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塊根植物(コーデックス)とは|読み方と意味、代表的な種類と季節ごとの育て方

縁側に並んだ塊根植物。パキポディウム、アデニウム、亀甲竜、ユーフォルビア・オベサの4鉢
AIで生成したイメージです
この記事の結論

塊根植物(コーデックス)は「かいこんしょくぶつ」と読み、幹や根の一部が膨らんで水を蓄える植物の総称です。科の違う植物が姿で括られた呼び名なので、育て方は「どの科か」ではなく「原産地のどの季節に雨が降るか=夏型か冬型か」で決まります。生育期は日に当てて乾いたらたっぷり、休眠期は葉を落として断水ぎみ。この切り替えを外さないことが、いちばんの要です。

園芸店の多肉コーナーで、太く膨らんだ幹の上に細い枝を伸ばした株や、亀の甲羅のように割れた根の塊を見かけたことがあるかもしれません。「塊根植物(かいこんしょくぶつ)」「コーデックス」と呼ばれる一群です。名前だけ聞くとひとつの種類のようですが、実際には科も原産地もばらばらな植物が、その姿で括られた呼び名です。この記事では、読み方と言葉の意味、何をそう呼ぶのか、なぜ膨らむのか、育てる魅力、代表的なグループとはじめやすさ、季節ごとの管理、家のどこに置くか、そして育て方の勘所を一通りまとめます。水やり・冬越し・株の選び方など、ひとつのことを詳しく知りたいときは、記事の終わりの「知りたいことから読む」から個別の記事へ進めます。

塊根植物・コーデックスとは|どこまでがその呼び名か

塊根植物は**「かいこんしょくぶつ」**と読みます。意味は、根や幹の一部が肥大して、水と養分を蓄えるようになった植物の総称です。「塊根」だけを取り出せば「かいこん」で、膨らんだ根そのものを指します。

もうひとつの呼び名**「コーデックス」は、ラテン語に由来する英語 caudex から来ています。もとは「幹の基部」を指す植物学の語で、厳密には植物の名前ではなく、膨らんだ部分そのものの呼び名**です。英語圏ではこの部分を持つ植物を caudiciform(コーデックスを持つ形の植物)と呼び分けますが、日本の園芸ではつづりをそのまま読んで、植物のまとまりの名前としても使うようになりました。

そのため、日本の売り場や会話では次のように使い分けられています。

言い方指しているもの使われる場面
塊根(かいこん)膨らんだ根や幹の部分「塊根が太る」「塊根に張りがある」
塊根植物膨らむ部分を持つ植物のまとまり園芸店の棚の名前、図鑑や記事の見出し
コーデックス部分の名前と、植物のまとまりの名前の両方「コーデックスが割れてきた」「コーデックスの専門店」

「コーデックス」と「塊根植物」は、植物のまとまりを指すときはまったく同じ意味です。部分を指す「コーデックスが太る」は「塊根が太る」と言い換えられる、と覚えておけば迷いません。

呼び名は姿に基づくもので、分類上のまとまりではありません。膨らんだ場所で言葉を分けると、次のようになります。

  • 塊根(かいこん):根が肥大したもの。亀甲竜、フォッケア(火星人)など。
  • 塊茎・肥大した幹:茎や幹が太く育つもの。パキポディウム、アデニウム、ユーフォルビアの球形種など。幹が太るものを特に「パキカウル(pachycaul=太い幹)」と呼ぶこともあります。

厳密にはこの2つは別のつくりですが、売り場では区別せず「塊根植物」「コーデックス」とまとめて呼ばれます。さらに「ビザールプランツ(珍奇植物)」という言い方もあり、これは塊根植物を含む、姿の変わった植物全般を指す広い言葉です。

どこまでを含めるかにはっきりした線引きはなく、たとえば球形のユーフォルビア・オベサは、多肉植物として扱う店もあれば、コーデックスの棚に並ぶ店もあります。名前の範囲を突き詰めるより、「膨らんだ部分に水を蓄えている植物なのだ」という一点を押さえておけば、育て方はだいたい見当がつきます。

