育て方

ユーフォルビア・峨眉山(ガビザン)の育て方|水やり・冬越し・子株の外し方

縁側に置かれた素焼き鉢の峨眉山。鱗片状の突起が螺旋に重なる株の頂部に細い葉が出ている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ユーフォルビア・峨眉山(ガビザン)は、鉄甲丸ゆずりの鱗片状の姿と、瑠璃晃ゆずりの丈夫さを併せ持つ日本生まれの交配種です。水やりは暦ではなく「頂部に葉があるかどうか」で切り替え、冬は10℃を目安に室内へ。株元によく子株を吹くので、その扱いを先に決めておくと姿が崩れません。

ユーフォルビア・峨眉山(がびざん)は、鱗のような突起が螺旋を描いて重なる短い円柱の株から、細い葉を少しだけ出す多肉質のユーフォルビアです。学名は Euphorbia × ‘Gabizan’。中国の名山と同じ字を書きますが、こちらは日本で作られた交配種で、山とは関係がありません。松かさのような姿は親ゆずりですが、育てやすさは見た目の厳めしさほどではありません。この記事では、基本情報と一年の管理カレンダー、置き場所と日当たり、葉の出入りで切り替える水やり、冬越し、よく吹く子株の扱いと外し方、用土と植え替え、病害虫、徒長したときの見方、そして鉄甲丸との見分け方までを、判断の順にまとめます。属全体に共通する基本はユーフォルビアの育て方にまとめています。

ユーフォルビア・峨眉山とは|基本情報と、二つの親から受け継いだ性質

項目内容
名前・読み峨眉山(がびざん)。ユーフォルビア・峨眉山、ガビザン、Euphorbia ‘Gabizan’ とも表記されます
学名Euphorbia × ‘Gabizan’(鉄甲丸 × 瑠璃晃の交配種)
科・属トウダイグサ科 ユーフォルビア属
生まれ日本で作られた園芸交配種(自生地はありません)
生育型春秋型。春と秋によく育ち、真夏と冬は動きが鈍ります
大きさ高さ10cm前後、太さ5〜6cmほど。年に数ミリ〜1cmとゆっくり
耐寒性弱い。乾かして5℃前後、安心して見るなら最低10℃
耐暑性ふつう〜やや強い。真夏は遮光と風通しで補います
日当たり好む。不足すると鱗片の間隔が空いて伸びます
植え替え・子株外しの適期4〜5月、9〜10月
増やし方株元の子株を外して挿す(実生は1株ではできません)
育てやすさやさしい〜ふつう。つまずくのはほぼ水の与えすぎ

峨眉山は、鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)と瑠璃晃(Euphorbia susannae)を掛け合わせて日本で作られた交配種です。

株の表面に並ぶ三角形の突起は、葉が落ちたあとの付け根の跡が硬く残ったもの。葉を出しては落とすたびに一段ずつ増えていくので、突起の重なりはそのまま株の年月を映しています。頂部からは細長いへら形の葉が数枚、ロゼット状に開きます。鉄甲丸の葉より小ぶりで枚数も控えめなため、株全体は葉よりも鱗片の姿で見せるタイプです。

育てやすさは、二つの親の性質がどう出たかで説明がつきます。

  • 鉄甲丸から:鱗片状の幹の姿、頂部から葉を出して落とす一年のリズム。
  • 瑠璃晃から:日本の蒸し暑い夏に耐える丈夫さ、株元からよく子株を吹く性質。

鉄甲丸は夏の蒸れに弱く子株もほとんど出ませんが、峨眉山はその2点が和らいでいます。姿は鉄甲丸寄り、性質は瑠璃晃寄り、と覚えておくと管理の判断がぶれません。

春になると、頂部の葉のあいだから細い柄を伸ばして小さな花を咲かせます。ユーフォルビアの花は花びらを持たない独特のつくりで、そのしくみはユーフォルビアの花にまとめています。雌雄が別の株に分かれるため、1株だけでは種はできません。

