育て方

アデニウムの水やり|季節ごとの頻度と量、休眠期の断水と乾き具合の見極め方

縁側に置いたアデニウムの鉢。太く膨らんだ灰白色の幹の先に葉とピンクの花がつき、細口のじょうろで鉢の縁から水を注いでいる
AIで生成したイメージです
この記事の結論

アデニウムの水やりは、カレンダーより葉の様子で切り替えます。新芽が動く4〜5月は少量から再開し、葉が茂る6〜9月は土が中まで乾いたら鉢底から流れるまでたっぷり。葉が黄ばみ始める10〜11月は2〜3週間おきに減らし、落葉した冬はほぼ断水で越します。迷ったときは待つほうが安全で、水切れで枯れることはめったにありません。

アデニウム(砂漠のバラ)の水やりは、葉があるあいだは乾いたらたっぷり、葉が落ちたら止めるの一言に集約できます。雨季に葉を広げて育ち、乾季には葉を落として幹の水でしのぐ植物なので、鉢の中でも「いま葉があるか」が水の要る・要らないをそのまま教えてくれます。この記事では、月ごとの頻度の早見から始めて、1回の量と与え方、鉢や用土で日数が変わる理由、休眠に入るときと明けるときの切り替え、水切れと過湿の見分け方を順にまとめました。置き場所や冬越しを含めた1年の流れはアデニウムの育て方にあります。

季節ごとの頻度|月ごとの目安と、切り替えの合図

アデニウムの一年は、葉が動き出す春、よく育つ夏、休みに向かう秋、葉を落として休む冬の4つに分かれます。日数はあくまで目安で、実際には次の段階へ移る合図(新芽・葉の黄ばみ・落葉)を見て切り替えます。

時期株の様子頻度の目安与え方
4〜5月最低気温15℃を超え、新芽が動く10日に1回ほど土の表面が湿る程度の少量から。葉が開くにつれて増やす
6〜9月葉が茂り、花が上がる土が中まで乾いたら(真夏の屋外で3〜5日に1回)鉢底から流れ出るまでたっぷり。受け皿の水は捨てる
10〜11月葉が黄ばみ始める2〜3週間に1回量を減らし、暖かい日の午前に
12〜3月落葉して休眠ほぼ断水15℃以上の部屋なら月1回ほど、表面が湿る程度

関東の平地を基準にした月です。暖かい地域では春の再開が早まり、寒い地域では秋の減らし始めが早まります。どの地域でも、最低気温が15℃を上下する時期と葉の様子を合わせて見ると、切り替えの日を決めやすくなります。

梅雨は気温が低く雨の日が続くと、土が乾くまでに思った以上の日数がかかります。カレンダーどおりに与えず、乾いてからさらに2〜3日あけるくらいで釣り合います。乾湿のメリハリがはっきりしているほど成長がよく、幹の太りにも効いてくる時期です。太らせ方そのものはアデニウムの幹を太くする育て方にまとめています。

葉と花をつけて育つアデニウムと、葉を落として休むアデニウムが木の棚に並んでいる 左は葉が茂る生育期の株、右は落葉して休む冬の株。同じ植物でも、葉の有無で水の要る量がまったく違います。(AIで生成したイメージです)

1回の量と与え方|鉢底から流れるまで、時間帯は季節で変える

生育期の1回ぶんは、鉢底から水が流れ出はじめるまでです。少しずつ何度も与えるより、間隔をあけてまとめて与えるほうが、鉢の下のほうの根まで水が届き、土の中の古い空気も入れ替わります。乾ききった用土は水をはじくので、半分ほど注いで少し待ち、残りを与えると全体に染みます。

鉢の大きさ1回の量の目安(生育期)
3号鉢(口径約9cm)200〜300ml
4号鉢(口径約12cm)300〜600ml
5号鉢以上鉢底から流れ出るまで。量より「流れたか」で判断する