なぜ幹や根が膨らむのか|雨の降らない季節をやり過ごす形

塊根植物の多くは、マダガスカル、南アフリカ、ナミビア、ソマリアやイエメンといった乾いた土地の出身です。これらの地域に共通するのは、雨季と乾季がはっきり分かれていて、雨の降る期間が短いこと。年に数か月しか水が手に入らない場所です。

そこで取られた戦略が、雨季に吸った水を体に溜め込み、乾季はそれで食いつなぐというもの。膨らんだ幹や根は、いわば水のタンクです。同時に、丸みを帯びた形は体積のわりに表面積が小さく、蓄えた水が逃げにくいという利点もあります。

素焼き鉢に植えられたパキポディウムの株元。表土のすぐ上で太く膨らんだ銀灰色の幹 表土のすぐ上で太く膨らんだ幹。ここに水を蓄えて乾季をやり過ごします。(AIで生成したイメージです)

そして乾季になると、多くの種類は葉を落として活動を止めます。葉は水を蒸散させる器官なので、水が手に入らない時期には持っていない方が有利だからです。この「葉を落として休む」性質が、そのまま日本での育て方につながります。手元の株が葉を落とすのは、たいていの場合、故郷の乾季が来たという合図です。

この生き方の副産物として、塊根植物は総じて成長がゆっくりです。1年のうち動いている期間が短く、その間も水を惜しみながら太っていきます。数センチの太さの差が何年分にもあたることが珍しくなく、姿の見応えがそのまま時間の蓄積になっている。小さな株を選んで自分の手元で太らせていく楽しみは、この遅さがあるからこそのものです。

塊根植物の魅力|なぜ惹かれる人が多いのか

乾いた土地で生き延びるための形が、そのまま見どころになっているのが塊根植物です。育てている人が挙げる魅力は、だいたい次の4つに集まります。

  • 一株ごとに形が違う:同じ種類でも、幹の膨らみ方、枝の出る位置、表皮の割れ方が株によってまるで違います。売り場で「この一株」を選ぶ時間そのものが楽しみになり、二つと同じ姿がないことが、手元に置く理由になります。
  • 時間が姿に刻まれる:前の節のとおり成長がゆっくりなので、幹の太さや肌の質感が、その株が過ごしてきた年月を表します。小さな株でも、数年かけて形が変わっていく過程を追えます。
  • 季節で表情が変わる:生育期には葉を広げ、休眠期には葉を落として幹だけの姿になります。アデニウムは夏に花を咲かせ、パキポディウムの多くは春先に黄色い花をつけ、亀甲竜は冬にハート形の葉を茂らせます。葉のある姿と幹だけの姿、一年で二つの顔を見られます。
  • 水やりの回数が少ない:体に水を蓄えているため、毎日の水やりは要りません。生育期でも土が乾いてからの水やりで済み、休眠期はほとんど与えません。小さな鉢なら窓辺の一角に収まり、部屋の中で育てやすいのも好まれる理由です。

木の縁側に並ぶ3つの素焼き鉢。徳利のように膨らんだ幹、亀の甲羅のように割れた丸い塊根、ごつごつと節くれだった短い幹 膨らみ方も肌の質感も株ごとに違います。(AIで生成したイメージです)

ただし「水やりが少なくて済む」は、放っておいても育つという意味ではありません。いつ水を与え、いつ止めるかの切り替えが、塊根植物ではほかの植物より大事になります。その切り替えの考え方を、このあと順に見ていきます。

