花

パキポディウムの花|種類ごとの花の色と咲く時期、咲く株の大きさと咲かせ方

縁側に並んだ3つの素焼き鉢のパキポディウム。丸い銀灰色の幹に黄色い花、棘の並ぶ柱状の幹の頂に白い花、小ぶりなとっくり形の幹に赤い花が咲いている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

パキポディウムの花は、5枚の花びらが風車のように開くキョウチクトウ科らしい形で、色は種類によって黄・白・赤・ピンクに分かれます。マダガスカルの背の低い種類は黄色、柱状に伸びる種類は白が中心です。多くは春から初夏、休眠明けに葉が出るのと前後して咲き、ラメリーのような背の高い種類は初夏から夏に咲きます。咲くのはある程度育った株だけで、咲かせる鍵は生育期の十分な光と、冬にきちんと休ませることの2つです。

パキポディウムは、棘の並ぶ太い幹で知られる塊根植物ですが、株が育つと年に一度、幹の姿とは対照的なやわらかな花を咲かせます。同じ属でも、花の色は黄・白・赤・ピンクと種類によってはっきり分かれ、咲く時期や花のつき方にも違いがあります。この記事では、種類ごとの花の色と時期を一覧にしたうえで、咲くまでにどのくらい株が育っている必要があるか、咲かせるための一年の管理、咲いたあとの花茎と種の扱いを順にまとめました。グラキリス1種の花をくわしく知りたい場合はグラキリスの花に、育て方の全体はパキポディウムの育て方にまとめています。

パキポディウムの花の形|5枚の花びらが風車のように開く

パキポディウムの花は、細い筒の先に5枚の花びらがねじれるように開く、キョウチクトウ科に共通する形です。同じ科のアデニウムやキョウチクトウの花を思い浮かべると近く、花びらの重なりが風車のように少しずつずれて並びます。

咲く場所は、枝先や幹の頂の、葉が集まる中心です。背の低い種類の多くは、そこから細い花茎を葉より高く伸ばし、その先に数輪の花をまとめて咲かせます。株の大きさに比べて花茎が長いので、丸い幹や平たい幹の上に花が浮かんで見えるのが特徴です。柱状に伸びる種類では、幹の頂の葉のあいだに花が寄り集まるように咲きます。

一輪の花は数日ほどで終わりますが、ひとつの花茎に複数のつぼみがつき、花茎も時期をずらして何本か上がるため、株全体ではしばらく花の季節が続きます。香りは種類によって差がありますが、多くは目立つほどではなく、楽しむのは色と姿です。

種類ごとの花の色と咲く時期

4種類のパキポディウムの花を並べた様子。レモン色の花、淡い黄色の花、中心が黄色い白い花、鮮やかな赤い花がそれぞれ細い花茎の先に咲いている 種類によって、花の色は黄・白・赤・ピンクに分かれます。(AIで生成したイメージです)

パキポディウムの花の色は、株の姿とおおまかに重なります。マダガスカルの背の低い種類は黄色、柱状や高木になる種類は白が中心で、赤い花はマダガスカル北部の2種、ピンクの花は南部アフリカの枝分かれする種類に見られます。よく見かける種類を並べると、次のようになります。

種類花の色咲く時期の目安花のつき方
グラキリスレモン色(中心まで黄色)春、葉が出るのと前後して長い花茎の先に数輪
マカイエンセ黄色(中心が白)春〜初夏長い花茎の先に数輪
恵比寿笑い淡い黄色春、葉が開くころかその少し前平たい幹から細い花茎
ホロンベンセ黄色(杯形で大きめ)春の終わり〜夏長い花茎の先にまとまって
イノピナツム白(中心がややクリーム色)春〜初夏長い花茎の先にまとまって
ラメリー白(中心が黄色)初夏〜夏幹の頂の葉のあいだ
白馬城白〜外側が淡い桃色春〜初夏枝先
ウィンゾリー・バロニー赤暖かい季節枝先、葉の上
天馬空淡いピンク(濃い筋が入る)春〜夏細い枝の先

