見分け方

オベサと鉄甲丸の違い|早見表と見分け方、花の時期・増やし方・水やりの変え方

木の縁側に並べたオベサ・鉄甲丸・オベサ鉄甲の3鉢。球形の肌、松かさ状の幹と葉、丸い体に小さな葉という姿の違い
AIで生成したイメージです
この記事の結論

オベサと鉄甲丸は同じ南アフリカ生まれのユーフォルビアですが、葉を出すかどうかで姿がまったく違い、花の時期もオベサが初夏〜夏、鉄甲丸が早春と半年近くずれます。見分けるときは、頂部に葉があるか → 肌が縞かうろこか → 株元に子株があるか、の順に見れば迷いません。育て方でいちばん変わるのは水を減らすタイミングの決め方で、オベサは気温と肌の張り、鉄甲丸は葉の出入りが合図になります。交配種のオベサ鉄甲は葉を出すので、鉄甲丸側の考え方が下敷きになります。

売り場に「オベサ」「鉄甲丸」「オベサ鉄甲」が並んでいて、どれがどれなのか、どう違うのかが分からないまま帰ってきた。あるいは、名札の外れた株が手元にあって、どちらの育て方に合わせればいいか迷っている。この記事では、オベサと鉄甲丸の違いを、株を目の前にしたときに見る順番でまとめます。姿の違いだけでなく、その違いが育て方のどこに効いてくるかまで扱うので、名前が分かったあとの扱い方まで一続きで決められます。まず全体を一枚で見たい方は、すぐ下の早見表からどうぞ。2つを掛け合わせた交配種そのものの話は、オベサ鉄甲とはにまとめています。

オベサと鉄甲丸の違い|早見表

生まれた場所から花の時期、増やし方まで、2つを並べるとこうなります。見分け方と育て方の違いは、このあと順に詳しく見ていきます。

項目オベサ鉄甲丸
学名Euphorbia obesaEuphorbia bupleurifolia
別の呼び名系統に「オベサ梵天」などの名が付くことも蘇鉄麒麟、パイナップルコーン
生まれた場所南アフリカ・東ケープ州の乾いた半砂漠南アフリカ東部の、夏に雨が降る草原や岩場
姿葉も棘もない球。年を経て短い円柱にうろこが段に重なる松かさ状の幹
葉出さない春に出て、秋に落とす
大きさ直径8〜10cmほどの球が目安幹の太さ7〜8cm・高さ20cm前後が上限
育つ速さ1年に数mm〜1cm1年にうろこ一段ぶん(数mm〜1cm)
花の時期初夏〜夏(5〜8月)早春(2〜3月)
雌雄雌雄異株雌雄異株
増やし方種から(子株はほとんど出ない)種から。子株が出た株は株分けも
冬の姿季節で変わらない葉を落とし、幹だけになる

表のなかで、姿の次に大きいのが花の時期です。同じ南アフリカのユーフォルビアでも、咲く季節が半年近く離れています。これが増やし方や、交配種づくりの手間にもつながっていきます(このあとの「花の時期と増やし方の違い」で詳しく触れます)。

葉を出すかどうか|いちばん大きな違い

オベサと鉄甲丸は、どちらも南アフリカ生まれのユーフォルビアで、太った体に水をためて乾いた季節をしのぐという点では同じです。分かれるのは、光合成をどこでするかです。

オベサ(Euphorbia obesa)は葉を出しません。球体の表面そのものが光合成の場で、一年を通して葉のない丸い姿のままです。対して鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)は、春に幹の頂部から細長いへら形の葉を長さ5〜10cmほど、ロゼット状に広げます。秋には下の葉から黄色くなって落ち、冬は幹だけで越します。

この一点だけで、葉のある時期なら見間違えようがありません。

  • 頂部に葉が広がっている → 鉄甲丸
  • 葉がなく、丸い体に縦の筋と横縞がある → オベサ
  • 丸い体の頂部から、小さな葉が数枚だけ出ている → 交配種のオベサ鉄甲

3つ目が、オベサと鉄甲丸を掛け合わせたオベサ鉄甲です。丸い体に葉が乗るという、親のどちらにもない組み合わせが目印になります。愛好家のあいだでは「オベ鉄」とも呼ばれます。

ユーフォルビアはどの種類も、傷つけると白い樹液を出します。名札を確かめるために葉や根を折ってしまったときは、素手で触らずに拭き取ってください。属全体に共通する性質はユーフォルビアの育て方にまとめています。

葉がないときの見分け方|肌・稜・株元の3か所

冬の鉄甲丸は葉を落としているので、「葉があるか」だけでは決まりません。そのときは肌を見ます。オベサはなめらかな縞、鉄甲丸はうろこの重なりで、触った感触からして違います。

