交配種

オベサ鉄甲(オベサ鉄甲丸)とは|オベサ×鉄甲丸の交配種の姿・親との違い・育て方

縁側の素焼き鉢に置かれたオベサ鉄甲。球形の肌に浅い突起が並び、頂部から小さな葉が数枚出ている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

オベサ鉄甲(「オベサ鉄甲丸」とも書かれます)は、球形のオベサと松かさ状の鉄甲丸を掛け合わせた交配種です。オベサ寄りの丸い体に、鉄甲丸ゆずりの葉痕の突起が浮かび、頂部から小さな葉を出します。姿も葉の残り方も1株ずつ違うのがこの交配種の性格で、似た姿のバリダ鉄甲や峨眉山とは、花柄が残るか・株元に子株を吹くかで見分けられます。親2種と同じく雌雄が分かれていて、性別は咲いてはじめて分かります。育て方は「暦ではなく葉を見て水を切り替える」鉄甲丸寄りの組み立てが合います。年を経て株元から茶色く上がってくる膜は木質化で、押して硬ければ心配はいりません。愛好家のあいだでは略して「オベ鉄」と呼ばれています。

オベサ鉄甲とは、球形のユーフォルビア・オベサと、松かさのような幹を持つ鉄甲丸を掛け合わせて生まれた交配種です(多くはオベサを母株、鉄甲丸を花粉親にしたもの)。オベサ寄りの丸い体に鉄甲丸ゆずりの小さな突起が浮かび、てっぺんから数枚の葉を出します。「オベサ鉄甲丸」「オベサ×鉄甲丸」と書かれることもありますが、指しているのは同じ植物で、愛好家のあいだでは略して「オベ鉄」とも呼ばれます。

売り場やSNSでこの名前を見かけて、オベサでも鉄甲丸でもない姿に目が留まった方に向けて、まず基本の情報を並べ、そのあと姿・親との違い・似た株との見分け方・個体差・育て方・花と雌雄、そして年を重ねて出てくる見た目の変化の順にまとめます。縁側が中心に扱っているのも、この交配種です。

項目オベサ鉄甲
呼び名オベサ鉄甲/オベサ鉄甲丸/オベ鉄
流通する表記Euphorbia obesa × bupleurifolia
親オベサ(母株)×鉄甲丸(花粉親)が多い
姿球形〜短い円柱。肌に浅い突起、頂部に小さな葉
大きさ出回るのは直径2〜3cmの小苗〜片手サイズ
季節の動き春に葉を出し、秋から冬に葉を落として休む
増やし方子株はほとんど出ず、種から育てるのが中心
花と雌雄頂部に黄緑の小花。雌雄は株ごとに分かれ、咲くまで分からない

オベサ鉄甲とは|オベサと鉄甲丸から生まれた交配種と名前の揺れ

学名で書くと、親は**ユーフォルビア・オベサ(Euphorbia obesa)と鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)**です。どちらも南アフリカ原産の多肉質のユーフォルビアで、同じ属どうしなので種を結ぶことができます。縁側では愛好家のあいだの呼び方にならって「オベ鉄」とも呼んでいます。

名前の書き方は場面によって揺れます。学名として正式に登録された名前があるわけではなく、多くは「Euphorbia obesa × bupleurifolia」という交配式か、園芸名の「オベサ鉄甲」で流通します。片親の名前をそのままつないだ「オベサ鉄甲丸」、ラベルに「オベ鉄」「オベサ×鉄甲」とだけ書かれていることもあります。「オベサ鉄甲丸」という別の植物があるわけではなく、どれも同じ交配種を指しています。

いつ、誰が最初に作ったのかは、はっきりした記録として残っているわけではありません。日本では鉄甲丸を片親にした交配が古くから試みられてきた流れがあり、オベサ鉄甲もその延長で国内の栽培家の手から広がってきたものです。組み合わせとしては、オベサを母株(種をつける側)、鉄甲丸を花粉親にしたものがよく知られています。ただしラベルに交配の向きまで書かれて出回ることは少なく、名前からは読み取れないと思っておくのが実際的です。