ほかのユーフォルビアと同じく、傷つけると白い樹液(乳液)が出ます。皮膚につくとかぶれ、目に入ると強い炎症を起こすことがあるので、子株を外すときや植え替えのときは手袋をつけ、作業のあとは手を洗います。峨眉山は子株を外す機会が多いぶん、樹液に触れる場面もほかの種より多くなります。目に入ったら、こすらずに大量の水で洗い流し、痛みが続けば眼科へ。

峨眉山の置き場所と日当たり|締まった姿は光と風で決まる

峨眉山は日当たりと風通しのよい場所を好みます。光が足りないと鱗片の間隔が空いて上に伸び、丸みのある姿が崩れます。しかも一度伸びた部分は元に戻りません。置き場所は、水やり以上に姿を左右します。

  • 春・秋:屋外の日なた、風が通る棚の上。雨は避けます。よく日に当てるほど鱗片が詰まり、葉も短く締まります。
  • 夏:直射は強すぎることがあるので、遮光30〜50%か、午後に日陰になる場所へ。長雨のあとはとくに蒸れやすいので、鉢の間隔をあけて風を通します。
  • 冬:室内のいちばん明るい窓辺。葉を落としていても、光は株の健康に必要です。

室内だけで育てるなら南〜東向きの窓辺に置き、サーキュレーターで空気を動かします。それでも上に伸びるようなら、植物用の育成ライトで光を足します。

もう1つ大事なのが、環境を急に変えないこと。買ってきた株や冬を室内で過ごした株をいきなり真夏の直射に出すと、数日で表面が焼けて茶色い跡が残ります。半日陰から始めて1〜2週間かけて慣らします。

峨眉山の一年の管理カレンダー|いつ、何をするか

置き場所と作業の時期を先に見取り図として置いておくと、季節の変わり目で迷いません。水やりだけは暦ではなく頂部の葉で切り替えるので、次の章にまとめています。

時期株の様子置き場所作業・肥料
3〜4月頂部から新芽と葉が動き出す半日陰から1〜2週間かけて屋外の日なたへ植え替え・子株外しの適期。緩効性肥料をひとつまみ
5〜6月葉が開いてよく育つ屋外の日なた。雨は避ける薄めた液体肥料を月1回
7〜8月高温で動きが鈍る遮光30〜50%。鉢の間隔をあけて風を通す肥料は止める。植え替えと子株外しは見送る
9〜10月二度目の成長期。葉が増える屋外の日なたに戻す植え替え・子株外しの適期。薄めた液体肥料を月1回
11〜2月葉が黄ばんで落ち、休眠に入る室内のいちばん明るい窓辺(最低10℃目安)肥料は与えない。植え替えも子株外しもしない

取り込みの合図は「夜の最低気温が10℃を切りはじめる頃」で、地域によって10月下旬〜11月です。ちょうど葉が黄ばみ始める時期と重なります。

峨眉山の水やり|暦ではなく、葉の出入りで切り替える

峨眉山の水やりで迷ったら、カレンダーではなく頂部を見ます。葉が開いているあいだは水を使っていて、葉がないあいだはほとんど使っていない。この切り替えを株のサインで行うのが、鉄甲丸の血を引くこの種のいちばんのコツです。

株の状態時期の目安頻度与え方
新芽が動き出す3〜4月2週間に1回土の表面が湿る程度の少量から
葉が開いている春〜初夏・初秋7〜10日に1回中まで乾いてから鉢底に流れ出るまで
高温で動きが鈍る7〜8月2週間に1回夕方以降に控えめ
葉が黄ばみ落ちる10〜11月2〜3週間に1回間隔を伸ばしていく
葉がない冬月1回暖かい日の午前に表面が湿る程度

与えるときは鉢の縁から注ぎ、鉢底の穴から流れ出るまで。受け皿にたまった水は捨てます。乾いたかどうかは、竹串を土に挿して抜いたときの湿り気か、鉢を持ち上げたときの軽さで確かめます。迷ったときは待つほうが安全です。峨眉山が水切れで枯れることはめったにありませんが、湿った土が続いての根腐れは、この種で最も多いつまずき方です。根が傷んだときの見分け方と立て直しはオベサの根腐れにまとめていて、峨眉山にもそのまま当てはまります。