見る場所オベサ鉄甲丸オベサ鉄甲
肌の表面なめらかで縞が走る硬いうろこが段に重なる浅い三角の突起が並ぶ
縦の稜8本前後がはっきり目立たないうっすら残る個体も
肌の模様赤褐色の細い横縞模様はない縞は出ないことが多い
稜の上の点花柄が落ちた点が一列点ではなく突起突起の列
株元単独で育つ子株を吹く個体も単独が多い

いちばん確かなのはうろこの有無です。鉄甲丸の幹に段々に重なっている硬い突起は、葉が落ちたあとの付け根が木質化して残ったもので、葉を出して落とすたびに一段ずつ増えていきます。松かさを立てたような姿は、この積み重なりでできています。オベサの肌には、この段がありません。稜の上に小さな点が一列に並んでいることはありますが、それは花の柄が落ちた跡で、指で触っても引っかかりません。

左はオベサの球体表面で縦の稜と赤褐色の横縞が走り、右は鉄甲丸の幹表面でうろこ状の突起が段に重なっている 左がオベサ、右が鉄甲丸。縞が走るなめらかな肌と、うろこが段に重なる肌。(AIで生成したイメージです)

株元も手がかりになります。オベサは基本的に1株が単独で太っていきますが、鉄甲丸は株元から子株を吹く個体があります。根元に小さな株がくっついていたら、鉄甲丸か、その血を引く交配種の可能性が高くなります。

どちらとも決めかねる株を買うときは、値札の書き方も見ておきます。学名で書かれていれば Euphorbia obesa がオベサ、Euphorbia bupleurifolia が鉄甲丸、Euphorbia obesa × bupleurifolia と掛け算で書かれていれば交配種です。

季節と年数で姿が変わる|冬の鉄甲丸と、年を経たオベサ

この2種は、時間の経ち方でも見え方が変わります。買ったときと違う姿になって戸惑うのは、たいていこのどちらかです。

鉄甲丸は、冬に別の植物のような姿になります。 秋に葉を落としきると、松かさ状の幹だけが残ります。はじめて冬を迎えた方が「枯れた」と思って処分してしまうことがありますが、幹が硬ければ正常な休眠です。翌春、頂部からまた新しい葉が動き出します。

オベサは、季節では姿が変わりません。 そのかわり、年を重ねると形が変わります。直径8〜10cmほどまで育つと、それ以上は横に広がらず上へ伸びて短い円柱に近づき、根元の肌は茶色く硬くなります。これは風格の側の変化で、光不足で間延びした状態とは別物です。見分けがつかないときはオベサの徒長に判断の手順をまとめています。

冬の窓辺に並んだ2鉢。左は葉を落として松かさ状の幹だけになった鉄甲丸、右は姿の変わらない球形のオベサ 冬の姿。葉を落とした鉄甲丸(左)と、季節で見た目の変わらないオベサ(右)。(AIで生成したイメージです)

大きさの上限も違います。オベサは直径10cm前後の球から短い円柱へ、鉄甲丸は幹の太さ7〜8cm・高さ20cm前後までで、そこに届くには何十年もかかります。どちらも1年での変化はわずかで、鉢の中で長く付き合える大きさにおさまります。

育て方はどう変わるか|水を減らす合図が違う

同じ場所に置いて同じように育てられる2種ですが、水やりを減らすタイミングの決め方だけは考え方が入れ替わります。ここが実務でいちばん大きな違いです。

項目オベサ鉄甲丸
減らす合図最低気温が10℃を下回る葉が黄ばんで落ち始める
成長期の水乾いてからたっぷり乾いてさらに2〜3日おいて
休眠期の水月1〜2回の少量月1回ほどの少量
光不足のサイン稜が浅く上へ細く伸びる葉が間延びして幹が締まらない
根を傷めたとき比較的立て直しやすい回復に時間がかかる

オベサは一年を通して見た目がほとんど変わらないので、気温と肌の張りを手がかりに水を決めます。季節ごとの頻度と、乾いたかどうかの確かめ方はオベサの水やりにまとめました。鉄甲丸のほうは、株が葉で合図を出してくれます。葉が開いているあいだは水を使っている、葉がなければほとんど使っていない。暦ではなく葉を見て切り替えるのが、この種を長く育てるこつです。年間の流れは鉄甲丸の育て方にあります。

共通しているのは次の点です。どちらも明るく風の通る場所を好み、真夏は遮光30〜50%か午後に日陰になる場所へ移し、冬は最低10℃を目安に室内に取り込みます。用土は水はけ最優先、植え替えの適期は春か秋。枯らす原因の大半は、湿った土が続くことによる根の傷みという点も同じです。手当ての手順はオベサの根腐れにまとめたものが、鉄甲丸にもそのまま使えます。