ユーフォルビア属全体のなかで見ると、オベサ鉄甲がいる場所は案外はっきりしています。ユーフォルビアは草花から低木、柱のように伸びる種類まで姿の幅がとても広い属ですが、オベサ鉄甲はそのうち幹や体に水をためる多肉質のグループに入り、さらにそのなかの球形〜短い円柱の小型種の仲間です。サボテンに似て見えても、刺の付け根の綿毛(刺座)はなく、傷つけると白い樹液が出るのがユーフォルビアの側である印です。多肉質のユーフォルビアに共通する性質は多肉質のユーフォルビアにまとめています。

ユーフォルビアはどの種類も、傷つけると白い樹液を出します。皮膚や目に刺激があるので、植え替えや折れた葉の処理は手袋をつけて行ってください。属全体に共通する性質はユーフォルビアの育て方に、仲間の顔ぶれはユーフォルビアの種類にまとめています。

オベサ鉄甲の姿|球の肌に浮かぶ葉痕と、頂部に出る小さな葉

オベサ鉄甲の姿は、オベサ寄りの丸い体に、鉄甲丸の肌をうっすら乗せたと表現するのが近いです。見どころは3つあります。

  • 体つき:若いうちはオベサに近いやや扁平な球形で、育つにつれて上へ伸びて短い円柱になります。オベサのような縦の稜がうっすら残る個体もあります。
  • 肌の突起:表面には、葉が落ちたあとの付け根の跡が硬く残った小さな三角形の突起が、稜に沿って浅く並びます。鉄甲丸の松かさ状の幹を、ずっと控えめにしたような表情です。棘はありません。
  • 頂部の葉:てっぺんから細長いへら形の小さな葉を数枚だけ出します。鉄甲丸の葉より短く、枚数も控えめ。葉があるのに球形、というのがこの交配種のいちばん分かりやすい目印です。

オベサ鉄甲の肌のクローズアップ。球形の表面に三角形の突起が稜に沿って並び、頂部から小さな葉が出ている 肌に浮かぶ突起は、葉が落ちたあとの付け根の跡。年を重ねるごとに一段ずつ増えていきます。(AIで生成したイメージです)

成長はゆっくりで、1年で目に見えて大きくなるというより、突起が一段増え、葉が出ては落ちる、という変化を数年かけて眺める植物です。大きさは鉢の中で扱いやすい範囲におさまります。

オベサ鉄甲とオベサ・鉄甲丸の違い|3つを並べて見る

親2種と並べると、オベサ鉄甲がどこに立っているかが見えてきます。

見る場所オベサ鉄甲丸オベサ鉄甲
体つきほぼ完全な球形松かさ状の円柱球形〜短い円柱
葉出さない細長い葉を広げる小さな葉を数枚
肌縦の稜と横縞鱗片が重なる浅い突起が稜沿いに
季節のサイン見た目が変わらない葉の出入りで分かる葉の出入りで分かる
個体差小さい小さい大きい

いちばん実務に効く違いは、季節のサインの出方です。オベサは一年を通して見た目がほとんど変わらないので、季節と肌の張りから水やりを判断します。対して鉄甲丸は、春に葉を出し、秋に葉を落とすリズムそのものが管理の切り替えを教えてくれます。オベサ鉄甲は後者を受け継いでいて、葉の出入りという手がかりを持っています。

丈夫さの面では、オベサは蒸れと寒さにやや寛容で、鉄甲丸は根を傷めたときの回復に時間がかかります。オベサ鉄甲は一般に、オベサの丈夫さを受け継いで鉄甲丸より扱いやすいと言われます。ただしこれも個体によって差があるので、迎えた最初の1年は鉄甲丸と同じ慎重さで付き合うのが確実です。

名札の外れた株が親2種のどちらなのかを、葉・肌・株元の順に確かめていく手順はオベサと鉄甲丸の違いにまとめました。冬に葉を落とした鉄甲丸の見分け方まで扱っているので、売り場で迷ったときはそちらが早いです。

オベサ鉄甲の見分け方|バリダ鉄甲・峨眉山と取り違えないために

親2種との区別よりも、売り場で実際に迷いやすいのは、同じように球の肌に突起が並ぶ、ほかの鉄甲丸の交配種です。とくにバリダ鉄甲は、片親のバリダがオベサとよく似た球形種で、もう片親が同じ鉄甲丸なので、若い株どうしではほとんど同じ顔に見えます。株を手に取ったら、次の順番で見ていくと絞り込めます。

