実生

オベサの実生|種まき(播種)の手順と発芽日数、腰水の外し方、育つ年数

浅い水を張ったトレーに並ぶ小さなプラ鉢と、用土から顔を出したオベサの実生苗
AIで生成したイメージです
この記事の結論

オベサの実生とは、種をまいて育てることです。オベサは枝も子株もほとんど出さないので、増やす方法といえば基本はこれひとつ。やることは、細かい無肥料の用土に種を置き、覆土はほとんどせず、腰水で表面を乾かさないまま20〜25℃に保つ、の3つだけです。条件が合えば数日から2週間で緑の粒が顔を出し、半年から1年で直径1〜2cm、売り場で見かける5cmほどになるまでは5年前後かかります。つまずきやすいのは種を手に入れるところ(雌雄異株なので、自分で採るならオスとメスの2株が要ります)と、発芽後に蓋と腰水を外すタイミングの2か所です。

実生(みしょう)とは、種をまいて育てることです。種をまく作業そのものは播種(はしゅ)と呼ばれます。ユーフォルビア・オベサは枝も子株もほとんど出さないので、増やす方法といえば基本はこれひとつ。始めるのに要るのは、細かい無肥料の用土と小さな鉢、腰水を張る浅いトレー、そして種の4点で、特別な道具はほとんど要りません。同じ親から採れた種でも、育ってくる姿は1株ずつ違います。

この記事では、種を手に入れるところから、まく時期と道具、播種の手順、発芽までの日数と管理、発芽してから1年の付き合い方、そしてうまくいかないときの見分け方までを順にまとめます。受粉から採種までの手つきはオベサの受粉に、親株そのものの管理はオベサの育て方にまとめてあります。

オベサの実生とは|種から育てた株と、輸入された株の違い

売り場に並ぶオベサには、育ち方の違う2種類があります。実生株は種から育てられたもので、多くは国内で育てられているため日本の気候に馴染み、根も鉢の中で最初から張っています。もうひとつが海外から運ばれてきた輸入株で、検疫の決まりで土を落として運ばれるため、迎えてからまず根を出させる工程が挟まります。

自分で種からまくのは、この実生株を最初の一粒から手元でつくる作業です。良いところは3つあります。

  • その環境で育つ:発芽したときから自分の家の光と風の中にいるので、置き場所の癖にそのまま馴染みます。迎えてから環境を合わせ直す必要がありません。
  • 姿を最初から見られる:直径数ミリの緑の粒が、稜を出し、縞を浮かべ、球になっていく過程がまるごと手元にあります。オベサの成長はゆっくりで、種から直径5cmほどになるまで5年前後。その遅さが、そのまま眺める時間になります。
  • 個体差が出る:同じ親から採れた種でも、稜の数、縞の濃さ、肌の色は1株ずつ違います。この差を見比べて選ぶところが、実生のいちばん面白いところです。

一方で、時間はかかります。花が咲いて雌雄が分かるまでに数年、見応えのある大きさになるまでにさらに数年。すでに姿のできた株を迎えるのとは、まったく別の楽しみ方だと思っておくといいです。売り場での札の意味、根の状態で変わる迎えたあとの手間、値段の差は実生株と輸入株の違いに、膨らんだ幹や根を持つ植物全般での同じ考え方は塊根植物(コーデックス)とはにまとめています。

オベサの実生はどれくらいで大きくなるか|年数と大きさの目安

実生を始める前にいちばん気になるのが、どれくらいで大きくなるのかだと思います。オベサの成長はゆっくりで、まいた年のうちに目に見えて丸くなることはありません。先におおよその道のりを並べておきます。

まいてからの時間苗の様子
数日〜2週間用土の表面に緑の粒が出る。殻を持ち上げるように双葉が開く
3〜4週間双葉の真ん中に緑の球がふくらみ始める。直径2〜3mm
3か月直径5mm前後。まだ球というより粒
半年〜1年直径1〜2cm。稜がうっすら見え始める
1〜2年稜と横縞がはっきりしてくる。株ごとの差が出る
5年前後直径5cmほど。売り場で見かける大きさになる

