花

ブラキステルマの花|形・色・においと咲く時期、代表種の違いと咲かせる育て方

縁側に置いた素焼き鉢のブラキステルマ。土の上に出た平たい円盤形の塊根から短い茎と葉が出て、そのそばに、先端がつながった籠のような星形の花が丸く集まって咲いている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ブラキステルマの花は、5枚の細い裂片をもつ星形で、種によっては裂片の先がつながって小さな籠のような形になります。色はえんじから紫褐色、黄緑や淡い黄色まで種で違い、バーベラエやフォエチダムは腐った肉のような強いにおいでハエを呼びます。咲くのは葉の出る生育期で、葉より先に咲くこともあります。咲かせるには、生育期によく日に当てて水を与え、冬は断水して塊根を休ませることが基本です。

ブラキステルマは、平たい円盤のような塊根から毎年茎を伸ばす、小さな塊根植物です。株の姿は地味ですが、生育期に咲く花は形が独特で、種によっては強いにおいを放ちます。この記事では、花の形と色、におい、咲く時期を先にまとめ、流通する代表種ごとの花の違いと、咲かせるための育て方の要点を順に扱います。塊根植物全体の季節の流れは塊根植物(コーデックス)とはにまとめています。

ブラキステルマとは|平たい塊根から茎を出す、ガガイモの仲間

ブラキステルマ(Brachystelma)は、キョウチクトウ科(かつてのガガイモ科)の植物で、アフリカを中心に、インドやオーストラリアにも100種以上が知られています。多くは草原やサバンナに生え、地中に平たい塊根をもち、生育期にだけ茎と葉を出して、季節が変わると地上部を枯らして休みます。

近年の分類の見直しで、ブラキステルマ属の植物はハートカズラなどと同じセロペギア(Ceropegia)属にまとめられました。たとえばバーベラエは、学名では Ceropegia barberae と書かれることもあります。ただ園芸の流通では今もブラキステルマの名前が使われているので、この記事でもブラキステルマと呼びます。

花の形|星形の5枚の裂片、先がつながって籠になる種も

ブラキステルマの花は、5つに裂けた花冠をもつ星形です。花の根もとは筒形や浅い皿形で、そこから細い裂片が伸びます。種によって、裂片が横に開いて星のように見えるものと、裂片の先どうしがくっついて、小さな籠や提灯のような形になるものがあります。

ブラキステルマ・バーベラエの花のアップ。塊根から伸びた短い茎の先に、先端がつながって籠のようになった小さな花がいくつも丸く集まり、裂片の内側はえんじ色、根もとは黄色地にえんじの縞が入っている 裂片の先がつながると、花の上に小さな籠をかぶせたような形になります。(AIで生成したイメージです)

籠のような形は、同じ仲間のセロペギアにも見られるつくりです。花の内側に入り込んだ虫が、花粉の塊(花粉塊)を体につけて別の花へ運ぶ仕組みになっています。

花の色とにおい|えんじ・紫褐色の花は、腐肉のにおいでハエを呼ぶ

花の色は種によって幅があり、えんじから紫褐色、ほとんど黒に近いもの、黄緑や淡い黄色のものまであります。内側に縞や斑点が入る種も多く、同じ種でも株ごとに色や模様に差が出ます。

においも種で大きく違います。人にはほとんどにおわない種がある一方で、バーベラエやフォエチダムのように、腐った肉のような強いにおいを放つ種もあります。これはハエ(クロバエなど)を呼び寄せて花粉を運ばせるためのもので、ハエは花の色やにおいにひかれて花に集まります。においの強い種は少し離れていても気づくほどなので、咲いているあいだは風通しのよい屋外か、窓を開けられる場所に置くと過ごしやすくなります。

花の色におい花のつき方
バーベラエ外は緑がかり、内はえんじ〜紫褐色。根もとは黄色地にえんじの縞腐肉のような強いにおい地面近くに丸い花房。1株で最大50輪ほど
フォエチダム筒の内側は白〜黄色地に紫褐色の斑点。裂片は暗い紫褐色〜黒に近い腐肉のような強いにおい2〜6輪がまとまって咲く
ピグマエウム淡い黄色が多く、黄緑や紫褐色も資料での記載は見当たらない葉のつけ根に1〜3輪

咲く時期|葉の出る生育期。葉より先に咲くこともある

ブラキステルマの多くは、暖かい季節に育って寒い季節に休む夏型の塊根植物です。花が咲くのも、塊根から茎が伸びる生育期のなかで、葉が出そろう前に花が先に開くこともあります。冬の休眠中に咲くことはありません。

咲く時期は種によってずれます。自生地の南アフリカでは、バーベラエは10〜12月ごろ(南半球の春から初夏)がいちばん多く、日本の季節に置き換えると春から初夏、芽が動きはじめるころにあたります。ピグマエウムは南半球の7〜10月、冬の終わりから春に咲くとされ、バーベラエより早い時期に咲く種です。

バーベラエでは、ひとつの花房の花が2〜3日のうちに次々と開きます。咲いている期間は長くないので、芽が動きだしたら塊根のまわりを気にかけておくと見逃しにくくなります。

代表種の花|バーベラエ・フォエチダム・ピグマエウム

国内で目にするブラキステルマは数が限られますが、名前がよく挙がるのは次の3種です。

  • バーベラエ(B. barberae):属のなかでもっとも分布が広い種です。直径8〜20cmほどの円盤形の塊根は中央がへこみ、年を経ると形が不ぞろいになります。地面近くに1〜3つの丸い花房をつけ、籠形の花がまとまって咲く姿は、この属を代表するものです。
  • フォエチダム(B. foetidum):名前のとおりにおいの強い種です。花は直径2.5〜5cmと属のなかでは大きめで、細い裂片が星のように開きます。塊根は丸く平たく、直径10〜12cmほど、大きいものは20cmに届きます。
  • ピグマエウム(B. pygmaeum):花の長さ6〜10mmほどの小さな種で、裂片の先がつながった提灯のような花を、上のほうの葉のつけ根に咲かせます。塊根はかぶのような形で直径4〜10cmほど。分類の見直しで、ディカエリア(Dichaelia)属として扱われることもあります。