  1. 頂部に葉が出ているか:葉があれば鉄甲丸の血を引く交配種のどれか(またはオベサではない)と分かります。オベサそのものは葉を出しません。
  2. 肌から何か突き出ているか:咲き終わった花の柄が、硬い枯れ枝のように稜のあいだに残っていればバリダ鉄甲の側です。オベサ鉄甲は花柄が落ちて小さな点の跡が残るだけなので、突起はあっても指でなでるとなめらかです。
  3. 株元に子株が群れているか:株元から子株をいくつも吹いて塊になっていれば、峨眉山や笹蟹鉄甲の可能性が高くなります。オベサ鉄甲はふつう単頭で、1株のまま育ちます。
  4. 刺が混じるか:短く硬い刺が残っていれば、ホリダ鉄甲など刺のある種を片親にしたものです。オベサ鉄甲に刺はありません。
見る場所オベサ鉄甲バリダ鉄甲峨眉山ホリダ鉄甲
体つき球形〜短い円柱球形〜短い円柱鱗片が螺旋に重なる短い円柱角張った樽形
稜浅いはっきり出る鱗片に隠れて目立たない深く角張る
肌から突き出るものなし(花柄は落ちて点の跡)細長い花柄が枝のように残るなし短く太い硬い刺
株元の子株ほとんど出ないはっきりした記録が見当たらないよく吹いて群れるはっきりした記録が見当たらない

迷いが残るのは、花をまだ咲かせていない小苗と、冬に葉を落とした株です。小苗は花柄の手がかりがないので、オベサ鉄甲とバリダ鉄甲の区別は姿だけでは決めきれません。冬の株は葉の有無が使えないので、頂部に葉の落ちた跡が新しく並んでいるかを見ます。バリダ鉄甲は紫褐色の横縞がはっきり出やすく、オベサ鉄甲はうっすらとしか出ないことが多いので、縞の濃さも補助の手がかりになります。どちらの場合も、ラベルの表記と、いつどこで手に入れた株かを手がかりにしながら、花が咲くまで待つのが確実です。球形のオベサとバリダそのものの見分け方はオベサとバリダの違いにまとめています。

オベサ鉄甲の個体差はなぜ大きいのか|実生ごとに違う顔が出る

オベサ鉄甲を何株か見ると、同じ名前とは思えないほど姿が違うことがあります。突起がはっきり浮かぶ個体もあれば、ほとんど平らでオベサそのものに見える個体もある。葉が大きく鉄甲丸寄りの個体もいれば、葉がごく小さい個体もいる。冬に葉を全部落とす個体と、少し残したまま越す個体もあります。

これは、性質の違う2種を掛け合わせた交配種であることの、そのままの現れです。親から受け継ぐ形質の組み合わせは種1粒ごとに違い、さらに交配種どうしを掛けた次の代(実生の子から採った種)では、その散らばりがいっそう大きくなります。オベサ寄りの顔、鉄甲丸寄りの顔、その中間。どの顔が出るかは、まいてみないと分からない。同じ交配から採れた兄弟でも、育ってくる姿は1株ずつ違うということです。

同じ交配から育った3株のオベサ鉄甲を並べた比較。突起の強さと葉の量がそれぞれ違う 同じ交配から採れた兄弟株。左はオベサ寄り、右は鉄甲丸寄りで、突起の強さと葉の量に差が出ます。(AIで生成したイメージです)

だから、この交配種は名前で選ぶより、実物の顔で選ぶことになります。株を前にしたときに見ておくとよいのは、次のあたりです。

  • 突起の並び方:列が整っているか、どのくらい深く浮いているか。年を経るほど表情が増える部分です。
  • 葉と体つきのバランス:葉が大きく体が細い個体は鉄甲丸寄り、葉が小さく丸い個体はオベサ寄りに育ちます。
  • 株元と根:ぐらつかず、鉢の中で根が張っているか。ここは姿の好みとは別に、必ず見る場所です。