同じ日にまいた鉢でも、遅れて出てくる粒があるので揃いません。数字はあくまで目安で、温度と光の入り方で前後します。急がせる手立てはほとんどなく、この速さに付き合う時間そのものが実生の中身です。

種を手に入れる|オベサは雌雄異株、ひと株では種ができない

実生でいちばん最初につまずくのがここです。オベサは雌雄異株で、オスの株とメスの株が別々にあります。手元に1株しかない場合、どれだけ丁寧に育てても種はできません。

種の手に入れ方は2つです。

1. 自分で採る。 初夏、球の頂部に直径数mmの小さな花が並びます。オスの株は黄色い花粉をつけた雄しべが小さな房になって立ち上がり、メスの株は先が3つに分かれた柱頭が突き出ます。オスの花粉を細い筆で取ってメスの柱頭につけると、受粉した花は3つの部屋に分かれた丸い果実にふくらみます。果実は熟すとはじけて種を飛ばすので、茶色く色づき始めたら茶こし袋やお茶パックをかぶせておくと取りこぼしません。花が咲くまで雌雄は見分けられないので、実生から始めるなら苗を数株そろえておくのが近道です。花での雌雄の見分けはオベサの花に、花粉の取り方と付け方、受粉できたかの確かめ方、弾ける前に種を受け止めるところまではオベサの受粉にまとめました。

2. 買う。 種苗を扱う専門店や、園芸イベント、個人の出品などで手に入ります。選ぶときに見るのは採種の時期です。オベサの種は採りたてがいちばんよく発芽し、時間が経つほど発芽率が落ちていきます。同じ値段なら、採種年が新しいものを選びます。到着したらできるだけ早くまくつもりで、まく支度を先に整えてから注文すると無駄がありません。

自分で採った種も、採ってすぐにまくのがいちばん確実です。保存するなら、乾かしてから紙の袋に入れ、涼しく乾いた場所へ。密閉容器で湿ったまま置くとカビます。

細かい用土を入れた鉢の表面に、ピンセットで小さな種を1粒ずつ置いている手元 種は1粒ずつ間隔をあけて置きます。重なると、あとで苗が絡みます。(AIで生成したイメージです)

まく時期と、そろえるもの

まき時は**春(3月下旬〜6月)**が基本です。発芽に適した温度が20〜25℃くらいで、そこから夏までのあいだに根を張らせておくと、最初の冬を越しやすくなります。秋(9月〜10月上旬)にまくこともできますが、苗が小さいまま冬に入るので、室内で光と温度を確保できる場合に限った方が安全です。真夏の高温と真冬の低温は、どちらも発芽が揃いません。

そろえるものは、特別なものはほとんど要りません。

もの選び方理由
用土細かい粒の種まき用土、または硬質赤玉土の細粒・鹿沼土の細粒をふるったもの種が小さいので、粒が粗いと隙間に落ちて根が乾く
容器2.5〜3号ほどの小さめの鉢、または育苗トレー浅く小さいほど温度と湿り気が揃いやすい
トレー鉢が2cmほど浸かる深さの浅い容器腰水で下から水を吸わせるため
覆い透明な蓋、または穴を開けたラップ表面を乾かさないため。密閉はしない
霧吹き細かい霧が出るもの上から水をかけると種が流れる

用土の組み方の一例を挙げておきます。鉢の下の方には、硬質赤玉土と軽石の小粒を6:4ほどで混ぜたものを入れて水はけを確保し、表面の5mmほどだけを細粒の赤玉土にします。種が触れる面だけを細かくしておくと、種が隙間に落ちず、下の層は腰水を続けても蒸れにくくなります。市販の種まき用土を使う場合も、表面を平らに細かく整えるという考え方は同じです。