与えたあと10分ほどおいて、受け皿にたまった水は捨てます。鉢底がいつまでも湿っていると、根がいちばん集まる底の部分から傷みます。

時間帯は季節で変えます。春と秋は朝から午前中に与え、日中の暖かさで余分な水を抜きます。真夏の屋外で日中に与えると、日に当たった鉢の中がぬるま湯のようになるので、朝の早い時間か夕方以降に。冬に少量を与えるときは、暖かい日の午前中にして、夜までに土の表面が乾く状態にします。

幹や枝に直接水をかけるのは避け、鉢の縁から土に注ぎます。株元のくぼみや枝の分かれ目に水がたまったまま冷えると、そこから傷むことがあります。

乾き具合の見極め方|竹串・鉢の重さ・葉の張り

「土が中まで乾いたら」を確かめる方法は、主に3つあります。

  1. 竹串を挿す:鉢の中ほどまで竹串を挿し、数分おいて抜きます。先が湿って色が濃くなっていたり、土がついてくるなら、まだ中は湿っています。乾いた串ならそのまま与えてかまいません。
  2. 鉢を持ち上げる:たっぷり与えた直後の重さを一度覚えておくと、乾いたときの軽さとの差ではっきり分かります。小さな鉢ほどこの方法が確かです。
  3. 葉の張りを見る:生育期に土が乾ききると、葉が少し垂れたり、薄く柔らかくなったりします。ここまで待つ必要はありませんが、与えるのが遅れたときの目印になります。

表面の土だけを見て判断すると、外れやすくなります。軽石や赤玉土の表面は半日で白く乾いても、鉢の中ほどには水が残っていることが多いためです。

素焼き鉢に植えたアデニウムの土から竹串を抜き、湿り気を確かめている手元 竹串の先の湿り気で、鉢の中ほどの乾き具合を確かめます。(AIで生成したイメージです)

同じ季節でも日数が変わる理由|鉢・用土・置き場所・株の大きさ

「真夏は3〜5日に1回」と書いても、家によっては1週間以上乾かないこともあります。乾く速さを決めるのは、主に次の4つです。

条件乾きが早い乾きが遅い
鉢小さめの素焼き鉢・スリット鉢大きめの鉢・プラ鉢・釉薬のかかった陶器鉢
用土軽石や硬質赤玉土が多い粗い配合細かい土・腐葉土やピートの多い配合
置き場所屋外の日なた・風の通る棚室内の窓辺・風の止まる場所
株と根葉が多く根が鉢に回った株葉が少ない株・植え替えたばかりの株

最初の数回は、たっぷり与えてから竹串が乾くまでの日数を数えてみるのがいちばん確かです。その日数が、その鉢・その置き場所での間隔になります。乾くまで1週間以上かかる状態が続くなら、水の回数を減らすより、鉢を一回り小さくする、用土に軽石を足すといった見直しのほうが効きます。用土と鉢の選び方はアデニウムの植え替えで扱っています。

株の育ち方でも変わります。種から育った小さな苗は幹にためられる水が少なく、根も浅いので、生育期は土の表面が乾いたら与えるくらいが合っています。幹が太くなるにつれて、少しずつ「中まで乾いてから」の間隔へ寄せていきます。反対に、幹が太く育った大きな株は水をため込む力が強いので、乾いてから1〜2日おいてもかまいません。

休眠に入るとき・明けるとき|水を減らす順番と戻す順番

水やりでつまずきやすいのは、季節の変わり目です。

秋に減らすときは、葉が黄ばみ始めたのが合図です。夏と同じ調子で与え続けると、気温が下がって乾かなくなった土に根が浸かったままになり、根腐れのいちばん多い原因になります。間隔を2〜3週間に伸ばし、夜の最低気温が15℃を切るころに室内へ取り込みます。葉がすべて落ちたら、ほぼ断水に入ります。

冬のあいだは、部屋の温度で決めます。10℃前後までしか上がらない部屋なら、完全に水を止めて春を待ちます。暖房で15℃以上を保ち、葉を残したまま冬を越している株なら、月に1回ほど表面が湿る程度を与えて細い根を保ちます。落葉した冬の株は幹に細かいしわが寄ることがありますが、幹が硬ければ蓄えた水を使っているだけで、水を足す必要はありません。冬越しの置き場所や温度の考え方は、塊根植物の冬越しにもまとめています。