同じ交配から複数まいて、育ってくる違いを眺めるところまで含めて楽しむ植物です。種のまき方から発芽までの管理は、オベサの実生に手順をまとめています。

オベサ鉄甲の育て方|暦ではなく、葉を見て水を切り替える

オベサ鉄甲の管理は、鉄甲丸の組み立てを下敷きにして、オベサの丈夫さぶんだけ余裕を見るのが合っています。要点は4つです。

  • 水やり:頂部に葉が開いているあいだは、土が完全に乾いてからたっぷり。葉が黄ばんで落ち始めたら回数を減らし、落ちきったら月1回ほどの少量に切り替えます。葉を残したまま冬を越す個体は、少量の水を続けます。直径5cm前後の小さな鉢は用土が少ないぶん乾きが早く、真夏の生育期には数日おきに乾くこともあります。日数で決めず、乾いたかどうかで判断します。カレンダーではなく、株が出しているサインで判断するのがこの種のコツです。
  • 置き場所:明るく、風が動く場所。光が足りないと体が締まらず葉ばかり伸び、風が通らないと梅雨から真夏にかけて根元が傷みます。真夏は遮光30〜50%か、午後に日陰になる場所へ。
  • 温度:最低10℃を目安に、夜の冷え込みが来る前に室内へ。窓辺は夜に外気並みまで冷えるので、夜だけ少し離します。
  • 用土と植え替え:水はけ最優先の多肉用の配合で、適期は春か秋。根を切ったら切り口を数日乾かしてから植え、植え付け後1週間は水を与えません。

水やりの見極め方そのものはオベサの水やりと置き場所に、落葉と展葉のリズムを軸にした年間の流れは鉄甲丸の育て方に詳しくまとめてあります。手元の個体が葉をよく出すタイプなら後者を、葉が控えめで球に近いタイプなら前者を下敷きにすると、判断が合わせやすくなります。

葉の出入りで水を切り替えるオベサ鉄甲の管理の下敷きになる、鉄甲丸の一年のリズムと水やりの切り替え方をまとめています。
鉄甲丸の育て方を見る →

上に伸びて姿が崩れてきたときは、光不足による徒長か、年を経た自然な変化かで対処が変わります。見分け方はオベサの徒長にまとめたものがそのまま使えます。

オベサ鉄甲の一年|葉の動きに手当てを合わせる

判断の軸は葉ですが、葉がいつごろ動くのかという見当がないと、目の前の変化が普通のことなのか異変なのかが決められません。おおよその流れは次のようになります。時期は関東平野部の屋外に近い環境での目安で、置き場所と個体によって前後します。

時期株の様子水置き場所
3〜5月頂部から新しい葉が開きはじめる葉が動き出してから再開。乾いたらたっぷり屋外の明るい場所へ戻す。強い光には少しずつ慣らす
6〜7月葉がそろい、一年でいちばん育つ乾いてからたっぷり。雨が続く日は見送る風が通る場所。長雨には当てない
8月暑さで動きが止まる間隔をあけ、夕方以降に少量遮光30〜50%、または午後に日陰になる場所
9〜10月涼しくなって再び動く。後半から葉が黄ばむ葉があるうちは通常どおり屋外のまま。夜の冷え込みを見はじめる
11〜2月葉を落として休む(残す個体もある)月1回ほどの少量まで落とす最低10℃を目安に室内の明るい窓辺

この行き来のなかで判断を迷いやすいのは、秋の落葉と春の再開です。秋に葉が黄ばむのは寒さに向かう正常な動きで、元気がないと見て水や肥料を足すと根のほうが先に傷みます。春は逆で、葉が動き出す前から通常の水やりに戻すと、まだ吸えない水が鉢の中に残ります。どちらも株の動きが先、手当てが後という順番です。

冬の扱いは、その置き場所で何℃を保てるかによって変わります。暖かく保てるなら少量を続け、保てないなら乾かして越すという反対向きの判断になるので、考え方はオベサの冬越しにまとめたものがそのまま当てはまります。葉を落とした状態からの立ち上がり方は、鉄甲丸の育て方のほうが近い動きをします。

オベサ鉄甲の秋から冬への切り替え|10〜11月の段取り

一年のなかで判断がいちばん重なるのが、10月から11月にかけてです。葉が黄ばみはじめる、夜が冷えてくる、室内へ移す、水を減らす。この4つが数週間のうちに続けてやってくるので、順番を先に決めておくと迷いません。

