育て方

アデニウムの植え替え|替えどきのサインと時期、手順と根の切り方

縁側の作業台で鉢から抜いたアデニウム。壺のように膨らんだ灰白色の幹の下に太い根が見え、横に素焼き鉢と粒の粗い用土が置かれている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

鉢底から根が出る、水が染み込まない、土が乾かない、幹が鉢に迫るといったサインが出たら植え替えどきです。幹の根元が柔らかい・土が何週間も湿ったままのときだけは季節を問わず急ぎ、それ以外は次の適期まで待ちます。植え替えは、最低気温が15℃を超えて新芽が動き出す5〜6月(暖かい地域は4月下旬から)に行います。頻度は2年に1回が目安で、数日前から水を止めて土を乾かし、黒く傷んだ根と長すぎる根を整えて、乾いた水はけのよい用土に植えます。植えたあと1週間ほどは水を与えず、明るい日陰で休ませてから少量ずつ戻します。

アデニウム(砂漠のバラ)の植え替えは、新芽が動き出してから、夏の盛りまでのあいだに済ませます。根がこれから伸びる季節に合わせれば、切った根も植え替えの傷も、そのまま生育の勢いで取り戻せます。反対に、葉が黄ばみ始める秋以降に根を触ると、伸び直す前に休眠に入ってしまいます。この記事では、替えどきのサインと鉢から抜かずに確かめる方法、急ぐかどうかの見分け方、植え替えの時期、用土と鉢、根の整理から植え付けまでの手順、株の出自で変える植える深さ、植え替えのあとの水の戻し方を順にまとめます。一年を通した管理はアデニウムの育て方で扱っています。

植え替えの時期|最低気温15℃を超えて、新芽が動いてから

アデニウムは夏に育ち冬に休む夏型の塊根植物で、根がよく伸びるのは気温が20℃を超えて安定してからです。植え替えの適期は、最低気温が15℃を上回り、枝先から新しい葉がのぞいたころ。関東の平地なら5〜6月が中心で、暖かい地域では4月下旬から始められます。

時期植え替え理由
3〜4月上旬待つ休眠明け前。根が動かず、切り口が乾くまでに傷みやすい
4月下旬〜6月適期新芽が動き、根もこれから伸びる。梅雨前に終えると夏の生育に乗れる
7〜8月必要なら可根はよく伸びるが、真夏の作業は株が乾きやすい。根詰まりがひどい株だけ
9月以降待つ休眠に向かう。根が伸び直す前に冬に入る

暦より確かなのは株の様子です。枝先の芽がふくらみ、新しい葉が開き始めていれば、根も動いています。冬のあいだ室内に置いていた株は、屋外の気温に慣らしてから1〜2週間あけて植え替えると、置き場所の変化と根の傷みが重なりません。夏型・冬型の塊根植物ごとの時期の違いは塊根植物の植え替え時期にまとめています。

替えどきのサイン|急ぐものと、次の春でよいもの

成株なら2年に1回ほどで足ります。生育の早い若い苗は、毎年一回り大きな鉢へ移していくと太りが進みます。年数にかかわらず、株や鉢に次のような変化が出ていれば替えどきです。サインによって、すぐに手を入れたほうがよいものと、次の適期まで待てるものに分かれます。

サイン鉢の中で起きていること急ぐか
幹の根元が柔らかい、黒ずみが広がる根や幹の下部が傷み始めている季節を問わず、すぐに抜いて確かめる
水やりから2〜3週間たっても土が湿ったまま、においがする土が古く崩れて水がたまり、根が呼吸できていない早めに。休眠期でも乾いた土へ移す
水を与えても表面にたまり、なかなか染み込まない根が鉢いっぱいに回るか、土が締まって固くなっている次の適期に。それまでは水を少量ずつ数回に分けて与える
鉢底の穴から根が出ている根が鉢の中を一周し、伸びる余地がない次の適期に
幹が太って鉢の縁に迫る、プラ鉢が膨らむ・素焼き鉢にひびが入る根と幹の太りに鉢が追いついていない次の適期に。ひびが広がる鉢は早めに
生育期なのに新芽の伸びが前年より明らかに鈍い根詰まりで水と養分を吸いにくくなっている次の適期に
迎えたばかりの株が、水もちのよい土で植えられている冬に土が乾かず、根腐れしやすい状態春〜夏に迎えた株は、その生育期のうちに