用土で大事なのは肥料が入っていないこと、そして清潔なことです。腐葉土や堆肥のような有機分が混じっていると、腰水で湿り続けるあいだにカビが一面に出て、発芽したての苗をまとめて倒します。市販の種まき用土か、無機質の細粒を使います。心配なら、まく前に熱湯を回しかけて冷ますか、殺菌剤を潅注しておくと安心です。

鉢や用土そのものの選び方は栽培道具の選び方にまとめています。

鉢に用土を入れたら、上から軽くならして平らにし、先にトレーに水を張って下から吸わせておきます。上から水をかけて湿らせると表面がでこぼこになり、種が谷に流れ込んでしまいます。

種のまき方(播種)と、発芽までの日数・管理

オベサの種は、直径1.5〜2mmほどの丸い粒です。色は灰色がかった茶色から黒っぽいものまであり、表面に細かなまだら模様が入ります。つぶれている粒、中身が抜けて軽い粒は発芽しにくいので、まく前に指先で触って、張りのある粒を選り分けておきます。

白い小皿に並んだ、まだら模様の小さな丸い種と、1粒をつまんだピンセット オベサの種は小さな丸い粒。つぶれた粒や軽い粒は、まく前に除いておきます。(AIで生成したイメージです)

まく前のひと手間として、殺菌剤を規定の濃さに薄めた水に種を数時間ひたしてからまく方法があります。種の表面についたカビの元を落としておくと、腰水で湿り続ける最初の数週間にカビが出にくくなります。ひたしたあとは、キッチンペーパーの上で表面の水気を切ってから用土に置きます。

湿った用土の表面に、種を1粒ずつ間隔をあけて置きます。数十粒をまとめてまくと、発芽したあとに苗どうしが絡み、最初の植え替えで根を傷めます。5mmから1cmほどあけておくと、1年目はそのまま育てられます。

覆土はしないか、種が隠れない程度のごく薄さにとどめます。 オベサの種は光があった方が発芽が揃いやすく、深く埋めると出てこないまま腐ります。置いたあと、ピンセットの背で軽く押して種の下半分ほどを用土に沈め、霧吹きで表面を湿らせて密着させれば十分です。上は開いたまま、下だけが土に触れている状態が目安です。

そのあとの条件は3つだけです。

  • 温度:20〜25℃。暖かい室内の窓辺で足りることが多く、春先で気温が上がりきらないときは、園芸用のヒーターマットを敷くと揃いやすくなります。30℃を超える場所は避けます。
  • 湿り気:腰水で常に下から吸わせ、表面を一度も乾かさない。発芽する前に一度でも乾くと、動き出していた種がそこで止まります。トレーの水は毎日足し、2〜3日に一度は入れ替えます。
  • 光と空気:明るい日陰に置きます。直射に当てると容器の中が高温になります。蓋やラップは湿度を保つためですが、日中は少し開けて空気を入れ替えます。閉じきったままにすると、蒸れてカビが出ます。

条件が合っていれば、数日から2週間ほどで、用土の表面に緑色の小さな粒が顔を出します。まず種の殻を持ち上げるようにして双葉が開き、その真ん中から球が育ち始める、という順です。全部が同時には出ません。遅れて3週間ほどしてから出てくる粒もあるので、1週間で出なかったからといって片づけないことです。

殻が苗にかぶさったまま取れないことがあります。無理に引っ張ると苗ごと抜けるので、霧吹きで湿らせてからピンセットの先でそっと外すか、そのまま数日待ちます。たいていは自然に落ちます。