咲く時期は、冬をどこで越したかで前後します。暖かい室内で早めに目覚めた株は早く、涼しい場所でしっかり休ませた株は少し遅れて咲く傾向があります。表の時期は国内で育てたときのおおよその目安で、株ごとに数週間ずれることはめずらしくありません。

花は種類を見分ける手がかりにもなります。苗のうちは姿の似ているグラキリスとマカイエンセは、花の中心が白いかどうかで分かれますし、背の低い仲間のなかで白く咲くイノピナツムも花ではっきり区別できます。幹の形を含めた見分け方はパキポディウムの種類に一覧でまとめています。それぞれの花については、恵比寿笑い、ホロンベンセ、イノピナツム、白馬城、ウィンゾリーの各記事でも触れています。

咲くのはどのくらいの株から|大きさと年数の目安

パキポディウムの花は、ある程度育った株にしか咲きません。小さな苗は幹と根をつくる時期で、葉だけで何年か過ごすのが普通です。どのくらいで咲くかは種類によって大きく違います。

  • 背の低い黄花の種類(グラキリス・マカイエンセなど):実生なら、幹の直径が5〜8cmほどになる5年前後から花をつける株が出てきます。同じ年にまいた苗でも、咲きはじめる年は1株ずつ違います。
  • 恵比寿笑い:育ちがとてもゆっくりな種類で、実生株は咲くまでに長い年月がかかります。ラメリーなどの台木に継いだ接ぎ木株は、台木の根の力で育ちが早く、花もつきやすくなります。
  • 柱状に伸びる種類(ラメリー・亜阿相界など):背丈のある株に育ってから、幹の頂に花をつけます。苗から育てた株が咲くまでには、背の低い種類より長い時間がかかります。
  • 現地球(輸入株):原産地で長く育った成株なので、咲く大きさにはすでに届いています。ただし根を落として運ばれてくるため、鉢のなかで根が働きはじめるまでは、花より株の立て直しが先になります。

迎えた株が咲かないときは、まず大きさと根の状態を見ます。咲く大きさがあって、春にきちんと葉が開き、秋まで元気に育っている株であれば、翌春以降に咲く見込みは十分にあります。種から育てる流れと年数の目安はパキポディウムの実生にまとめています。

咲かせるための管理|光と、冬の休ませ方

咲く大きさに育った株で、花の上がりを左右するのは主に次の3つです。種類が違っても、考え方は共通しています。

  1. 生育期に光を十分に当てる:つぼみの元になる蓄えは、春から秋に葉がつくります。日当たりと風通しのよい場所で一年を通した株ほど、翌年の花がそろいます。光が足りない場所では、花より枝が間延びしがちです。
  2. 冬にきちんと休ませる:秋に葉が落ちたら水を止め、最低10℃を目安にした場所で乾かして春を待ちます。冬に暖かい部屋で水を続けて休眠させないと、春に花より枝葉が先に動くことがあります。寒さに弱いウィンゾリーは15℃前後と、ひと回り暖かく越させます。冬越しの考え方はパキポディウムの育て方の冬越しの節に書いています。
  3. つぼみが見えたら環境を変えない:花茎が伸びはじめてから置き場所を大きく変えたり、強く乾かしたり、夜に冷え込む場所へ出したりすると、つぼみが開かずに落ちることがあります。

春の水は、花茎よりも葉の動きを合図に戻していきます。葉が開きはじめたら少量から与え、葉が増えるにつれて量を戻します。花茎が先に上がってきても、葉がまだ出ていないうちは根の働きがゆるやかなので、急にたっぷり与えず暖かい日の少量にとどめます。季節ごとの水の加減はパキポディウムの水やりにまとめました。