暖房の効いた部屋では、葉を落とさずに冬を越すことがあります。その場合は「葉がある」扱いで、乾かしすぎない程度の少量を続けます。逆に冬に完全に断水すると細い根が枯れ込み、春の立ち上がりが鈍ります。月1回の少量は続けるほうが確実です。

峨眉山の冬越し|最低気温の目安と、室内での置き方

耐寒性は強くありません。乾かして管理していれば5℃前後まで耐えますが、安心して見るなら最低10℃。霜と凍結には耐えられません。夜の最低気温が10℃を切りはじめる頃(地域によって10月下旬〜11月)に室内へ取り込みます。ちょうど葉が黄ばみ始める時期と重なるので、取り込みと水やりの切り替えを同じ日にやると覚えやすいです。

  • 窓辺の夜間冷えに注意:窓ガラスのすぐそばは、夜間に外気並みに冷えます。夜だけ窓から離すか、カーテンの内側に置きます。
  • 暖房の風を直接当てない:乾燥と急な温度差で株が傷みます。
  • 水を控えて耐寒性を上げる:株の中の水分が少ないほど凍りにくくなります。冬に水を控えるのは、寒さ対策でもあります。

春の戻し方は、頂部の新芽が動き、最低気温が安定して10℃を超えてから。半日陰から1〜2週間かけて屋外に慣らします。

子株(仔吹き)の扱い|外すか、群生のまま育てるか

峨眉山は株元からよく子株を吹きます。放っておくと親株のまわりを子株が取り囲み、数年で鉢からあふれるほどになります。ここで**「群生させる」か「単頭で大きくする」かを決めておく**と、そのあとの手入れが決まります。どちらが正しいというものではなく、見たい姿の違いです。

  • 群生のまま育てる:小さな株が寄り集まった塊の姿を楽しむ育て方。峨眉山らしい姿ですが、子株が鉢土に蓋をする形になると株元が乾かず、蒸れて傷む原因になります。ひと回り大きな鉢に替え、株元まで風が通る置き場所にします。
  • 単頭で大きくする:親株1本の鱗片の重なりを見せる育て方。子株は小さいうちからこまめに外します。子株に回っていた力が親株に向くので、姿は締まります。

子株の外し方

外す時期は成長期の入り口、4〜5月か9〜10月。真夏と冬の休眠中は避けます。

  1. 外す数日前から水を止め、土を乾かしておく。
  2. 手袋をつけ、親株との付け根を確かめる。刃物は消毒しておく。
  3. 親指の先ほどの大きさまで待ってから外す。小さすぎる子株は自前の体力が足りず、発根まで持ちません。
  4. 付け根のいちばん細いところで切り離す。白い樹液が出るので、水で洗い流すか、乾いた紙で押さえて止める。
  5. 切り口を風通しのよい日陰で3〜7日しっかり乾かす。この工程を省くと、そこから腐ります。
  6. 乾いた用土に浅く挿して明るい日陰に置き、1週間ほどおいてから少量の水を始める。発根まではおおむね1か月前後。

親株側の切り口も同じように乾かします。子株をもぎ取るように外すと親株の表皮まで裂けることがあるので、刃物で切るほうが結果として傷は小さくなります。

峨眉山の株元に吹いた子株を、手袋をした手が刃物で切り離そうとしている手元 親指の先ほどに育ってから、付け根の細いところで切り離します。(AIで生成したイメージです)

峨眉山を増やすなら、この子株分けが基本になります。挿し木と呼ばれることもありますが、やっていることは同じで、外した子株を乾かしてから挿すだけです。交配種なので種からそっくり同じ株が採れるとは限らず、そもそも1株では種ができません。株分けなら親と同じ姿がそのまま増えるので、気に入った個体を残す方法としても確実です。