発芽してから1年|腰水を外す、光に慣らす、最初の植え替え

発芽後にやることは、**「守られた環境から、ふつうの鉢の環境へ、少しずつ移す」**の一点です。急ぐと枯らし、いつまでも守っているとひょろりと伸びます。

外す順番は、先に蓋、あとから腰水です。

蓋は、双葉が開ききって揃ったら外します。 発芽から1〜2週間ほどのころです。閉じた容器の中は湿度が高く、光に向かって苗が上へ伸びやすいので、ここで蓋をしたままにしておくと、ひょろりと細長い苗になります。ただし蓋を外すと表面が一気に乾きやすくなるので、腰水はこの時点ではまだ続けます。乾いた空気の部屋なら、はじめの数日は蓋を少しずらしておく、ラップの穴を増やす、と段階を挟むと苗がしおれません。

腰水も一度に外しません。 双葉の真ん中が緑の球としてふくらみ、直径3mmを超えたころ(多くは発芽から3〜4週間)から、トレーの水位を少しずつ下げていきます。次に、水を張る日と張らない日をつくり、乾く時間を少しずつ延ばす。最後にトレーから出して、上からの水やりに切り替えます。目安は、鉢の表面が半日ほど乾いても苗がしぼまなくなったときです。全体で1〜2か月かけるつもりで、ゆっくり移します。春にまいた場合、球が直径5mmほどになる夏の終わりまでは、乾かす時間を短めにとどめておくと安心です。

光も同じように少しずつです。 明るい日陰から始め、朝だけ日が当たる場所、午前中いっぱい当たる場所、と段階を踏みます。いきなり直射に出すと、数日で表皮が白く抜けます。逆に暗いままだと、苗が上に細く伸びて球にならない(徒長)ので、腰水を外すころには日を入れ始めます。徒長したときの見方と直し方はオベサの徒長と光の当て方にまとめてあります。室内で育てるなら、植物用の育成ライトで光を補うと姿が締まります。

風も忘れずに。 発芽直後の苗が並んだ鉢は、蒸れると一気に倒れます。腰水を外し始めたら、弱い風が常に動く場所に移すか、サーキュレーターで空気を回します。

そこから先の育ち方は、おおよそ次のようになります。

時期やること
発芽〜3か月腰水を徐々に外す。明るい日陰から少しずつ光へ
半年〜1年乾いたら鉢底から流れるまで。冬は室内の明るい窓辺で10℃以上
1〜2年目成長期の入り口に1株ずつ小鉢へ植え分ける
3年目以降2〜3年ごとの植え替え。深植えしない。親株と同じ管理へ

最初の植え替えは、まいた翌年の春(最低気温が10℃を超えて安定したころ)が扱いやすいです。1年目のうちに植え替えることもできますが、苗が小さいほど根も細く、傷つけたときに立て直すのに時間がかかります。用土が崩れないよう乾かし気味にしてから、スプーンなどで用土ごとすくい上げ、根をほぐさずにそのまま新しい鉢へ移します。植えたあと1週間ほど水を控えるのは、親株のときと同じです。鉢のサイズの選び方や替え時の見分けはオベサの植え替えにまとめています。

肥料は、発芽から数か月のあいだは要りません。1年目の成長期に、薄めた液体肥料を月1回ほど与える程度で十分です。多いと稜が浅く、肌のゆるんだ姿になります。

通常の水やりに移ったら乾き具合の確かめ方、季節ごとの頻度、しぼんだときの見分け方を、オベサに絞ってまとめています。
オベサの水やりと置き場所を見る →

軒下の木の棚に並んだ小鉢と、稜と縞の出てきたオベサの実生株 実生から数年。1株ずつ小鉢へ植え分けると、稜の数や縞の濃さの違いがよく見えます。(AIで生成したイメージです)