春に戻すときは、最低気温が15℃を超え、枝先に新芽が見えてからです。芽が動く前の根はまだ水を吸えないので、暖かくなった日付だけを見てたっぷり与えると、そこから傷みます。最初は表面が湿る程度を10日に1回ほどで始め、葉が開くにつれて量と回数を増やし、葉が出そろったころに生育期の与え方へ移ります。

植え替えた直後と、迎えたばかりの株も、いつもの頻度から外れます。植え替えのあとは1週間ほど水を与えず、切れた根の傷が乾いてから少量で再開します。迎えたばかりの株は、まず1週間ほど置き場所に慣らし、土の乾き具合を確かめてから与え始めると安心です。

幹が柔らかくなってきたら水切れか腐りかは、押したときの戻り方と時期で見分けられます。
アデニウムの幹がぶよぶよになるときを見る →

水切れと過湿のサイン|しわ・黄色い葉・幹の柔らかさ

水の加減がずれたときは、葉と幹に表れます。同じ「葉が黄色い」「幹が柔らかい」でも、時期と押した感触で原因が分かれます。

様子時期考えられること水やりの見直し
幹に細かいしわ、押すと弾力がある生育期水切れたっぷり与えて数日見る
幹に細かいしわ、硬め落葉した冬休眠中に蓄えた水を使っている足さずに待つ
下葉から黄ばんで落ちる秋休眠に向かう自然な変化間隔をあけていく
葉が一斉に黄ばむ・土がいつも湿っている生育期過湿で根が傷んでいる水を止め、乾き方を確かめる
株元が柔らかく、押した跡が戻らない秋〜冬に多い冷えと湿りによる腐り水を止めて鉢から抜く

アデニウムは、水が少なすぎて枯れることはめったにありません。幹が痩せてしわが寄っても、水を戻せば張りは戻ります。いっぽう、冷えた土が湿ったままの状態は、気づいたときには株元から腐りが進んでいることがあります。与えるか迷ったときは、もう2〜3日待つほうが安全です。

花のつきが悪いときも、水やりを疑う前に日照を見直すほうが先です。水を増やしても花は増えにくく、光が足りないまま水が多いと枝が間延びします。花を咲かせる条件はアデニウムの花にまとめました。パキポディウムや冬型の亀甲竜など、ほかの塊根植物との水やりの違いは塊根植物の水やりで整理しています。塊根植物というくくり全体の考え方は塊根植物・コーデックス入門へ。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

アデニウムの水やりは何日おきですか?

葉が茂る6〜9月は、土が中まで乾いたらが目安で、真夏の屋外なら3〜5日に1回、室内や大きめの鉢では1週間ほどになることもあります。春の再開直後は10日に1回ほどの少量、秋に葉が黄ばみ始めたら2〜3週間に1回、落葉した冬はほぼ断水です。日数そのものより、竹串や鉢の重さで乾いたのを確かめてから与えるほうが確かです。

冬は完全に水を切ってもいいですか?

落葉していて、部屋が10℃前後までしか上がらないなら、完全に止めてかまいません。水を切っておくほうが低温にも強くなります。暖房で15℃以上を保ち、葉を残して冬を越している株は、月1回ほど暖かい日の午前に表面が湿る程度を与えて、細い根を保ちます。

霧吹きで葉水をしたほうがいいですか?

生育期の屋外なら、乾燥しやすい真夏の朝夕に葉へ軽く霧を吹くと、ハダニがつきにくくなります。ただし水やりの代わりにはならず、鉢の土にはいつもどおり与えます。気温の低い時期や落葉した冬は、幹や枝に水が残ると冷えて傷むので葉水はしません。

梅雨や長雨のあいだも外に置いたままでいいですか?

雨の当たらない軒下へ移します。気温が低く雨が続くと、鉢の中が何日も乾かず、生育期でも根が傷みやすくなります。梅雨のあいだは、乾いてからさらに2〜3日あけるくらいの間隔で与えます。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。