花

アデニウムの花|色と形・種類ごとの違い、咲く時期と咲かせる条件

縁側に置いた素焼き鉢のアデニウム。膨らんだ灰白色の幹から枝が伸び、枝先の葉の間に濃いピンクのラッパ形の花が数輪咲いている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

アデニウムの花は、気温が20℃を超えて安定する初夏から秋に、枝先へ数輪ずつ咲きます。一輪は数日から1週間ほどでしぼみますが、つぼみが順に上がるため、条件が合えばシーズン中に何度も咲きます。咲かせる鍵は、屋外の直射日光、夜も暖かい気温、枝の数、リン酸寄りの肥料の4つです。つぼみが落ちるときは、置き場所の急な変化・水切れ・冷えのどれかが重なっていることが多くあります。

アデニウム(Adenium)は、壺のように膨らんだ幹の先に、ラッパ形の花を咲かせる塊根植物です。「砂漠のバラ」の名で売り場に並ぶのも、この花の華やかさがあるからです。この記事では、花がいつ・どこに・どう咲くのかを先に整理し、色と形の違い(並べた写真で見比べられます)、原種ごとの花の個性、咲かせるための条件、つぼみが落ちるときの見直し方、花が終わったあとの扱いまでを順にまとめます。水やりや冬越しを含めた育て方の全体はアデニウムの育て方にあります。

アデニウムの花|いつ、どこに、どう咲くか

アデニウムの花は、枝の先、葉が放射状に集まったところの中心から咲きます。細長いつぼみが数本まとまって立ち上がり、それが1輪ずつ順にほどけていく咲き方です。花は5枚の花びらが筒の先で開くラッパ形で、オベスムでは直径5〜7cmほど。花の喉(筒の入り口)は白っぽく淡くなり、外へ向かって色が濃くなるものが多く見られます。

アデニウムの枝先。放射状に集まった光沢のある葉の中心から細長いつぼみが数本立ち上がり、1輪だけがピンクのラッパ形の花に開いている 花は枝先にまとまってつき、つぼみが1輪ずつ順に開いていきます。(AIで生成したイメージです)

項目アデニウムの花(オベスムと園芸品種)
花期初夏〜秋(関東の平地で6〜9月が中心)
咲く場所枝先の葉の集まりの中心
一輪の寿命数日〜1週間ほど
大きさ直径5〜7cm前後(八重咲きはやや大きく見える)
香りほとんど感じない

咲く時期の目安

花芽が動くのは、昼だけでなく夜も20℃を下回らなくなってからです。日本の多くの地域では、屋外に出した株が梅雨前後から咲きはじめ、真夏から初秋にかけて咲いては休み、また咲くという波を繰り返します。夜温が下がりはじめる10月ごろから花は減り、葉が黄ばんで休眠に向かいます。

暖房の効いた室内で冬も葉を残している株が、春先に咲くことがあります。また、原種のなかには葉が落ちた時期に咲くものもあり、時期は種類と置き場所で前後します(次の章で触れます)。

花の色と形|一重・八重・覆輪と、種類ごとの花

流通している株の多くは、タイなどで交配された園芸品種です。花を楽しむために選び抜かれてきたので、色と形の幅が広いのが特徴です。

  • 形:5枚の花びらが開く一重咲き、花びらが二重三重に重なる八重咲き、さらに重なりの多い咲き方があります。一重は花数が多く軽やかに、八重は一輪の存在感で見せます。
  • 色:赤、濃いピンク、淡いピンク、白、濃い赤紫(品種名で「黒」と呼ばれることもあります)。黄色系は数が少なく、比較的めずらしい色です。
  • 模様:花びらの縁だけ色が違う覆輪、中心から筋が放射状に走るもの、細かな斑点が散るものなど。
  • 花びらの輪郭:細く尖った花びらが星のように開くものから、幅広い花びらが重なり合って丸く見えるものまで、品種によって連続的に変わります。縁が波打つかどうかでも印象が変わります。