うまくいかないときの見分け方

実生でつまずく場所は、だいたい決まっています。症状ごとに、まず何を確かめるかを整理しておくと立て直しが早くなります。

  • 2週間たっても1粒も出ない:まず温度を疑います。20℃を下回っていると、種は動いていても表に出てきません。次に種の鮮度。採種から年月が経った種は発芽率が落ちます。深く覆土していた場合は、そのまま待っても出てきません。3週間ほど様子を見て動きがなければ、条件を変えてまき直します。
  • 一部だけ出て、あとが続かない:正常な範囲です。オベサの種は発芽が揃いにくく、遅れて出てくる粒があります。先に出た苗のために腰水を外したくなりますが、遅い粒を待つなら表面の湿りは保ったままにします。
  • 用土の表面に白い綿状のカビ:有機分か、空気の動かなさが原因です。蓋を開ける時間を増やし、風の通る場所へ移します。広がった部分は用土ごと取り除き、殺菌剤を潅注します。肥料分のある土を使っていた場合は、まき直した方が早いこともあります。
  • 苗が根元でくびれて倒れる(立ち枯れ):茎の地際が細くなって折れる症状で、湿った状態が続いたときに出ます。倒れた苗は戻りません。残った苗を守るため、腰水をやめて表面を乾かし、風を通し、殺菌剤を使います。一度出ると広がりやすいので、見つけた時点で動きます。
  • 苗が上に細く伸びて球にならない:光が足りていません。少しずつ明るい場所へ移します。伸びてしまった部分は戻りませんが、そこから先は締まって育ちます。
  • 苗がしぼんで張りがない:腰水を外すのが早すぎたか、乾かしすぎです。苗は親株ほど水をためられないので、1年目のうちは親株より短い間隔で、少なめに与えます。

どの症状も、湿り気・温度・光・風のどれかが行きすぎたときに出ます。実生の管理は「守る」と「慣らす」のあいだを少しずつ動かしていく作業で、極端に振らないことがいちばんの手当てになります。

交配と選別のたのしみ

同じ親から採れた種をまくと、育ってきた苗は1株ずつ違います。稜が8本の株と10本の株、縞が濃く出る株と薄い株、球がきれいに丸い株と少し角ばる株。何十粒かまいて並べてみると、この差ははっきり見えます。この中から気に入った姿を残していくのが、選別です。

オベサは同じ属の近縁種とも交配できます。なかでもよく知られているのが、松かさのような幹を持つ鉄甲丸との交配種「オベサ鉄甲」(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)です。オベサの球形と縞、鉄甲丸のごつごつした肌がひと株のなかで混ざり合い、まくたびに違う表情が生まれます。どんな姿になるのか、親とどう違うのかはオベサ鉄甲とはに、鉄甲丸を親にした交配種の顔ぶれは鉄甲丸の交配種まとめにまとめました。どちらの親の性質がどれだけ出るかは育ててみないと分からないので、選別の面白さがそのまま何倍にもなります。属のなかにどんな顔ぶれがいるかはユーフォルビアの種類に、交配相手を選ぶときの下地になる属全体の性質はユーフォルビアの育て方にまとめています。

ただし、交配は受粉の段階から始まります。オスとメスの株が同じ時期に咲いていること、花粉が生きていること、受粉した果実をはじける前に受け止めること。ひとつずつ手順のある作業で、種が採れるまでに何シーズンかかかることも珍しくありません。それでも、自分の手でかけ合わせた種から出てきた緑の粒が、年を追って親のどちらかに似ていく(あるいはどちらにも似ない)のを眺める時間は、実生でしか手に入らないものです。

縁側では、オベサと鉄甲丸の交配種であるオベサ鉄甲の個体を、1株ずつ姿を見て紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

オベサの種はどこで手に入りますか?

自分の株から採るか、買うかの2つです。オベサは雌雄異株なので、自分で採るにはオスとメスの2株が要ります。買う場合は、多肉植物やユーフォルビアの種を扱う専門店、園芸イベント、個人の出品などで手に入ります。選ぶときは採種の年を確かめてください。オベサの種は採りたてがいちばんよく発芽し、時間が経つほど発芽率が落ちます。届いたらすぐまけるよう、用土と容器を先に用意しておくと無駄がありません。

種をまいてから何日くらいで発芽しますか?