違うのは、傷めたあとの戻りやすさです。オベサは根を作り直せば立ち上がってきますが、鉄甲丸は根を傷めると回復に時間がかかります。同じ棚に置くなら、鉄甲丸のほうを風の当たる側に、水は控えめに。この配分にしておくと、2種をまとめて管理しやすくなります。

花の時期と増やし方の違い|半年ずれて咲く

どちらも頂部に、花びらのない黄緑色の小さな花(杯状花序)を咲かせます。似ているのはそこまでで、咲く季節と咲き方がはっきり違います。

見るところオベサ鉄甲丸
咲く時期初夏〜夏(5〜8月)早春(2〜3月)
咲く場所球の頂部、稜の上葉のロゼットの中心
花柄ほとんど伸びない1〜5cmほど伸びる
咲き終わり花柄ごと落ち、跡を残さない花柄が伸びて目立つ

左は葉のロゼットの中心から短い花柄を伸ばして小さな黄緑の花をつけた鉄甲丸、右は球の頂部の稜の上に数ミリの黄緑の花が並ぶオベサ 鉄甲丸は葉の中心から花柄を伸ばし、オベサは球の頂部に花が直接並ぶ。(AIで生成したイメージです)

鉄甲丸は、新しい葉が動き出すのと同じころに咲きます。葉と花が同時に頂部に集まるので、早春がいちばん見ごたえのある季節です。オベサは気温が上がって株がよく動く初夏から咲きはじめ、夏のあいだ順に咲き続けます。咲いても球の姿は変わらず、真上から覗き込んではじめて気づく、という控えめな咲き方です。それぞれの咲き方と咲かないときの確かめ方は、オベサの花と鉄甲丸の花に分けてまとめています。

2つとも雌雄異株で、雄株と雌株が別々にあり、1株では種ができません。咲くまで雌雄が分からない点も共通です。そのため増やし方は、どちらも種から育てる実生が基本になります。違うのは、鉄甲丸には株元から子株を吹く個体があり、その場合は切り離して株分けもできること。オベサはほとんど子株を出さないので、種がほぼ唯一の手段です。種まきから1年目の管理はオベサの実生にまとめました。

花の時期のずれは、交配種のオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を種からつくるときに効いてきます。鉄甲丸が咲くのは早春、オベサは初夏から。そのままでは両方の花が同時に開いている日がほとんどないため、花粉を取り置いたり、株数をそろえて咲く時期の重なりを待ったりします。手順と、時期がずれたときの扱いはオベサの受粉にあります。

葉の出入りで水を切り替える鉄甲丸の一年のリズムと、葉のサインで水を切り替える手順をまとめています。
鉄甲丸の育て方を見る →

売り場のラベルと、間違えやすい仲間

名前の書かれ方は店によって揺れます。あらかじめ知っておくと、売り場で迷う時間が減ります。

  • オベサ:「ユーフォルビア・オベサ」「オベサ」。稜が多く縞の細かい系統に「オベサ梵天」などの呼び名が付くこともあります。
  • 鉄甲丸:「鉄甲丸」「てっこうまる」。「パイナップルコーン」「蘇鉄麒麟(そてつきりん)」の名で出ていることもあります。ただし蘇鉄麒麟は交配種を指して使われる場合もあり、この名前だけでは中身が決まりません。
  • 交配種:「オベサ鉄甲」「オベ鉄」「オベサ×鉄甲」。学名の形なら obesa × bupleurifolia です。

似た姿で間違えやすいものもあります。

  • 峨眉山:鉄甲丸と瑠璃晃の交配種で、うろこ状の姿がよく似ています。峨眉山は葉が小ぶりで、株元に子株をよく吹くところが分かれ目です。株全体は鉄甲丸より小さくおさまります。
  • 「◯◯鉄甲」と付く名前:鉄甲丸を片親にした交配種の一群です。相手の種名が頭に付くので、名前から片親をたどれます。
  • バリダ:オベサによく似た球形ですが、花のあとの柄が枯れて残るため、頂部にひげのような細い突起が並びます。
  • サボテン:オベサは形の上でサボテンに似ていますが、棘の付け根にある綿毛のような座(刺座)がありません。オベサにも鉄甲丸にも棘はありません。

