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多肉植物のユーフォルビアとは|サボテンとの違い・見分け方と、ほかの多肉との育て方の違い

縁側の板の上に並んだ素焼き鉢。手前から球形のオベサ、とげのある柱状のユーフォルビア、青白いエケベリア、白い綿毛のあるサボテン
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ユーフォルビアはトウダイグサ科の大きな仲間で、約2,000種のうち多肉質になるのは一部です。サボテン(サボテン科)とは別の植物で、姿が似ていても、とげの根元に綿毛の座(刺座)がないことで見分けられます。とげのないオベサと兜丸のような組み合わせも、この綿毛の有無で区別できます。ほかの多肉植物と比べると、夏に育って冬に休む「夏型」で寒さに弱いのが大きな違い。同じ棚に並べるなら、日当たりのよい上段に置き、冬は10℃を目安に先に室内へ入れると扱いがそろいます。

多肉植物の売り場で「ユーフォルビア」と書かれた札を見ると、サボテンのような柱、まんまるの球、松かさのような幹と、姿がばらばらで戸惑うかもしれません。ユーフォルビアはひとつの種の名前ではなく、姿の違う多くの種をまとめた仲間の名前です。この記事では、多肉植物としてのユーフォルビアがどんな植物なのか、サボテンとどこが違い、どう見分けるのか(とげのない株どうしの見分け方も含めて)、エケベリアやハオルチアといったほかの多肉植物と育て方がどう違うのかを順に整理します。個々の種類の顔ぶれはユーフォルビアの種類に、1年の育て方の全体はユーフォルビアの育て方にまとめています。

多肉植物のユーフォルビアとは|大きな仲間の中の「多肉になった種類」

ユーフォルビアは、トウダイグサ科ユーフォルビア属(トウダイグサ属)に入る植物の総称で、世界に約2,000種があります。その中には、冬の花として知られるポインセチアや、庭の草花になるポリクロマのように、多肉植物とは呼ばない種類も含まれます。多肉質になるのはおもにアフリカ南部・東部やマダガスカルの乾いた土地で育つ種類で、茎や幹、根に水をためて雨の少ない季節をしのぎます。

多肉植物のユーフォルビアは、水をためる場所と姿で見ると整理しやすくなります。

  • 球形・柱状:茎そのものがふくらんで水をためる。オベサ、ホリダ、紅彩閣など
  • 松かさ状:いぼの並んだ太い幹の頭から、季節で葉を出す。鉄甲丸、峨眉山など
  • タコもの・塊根:太い幹や根から細い枝を放射状に伸ばす。飛竜、孔雀丸など
  • 枝で育つ低木・柱状:緑の枝や柱が立ち上がる。ミルクブッシュ、ラクテア、ハナキリンなど

同じ属でも姿がこれだけ違うのは、それぞれの土地の乾き方に合わせて、水のため方を別々に工夫してきたからです。オベサとオベサ鉄甲(オベサ×鉄甲丸の交配種。愛好家のあいだでは「オベ鉄」とも呼ばれます)も、この多肉質の仲間に入ります。

サボテンとの違いと見分け方|とげの根元・白い樹液・花

左にとげが稜から直接生えた柱状のユーフォルビアと白い樹液のしずく、右にとげが白い綿毛の座からまとまって生えた柱状のサボテン 左がユーフォルビア、右がサボテン。とげの根元に白い綿毛があるかどうかで見分けます。(AIで生成したイメージです)

柱状や球形のユーフォルビアは、サボテンと並べると見分けがつかないほど似ています。サボテンは南北アメリカ、多肉のユーフォルビアはおもにアフリカと、まったく別の土地で育った植物ですが、どちらも「葉を減らして茎に水をためる」という同じ答えにたどり着いたため、姿が似ました。見分けるときは、次のところを見ます。

見るところユーフォルビアサボテン
植物の科トウダイグサ科サボテン科
おもな故郷アフリカ南部・東部、マダガスカルなど南北アメリカ
とげの根元稜から直接生える。綿毛の座はない白や茶の綿毛の座(刺座)からまとまって生える
傷をつけたとき白い樹液がにじむ多くは透明な水分(マミラリアの一部など白い液を出すものもある)
花小さな杯のような花。色づくのは花を囲む苞花びらが何枚も重なる、はっきりした花
とげの並び方2本ずつ対になる種類や、枯れた花柄が残ったとげが多い1か所から放射状に数本〜数十本

いちばん確かなのは、とげの根元の綿毛の座です。サボテンには必ずこの座があり、とげも花も新しい枝もここから出ます。ユーフォルビアにはこれがなく、とげは稜の上に直接付いています。ホリダのとげは花が咲いたあとの柄が硬く残ったもので、ハナキリンのとげは葉の付け根が変わったものと、種類によってとげの成り立ちも違います。

白い樹液は表の中ではいちばん分かりやすい手がかりですが、サボテンにも白い液を出す種類が一部あり、これだけでは決めきれません。見分けるためにわざわざ株に傷をつける必要もないので、まずはとげの根元を見て、迷ったときに花や樹液を補助として使う順番がおすすめです。