木の縁側に並べた6輪のアデニウムの花。上段左から濃い赤、喉が白い濃いピンク、淡いピンクの一重咲き。下段左から白の一重咲き、白地に赤い縁取りの覆輪、花びらが幾重にも重なった濃いピンクの八重咲き 上段は赤・濃いピンク・淡いピンクの一重咲き、下段は白・覆輪・八重咲き。同じアデニウムでも、色と重なりでこれだけ表情が変わります。(AIで生成したイメージです)

原種の花にも、それぞれ見分けどころがあります。

種類花の色・模様咲き方の特徴
オベスム濃いピンク〜赤、喉が白っぽい葉のある生育期に、枝先で繰り返し咲く
アラビカムピンク系春、葉が出そろう前後に咲きはじめることがある
ソマレンセピンク、喉に赤い筋細い花筒。株が若いうちは咲きにくい
クリスパム白〜淡いピンク、喉に赤い筋地中の塊根から細い枝を出す小型種
マルチフロルム白地に赤い縁取り葉が落ちた乾季に、枝いっぱいに咲く

花の色だけで種類を決めるのは難しく、幹の姿や葉の形とあわせて見るのが確実です。種類ごとの幹と葉の違いはアデニウムの種類にまとめています。

花色をそのまま楽しめるのは、主に接ぎ木や挿し木で増やされた株です。園芸品種の種から育てた実生株は、親と同じ色・形で咲くとは限らず、咲いてみるまでどんな花かわからない楽しみがあります。

花を咲かせる条件|光・温度・枝の数・肥料

アデニウムが咲くかどうかは、次の4つでほぼ決まります。

  1. 光:いちばん大きな条件です。春から秋は屋外の、直射日光が長く当たる場所が向いています。室内の窓辺はガラス越しで光が大きく減るため、葉は茂っても花が咲かないことがよくあります。
  2. 温度:夜も20℃を超える時期が花の季節です。春に屋外へ出すのが遅れると、そのぶん最初の花も遅れます。
  3. 枝の数:花は枝先にしかつきません。1本立ちの株は花芽の数も限られるので、春の剪定で枝を分けると、翌シーズン以降の花数が変わります。剪定直後は新しい枝が伸びるまで花が止まるため、花を楽しみたい年は剪定を春のうちに済ませます。
  4. 肥料:生育期(5〜9月)に、リン酸の多い肥料を少量ずつ与えます。窒素の多い肥料を続けると、枝葉ばかりが伸びて花に向かいません。

もうひとつ、株の大きさも関わります。種から育てた実生株は、咲くまでに数年かかるのが一般的で、枝が数本に分かれて葉が茂るくらいが目安です。それまで咲かなくても、株は順調に育っています。種まきから花までの道のりはアデニウムの実生で詳しく扱っています。

光・水・肥料の回し方は、幹を太らせるときとほとんど同じです。生育期の回し方はアデニウム アラビカムを太らせる方法も参考になります。

つぼみが落ちる・花が少ないとき

つぼみがついたのに開かずに落ちる、花が数輪で終わってしまう。こうしたときは、次のどれかが重なっていることが多くあります。

起きていること考えられる理由見直すところ
つぼみが黄ばんで落ちる置き場所の急な変化(室内⇔屋外、日陰⇔直射)移動は数日かけて段階的に。咲いている間は動かさない
つぼみがしおれて落ちる水切れ。真夏の鉢は1〜2日で乾く生育期は土が乾いたらたっぷり。乾ききった状態を続けない
秋のつぼみが開かない夜温の低下秋につくつぼみは、咲かずに終わることもある。自然な流れ
葉は茂るが花芽がつかない日照不足、窒素過多直射の当たる場所へ。肥料をリン酸寄りに
植え替え後に花が止まる根を整理した影響根が張り直すまで待つ。花を見たい年は早めに植え替える

買ってきたばかりの株でつぼみが落ちるのは、売り場と自宅の光や温度の差によるものがほとんどです。株そのものが傷んでいるわけではないので、環境に慣れると、次のつぼみが上がってきます。葉が落ちる・幹が柔らかいなど、花以外にも変化があるときはアデニウムの幹がぶよぶよになったときで症状から原因を探せます。