用土と植え替えの基本もあわせて水はけのよい配合にしておくと、水やりの加減そのものが楽になります。
ユーフォルビアの用土と植え替えを見る →

用土と植え替え|浅く植えて、株元を乾かす

用土は水はけ最優先です。市販の多肉植物・サボテン用の培養土に軽石を足すだけでも十分に育ちます。自分で配合するなら、軽石(または日向土)を4割、赤玉土小粒を3割、鹿沼土を2割、くん炭や川砂を1割ほど。腐葉土やピートモスはごく少量にとどめます。比率そのものより「鉢の中が何日で乾くか」で決まるので、置き場所に合わせた振り方は塊根植物の用土配合にまとめています。鉢は素焼きやスリット鉢のように通気のよいもので、株の直径に2〜3cm足したくらいの、大きすぎないサイズを選びます。

適期は4〜5月か9〜10月、2〜3年に1回。鉢底から根が出ている、水が染み込みにくくなった、子株が鉢からあふれている、が目安です。

  1. 数日前から水を止め、土を乾かしておく。
  2. 手袋をつけて株を抜き、古い土を軽く落とす。黒く傷んだ根と干からびた根だけを切り、健全な根はほぐし過ぎない。
  3. 根を切った場合は、切り口を2〜3日、風通しのよい日陰で乾かす。
  4. 乾いた新しい用土に浅めに植え、株元に軽石や砂利を敷いて根元が湿らないようにする。
  5. 植え付け後1週間ほどは水を与えず、その後、少量から通常の水やりに戻す。

深植えは峨眉山でとくに避けたい植え方です。株元が土に埋まっていると、水やりのたびに子株の付け根が濡れたままになり、上からは異常に見えないまま傷みが進みます。植え替えのたびに、鱗片の下端が土の上に出る高さに植え直しておきます。

肥料は控えめで足ります。植え替え時に緩効性肥料をひとつまみ混ぜるか、葉のある春と秋に薄めた液体肥料を月1回ほど。多いと鱗片が間延びして姿が緩むので、「足りないかな」と思う程度が適量です。

病害虫と株の傷み|ハダニ・カイガラムシ・根の傷み

峨眉山につきやすいのはハダニとカイガラムシの2つです。どちらも数が少ないうちは見つけにくく、鱗片の隙間という隠れ場所があるぶん、ほかの多肉より気づくのが遅れがちです。

出るもの見つけ方出やすい条件手当て
ハダニ葉がかすれて白っぽく色が抜ける。葉裏に細かな点と薄い網高温乾燥、室内の風のない場所、梅雨明け〜真夏葉の裏までシャワーで洗い流す。繰り返すなら専用の薬剤を規定どおりに
カイガラムシ鱗片の隙間や子株の付け根に、白い綿状の塊や小さな殻風通しの悪い置き場所、室内で過ごした冬のあと綿棒や歯ブラシでこそげ落とす。数が多ければ浸透移行性の粒剤を土に置く

素焼き鉢の峨眉山の株元を、手袋をした手が綿棒で点検している手元のクローズアップ 鱗片の隙間と子株の付け根は、綿棒の先で確かめると早いです。(AIで生成したイメージです)

予防でいちばん効くのは風を通すことと、季節の入れ替えで一度よく見ることです。秋に室内へ取り込むとき、春に屋外へ出すときの2回、鱗片の隙間と株元を見ておくと、増えきる前に気づけます。室内に入れる前に見つけておけば、ほかの鉢へ広がりません。

虫ではないほうの傷みも、見分け方を知っておくと落ち着いて対処できます。

  • 葉が黄ばんで落ちる:秋から冬にかけて下の葉から順に落ちるなら、正常な休眠です。成長期なのに急に落ちるときは、水のやりすぎか根の傷みを疑います(次の節で切り分け方をまとめています)。
  • 株元が黒ずむ・押すとぶよつく:根腐れか軟腐です。鉢から抜いて根を確かめ、傷んだところを健全な部分まで切り、切り口を乾かしてから乾いた用土に挿し直します。判断の手順はオベサの根腐れと同じです。
  • 表面に茶色い硬い跡:日焼けです。傷んだ細胞は戻りませんが、株そのものは育ちます。光に慣らす手順をやり直します。