秋の縁側の棚に置かれた素焼き鉢のオベサ鉄甲。頂部の葉のうち外側が黄色く色づき、内側はまだ緑。乾いた用土の上に落ちた黄色い葉が2枚ある 外側の葉から黄色くなり、内側の葉はしばらく緑のまま残ります。落ちた葉は土の上から取っておきます。(AIで生成したイメージです)

  1. 葉の色づきに合わせて、水の間隔をあけていく:外側の葉が黄色くなりはじめたら、次の水やりから少しずつ間隔をあけます。一度に止めるのではなく、乾いてから数日おく、量を半分にする、と段階を踏むと根が戸惑いません。肥料はこの時期から春まで与えません。
  2. 黄ばんだ葉は引っぱらずに待つ:自然に落ちるまでそのままにします。無理に外すと付け根に傷が残ります。落ちた葉は土の上に残すと湿りがこもるので、拾っておきます。
  3. 室内へは、土が乾いた状態で移す:夜の最低気温が10℃を切る日が続くようになったら室内へ(関東平地でおおむね11月中旬)。最後の水やりは移す数日前までに済ませ、乾いた鉢で取り込むと、日の短い室内で湿りが長く残りません。取り込む前に、葉の付け根や鉢底にカイガラムシやハダニがついていないか一度見ておくと、室内で増やさずに済みます。
  4. 室内では明るい窓辺に、夜だけガラスから離す:冬のあいだも光はできるだけ確保します。窓際は夜に外気並みまで冷えるので、夕方以降は少し内側へ下げます。

冬の水の扱いは、葉を落としきったか、緑の葉を残したかで分かれます。

冬の株の様子水の目安見ておくこと
葉を落としきって、球だけになった月1回ほどの少量。置き場所が5℃を下回るなら与えない体を押して硬さが保たれているか
頂部に緑の葉を残している置き場所が10℃以上なら月1〜2回の少量を続ける葉の張り。しおれてきたら少量を足す
緑のまま、急に何枚も葉が落ちた水は足さずに様子を見る株元の硬さ。柔らかければ鉢から抜いて根を確かめる

室内で冬を越した株は、強い光への慣れが抜けています。春に屋外へ戻すときは、迎えたばかりの株と同じく半日陰から1〜2週間かけて慣らします。落葉が休眠なのか不調なのかの見分けは鉄甲丸の葉が落ちるに、置き場所の温度ごとの水の減らし方と休眠明けの戻し方はオベサの冬越しとオベサの休眠と断水にまとめています。

オベサ鉄甲の花と雌雄|咲いてはじめて性別が分かる

ある程度の大きさに育ったオベサ鉄甲は、頂部の近くに数ミリほどの黄緑の小さな花を咲かせます。ユーフォルビアの花は花びらを持たない杯のような形で、遠目には新芽の粒と見分けにくいほど控えめです。咲くだけで株が弱ることはないので、咲いても水やりや置き場所を変える必要はありません。

頂部に小さな葉を広げたオベサ鉄甲。葉のあいだから短い柄が伸び、先に黄緑色の小さな花が咲いている 頂部の葉のあいだに咲く小さな花。花びらはなく、杯のような形の中に雄しべや雌しべが並びます。(AIで生成したイメージです)

花を見るときに知っておきたいのは、次の3点です。

  • 咲く時期は株によってずれる:片親の鉄甲丸の花は早春、もう片親のオベサの花は初夏から夏に咲きます。オベサ鉄甲は両方の性質を受け継ぐぶん、春寄りに咲く株もあれば初夏寄りの株もあり、名前だけでは時期を決められません。
  • 雌雄は咲くまで分からない:親2種はどちらも雌雄が株ごとに分かれていて、オベサ鉄甲も同じように扱います。黄色い花粉をつけた雄しべが立てば雄株、先が3つに分かれた柱頭が出れば雌株です。見分け方の詳しい手順はオベサの雌雄の見分け方にまとめています。
  • 咲いたらラベルに書いておく:花は数日から長くても数週間で終わり、そのあとは見た目から性別が分からなくなります。咲いた年に雄か雌かを書き留めておくと、翌年以降に種を採りたくなったときの手がかりになります。