代表的なグループ|科をまたいで似た姿になった植物たち

塊根植物として流通する主なグループを並べると、科がまったく違うことがよく分かります。乾いた土地という同じ条件のもとで、別々の系統が似た形にたどり着いた結果です。

グループ科・主な原産地膨らむところ姿の特徴生育期
パキポディウムキョウチクトウ科・マダガスカル、南部アフリカ幹銀灰色の太い幹に棘、頂に細長い葉夏型
アデニウムキョウチクトウ科・アラビア半島〜東アフリカ株元〜幹壺のような株元、夏に赤や桃色の花夏型
ユーフォルビアトウダイグサ科・アフリカ全域茎球形・柱状・松かさ状。白い樹液を出す多くは夏型
亀甲竜(アフリカ産)ヤマノイモ科・南アフリカ西部根亀甲状に割れる塊根から細いつるとハート形の葉冬型
チレコドンベンケイソウ科・南アフリカ西部幹ごつごつした短い幹、枯れた花茎が残る冬型

ユーフォルビアは塊根植物の棚と多肉植物の棚を行き来する存在で、縁側が扱っているオベサや鉄甲丸もこのグループです。属のなかでの姿の幅はユーフォルビアの種類に、育て方の共通点はユーフォルビアの育て方にまとめてあります。

売り場やイベントでよく名前を聞くのは、次のあたりです。グループごとの育て方は、それぞれの記事にまとめています。

  • パキポディウム:銀灰色の幹に棘をまとうグループ。なかでも丸く太るグラキリスは名前を聞く機会が多い種類です。
  • アデニウム:壺のような株元と、夏に咲く花。流通量が多く、値段も手が届きやすいグループです。
  • 亀甲竜:亀の甲羅のように割れる塊根から、細いつるとハート形の葉が伸びます。冬に育つタイプの代表です。
  • 火星人(フォッケア):塊根を土から出しても埋めても育てられ、塊根植物のなかでは寒さにも強い部類です。
  • オペルクリカリア・パキプス:ごつごつした樹皮の質感で知られ、輸入株の根を出させる工程がよく話題になります。
  • ステファニア:東南アジア出身で、強い直射を好まない例外的な存在。丸い球からつるが伸びます。

はじめやすさと値段の傾向で見る

名前を知ったあとに迷うのが、「どれから始めればいいか」です。上の6つを、手に入れやすさ・値段の傾向・最初の一鉢としての扱いやすさで並べると、おおよそ次のようになります。値段は同じ種類でも大きさと株の来歴(種から育った株か、原産地から輸入された株か)で大きく変わるので、ここでは傾向だけを示します。

種類店頭で見かける頻度値段の傾向はじめの一鉢として
アデニウム多い小苗は手頃扱いやすい。日当たりと冬の暖かさがあれば育てやすく、花も楽しめる
パキポディウム多いラメリーや実生の小苗は手頃。グラキリスの大きな輸入株は高め実生株なら扱いやすい。大きな輸入株は根を出させる工程が要る
火星人(フォッケア)ふつう手頃なものが多い扱いやすい。寒さに比較的強く、冬の室内が少し冷える家でも育てやすい
ステファニアふつう手頃なものが多い直射の入らない窓辺向き。ただし根の出ていない塊で売られることが多い
亀甲竜ふつう実生の小苗は手頃。塊根の大きな株は高め冬に日の当たる窓辺があれば扱いやすい。冬型なので水やりの季節が逆になる
オペルクリカリア・パキプス少なめ高め慣れてからがおすすめ。成長がとても遅く、輸入株は根を出させる工程が要る

表のとおり、**最初の一鉢は「店頭で見かけることが多く、種から育った小さめの株」**から選ぶと、値段も失敗の幅も小さく収まります。家の明るさと冬の部屋の温度から合う種類を絞り込む手順は塊根植物の初心者におすすめの種類に、大きさや来歴で値段がどう変わるかは塊根植物の相場にまとめています。

パキポディウムや亀甲竜のように、ワシントン条約で国際取引が管理されている種類もあります。国内の園芸店やイベントで正規に流通している株を選べば、手続きを気にせず迎えられます。