白い樹液は、扱うときに気をつけたい点でもあります。皮膚につくとかぶれることがあり、目や口に入ると強い刺激があるので、植え替えや剪定のときは手袋をして、ついたらすぐに水で洗い流します。ペットや小さな子どもの手が届かない場所に置くと安心です。くわしい扱い方はユーフォルビアの白い樹液にまとめています。

とげのない株どうし|オベサと兜丸の見分け方

とげで見分けられない組み合わせで、よく迷うのが、ユーフォルビアのオベサと、サボテンの兜丸(アストロフィツム属)です。どちらも小さな球形で、8本ほどの稜があり、とげがありません。

左に横縞の入ったつるりとした球形のオベサ、右に稜の中央へ白い綿毛が一列に並んだ兜丸 左がオベサ、右が兜丸。稜の上に白い綿毛の粒が並ぶのがサボテンの目印です。(AIで生成したイメージです)

見るところオベサ(ユーフォルビア)兜丸(サボテン)
稜の上綿毛はない(稜の縁に小さな点が並ぶ程度)稜の中央に、白い綿毛の粒(刺座)が一列に並ぶ
肌の模様横向きの縞模様が入る白い細かな点(星点)が散る
花頂部に小さな花。雌株と雄株に分かれる頂部に黄色い大きな花が咲く

とげがなくても、サボテンには刺座だけは残っています。稜の上にふわっとした白い綿毛の粒が並んでいれば兜丸、綿毛がなく横縞が入っていればオベサと見てよいでしょう。オベサの雌雄の見分け方はオベサの雌雄の見分け方、花のつくりについてはユーフォルビアの花で詳しく扱っています。

育て方で違うところ

姿は似ていても、育て方は同じではありません。サボテンを育ててきた方がユーフォルビアを迎えるときは、次の2点が変わります。

  • 冬の寒さ:サボテンには、水を切れば5℃前後の冷え込みに耐える種類も多くあります。多肉のユーフォルビアは寒さに弱いものが多く、最低気温10℃前後を目安に室内へ入れます(細かな比較は次の章の表で)。
  • 植え替えと増やし方:ユーフォルビアは切り口から白い樹液が出るので、手袋をして作業し、挿し穂は樹液を洗い流してから切り口をよく乾かします。手順はユーフォルビアの挿し木を参考にしてください。

用土や鉢は、サボテン用のものをそのまま使えます。

ほかの多肉植物との違い|育つ季節と寒さの感じ方

サボテンとの違いより、育て方で気にしておきたいのは、エケベリアやハオルチアなどほかの多肉植物との違いです。多肉植物は、1年のうちいつ育つかで「春秋型」「夏型」「冬型」に分けて考えることが多く、多肉のユーフォルビアの多くは夏型に入ります。

多肉のユーフォルビアエケベリア・セダムなどハオルチアリトープス・コノフィツムなど
よく育つ時期春の終わり〜秋(夏型)春と秋(春秋型)春と秋(春秋型)秋〜春(冬型)
休む時期冬真夏と真冬真夏と真冬夏
冬の最低温度の目安10℃前後(種類で5℃まで)0〜5℃程度まで耐えるものが多い5℃程度0〜5℃程度
光の好み日なた(真夏だけ少し和らげる)日なた明るい日陰〜半日陰日なた(夏は涼しく)

表で目立つのは、冬の寒さへの弱さです。エケベリアが軒下で冬を越せる地域でも、多肉のユーフォルビアは同じ場所に置いておくと、冷えと湿りが重なって根や幹が傷みます。最低気温が10℃を下回りはじめたら、ほかの多肉より一足先に室内の明るい窓辺へ移すと安心です。冬の水やりも、成長期の週1回前後から、月1〜2回の少量まで落とします。

反対に、夏はユーフォルビアがいちばん動く季節です。エケベリアやハオルチアが暑さで止まり、水を控える時期に、ユーフォルビアは頂部から新しい稜や葉を伸ばします。とはいえ、35℃を超える日が続くあいだは多肉のユーフォルビアも動きが鈍るので、真夏だけは夕方以降に控えめに与えます。季節ごとの細かな加減は、オベサの水やりで種類ごとの違いも含めてまとめています。

同じ棚で並べて育てるときのそろえ方

縁側の棚の上段にオベサと鉄甲丸、日の当たりが少し穏やかな下段にエケベリアとハオルチアを置いたところ 日当たりのよい上段にユーフォルビア、下段に春秋型の多肉。季節の切り替えで動かしやすい並べ方です。(AIで生成したイメージです)