条件が合っていれば数日から2週間ほどです。20〜25℃を保ち、腰水で用土の表面を乾かさないままにしておくと、早いものは3〜4日で緑の粒が顔を出します。ただし一斉には出ません。3週間ほど経ってから出てくる粒もあるので、1週間で動きがなくても片づけるには早いです。20℃を下回っている場合は、種が動いていても表に出てこないので、まず置き場所の温度を上げます。

「播種」と「実生」は何が違いますか?

播種(はしゅ)は種をまく作業そのもの、実生(みしょう)は種から育てること、またはそうして育った株を指します。オベサの場合、播種は春の数日で終わる作業で、実生はそこから何年も続く付き合い全体のことです。売り場で「実生株」と書かれていれば、種から育てられた株という意味です。

覆土は必要ですか?

しないか、種が隠れない程度のごく薄さにとどめます。オベサの種は光があった方が発芽が揃いやすく、深く埋めると出てこないまま腐ってしまうためです。湿らせた用土の表面に置き、ピンセットの背で軽く押して下半分ほどを沈め、霧吹きで湿らせて密着させれば十分です。表面を乾かさないことの方が、覆土よりずっと大事です。

蓋(ラップ)はいつ外しますか?

双葉が開ききって揃ったころ、発芽から1〜2週間ほどが目安です。蓋をしたままだと容器の中の湿度が高く、苗が上へ細長く伸びやすくなります。蓋を外しても腰水はまだ続けます。部屋の空気が乾いているときは、蓋を少しずらす、ラップの穴を増やす、と数日かけて外すと苗がしおれません。

腰水はいつまで続けますか?

蓋を外したあと、双葉の真ん中の緑の球が直径3mmを超えたころ(多くは発芽から3〜4週間)から、少しずつ減らしていきます。いきなり外さず、水位を下げる、張る日と張らない日をつくる、と段階を踏んで1〜2か月かけて移します。鉢の表面が半日ほど乾いても苗がしぼまなくなったら、上からの水やりに切り替えて大丈夫です。

まいてから2週間、1粒も発芽しません。もう出ませんか?

まだ分かりません。オベサは発芽が揃いにくく、3週間ほど経ってから出てくる粒もあります。そのあいだ、表面の湿りと20〜25℃を保ったまま待ちます。ただし、置き場所が20℃を下回っている、種を深く埋めた、採種から年月が経っている、のどれかに当てはまる場合は、条件の方を直してからまき直した方が早いです。

実生のオベサは、何年くらいで丸い姿になりますか?

半年から1年で直径1〜2cm、稜と横縞がはっきりしてくるのが1〜2年目、売り場でよく見かける直径5cmほどになるまでは5年前後が目安です。温度と光の入り方で前後しますし、同じ日にまいた苗でも差が出ます。早める手立てはほとんどなく、薄めた液体肥料を成長期に月1回ほど添える以外は、この速さに付き合うことになります。

実生株と輸入株は何が違いますか?

いちばん大きな違いは、根が付いたまま手元に来るかどうかです。国内で種から育てられた実生株は鉢の中で根が張っているので、迎えたその日から普通の管理が始まります。輸入株は検疫の決まりで土を落として運ばれるため、まず根を出させる工程が挟まります。札の意味や値段の差は実生株と輸入株の違いにまとめました。

実生の苗と、すでに育った株。どちらから始めるのがいいですか?

目的が違います。すでに姿のできた株を迎えれば、その日から丸い球のあるくらしが始まります。一方で実生は、緑の粒が球になっていく数年を自分の手元で見るためのものです。どちらか一方ではなく、まず1株を迎えて1年の管理のリズムをつかみ、そのうえで種をまくと、苗が何を欲しがっているかが読めるようになります。実生は失敗しても粒が残るので、いくつかの条件を試せるのも気楽なところです。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。