花の咲き方には個体差もあります。オベサのように肌から直接咲くように見える株もあれば、鉄甲丸のように短い柄を伸ばして葉の上に抜ける株もあります。咲き終わった花柄は、オベサと同じく自然に落ちて小さな点の跡になるのが普通で、前の節で触れたバリダ鉄甲との見分けにもこの性質が使えます。種を採るための受粉の手順はオベサの受粉にまとめました。

オベサ鉄甲はどこで出会えるか|出回る大きさと、探すときのこつ

オベサ鉄甲は、ホームセンターの多肉コーナーに常時並ぶ植物ではありません。実際に出会える場所は、多肉植物や塊根植物を扱う専門店、園芸のイベントや即売会、そして生産者や愛好家がオンラインに出す株です。国内の栽培家が交配して種から育てたものが流通の中心で、海外から輸入された株として入ってくることはほとんどありません。根が付いたまま手元に来るぶん、迎えたあとの扱いは楽なほうです(この違いは実生株と輸入株の違いにまとめています)。

出回る大きさには幅があります。直径2〜3cmほどの小苗から、片手に収まるくらいまで育った株まで。小苗は数が出るので選びやすい一方、突起の並びや葉の出方といったこの交配種らしい表情は、ある程度育つまで読み取れません。姿で選びたいなら少し育った株を、変わっていく過程を見たいなら小苗を、という分かれ方になります。

探すときは、冒頭の表にある呼び名を何通りか試すと目に入る株が増えます。「オベサ鉄甲」で見つからなくても、「オベサ鉄甲丸」「オベ鉄」「Euphorbia obesa × bupleurifolia」で出ていることがあります。

株そのものの見方は前の節のとおりで、健康の確認(株元がぐらつかない・肌に張りがある)と、好みの顔(突起の並び、葉と体つきのバランス)を分けて見ると迷いません。この分け方はオベサでも同じなので、一段詳しくはオベサの選び方に。大きさと値段がどう結びついているかは、同じく実生で育てられる鉄甲丸の価格の考え方——幹の太さは生産者が待った年数——がそのまま参考になります。

迎えたばかりのオベサ鉄甲|根が落ち着くまでにやること

オベサ鉄甲でいちばん気をつかうのは根です。片親の鉄甲丸は根を傷めると立て直しに時間がかかり、交配種にもその傾向が残ります。

小さなオベサ鉄甲の苗を鉢から抜いて、白い根の張り具合を確かめている手元。傍らに空の素焼き鉢と乾いた粒状の用土 根を見るのは、株元がぐらつく・水が何日も引かないといった心当たりがあるときだけで十分です。(AIで生成したイメージです)

  • すぐに植え替えない:鉢の中で根が張っているなら、そのまま一季節は置きます。植え替えの適期は春か秋、株が動いている時期です。
  • 抜くのは確かめたいときだけ:株元がぐらつく、水をやっても何日も土が乾かない。そういう心当たりがあるときは抜いて根を見ます。白くしっかりした根が回っていれば、そのまま戻します。
  • 切ったら乾かす:傷んだ根を落としたら切り口を数日乾かしてから植え、植え付け後の1週間は水を与えません。切ると白い樹液が出るので、手袋をつけて作業します。
  • 置き場所を急に変えない:室内の明るさで育っていた株をいきなり直射光に出すと、肌に日焼けの跡が残ります。半日陰から1〜2週間かけて慣らします。

体を押すと沈む、へこんだまま戻らないといった変化が出たときの見分けと、どこまで切り戻せば残せるかはオベサが腐るに、鉢と用土の選び方から植え付けまでの手順はオベサの植え替えにまとめています。どちらの物差しもオベサ鉄甲にそのまま使えます。

オベサ鉄甲の見た目の変化|茶色・しわ・葉の黄ばみは心配がいるか

数年手元に置いていると、肌の色や張りが少しずつ変わっていきます。下のほうが茶色くなってきた、表面にしわが寄った、葉が黄色い。どれも目に入ると不安になりますが、オベサ鉄甲に出る変化の多くは、年を重ねたしるしか季節の動きです。見分けの軸は色ではなく、押したときの手ごたえと出た場所です。指の腹で変化した部分と、そのすぐ上の緑の部分をそっと押し比べてから、次の表に当てはめてみてください。