夏型と冬型|原産地のいつ雨が降るかで決まる

塊根植物を育てるときに最初に確かめるのが、その株が夏型か冬型かです。これは好みや品種の気分ではなく、原産地の雨季がいつかで決まっています。

  • 夏型:マダガスカル、東アフリカなど、夏に雨が降る地域の出身。日本でも春から秋にかけて葉を広げて育ち、冬に葉を落として休みます。パキポディウム、アデニウム、多くのユーフォルビアがここに入ります。
  • 冬型:南アフリカ西部(ナマクアランドなど)のように、冬に雨が降る地域の出身。日本では秋に芽を出して春まで育ち、夏に葉を落として休みます。亀甲竜(アフリカ亀甲竜)、チレコドンなどが代表です。

南半球なので季節は逆になりますが、日本で育てる際は気温のリズムに合わせると考えると迷いません。夏型は暖かい季節に、冬型は涼しい季節に動く、という単純な形に落ち着きます。

ラベルに「夏型」「冬型」と書かれていないことも珍しくありません。そのときは買った時期に葉が茂っているかどうかが手がかりになります。葉を広げて元気に見える季節が、その株の生育期です。同じ「亀甲竜」でもメキシコ産のものは夏型なので、名前だけで決めず、店の方に原産地を確かめるのがいちばん確実です。

この夏型・冬型の切り替えを外すと、休眠中の株に水をやり続けることになり、根が傷みます。塊根植物で最も多い失敗はここから起きます。

切り替えのタイミングは株が教えてくれる

カレンダーの月で機械的に切り替えるより、株の様子を合図にした方が確実です。季節の進み方は年によっても地域によっても違うためです。

  • 休眠へ入る合図:新しい葉が出なくなり、下の方の葉から黄ばんで落ち始めます。ここから水の間隔を少しずつ空け、葉がほぼ落ちたら止めます。いきなり断水するのではなく、2〜3週間かけて減らしていくと株への負担が軽くなります。
  • 生育期へ戻る合図:幹の先端や枝の付け根に、小さな新芽がのぞきます。この芽を確認してから、まず少量の水を与えます。いきなりたっぷり与えると、まだ吸える根が育っていない状態で土だけが長く湿り、傷みの原因になります。芽が伸びて葉が開いてきたら、通常の水やりに移ります。

夏型なら春の芽出しと秋の落葉、冬型なら秋の芽出しと初夏の落葉が、その切り替え点にあたります。

季節ごとの一年|夏型と冬型の管理早見表

夏型と冬型は、同じ一年を半年ずらして過ごします。手元の株がどちらかが分かれば、いまの季節に何をするかは次の表でおおよそ決まります。切り替えの時期は年や地域で前後するので、月ではなく株の様子(新芽・落葉)を合図にします。

季節夏型(パキポディウム・アデニウムなど)冬型(亀甲竜・チレコドンなど)
春新芽を確かめてから少量の水で再開。植え替えの適期生育の終わり。葉が黄ばみ始めたら水の間隔を空ける
夏屋外の日なたで、乾いたらたっぷり。真夏の直射は30〜50%遮光葉を落として休む。雨の当たらない風通しのよい日陰でほぼ断水。植え替えはこの時期
秋落葉に合わせて水を減らす。最低気温が10℃を切る頃に室内へ新芽を確かめてから少量の水で再開。生育期に入る
冬室内で休眠。10〜15℃なら断水、15℃以上で葉が残る株は月1回ほど表面を湿らせる日に当てて、乾いたらたっぷり。5℃を下回る夜は室内へ

表のとおり、同じ時期に水をたっぷり与える株と、ほとんど与えない株が並ぶことになります。夏型と冬型を一緒に育てるときは、置き場所か棚の段を分けておくと、水やりのたびに迷わずに済みます。

冬の過ごし方は置ける部屋の温度で変わるため、塊根植物の冬越しで温度帯ごとの置き場所と、窓辺の冷え込みへの備えをまとめています。季節ごとの水の量と間隔は塊根植物の水やりに、種類別の目安表とあわせて載せています。

置き場所の決め方|窓辺・ベランダ・屋外の向き不向き

塊根植物は、置き場所がほぼそのまま育ち方を決めます。迎える前に「家のどこに置くか」を決めておくと、種類選びも水やりの加減も楽になります。家の中でよく候補になる場所を、向いている使い方と気をつけたいところで並べると次のとおりです。