ユーフォルビア属のなかでの位置づけや、ほかの顔ぶれはユーフォルビアの種類に、幹や根に水をためる塊根植物という大きなくくりでの共通点は別にまとめています。

オベサ鉄甲はどちらに似るのか|手元の株の見立て方

交配種のオベサ鉄甲は、両親の性質が1株ずつ違う割合で出ます。同じ交配から採れた兄弟でも、オベサ寄りの顔と鉄甲丸寄りの顔が並びます。だから「オベサ鉄甲の育て方」を一律に決めるより、手元の株がどちら寄りかを見てから下敷きを選ぶほうが、判断が合います。見るのは2か所です。

  • 葉の量と大きさ:葉が大きめで枚数も多い株は鉄甲丸寄り。葉がごく小さく、体の丸みが勝っている株はオベサ寄りです。
  • 冬の葉の落ち方:葉を全部落として冬を越す株は鉄甲丸寄り、少し残したまま越す株はオベサ寄りと見ます。

鉄甲丸寄りなら、葉の出入りで水を切り替える組み立てをそのまま。オベサ寄りでも葉は出るので、葉が落ちきったかどうかは合図として使い、そのうえでオベサの丈夫さぶんだけ余裕を見ます。どちらの場合も、迎えた最初の1年は鉄甲丸と同じ慎重さで水を控えめにしておくと、失敗が減ります。姿の個体差がなぜ生まれるのかはオベサ鉄甲とはに、種から育てたときの顔の分かれ方はオベサの実生にまとめています。

縁側では、実生のオベサ鉄甲を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。3つを並べて見比べると、この記事の話がそのまま手のなかの手触りに変わります。

よくある質問

名札のない株が届きました。オベサか鉄甲丸か、どこで見分けられますか?

まず頂部を見ます。細長い葉がロゼット状に広がっていれば鉄甲丸、葉がなく丸い体に縦の筋と赤褐色の横縞があればオベサです。冬で葉がない場合は肌を見ます。硬いうろこが段に重なっていれば鉄甲丸、なめらかで縞が走っていればオベサです。丸い体に小さな葉が数枚だけ出ているなら、2つの交配種のオベサ鉄甲にあたります。

オベサと鉄甲丸は、同じ棚で同じように育てられますか?

置き場所と用土は同じで問題ありません。どちらも明るく風の通る場所、水はけのよい土、冬は10℃を目安に室内です。違うのは水を減らすタイミングの決め方で、オベサは気温、鉄甲丸は葉の落ち方で切り替えます。同じ棚に置くなら、鉄甲丸のほうを風の当たる側に置き、水はやや控えめにしておくと安心です。

鉄甲丸の葉が全部落ちました。オベサは何も変わりません。どちらかがおかしいのでしょうか?

どちらも正常です。鉄甲丸は秋に葉を落として幹だけで冬を越す性質があり、オベサはもともと葉を出さないので季節による見た目の変化がありません。鉄甲丸は幹を軽く押して硬ければ心配は要らず、水を月1回ほどの少量に切り替えて春を待ちます。柔らかくぶよついている場合だけ、根の傷みを疑います。

オベサと鉄甲丸を掛け合わせると、どんな姿になりますか?

丸い体に、うろこを浅くしたような突起が並び、頂部から小さな葉が数枚出る姿になります。ただし1株ずつ振れ幅が大きく、突起がはっきり浮いて葉も大きい鉄甲丸寄りの個体から、肌がほとんど平らでオベサそのものに見える個体まで幅があります。性質の違う2種を掛け合わせたときに起きる自然な散らばりで、成り立ちと個体差の理由はオベサ鉄甲とはにまとめています。

どちらのほうが育てやすいですか?

はじめの1株ならオベサのほうが扱いやすいと思います。蒸れと寒さにやや寛容で、根を傷めたときの立て直しもききます。鉄甲丸は蒸れに弱く、根を傷めると回復に時間がかかるぶん、水やりの見極めに慣れてからのほうが安心です。ただし鉄甲丸には、葉の出入りが管理の切り替えをそのまま教えてくれるという分かりやすさがあります。

オベサと鉄甲丸は同じ時期に花が咲きますか?

咲きません。鉄甲丸は早春(2〜3月)に新しい葉と一緒に咲き、オベサは初夏から夏(5〜8月)に咲きます。半年近く離れているため、2つを掛け合わせてオベサ鉄甲の種を採るときは、花粉を取り置いたり株数をそろえたりして、咲く時期が重なるのを待つことになります。

オベサと鉄甲丸は、どちらも種から増やすのですか?

基本はどちらも種からです。2つとも雌雄異株なので、雄株と雌株がそろってはじめて種が採れます。違いは子株の出やすさで、鉄甲丸には株元から子株を吹く個体があり、切り離して株分けできます。オベサは子株をほとんど出さないため、種から育てるのがほぼ唯一の方法です。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。