葉が枯れる・落ちるとき|季節の落葉か、傷みかを切り分ける

峨眉山の葉は、枯れても落ちても、それだけで株の不調とは限りません。頂部の葉は季節で出入りするもので、冬に葉が無いのはこの種のふつうの姿です。見分ける順番は、いつ落ちたか → 株本体が硬いか → 葉の傷み方の3つです。

葉の様子時期株本体考えられることやること
下の葉から順に黄ばんで落ちる10〜12月硬い休眠に入る正常な落葉水を月1回の少量へ切り替える
葉が一斉に黄ばむ・しおれて落ちる成長期(春・秋)硬い水切れ、または植え替え・移動の直後土の乾き具合を確かめ、乾ききっていればたっぷり与える
葉が黄ばみ、株元が黒い・柔らかい季節を問わない柔らかい根腐れ水を止めて鉢から抜き、根を確かめる
葉先から茶色く縮れる夏・取り込み直後硬い急な強光・高温、暖房やエアコンの風置き場所を変え、光は1〜2週間かけて慣らす
葉がかすれて白っぽくなり、ぽろぽろ落ちる梅雨明け〜夏、冬の室内硬いハダニ葉裏までシャワーで洗い流す
新しい葉が小さい・出てこない成長期硬い光不足、根詰まり明るい場所へ。2年以上植え替えていなければ適期に植え替える

表の上から2行はほとんど心配のいらない落ち方で、株本体が硬ければ、次の成長期に頂部から新しい葉が出てきます。気をつけたいのは3行目で、葉の変化より先に株元の手ごたえを確かめてください。葉が落ちたことを水切れと思って水を足すと、根腐れのときは進行を早めてしまいます。葉が落ちて迷ったら、水をやる前に株元を押す——これだけで取り違えはほとんど防げます。

徒長して伸びた株|元には戻らないので、その先を締める

峨眉山の徒長は、鱗片の間隔が空いて首が伸び、丸みが縦に間延びした姿として出ます。光不足が主な原因で、肥料のやりすぎや、葉のない冬に水を与えすぎたときにも起こります。

大事な前提として、一度伸びた部分は元には戻りません。ここで無理に姿を戻そうとするより、原因を直して「その先」を締めるほうが結果は早いです。

  • 光を足す:屋外の日なたか、南〜東向きの窓辺+育成ライトへ。ただし急に強い光に出さず、1〜2週間かけて慣らします。
  • 肥料を止める:成長期でも、間延びしているあいだは与えません。
  • 冬の水を減らす:葉のない時期に水が多いと、光の足りない環境で伸びだけが進みます。

姿そのものを作り直したいときは、株元の子株を外して育て直すのが確実です。子株は徒長していない姿から始まるので、置き場所さえ直せば締まった株になります。伸びた親株は親株で、その先が締まって育てば「伸びた時期」が一段の記録として残るだけです。徒長そのものの考え方は、同じユーフォルビアのオベサが徒長したときにもう少し詳しくまとめています。

鉄甲丸との違いと見分け方|名前の似た品種の整理

店先で峨眉山と鉄甲丸が並んでいると、どちらも松かさ状で迷います。見分けるポイントは3つです。

見る場所峨眉山鉄甲丸
株元子株がよく吹き、群生しやすい子株はほとんど出ず、単頭で立つ
葉小ぶりで枚数が少なく、鱗片が主役長さ5〜10cmの葉をロゼット状に広げる
全体の姿ずんぐりした短い円柱縦に伸びて松かさを立てた姿

育てるうえでの違いも押さえておくと安心です。鉄甲丸は夏の蒸れと根の傷みに弱く、回復に時間がかかります。峨眉山は瑠璃晃の丈夫さを受け継いでいるぶん、その点が和らいでいます。峨眉山のほうが先に手を出しやすいのは、姿が近いのに扱いが素直だからです。