最後のひとつは見落としやすい点です。出荷される苗は、生産地の管理に合わせた水もちのよい土で植えられていることが多く、そのまま秋を迎えると冬に土が乾かず、根腐れにつながります。春から夏に迎えた株なら、生育期のうちに水はけのよい土へ替えておくと冬が楽になります。

サインと間違えやすい変化

秋に気温が下がって葉が黄ばみ、落ちていくのは、休眠に向かう季節の変化です。根詰まりのサインではないので、この時期の落葉を理由に植え替える必要はありません。見分けるには、季節と幹の硬さを合わせて見ます。生育期の夏に下葉が一斉に黄ばむ、新芽が止まる、という変化なら根の状態を疑い、秋の落葉で幹が硬いままなら休眠の準備です。

鉢底から根が数本のぞいているだけで、水の染み込みも生育もふだんどおりなら、慌てる必要はありません。次の5〜6月に植え替える予定に入れておけば十分です。

鉢から抜かずに確かめる方法

サインらしい変化があっても、季節外れに鉢から抜くと根を傷めます。まずは鉢に入れたまま、次の順に確かめると、抜くべきかどうかがほぼ分かります。

  1. 株元を軽く揺らす。幹の根元を指でつまんで左右にそっと揺らし、鉢と一緒に動くなら根が鉢いっぱいに回っています。株だけがぐらつくなら、根が少ないか傷んでいる可能性があるので、幹の根元の硬さもあわせて確かめます。
  2. 竹串を挿して乾き方を見る。鉢の中ほどまで竹串を挿し、水やりのあと何日で先が乾くかを数えます。前より乾くのが極端に早いなら根詰まり、1週間以上たっても湿っているなら土が古く水がたまっている合図です。竹串と鉢の重さによる乾き具合の見方はアデニウムの水やりでも扱っています。竹串を挿したとき、途中で硬い根に当たって入っていかないのも根が回っている目安になります。
  3. 鉢を持ち上げる。水やり直後と乾いたときの重さの差が、以前より小さくなっていれば、鉢の中の土が減って根に置き換わっています。
  4. 鉢底の穴をのぞく。根が見えるかどうかに加えて、根の色も見ます。白や薄茶の張りのある根なら元気な根、黒く細く縮れた根なら傷みの合図です。

鉢の素材によって、サインの出方にも違いがあります。

鉢の素材出やすいサイン見るときのポイント
プラ鉢・スリット鉢側面が外へ膨らむ、鉢が変形する側面を指で押して硬く張っていれば根が回っている
素焼き鉢根が内壁に張りつく、ひびが入る表面の乾きが早いぶん、竹串で中ほどの湿り気を見る
釉薬のかかった陶器鉢外からはほとんど分からない乾くまでの日数の変化と、株元の揺れで判断する

サインを見つけたあとの判断の順番

どのサインでも、次の順に考えると迷いません。

  1. 幹の根元は硬いか。柔らかい、黒ずみが広がる場合は、季節を問わず抜いて根と幹を確かめます。
  2. 土は乾くか。水やりから2〜3週間たっても湿ったままなら、早めに乾いた土へ移します。
  3. 今は生育期か。新芽が動いている4月下旬〜6月なら、そのまま植え替えに進みます。7〜8月は根詰まりがひどい株だけにします。
  4. 秋から冬なら。上の二つに当たらなければ、水を控えて翌春の適期まで待ちます。

時期外にサインに気づいたら

秋から冬にサインに気づいたときは、急ぐ二つ(幹の根元が柔らかい、土が何週間も乾かない)を除き、翌春まで待ちます。休眠中の根は切っても伸び直せないためです。待つあいだは水を控えめにし、10℃以上の明るい室内で冬を越します。冬の置き場所と温度の目安は塊根植物の冬越しにまとめています。

土が乾かずに急ぐ場合は、根をほぐしたり切ったりせず、根鉢を崩さないまま、乾いた水はけのよい用土を入れた一回り大きな鉢へ移すだけにとどめます。根の整理や根上げは、翌春の適期にあらためて行います。幹の根元が柔らかい場合は、植え替えというより傷んだ部分を取り除く手当てが先になります。腐りか水切れかの見分け方と切り戻しの手順はアデニウムの幹がぶよぶよになったときを参考にしてください。

