ユーフォルビアの樹液は危険?|かぶれ・目に入ったときの対処と、作業での扱い方

ユーフォルビアの白い樹液には刺激の強い成分が含まれ、皮膚につくとかぶれ、目に入ると強い炎症を起こすことがあります。ただ、傷つけなければ樹液は出ないので、飾って眺めるだけなら心配はいりません。気をつけたいのは、植え替えや剪定で株を切るときです。ゴムやニトリルの手袋をつけ、新聞紙を敷き、切り口は水で流して止める。手についたら石けんと流水で洗い、目に入ったり口に入ったりしたときは、こすらずに洗い流してから医療機関に相談します。
ユーフォルビアの茎や葉を傷つけると、白い乳のような樹液がにじみます。この樹液は皮膚や目に刺激があり、「危険」と聞いて手に取るのをためらう方もいますが、扱い方を知っていれば、日々の世話で困ることはほとんどありません。この記事では、樹液がどんなものか、ついたときにどうするかを先に、植え替え・剪定・挿し木で樹液と付き合う段取り、子どもやペットのいる家での置き方を順にまとめました。育て方の全体像はユーフォルビアの育て方にあります。
白い樹液はどんなものか|どのくらい気をつければいいか
ユーフォルビアの仲間は、オベサのような球形のものも、ミルクブッシュのような枝ものも、ポインセチアやハナキリンも、傷がつくと白い樹液(乳液)を出します。傷口をふさいで、虫や動物に食べられるのを防ぐための仕組みと考えられています。
この樹液には、ホルボールエステルなどのジテルペンエステル類と呼ばれる刺激性の成分が含まれています。触れたときに起こりうることは、おおむね次の3つです。
- 皮膚につく:赤み・かゆみ・ヒリヒリとした痛み。肌の弱い人や、長くついたままにした場合は、水ぶくれのようになることもあります。
- 目に入る:強い痛みと充血。結膜炎や、角膜(黒目の表面)の炎症につながることがあり、樹液のなかでいちばん気をつけたいのがここです。
- 口に入る:口や喉のひりつき、吐き気や腹痛、下痢など。
刺激の強さには種類による差があると言われます。なかでも矢毒キリン(ユーフォルビア・ビローサ)やポイゾニーは、名前のとおり毒性が強いことで知られ、扱いに慣れた人でも手袋とゴーグルを使います。一方で、オベサやハナキリンのような身近な種類がどの程度なのかは、情報源によって書き方が分かれていて、はっきりした線引きはありません。**「種類を問わず、樹液には素手で触れない・目と口に入れない」**と考えておくのが、いちばん迷いがありません。
逆に言えば、樹液は株を傷つけたときにしか出てきません。鉢を持ち運ぶ、水をやる、眺める、軽く触れる程度では樹液は出ないので、飾っておくだけなら心配はいりません。気をつけたいのは、株を切ったり、根を触ったりする作業のときです。
手や目についたとき・口に入ったとき
ついてしまったときに大事なのは、すぐに、たっぷりの水で洗い流すことです。樹液は乾くとゴムのように固まって落ちにくくなるので、「あとで」にしないのがいちばんの手当てになります。
| ついた場所 | まずすること | 医療機関に相談する目安 |
|---|---|---|
| 手・腕などの皮膚 | 石けんと流水でよく洗う。こすりすぎず、泡で包むように | 赤み・かゆみ・痛みが引かない、水ぶくれができた → 皮膚科 |
| 目 | こすらずに、流水で目を洗い流す(まぶたを開いて、しばらく流し続ける)。コンタクトレンズは外せるなら外す | 洗ったあとも痛み・充血・見えにくさが残る → 早めに眼科。樹液が入ったことを伝える |
| 口 | 口をすすいで吐き出す。無理に吐かせない | 口や喉の痛み、吐き気・腹痛が出たとき、子どもが口にしたとき → 医療機関へ |
目に入ったときは、軽く見えても痛みや充血が残るなら眼科にかかるのが安心です。受診のときは、ユーフォルビアの樹液が入ったこと、植物の名前が分かればその名前も伝えると、診てもらいやすくなります。
小さな子どもが葉や茎をかじった、樹液をなめたかもしれないというときは、症状がなくても迷ったら相談して構いません。家庭での誤飲や誤食については、公益財団法人日本中毒情報センターの「中毒110番」で、どうすればよいかを電話で尋ねることができます。犬や猫がかじった様子があるときは、かかりつけの動物病院へ。
ここに書いたのは、ついてしまった直後の一般的な手当てです。症状の程度には個人差があるので、気になる症状があれば自己判断で様子を見続けず、医療機関に相談してください。
作業の前にそろえておくもの
樹液と上手に付き合うこつは、ついてから慌てるより、つかない段取りを先に整えておくことです。植え替えや剪定の前に、次のものを手の届くところに並べておきます。
- ゴム手袋かニトリル手袋:布の軍手は樹液が染みて、かえって長く肌に触れてしまいます。水を通さない素材を選びます。とげのある種類は、厚手のゴム引き手袋が扱いやすいです。