見えている変化押した手ごたえ考えられること心配すること
株元から上へ、ざらついた薄茶の膜が上がってくる硬い木質化(コルク化)。年を経た株の自然な変化いりませんそのまま。緑には戻りません
突起の先や葉の落ちた跡が茶色く硬い硬い葉痕が乾いて残ったものいりませんそのまま
光の来る側だけ白っぽく抜け、のちに茶色いかさぶたになる硬い日焼け広がらなければいりません光を和らげ、強い光には少しずつ慣らし直す
冬に全体がうっすら赤紫〜褐色に染まる硬い低温と光による色づきいりません春に動き出すと緑が戻ります
秋に頂部の葉が黄ばんで落ちる体は硬い休眠に向かう落葉いりません水を減らしていく(一年の流れの節を参照)
体に細かいしわが寄る、張りが落ちる硬いが弾力が弱い水切れ、または休眠中に体の水を使っている季節しだい生育期なら水を与える。休眠中なら春まで待つ
土際に濃い茶〜黒の染みが広がる押すと沈む根や株元の腐り急ぎます鉢から抜いて根と株元を確かめる

オベサ鉄甲で取り違えやすいのは、最初の2行です。肌の突起は葉の落ちた跡なので、もともと周りより硬く、乾いて色が抜けていることもあります。そこに株元からの木質化が重なると、病気が広がっているように見えますが、押して硬いあいだは心配いりません。茶膜の上がり方は個体と置き場所で差が大きく、小苗のうちから出る株もあれば、何年も緑のままの株もあります。

反対に、色の変化が小さくても急いだほうがいいのは、押して沈むときです。表の最後の行に当たる場合は、色よりも先に手ごたえで判断してください。

それぞれの変化について、もう一段詳しい見分け方と対処は、親のオベサでまとめたものがそのまま使えます。茶色の正体はオベサが茶色くなる原因に、しわが水切れか休眠かの切り分けはオベサのシワに、元気がないときに原因を絞り込む順番はオベサが枯れる原因にあります。

「◯◯鉄甲」と呼ばれるオベサ鉄甲の仲間たち

売り場を見ていると、「鉄甲」が付く名前がいくつも並んでいることに気づきます。これらは鉄甲丸を片親にした交配種の一群で、オベサ鉄甲もその一員です。相手にどの種を選んだかが、そのまま名前の頭になっています。一族の全体像は鉄甲丸の交配種まとめにまとめました。

  • 峨眉山(がびざん):鉄甲丸と瑠璃晃の交配種。鱗片状の姿はそのままに、瑠璃晃ゆずりの丈夫さと、株元によく子株を吹く性質を受け継いでいます。もっとも広く出回っている一族です。
  • 峨眉山鉄甲:その峨眉山に、さらに鉄甲丸を掛け合わせたもの。峨眉山より鉄甲丸寄りの姿になります。
  • ホリダ鉄甲:ホリダ(Euphorbia horrida)との交配種。ホリダの角ばった稜が加わります。
  • 笹蟹鉄甲:笹蟹丸(Euphorbia pulvinata)の血を引くもの。刺が混じり、株元から子株を吹いて塊になります。
  • バリダ鉄甲:バリダ(Euphorbia valida)との交配種。オベサに近い球形の系統です。

同じ鉄甲丸を片親に持つ兄弟のような関係ですが、姿と性質はそれぞれ違います。迷ったら、葉がどのくらい出ているか、肌から花柄や刺が突き出ているか、株元に子株があるかを実物で確かめるのが早道です。見る順番と比較表は、前の「オベサ鉄甲の見分け方」の節にまとめています。

オベサ鉄甲がこの一族のなかで持っているのは、葉のない球形のオベサを片親にしたことで生まれる、丸い体に葉が乗るという組み合わせです。そこに1株ずつの個体差が重なるので、同じ名前でも顔がひととおりではない。縁側がこの交配種を選んでいるのは、その幅の広さに惹かれたからです。

縁側では、実生のオベサ鉄甲を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。手元に一鉢あると、ここまでの話が急に具体的になります。

よくある質問

「オベサ鉄甲丸」「オベ鉄」と「オベサ鉄甲」は違うものですか?