植え替えの時期と花の関係は、アデニウムの植え替えで詳しく触れています。

咲いたあと|花がらの片づけと、種のさや

しぼんだ花(花がら)は、そのままでも自然に落ちます。ただ、湿った花びらが葉や幹に貼りついたままだと傷みのもとになるので、花の付け根から軽くつまんで取り除いておくと安心です。

アデニウムの花は、花の筒の奥に花粉が隠れたつくりで、虫の少ない環境ではほとんど実を結びません。種を採りたい場合は、細い筆などで花粉を雌しべに運ぶ人工授粉をします。受粉がうまくいくと、花のあとに細長い角のようなさやが2本、対になって伸びてきます。

アデニウムの枝先から下がる細長い2本の種のさや。片方が縦に割れ、茶色の細長い種と白い綿毛がのぞいている 熟したさやは縦に割れ、綿毛のついた種が風に乗って飛びます。(AIで生成したイメージです)

さやが熟すまでには、2〜3か月ほどかかります。熟すと縦に割れ、綿毛のついた種がすぐに飛んでしまうので、ふくらみが目立ってきたら、さやを細いひもで軽く縛るか、通気のある袋をかぶせておきます。採れた種は新しいうちにまくのが向いています。

なお、切り口から出る白い樹液と同じく、花やさやも口に入れると害のある植物です。花がらの片づけや授粉の作業のあとは手を洗い、小さな子どもやペットの手が届かない場所で楽しみます。

アデニウムの育て方をひと通り置き場所・水やり・冬越しの早見表から、季節ごとの扱い、剪定と根上げまで。花の季節をはさんだ一年の流れがわかります。
アデニウムの育て方を見る →

花言葉と「砂漠のバラ」という名前

アデニウムは、乾いた土地に育ちながらバラのように鮮やかな花を咲かせることから、「砂漠のバラ(デザートローズ)」と呼ばれます。バラ科ではなく、キョウチクトウ科の植物です。もともとはオベスムを指す呼び名でしたが、いまの売り場ではアデニウム全体、とくに花の園芸品種を広く指して使われています。

花言葉としては「一目惚れ」「純粋な心」が紹介されることが多く、贈りものに選ばれることもあります。華やかな花と、年ごとに太っていく幹の両方を長く楽しめるのが、この植物ならではのところです。

塊根植物のなかで、花を目当てに育てられる種類は多くありません。幹に水をためる植物全体の見取り図は塊根植物・コーデックス入門に、株の値段の幅は砂漠のバラ(アデニウム)の値段にまとめています。

よくある質問

アデニウムの花は、一年に何回咲きますか?

決まった回数はありません。生育期に条件がそろっていれば、枝先のつぼみが順に開き、咲いては休む波を初夏から秋まで繰り返します。一輪は数日から1週間ほどでしぼみますが、枝の数が多い株ほど、どこかで花が咲いている期間が長くなります。

室内で育てていても花は咲きますか?

窓辺の室内だけでは、光が足りずに咲かないことが多くあります。春から秋は屋外の直射日光が当たる場所に出すのが、いちばん確実な方法です。屋外に出せない場合は、植物用のLEDライトで光を補うと、花芽がつくことがあります。

買ったときは咲いていたのに、家に来てから咲きません。

売り場と自宅で光や温度が変わり、株が慣れるまで花を休んでいることがほとんどです。日当たりのよい屋外に数日かけて慣らし、土が乾いたらたっぷり水を与えていれば、新しい枝先から次のつぼみが上がってきます。秋に迎えた株は、そのまま休眠に入り、翌年の初夏から咲くのが自然な流れです。

種から育てた株は、親と同じ花が咲きますか?

園芸品種の種から育てた株は、親と同じ色や形になるとは限りません。交配を重ねた品種ほど、子の花はばらつきます。同じ花を確実に楽しみたい場合は接ぎ木や挿し木の株を、どんな花が咲くかを待つ楽しみや幹の姿を求めるなら実生株を、と目的で選ぶと迷いません。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

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