名前の似た品種もいくつかあります。峨眉山鉄甲は峨眉山にさらに鉄甲丸を掛け合わせたもので、峨眉山より鉄甲丸寄りの姿になります。峨眉山錦は斑入りの個体で、葉緑素が少ないぶん成長はさらに遅く、強い光で傷みやすくなります。名前だけでは中身を判断しきれないので、迷ったら株元に子株があるか、葉がどのくらい出ているかを実物で確かめるのが早いです。顔ぶれの全体像は鉄甲丸の交配種まとめに、ユーフォルビアの仲間そのものはユーフォルビアの種類に、葉のない球形のオベサは水やりの考え方が少し違うのでオベサの水やりに分けてまとめています。

縁側に並べた峨眉山(左)と鉄甲丸(右)。ずんぐりした群生株と、縦に伸びて葉を広げた株の対比 左が峨眉山、右が鉄甲丸。株元の子株と葉の量に違いが出ます。(AIで生成したイメージです)

縁側では、オベサと鉄甲丸を掛け合わせた「オベサ鉄甲」(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体を、1株ずつ姿を見て紹介していく予定です(個体販売は準備中)。峨眉山とは片親を分け合う、兄弟のような交配種にあたります。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

「峨眉山」は何と読みますか。中国の峨眉山と関係がありますか?

「がびざん」と読みます。カタカナで「ガビザン」、学名の表記で Euphorbia 'Gabizan' と書かれることもあり、園芸店では「ユーフォルビア・峨眉山」の名で並んでいます。中国四川省の名山と同じ字ですが、こちらは日本で鉄甲丸と瑠璃晃を掛け合わせて作られた交配種で、その山に自生しているわけではありません。松かさを積み上げたような姿から、山の名が当てられたと言われています。

峨眉山の葉が全部落ちました。枯れたのでしょうか?

秋から冬にかけて下の葉から黄ばんで落ちたなら、正常な休眠です。株を軽く押して硬く、根元に黒ずみがなければ生きています。水を月1回程度の少量に減らして明るい室内で見守り、春に頂部から新芽が動いたら少量から戻します。株が柔らかい・ぶよつく場合だけ、根腐れを疑って鉢から抜いて根を確かめます。

子株は必ず外したほうがいいですか?

どちらでも育ちます。群生の姿を楽しむなら残したままでかまいません。ただし子株が増えて鉢土に蓋をすると株元が乾かなくなるので、ひと回り大きな鉢に替え、風の通る場所に置きます。親株1本を大きく締めたいなら、小さいうちからこまめに外します。外した子株は切り口を乾かせば、そのまま次の株として育てられます。

屋外で冬を越せますか?

乾かして管理していれば5℃前後まで耐えますが、霜や凍結には耐えられません。関東以西の平地でも、軒下だけでは夜間に5℃を下回る日が続きます。最低気温が10℃を切りはじめたら室内の明るい窓辺へ取り込むのが確実です。取り込むときに水やりも冬の量へ切り替えると、両方を忘れずに済みます。

種から増やせますか?

交配種なので、1株だけでは種ができません。仮に種が採れても、親と同じ姿になるとは限らないのが交配種の性質です。峨眉山を増やすなら、株元に吹いた子株を外して育てるのが基本で、この方法なら親と同じ姿がそのまま増えます。種から育てる楽しみを味わうなら、片親の鉄甲丸のように実生で殖やす種類が向いています。

切り口から出た白い液が手につきました。どうすればいいですか?

石けんと流水でよく洗い流せば、多くの場合は問題ありません。ヒリヒリやかぶれが続くときは皮膚科へ。目に入った場合は、こすらずにすぐ大量の水で洗い流し、痛みや充血が残るなら眼科を受診します。子株を外す作業は樹液に触れる機会が多いので、手袋と、作業台に敷く新聞紙を用意しておくと後片付けも楽です。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。