同じものです。「オベサ鉄甲丸」は片親の名前をそのままつないだ書き方、「オベ鉄」は愛好家のあいだで使われる略称で、よく使われる呼び方は「オベサ鉄甲」、成り立ちで書けば「オベサ×鉄甲丸」です。ラベルの表記は店や出品者によって揺れますが、指しているのはどれも同じ交配種です。

オベサと鉄甲丸、どちらに似た姿になりますか?

株によって違います。丸い体に葉が乗るという基本は共通していますが、突起がはっきり浮いて葉も大きい鉄甲丸寄りの個体から、肌がほとんど平らでオベサそのものに見える個体まで幅があります。交配種は種1粒ごとに受け継ぐ形質の組み合わせが変わるためで、この幅の広さがオベサ鉄甲の性格でもあります。

冬に葉が全部落ちました。枯れたのでしょうか?

片親の鉄甲丸は秋に葉を落として幹だけで冬を越す性質があり、それを受け継いだ個体では正常な休眠です。葉が落ちきったら水を月1回ほどの少量に切り替え、最低10℃を目安に明るい室内で春を待ちます。体に張りがあり、柔らかくぶよついていなければ心配は要りません。葉を少し残したまま冬を越す個体もあります。

子株(カキ仔)で増やせますか?

期待できる場面は多くありません。親のオベサはほとんど単頭で育ち、鉄甲丸も子株を盛んに吹くタイプではないので、オベサ鉄甲も1株のまま育つのが普通です。株元から子株が出た個体なら、十分な大きさになってから外し、切り口を数日乾かしてから挿して発根を待つことになります。増やす方法としては、種から育てるほうが現実的です。

春になっても葉が出てきません。どうすればいいですか?

まず体を指で押してみてください。硬く張りがあれば、動き出しが遅いだけのことがあります。気温が上がりきっていない、光が足りていない、鉢の中がまだ冷たいといった理由で、同じ株でも年によって2〜3週間ずれます。この場合は水を増やさずに、明るく暖かい場所に置いて待ちます。押して沈む・株元が黒ずんでいるようなら根のほうを疑い、鉢から抜いて確かめます(オベサが腐る)。

株元から茶色くなってきました。病気ですか?

押して硬ければ、多くは木質化(コルク化)です。年を経た株に出る自然な変化で、株元から上へ、ざらついた薄茶の膜が少しずつ上がっていきます。茶色くなった部分は緑には戻りませんが、株の健康とは関係ありません。押すと沈む、土際から濃い茶や黒の染みが広がるといった場合だけは腐りを疑い、鉢から抜いて確かめます(オベサが茶色くなる原因)。

オベサ鉄甲とバリダ鉄甲はどう見分けますか?

肌から何か突き出ているかを見ます。オベサ鉄甲は咲き終わった花の柄が自然に落ちて小さな点の跡が残るだけなので、突起はあっても指でなでるとなめらかです。バリダ鉄甲は花柄が硬く枝のように残ります。紫褐色の横縞がはっきり出ていればバリダ鉄甲の側に寄ります。花を咲かせる前の小苗は花柄の手がかりがないため、姿だけでは決めきれないことがあります(バリダ鉄甲とは)。

花が咲きました。何かしたほうがいいですか?

水やりや置き場所は変えなくてかまいません。咲くだけで株が弱ることはありません。やっておきたいのは、花の中を見て雄株か雌株かを確かめ、ラベルに書き留めておくことです。黄色い花粉をつけた雄しべが立てば雄株、先が3つに分かれた柱頭が出れば雌株です。花が終わると見た目から性別が分からなくなるので、咲いているうちに確かめます(オベサの雌雄の見分け方)。

自分で種から作ることはできますか?

親となるオベサと鉄甲丸はどちらも雌雄異株で、1株では種ができません。作るなら、オベサの雌株と鉄甲丸の雄株のように、花の時期が重なる2株をそろえて筆で受粉させることになります。花が咲くまで雌雄が分からないため、苗を数株そろえて育てるところから始めるのが近道です。受粉の作業そのものはオベサの受粉に、種まきから発芽までの手順はオベサの実生にまとめています。

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縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

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