肥料を増やしても、それだけで花が咲くわけではありません。肥料は生育期に薄く回す程度で十分で、花に効いてくるのはあくまで光と休眠のリズムです。また、根を傷めた年や植え替えた直後の年は花が少なくなりがちです。植え替えた株は、その年は根の回復を優先し、翌年の花を待つくらいの気持ちで構えると落ち着きます。発根して間もない株や弱っている株では、花芽を早めに切って体力を残す選び方もあります。

パキポディウムの一年を通して見る月別の管理早見表から、葉の出入りで切り替える水やり、10℃を目安にした冬越し、種類ごとの夏の強さの違いまで。花の季節をはさんだ管理がわかります。
パキポディウムの育て方を見る →

咲いたあと|花茎の片づけと、種のさや

丸い灰色の幹から伸びた茎の先で、細長いさやが2本、角のように左右に開き、片方は裂けて白い綿毛のついた種がこぼれている 受粉すると、細長いさやが2本並んでふくらみ、熟すと綿毛のついた種がこぼれます。(AIで生成したイメージです)

花が終わると、花びらはしおれて落ち、花茎は時間をかけて茶色く乾いていきます。乾ききった花茎は付け根から切るか、手で軽く引いて取れるのを待ちます。しおれた花びらが枝先の葉のあいだにたまると湿気がこもるので、気づいたときに取り除きます。切るときは清潔なハサミを使い、切り口から出ることのある白い樹液は拭き取っておきます。

多くの場合、花はそのまま実を結ばずに終わります。パキポディウムは1株の花どうしでは実がつきにくいとされ、種をつくるには同じ種類の別の個体の花粉が要ることがほとんどです。花の中心は、花粉と雌しべが筒の奥に収まった形をしていて、筆でなでるだけでは受粉しにくく、細い道具で花粉を運ぶ作業が必要になります。花粉のつけ方の考え方は受粉のしかたが参考になります。

受粉した花は、花茎の先で細長いさやが2本、角のように並んでふくらみます。さやは数か月かけて熟し、乾いて裂けると、綿毛のついた種が風に乗って飛び出します。種を採りたい場合は、さやが色づきはじめたら紙袋や細かい網をかぶせておきます。

近い仲間どうし、たとえばグラキリスとマカイエンセが同じ時期に近くで咲いていると、互いの花粉で実を結ぶことがあり、その種から育てた苗は親の名前どおりの姿にならない場合があります。種を採るなら、どの株とどの株の花だったかを書き残しておくと、育った苗の姿を読み解く手がかりになります。

同じキョウチクトウ科で、花そのものを目当てに育てられる塊根植物にはアデニウムの花があります。幹に水をためる植物全体の見取り図は塊根植物・コーデックス入門にまとめています。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、塊根植物の個体も紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

パキポディウムの花は毎年咲きますか?

咲く大きさに育った株なら、毎年同じ季節に咲くことが多くあります。ただ、前の年の光が足りなかった、冬に暖かい部屋で水を続けて休ませなかった、植え替えで根を傷めた、といった年は花が少なくなったり、咲かなかったりします。生育期によく日に当て、秋の落葉後は水を止めて休ませるリズムを一年通すことが、翌年の花へのいちばんの近道です。

葉が出る前に花が咲きました。大丈夫ですか?

グラキリスや恵比寿笑いなど、休眠明けに葉より先に花茎が動く種類ではよくあることで、心配はいりません。この時期はまだ根の働きがゆるやかなので、花が咲いているからといって急にたっぷり水を与えず、葉が開きはじめてから少量ずつ戻していきます。

花の色で種類を見分けられますか?

見分ける大きな手がかりになります。背の低い種類は黄色、柱状の種類は白が中心で、赤ならウィンゾリーかバロニー、黄色でも中心が白ければマカイエンセ、背が低いのに白ければイノピナツムが候補です。ただし花は育った株にしか咲かないため、若い株では幹の形と葉、名札の学名を手がかりにします。

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縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

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