用意するもの|水はけのよい用土と、大きすぎない鉢

用土は、軽石や日向土などの粒の粗いものを半分ほど、赤玉土小粒を3割、残りを鹿沼土や燻炭にして、腐葉土はごく少量にとどめます。市販の多肉植物用の土に軽石を足しても構いません。微塵(粉状の細かい土)はふるって落としておくと、鉢の中の通気が保たれます。配合の考え方は塊根植物の用土配合で詳しく扱っています。

鉢は素焼きやスリット鉢のように通気のよいものを選び、大きさは今の鉢から一回り(直径で3cmほど)大きい程度にします。一気に大きな鉢へ移すと、根のない部分の土がいつまでも湿ったままになり、そこから根が傷みます。幹を低く横へ広げたい株には、浅く口の広い鉢が向きます。素材ごとの乾き方の違いは鉢の選び方、サイズの決め方は鉢のサイズの選び方が参考になります。

ほかに、手袋、清潔なはさみ、割り箸や竹串、鉢底ネットを用意します。アデニウムは根や枝を切ると白い乳液が出ます。キョウチクトウ科の植物で、口に入ると害のある成分を含むため、作業は手袋をつけて行い、終わったら手を洗います。

植え替えの手順|水を止める日から、水を戻す日まで

植え替えは、当日の作業だけでなく、前後の水の止め方と戻し方までがひと続きです。

  1. 4〜7日前から水を止める。土が乾いていると根からほぐれやすく、根の傷も乾きやすくなります。
  2. 鉢から抜く。鉢の縁を軽くたたくか、スリット鉢なら側面を押して、幹ではなく根元の土ごと持って抜きます。素焼き鉢に根が張りついて抜けないときは、竹串を鉢の内側に沿わせて一周させます。
  3. 古い土を落とす。割り箸で根のあいだをほぐし、古い土を3分の2ほど落とします。根を引きちぎらないよう、固まった部分は無理に崩さずに残します。
  4. 根を整える。黒く変色した根、押すとつぶれる根、干からびて中が空になった根を、元の健康な部分まで切り戻します。鉢の底を一周するように伸びた長い根は、鉢に収まる長さまで切って構いません。太い根を大きく切るのは、株が元気な生育期の初めだけにします。
  5. 切り口を乾かす。根を切った場合は、風通しのよい明るい日陰で2〜3日置き、切り口を乾かします。傷んだ根を大きく取り除いたときは、もう少し長めに置きます。
  6. 乾いた新しい用土で植える。鉢底ネットと粗い粒を底に敷き、株を据えてから周りに用土を入れます。割り箸で軽く突いて根のあいだまで土を入れ、株がぐらつかないところで止めます。
  7. 1週間ほど水を与えない。雨の当たらない明るい日陰で休ませ、そのあと少量の水から再開します。

鉢から抜いて古い土を落としたアデニウム。膨らんだ幹の下から太い根が広がり、横に切り取った黒い根とはさみが置かれている 黒く傷んだ根だけを切り戻し、健康な太い根は残します。(AIで生成したイメージです)

根はどこまで切るか

アデニウムの太い根は、幹とひと続きに水と養分をためている部分です。傷んでいない太い根は基本的に残し、切るのは傷んだ根と、鉢に収まらない長さの根にとどめます。

幹を低く横へ広げたい若い株では、下へまっすぐ伸びる主根の先を切って、横への根を増やす手入れをすることもあります。これは根を大きく動かす作業なので、株がよく育つ5〜6月の植え替えに合わせ、切ったあとは乾かす期間を長めにとります。その考え方と順番はアデニウム アラビカムを太らせる方法で扱っています。

植える深さ|実生・挿し木・接ぎ木で変える

どの高さで植えるかは、アデニウムの姿を決める大事な選択です。手元の株がどう育った株かで、向いている深さが変わります。

株の出自見分け方植える深さ
実生株(種から育てた株)幹の膨らみから太い根が放射状に出ている前回と同じ高さか、太い根の付け根を少しだけ出す
挿し木株根が細く、ひげ状にそろっている前回と同じ高さ。根を出しても張り出した姿にはならない
接ぎ木株幹の途中に一周する線や段差がある接ぎ口を必ず土の上に出す。埋めると接いだ部分が傷みやすい