ユーフォルビアを、すでに育てている多肉植物の棚に加えるときは、「同じ棚でも同じ扱いにしない」ことが大切です。いくつかの工夫で、世話の手間をそろえられます。

  • 置き場所は上段・日の当たる側に:ユーフォルビアは強い光でよく締まります。光の穏やかな場所を好むハオルチアは、下段や半日陰に回します。
  • 夏型と春秋型で列を分ける:水やりのタイミングが季節で逆になるので、型ごとにまとめて並べると、じょうろを持ったときに迷いません。
  • 冬支度は、ユーフォルビアの列から先に:秋の終わりに最低気温が10℃を切りはじめたら、ユーフォルビアの列だけ先に室内へ。ほかの多肉はもう少し外で冷たい空気に当てて、紅葉を楽しめます。
  • 用土は水はけのよいものをそろえてよい:多肉植物用の土はそのまま使えます。ユーフォルビアは根が蒸れに弱いので、軽石を足して水はけを一段上げておくと安心です。配合の考え方は塊根植物の用土配合にまとめています。

寄せ植えは、同じ型どうしなら楽しめますが、ユーフォルビアとエケベリアを1つの鉢に入れると、冬の水加減が合わずにどちらかが傷みやすくなります。ユーフォルビアは1鉢に1株で、それぞれの鉢を並べて景色をつくるほうが長く付き合えます。株分けや植え替えで根をさわるときは、樹液が他の株につかないよう、道具を拭いてから次の鉢に移ります。枝もので株を増やしたいときはユーフォルビアの挿し木が参考になります。

もっと種類を見てみたい方へ球形・松かさ状・タコもの・低木と、多肉のユーフォルビアを姿の違いから一覧にしています。
ユーフォルビアの種類を見る →

はじめて迎える一鉢の選び方

ほかの多肉植物を育てた経験があるなら、どのユーフォルビアからでも始められます。迷ったときは、置き場所と、世話の頻度で選ぶと失敗が少なくなります。

  • 窓辺でも育てたい・姿の整った一鉢がほしい:オベサ。とげがなく、成長がゆっくりで姿が崩れにくいのが魅力です。雌雄が別の株に分かれているのも、この種ならではの面白さです。
  • 花を長く楽しみたい:ハナキリン。多肉のユーフォルビアの中では水を欲しがるほうで、日なたに置けば春から秋まで咲き続けます。
  • 背の高い株でインテリアに:ミルクブッシュやラクテア。枝や柱で育つタイプは生育が早く、剪定で形を整えながら付き合います。
  • 季節の変化を見たい:鉄甲丸。春から秋に頂部へ葉を出し、冬は落として休む、季節のめりはりがはっきりした種類です。

慣れてきたら、オベサと鉄甲丸をかけ合わせたオベサ鉄甲のように、株ごとに姿の違う交配種にも目が向くかもしれません。種から育てた株は、同じ親から生まれても稜の数や縞、いぼの出方が一株ずつ違い、選ぶ楽しみがあります。

縁側では、実生のオベサ鉄甲(オベ鉄)を個体ごとに紹介する準備を進めています。はじめの入荷は、入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

ユーフォルビアはサボテンの仲間ですか?

サボテンの仲間ではありません。ユーフォルビアはトウダイグサ科、サボテンはサボテン科で、別の植物です。乾いた土地で茎に水をためるという同じ暮らし方をしてきたため、姿が似ています。とげの根元に綿毛の座があればサボテン、なく、傷つけると白い樹液が出ればユーフォルビアと見分けられます。

多肉植物の土で育てられますか?

市販の多肉植物用・サボテン用の土で育てられます。ユーフォルビアは根が蒸れに弱いので、袋の土に軽石を2〜3割ほど足して、水はけを一段上げておくと安心です。鉢は、水が抜けやすい素焼き鉢や、底穴の大きい鉢が合います。

エケベリアと同じ時期に水やりしてもいいですか?

春と秋はほぼ同じで構いません。違いが出るのは夏と冬で、夏はエケベリアを控えめにする時期にユーフォルビアはよく育ち、冬はエケベリアより早くから水を減らします。季節の変わり目だけ、型ごとに分けて考えると迷いません。

冬は外に置いたままで大丈夫ですか?

多くの多肉のユーフォルビアは、最低気温が10℃を下回るころに室内へ入れるのが目安です。寒さそのものより、冷えた状態で土が湿っていることが株を傷めます。室内の明るい窓辺に置き、水は月1〜2回、暖かい日の午前に少量にとどめます。

とげのないサボテンとユーフォルビアはどう見分けますか?

稜の上を見ます。兜丸などとげのないサボテンにも、とげの根元にあたる綿毛の座(刺座)が残っていて、白い綿毛の粒が並んでいます。オベサのようなユーフォルビアには、この綿毛の粒がありません。

白い樹液が出ればユーフォルビアと決めてよいですか?

大きな手がかりになりますが、マミラリアの一部など白い液を出すサボテンもあるため、樹液だけでは決めきれません。見分けるために株を傷つける必要はなく、まずはとげの根元の綿毛の座の有無を見るのが確かです。

白い樹液が手についてしまったら?

すぐに流水と石けんでよく洗い流します。かゆみや赤みが続くときや、目に入ったときは、こすらずに水で洗い、医療機関に相談してください。植え替えや剪定のときは、はじめから手袋をつけておくと安心です。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。