置き場所向いている使い方気をつけたいところ
南〜東向きの窓辺(室内)夏型・冬型とも一年を通した基本の場所冬の夜はガラス際が外と同じくらい冷える。閉め切ると風が止まり土が乾きにくい
西向きの窓辺(室内)日差しの入る時間は短めでも、明るさは足りることが多い夏の午後は日差しと熱が強い。レースカーテン越しにする
北向きの部屋・窓から離れた棚育成ライトを付けて棚ごと管理する場合自然光だけでは足りず、枝や葉が間延びしやすい
ベランダ・屋外の日なた夏型の春〜秋。いちばんよく締まって育つ長雨に当てない。コンクリートの床から台で上げて照り返しを避ける。強風で鉢が倒れないようにする
屋外の雨の当たらない日陰冬型の夏の休眠中風が抜けることが条件。物置の陰のような空気のこもる場所は蒸れる

明るい窓辺に、ガラスから少し離して置いた木の棚。素焼き鉢に植えた4種類の塊根植物が並ぶ 窓ガラスから少し離した棚に並べると、冬の夜の冷え込みを避けやすくなります。(AIで生成したイメージです)

室内で育てる場合、決め手になるのは明るさと風の2つです。いちばん明るい窓辺を選び、窓を閉め切る季節はサーキュレーターで空気を動かします。鉢数が増えて窓辺に収まらなくなったら、棚に育成ライトを付けて置き場所ごと作る方法もあります。棚の種類と窓際・ベランダでの置き方は塊根植物の棚の選び方に、見せることも考えた置き方は塊根植物の飾り方にまとめています。

手が触れる場所に置くときの注意

塊根植物には、触れ方に少し気をつけたい種類があります。置き場所を決めるときに、通り道や手の届く高さかどうかもあわせて考えておくと安心です。

  • 棘のある種類:パキポディウムの多くは幹に鋭い棘を持ちます。人の通る動線や、カーテンが触れる位置は避けます。
  • 白い樹液を出す種類:ユーフォルビアの樹液は皮膚や目に刺激があります。アデニウムやパキポディウムなどキョウチクトウ科の乳液は、口に入ると害になる成分を含みます。植え替えや剪定のときは手袋をつけ、作業のあとは手を洗います。
  • 小さな子どもやペットのいる家:鉢に触れるだけで害が及ぶものではありませんが、葉や枝をかじる習性のある動物や小さな子どもの手が届かない高さに置くと安心です。

育て方の勘所|光・水・用土・温度

生育期と休眠期さえ押さえられれば、日々の管理はどのグループでもよく似ています。

光:よく日に当てて締める

生育期はできるだけ日に当てます。光が足りないと枝や葉だけが間延びし、膨らんだ幹とのバランスが崩れます(徒長)。真夏の直射が強すぎる地域では、30〜50%の遮光か、午後に日陰になる場所へ。室内で育てる場合の場所の選び方は、前の節の表のとおりです。

環境を急に変えないことも大切です。室内で冬を越した株をいきなり真夏の直射に出すと、数日で日焼けして跡が残ります。半日陰から始めて1〜2週間かけて慣らします。

水:生育期はたっぷり、休眠期は断水ぎみ

生育期は、土が完全に乾いてから、鉢底から流れ出るまでたっぷり。少量を頻繁に与えるより、乾湿のメリハリをつけた方が根が健康に育ちます。受け皿の水は捨てます。

休眠期に入り葉を落としたら、水はほとんど要りません。月に1回ほど、暖かい(冬型なら涼しい)日の午前中に、鉢土の表面が湿る程度で十分です。膨らんだ部分に多少シワが寄っても、休眠中なら正常の範囲です。

赤玉土・鹿沼土・軽石を小皿に分けて並べ、空の素焼き鉢と移植ごてを添えた植え替えの支度 用土は水はけ最優先。赤玉土の小粒・鹿沼土・軽石を軸に配合します。(AIで生成したイメージです)