実生株は、植え替えのたびに少しずつ高く植えていくと、太った根の上部が土の上に現れ、根元から根が四方へ張り出した低い姿になります。「根上げ」と呼ばれる仕立て方で、一度に上げるのは1〜3cmほどにします。土の上に出した部分は埋まっていたときより太る速さが落ちるので、若いうちは埋めたまま太らせ、太さが出てから少しずつ上げていく順番が組みやすくなります。上げた直後の根は日に慣れていないため、1〜2週間は強い直射を避けます。根上げの全体の流れはアデニウムの育て方の根上げの章にまとめています。

浅く広い素焼き鉢に植え替えたアデニウム。粒の粗い用土の上に太い根の上部が少しのぞき、軒下の明るい日陰に置かれている 植え替え直後は、軒下の明るい日陰で1週間ほど休ませます。(AIで生成したイメージです)

アデニウムの一年の管理もあわせて植え替えのあとは、置き場所と水やりの切り替えがそのまま続きます。生育期・移行期・休眠期の水の与え方と冬越しの温度をまとめました。
アデニウムの育て方を見る →

植え替え後の管理|水の戻し方と、調子を崩したときの見方

植え替えてから1週間ほどは水を与えず、雨の当たらない明るい日陰に置きます。切れた根の傷が乾いてから水を吸わせるほうが、そこから傷みにくくなります。

いつすること
植え替え後〜1週間水を与えない。明るい日陰で置き場所を動かさない
1週間後鉢の半分が湿るくらいの少量から再開する
2週間後〜新しい葉が開いてきたら、土が乾いたらたっぷりのいつもの水やりへ
2〜3週間後半日陰を経て、少しずつ日なたへ戻す
1か月後〜生育が落ち着いたら、薄めた液体肥料を再開する

植え替えのあと、下葉が数枚黄ばんで落ちることがあります。幹を指で押して硬く、枝先の新芽が動いていれば、根が落ち着くまでの一時的な反応です。ここで水を増やすと逆効果なので、そのまま待ちます。いっぽう、幹の根元が柔らかい、黒ずみが広がる、という場合は根の傷みが疑われます。水を止めて鉢から抜き、傷んだ部分を取り除いて乾かしてから植え直します。幹が柔らかくなったときの見分け方と残し方は、同じキョウチクトウ科のパキポディウムが腐る原因と見分け方も参考になります。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。塊根植物というくくり全体の考え方は塊根植物・コーデックス入門にまとめています。

よくある質問

秋や冬に買ったアデニウムは、すぐ植え替えたほうがいいですか?

翌春まで待つのが基本です。秋から冬のアデニウムは休眠に向かっているか休眠中で、根を切っても伸び直せません。購入時の鉢のまま、10℃以上の室内で水を控えて冬を越し、翌年の5〜6月に新芽が動いてから植え替えます。土が湿ったまま何週間も乾かない場合だけは、根を崩さずに乾いた用土の鉢へそっと移します。

植え替えのとき、根を全部洗ってもいいですか?

根腐れした株を除けば、水で洗い流す必要はありません。洗うと根が濡れたまま植えることになり、乾くまでに時間がかかります。古い土は割り箸でほぐして3分の2ほど落とせば十分です。根腐れで傷んだ部分を確かめたいときは洗って構いませんが、そのあとは根を十分に乾かしてから植え付けます。

植え替えたあと、葉が全部落ちてしまいました。枯れたのでしょうか?

幹が硬ければ、多くは生きています。根を整えたことで一時的に水を吸う量が減り、葉を落として調整していると考えられます。水を増やさず、明るい日陰で置き場所を動かさずに待つと、根が落ち着いたところで枝先から新しい葉が出てきます。幹が柔らかくなっている場合は、根の傷みを確かめます。

鉢底から根が出ていたら、すぐに植え替えたほうがいいですか?

水の染み込みや新芽の伸びがふだんどおりなら、急ぐ必要はありません。次の5〜6月の適期に植え替えれば十分です。秋から冬に気づいた場合も、そのまま翌春まで待ちます。急ぐのは、幹の根元が柔らかくなっているときと、水やりから何週間も土が乾かないときの二つです。

鉢から抜かずに根詰まりを確かめる方法はありますか?

株元を軽く揺らして鉢ごと動くか、竹串を挿したとき途中で根に当たって入らないか、水やりのあと土が乾くまでの日数が以前より極端に短くなっていないかを見ます。どれかに当てはまれば根が鉢いっぱいに回っています。釉薬のかかった陶器鉢のように外から根の様子が見えない鉢では、乾くまでの日数の変化がいちばん分かりやすい目安です。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。