の目安 | 株の様子 | 花 |
|---|---|---|
| 1〜2年 | 直径5cm前後、表面はなめらか | 咲かない |
| 2〜3年 | 皮が厚くなり、浅い割れが入りはじめる | ほぼ咲かない |
| 5年前後 | 多角形の面がはっきりしてくる | 早い株は咲きはじめる |
| 5〜10年 | 塊根が大きくなり、蔓もよく伸びる | 多くの株が生育期に咲くようになる |
数字は環境と株によって前後します。冬に温度が保たれ、日によく当てて葉を長く保った株ほど、塊根が太るのも、咲きはじめるのも早くなります。塊根の大きさや割れの深さと年数の関係は亀甲竜の育て方の「大きさと育つ速さ」でも扱っています。すでに大きく育った株を迎える場合は、その年の冬から咲くこともあります。株の大きさと値段の関係は亀甲竜の値段にまとめています。
咲かせる条件|生育期の光と、葉を長く保つこと
亀甲竜の花のために特別な手入れは要りません。咲く力は、生育期に葉でどれだけ光を受けて塊根に蓄えたかで決まります。咲く年齢に届いた株が咲かないときは、次の3つを見直すと手がかりになります。
- 冬の光:生育期の冬は、できるだけ日の当たる場所に置きます。室内なら、南向きの明るい窓辺がいちばんです。光が足りないと蔓ばかりが細く長く伸び、葉の数が増えません。
- 温度:夜の最低気温が5℃を下回らないように守ります。寒さで葉を落とすと、その年の生育が途中で止まり、咲く前に季節が終わってしまいます。
- 水と肥料:葉が茂っているあいだは、土が中まで乾いてからたっぷり与えます。肥料を使うなら、葉が広がってから色がさめるまでの生育期に、控えめに与えます。
水の与え方は季節ごとに切り替えが必要なので、亀甲竜の水やりもあわせて確かめてください。肥料の種類と与え方の基本は塊根植物の肥料で扱っています。
咲いたあと|花穂の片づけと、種のさや
花は咲かせたままで構いません。亀甲竜の花は小さく、咲くことで株が大きく体力を落とすことはないので、花穂を早めに切る必要はありません。咲き終えた花は自然に落ちます。気になる場合は、枯れた花穂だけをつけ根から切り取ります。蔓や葉は、緑が残るうちは切らずに残します。葉に残った養分は、休眠に入る前に塊根へ戻っていくからです。
雌株に受粉していれば、春にかけて花のつけ根のふくらみが育ち、3枚の翼をもつ乾いたさやになります。さやは2cmほどで、葉の色がさめる初夏にかけて茶色く乾き、割れて中の種を出します。
雌株に受粉すると、3枚の翼をもつさやが育ちます。乾いて割れると、薄い羽のついた種が出てきます。(AIで生成したイメージです)
種は薄い羽の端に小さな本体がついた形で、風に乗って飛ぶつくりです。さやが茶色く乾いて口が開きかけたら、紙袋をかぶせるか、割れる前に摘み取っておくと、種を取りこぼしません。採った種は乾いた場所で保管し、秋にまきます。まき方と一年目の育て方は亀甲竜の実生にまとめています。
雄株と雌株の花を合わせて種を採るときの考え方は、オベサを例にした受粉と採種の手順が参考になります。なお、亀甲竜は咲くまでに年数がかかり、雄株と雌株を同じ時期に咲かせるのも簡単ではないので、はじめて育てるなら種は買い求めるほうが現実的です。
花が咲かない、咲いたあとに調子を崩したとき
咲く年数に届いた大きな株でも、咲かない年はあります。多くの場合は前の冬の光や温度が足りなかったためで、株が不調なわけではありません。塊根を軽く押して硬く張っていれば、次の生育期に向けて日当たりを見直します。
注意したいのは、花のことより塊根の状態です。花の時期に葉が急に黄ばむ、塊根が柔らかくなる、地際が黒ずむといった様子があれば、花とは関係なく根の傷みを疑います。原因の切り分けと対処は亀甲竜の枯れる・不調のサインで扱っています。休眠中の夏は植え替えの適期でもあるので、根の様子を確かめるなら亀甲竜の植え替えの手順もあわせてどうぞ。
縁側では、ユーフォルビアのオベサ鉄甲を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。アフリカ亀甲竜とメキシコ亀甲竜の違いなど、亀甲竜の仲間の見分け方は亀甲竜の種類にまとめています。
よくある質問
亀甲竜の花はいつ咲きますか?
アフリカ亀甲竜は冬型の植物なので、花が咲くのは秋から春の生育期、葉が十分に茂ったころです。冬から春先に花穂が出ることが多く、株や環境で時期には幅があります。葉と蔓が枯れて休眠している夏には咲きません。
亀甲竜の花はどんな花ですか?
葉のつけ根から伸びる細い花穂に、数mmほどの小さな星形の花がいくつも連なります。色は淡い黄緑から黄白色で、葉の色に近く目立ちません。ヤマノイモの仲間らしい、控えめな花です。
花は切ったほうがいいですか?
切らずに咲かせて構いません。花は小さく、株への負担はわずかです。咲き終えた花穂が気になる場合は、枯れたものだけをつけ根から切り取ります。緑の残る蔓や葉は、休眠前に養分を塊根へ戻すので残しておきます。
花が咲いたのに種ができません。なぜですか?
亀甲竜は雄株と雌株に分かれていて、種ができるのは雌株の花に雄株の花粉が届いたときだけです。手元の株が雄株なら種はできず、雌株でも近くに同じ時期に咲く雄株がなければ、花のつけ根のふくらみはしぼんで落ちます。種から育てたい場合は、種を買い求めるのが現実的です。
種から育てて何年で咲きますか?
5〜10年ほどが目安です。亀甲状の割れがはっきりしてくる5年前後から咲く株が出はじめます。冬の生育期によく日に当て、葉を長く保った株ほど塊根が早く太り、咲くのも早くなります。