用土:水はけを最優先に

市販の多肉植物・サボテン用の培養土がそのまま使えます。自分で配合するなら、赤玉土(小粒)・鹿沼土・軽石を軸に、腐葉土やピートは少量にとどめます。観葉植物用の保水性の高い土だけで植えると、乾くまでに時間がかかり、根が傷む原因になります。

植え替えは2〜3年に1回。夏型は春の芽出しの頃、冬型は休眠中の夏に行います。時期の見極めと手順は塊根植物の植え替えにまとめています。配合の考え方は塊根植物の用土の配合に、鉢の素材と大きさの選び方は鉢の選び方にまとめています。植え付けの直後1週間ほどは水を与えず、根の傷が乾いてから通常の管理に戻します。

肥料:足りないかな、で止める

肥料がなくても育ちますが、生育期に少量与えると葉や枝の伸びが安定します。植え替えのときに緩効性肥料をひとつまみ混ぜるか、生育期に薄めた液体肥料を月1回ほど。与えすぎると枝だけが伸びて幹とのつり合いが崩れるので、「足りないかな」と思う程度が適量です。休眠期には与えません。

温度と風通し

多くの塊根植物は寒さに弱く、**最低10℃**が一つの目安です。乾かして管理していれば5℃前後まで耐えるものも少なくありませんが、霜と凍結には耐えられません。夜の最低気温が10℃を切りはじめる頃に室内へ取り込みます。取り込んだ後の置き場所や、暖房の効かない部屋での過ごさせ方は塊根植物の冬越しで詳しく見ています。冬型は夏の高温多湿が苦手なので、休眠中は雨の当たらない風通しのよい日陰に置きます。

季節ごとの水やりの回数や、乾き具合の確かめ方はオベサの水やりと置き場所に、球形ユーフォルビアの年間管理はオベサの育て方にまとめてあります。膨らんだ幹を持つタイプでは、鉄甲丸の育て方も葉の出入りの読み方の参考になります。

はじめの一鉢|実生株と現地球のどちらから

塊根植物には、育ち方の違う2種類の株が流通しています。

**実生株(みしょうかぶ)**は、種から育てられた株です。多くは日本国内で育てられているため、日本の気候に馴染んでいて、根も鉢の中でしっかり張っています。小さいぶん価格も手が届きやすく、幹が太っていく過程をそのまま見られます。

**現地球(げんちきゅう)**は、原産地で育った成株を輸入したものです。年月をかけて作られた造形が魅力ですが、輸入の過程で根を切られていることが多く、迎えたあとに根を出させる「発根管理」という工程が要ります。ここでつまずくと、立派な株がそのまま傷んでしまいます。

はじめの一鉢としては、実生株の方が失敗しにくい選択です。しっかり根の張った株で1年の生育リズムを一度通してから、現地球に手を伸ばすと、その頃には水と光の加減が体に入っています。2つの違いは実生株と輸入株の違いで、根の状態と値段の差まで詳しく見ています。

値段は種類と大きさで幅があります。種から数年の小苗でおおむね数百円から3,000円前後、3〜4号鉢に入る若い株で3,000〜10,000円前後というあたりが、よく見かける範囲です。育つ速さの遅い種類や、姿の整った大きな株はここから上がっていきます。何がその差をつくっているかは塊根植物の相場に、株そのものの見方は良い株の選び方にまとめています。

売り場で株を選ぶときは、膨らんだ部分に張りがあること、鉢を軽く傾けても株がぐらつかないこと(=根が張っている)、葉や新芽の色が濃いことを見ます。ぐらつく株は、まだ根が動いていない可能性があります。