ほかにもナヌムやプロカモイデスなどの名前で出回ることがありますが、流通量が少なく、名前と株が合っているか確かめにくい場合もあります。花が咲いてはじめて種の特徴がわかることも多いので、迎えるときは学名の表記もあわせて確かめておくと安心です。

咲かせるための育て方|生育期の光と水、冬の断水

花を咲かせる力は、生育期に葉で光を受けて塊根に蓄えた分で決まります。特別なことより、季節に合わせた基本の管理が花につながります。

  1. 置き場所:自生地では日なたから明るい日陰に生えます。鉢では半日ほど日の当たる場所がよく、真夏の強い日ざしは塊根の焼けを避けるため少しやわらげます。日照が足りないと茎が細く伸び、株が締まりません。
  2. 水:茎が出てから葉が黄ばむまでの生育期は、土が乾いたらたっぷり与えます。葉が黄ばんできたら休眠に入る合図なので、水を減らしていきます。季節ごとの切り替えは塊根植物の水やりにまとめています。
  3. 冬:休眠中は断水して乾かしたまま休ませます。休眠中に湿った状態が続くと、塊根はすぐに腐ります。冬の温度は10℃前後を目安に、5℃を下回らないようにします。霜には弱いので、冬は室内に取り込みます。最低温度の考え方は塊根植物の冬越しで扱っています。
  4. 用土と鉢:水はけのよい砂質の用土に、少しだけ堆肥分を混ぜたものが合います。根が下へ伸びるので、深めの素焼き鉢が向いています。配合の考え方は塊根植物の用土配合、鉢の深さは塊根植物の鉢のサイズを参考にしてください。
  5. 塊根の出し方:自生地では塊根は地中にありますが、鉢では塊根を土の上に一部出して植えるのが一般的です。蒸れて腐るのを防げ、平たい塊根の姿も眺められます。
  6. 肥料:控えめに。生育期に薄めて与える程度で足ります。種類と時期は塊根植物の肥料にまとめています。

素焼きの深鉢に植わった休眠中のブラキステルマ。乾いた粗い用土の上に、中央が少しへこんだ茶色く平たい円盤形の塊根が半分ほど出ていて、茎や葉はない 休眠中は茎も葉もなく、平たく硬い塊根だけになります。乾かしたまま春を待ちます。(AIで生成したイメージです)

茎の出る塊根の頭のあたりには、コナカイガラムシがつきやすいとされています。芽が動きだしたら、茎のつけ根に白い綿のようなものがないか、ときどき確かめておきます。植え替えは休眠明け、芽が動く前後が適期です。時期の決め方は塊根植物の植え替え時期を参照してください。

花の咲く塊根植物を、ほかの種類でも葉のつけ根に小さな花穂を垂らす亀甲竜の花について、咲く時期と雄株・雌株の違い、咲いたあとの扱いまでまとめています。
亀甲竜の花を見る →

咲いたあと|花がらと、種のさや

咲き終えた花は自然にしおれて落ちます。においが気になる場合は、しおれた花だけを摘み取って構いません。茎と葉は、緑が残るうちは切らずに残しておきます。休眠前に、葉の養分が塊根へ戻っていくからです。

受粉すると、花のあとに細長い角のようなさやができます。バーベラエでは長さ12cmほどのさやが、およそ1年かけて熟し、縦に割れて白い綿毛のついた種を飛ばします。ただ、受粉はハエまかせで成功する割合が低いとされ、家庭で種を採るのは簡単ではありません。種は新しいほど発芽しやすく、ふつうの保管ではおよそ1年が目安です。種からふやす場合は、砂の多い用土に5〜7mmほどの厚さで覆土してまきます。

縁側では、ユーフォルビアのオベサ鉄甲を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。花の色と咲く時期を種類ごとに比べたいときは、パキポディウムの花もあわせてどうぞ。

よくある質問

ブラキステルマの花はどんな形ですか?

5枚の細い裂片をもつ星形の花です。種によっては裂片の先どうしがつながって、小さな籠や提灯のような形になります。バーベラエは、この籠形の花が地面近くに丸くまとまって咲きます。

ブラキステルマの花はくさいですか?

種によります。バーベラエやフォエチダムは腐った肉のような強いにおいを放ち、ハエを呼び寄せて花粉を運ばせます。一方で、人にはほとんどにおわない種もあります。においの強い種は、咲いているあいだは風通しのよい場所に置くと過ごしやすくなります。

いつ咲きますか?

茎と葉の出る生育期に咲き、葉より先に花が開くこともあります。自生地ではバーベラエは南半球の春から初夏に多く咲き、日本の季節では春から初夏、芽が動きはじめるころにあたります。冬の休眠中には咲きません。

花を咲かせるには何が大切ですか?

生育期によく日に当てて、土が乾いたら水をたっぷり与え、葉で光を受けて塊根に養分を蓄えさせることです。冬は断水して休ませ、温度は10℃前後、5℃を下回らないように守ります。休眠中に湿ったままだと塊根が腐り、翌年の花どころではなくなります。

ブラキステルマとセロペギアは同じ植物ですか?

近い仲間です。分類の見直しで、ブラキステルマ属の植物はハートカズラなどと同じセロペギア属にまとめられ、学名では Ceropegia と書かれることもあります。園芸の流通では今もブラキステルマの名前で扱われています。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。