はじめの一鉢を探している方へ入手しやすく花も咲く塊根植物、アデニウムの育て方を、水やり・冬越し・幹の太らせ方までまとめています。
アデニウムの育て方を見る →

枯らしやすい失敗|多い順に3つ

塊根植物を傷めるきっかけは、だいたい決まっています。

  1. 休眠中の水やりによる根腐れ。落葉を「枯れかけている」と読み違えて水を足してしまう、最も多い失敗です。休眠は正常な状態なので、葉が落ちたら水を止めて見守ります。根元が柔らかくぶよつく、黒ずむ、抜いたときに酸っぱい匂いがする、といったサインが出たら、鉢から抜いて乾かし、傷んだ根を切って植え直します。
  2. 冬の寒さ。室内に取り込んだつもりでも、窓ガラスのすぐそばは夜間に外気並みまで冷えます。夜だけ窓から離すか、カーテンの内側に移します。暖房の風が直接当たる場所も、急な乾燥と温度変化で株が傷みます。
  3. 光不足による徒長。枝や葉ばかりがひょろりと伸びて、幹の丸みとつり合わなくなります。一度伸びた部分は戻りませんが、明るい場所に移せばその先は締まって育ちます。

どれも「水・光・風・温度」のどれかが季節とずれたときに起きるものです。生育期と休眠期の境目だけ意識しておけば、塊根植物は長く付き合える植物で、条件が合えば数十年単位で育ちます。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、そしてその交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に扱っています。個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

知りたいことから読む

塊根植物について、ひとつのことを詳しくまとめた記事の一覧です。

種類を知る

育てる

選ぶ・迎える

飾る

  • 飾り方:株を弱らせない置き場所を先に決めてから、鉢と棚で見せる

よくある質問

「塊根植物」は何と読みますか?

「かいこんしょくぶつ」と読みます。「塊根」だけなら「かいこん」で、膨らんだ根そのものを指す言葉です。同じものを指す「コーデックス」は、ラテン語に由来する英語 caudex(幹の基部)のつづりを読んだもので、園芸の売り場ではどちらの呼び名も使われています。

塊根植物と多肉植物は違うものですか?

多肉植物は、葉・茎・根のどこかに水を蓄える植物全般を指す広い言葉で、塊根植物はそのなかで「幹や根が膨らむタイプ」を呼び分けたものです。つまり塊根植物の多くは多肉植物の一部にあたります。ただし呼び分けは売り場や人によって幅があり、同じ株が多肉のコーナーに並ぶこともコーデックスの棚に並ぶこともあります。

塊根植物は初心者でも育てられますか?

育てられます。種類を選べば、毎日の手間はほかの観葉植物より少ないくらいです。最初の一鉢には、店頭でよく見かけるアデニウムや火星人(フォッケア)、パキポディウムの実生株のように、根がしっかり張った小さめの株が向いています。気をつけるのは、葉を落とす休眠期に水を止めることと、冬の寒さから守ることの2点です。この2つさえ外さなければ、長く付き合える植物です。

室内だけで育てられますか?

育てられます。南〜東向きのいちばん明るい窓辺に置き、窓を閉め切る季節はサーキュレーターで空気を動かすのが基本です。窓辺の光が足りない部屋では、棚に育成ライトを付けて補います。夏型の種類は、春から秋だけでもベランダや屋外の日なたに出すと、幹や枝がよく締まって育ちます。出すときは半日陰から始めて、1〜2週間かけて日差しに慣らします。

葉が全部落ちてしまいました。枯れたのでしょうか?

生育期の終わりに葉を落とすのは、多くの塊根植物にとって正常な休眠の入り方です。膨らんだ幹や根に張りがあり、押しても柔らかくなければ生きています。この時期に水を足すと根が傷むので、水を止めて次の生育期まで見守ります。判断に迷うときは、幹の硬さと、根元が黒ずんでいないかを確かめます。

小さい株と大きい株、どちらから始めるのがいいですか?

1年の生育リズムをつかむまでは、小さめの実生株が扱いやすい選択です。水の量が少なくて済むぶん失敗の幅が小さく、置き場所も選びません。幹が少しずつ太っていく変化を自分の手元で追えるのも、小さな株から始める楽しみです。大きな株は姿が完成しているぶん値も張り、根の状態が見えにくいので、一度リズムを通してからの方が安心して選べます。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。