- 新聞紙や古い布:作業台や床に広く敷きます。落ちた樹液や土をまとめて包んで捨てられるので、後片付けが楽になります。
- 水を入れた器とキッチンペーパー:切り口を洗う、樹液を押さえる、手袋についた分を拭く。すぐ使える場所に置いておくと、手袋のまま顔を触る動きが減ります。
- 長袖と、汚れてもよい服:樹液は服につくと落ちにくいことがあります。腕に垂れるのも防げます。
- 眼鏡やゴーグル:大きな枝ものを切るときや、目の高さで作業するときにあると安心です。樹液は切った瞬間に飛ぶことがあります。
作業の前に、手袋・新聞紙・水・紙をひとそろい手元に。(AIで生成したイメージです)
植え替え・剪定・挿し木での扱い方
作業の種類によって、樹液が出る場所と量が違います。どの作業でも、切り口は顔より低い位置に向け、手袋をした手で目や口のあたりを触らないのが共通の心得です。
植え替え
オベサや鉄甲丸のような球形・塊状の種類は、植え替えで株そのものを切ることはほとんどありません。樹液が出るのは、根を整理するときや、うっかり株に傷をつけたときです。太い根を切ると白い樹液がにじむので、キッチンペーパーで軽く押さえて止めます。根を乾かしてから植え付ける場合は、そのあいだに樹液も固まって止まります。
とげの多い柱状の種類は、手袋のうえから新聞紙を何重かに巻いて持つと、とげが刺さって傷がつくのも、樹液が手に回るのも防げます。植え替えの手順はユーフォルビアの植え替え、オベサについてはオベサの植え替えにまとめています。
剪定・切り戻し
いちばん樹液が出るのが、ミルクブッシュやハナキリンのような枝ものの剪定です。切った直後は、親株の切り口からも、切り落とした枝の切り口からも、しばらく樹液が出続けます。
- 親株の切り口:霧吹きで水をかけるか、湿らせたペーパーで押さえると、樹液が早く止まります。止まったら、そのまま乾かします。
- 切り落とした枝:新聞紙の上に並べ、切り口が上を向かないように置きます。捨てる場合は、新聞紙ごと包んで燃えるごみへ。
一度にたくさん切る日は、途中で手袋についた樹液を拭き取りながら進めると、はさみの持ち手や周りの物に広がりません。
挿し木
挿し木では、切り口の樹液をしっかり洗い流しておくことが、発根のためにも大切です。樹液が切り口に膜を張ったまま乾くと、根が出にくくなることがあります。流水にあてて、白い液がにじまなくなるまで洗い、そのあと数日〜1週間ほど陰で乾かしてから土に挿します。詳しい手順はユーフォルビアの挿し木にまとめました。
切り口は、白い液がにじまなくなるまで流水で洗ってから乾かします。(AIで生成したイメージです)
作業のあと|道具・手袋・服の片付け
作業が終わったら、樹液が乾いて固まる前に片付けます。
- はさみ・ナイフ:刃についた樹液は、乾く前に水で濡らした布で拭き取ります。固まってしまったものは、アルコールを含ませた布で拭くと落ちやすくなります。拭いたあとは刃を乾かし、次の株に使う前にもう一度アルコールで拭くと、病気を移す心配も減ります。道具の選び方や手入れは道具の選び方にまとめています。
- 手袋:外すときは、表に触れないように裏返しながら外します。使い捨てならそのまま捨て、繰り返し使うものは表を洗ってから干します。
- 手:手袋をしていても、外したあとは石けんで手を洗います。手首や腕に跳ねていないかも見ておきます。
- 敷いた新聞紙:土や切りくずごと内側に包んで捨てます。
- 服:樹液がついたら、乾く前に水で流しておきます。乾くと落ちにくいことがあります。
子どもやペットのいる家での置き方
飾っておくだけなら樹液は出ませんが、小さな子どもやペットは、葉をちぎったり、茎をかじったりすることがあります。一緒に暮らすなら、置き場所で先に手当てしておくと安心です。
- 手の届かない高さに置く:棚の上段や、窓辺の高い位置に。猫は高いところにも上るので、猫がいる家では部屋を分けるのが確実です。
- 落ちた葉や花がらは早めに拾う:床に落ちたものは、子どもやペットが口にしやすくなります。拾うときは手袋か、割り箸などを使います。
- 作業は子どもやペットのいない時間・場所で:切りくずや樹液のついた新聞紙を、片付けるまで放置しないようにします。
- 人にゆずるときは、ひとこと添える:贈る相手の家に小さな子どもやペットがいる場合は、樹液のことを伝えておくと親切です。
ユーフォルビアの仲間の顔ぶれや、姿の違いを見たいときはユーフォルビアの種類をどうぞ。
縁側では、オベサと鉄甲丸の交配種「オベサ鉄甲」(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体を、1株ずつ姿を見て紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。
よくある質問
素手で少し触ってしまいましたが、今のところ何ともありません。大丈夫ですか?
気づいた時点で、石けんと流水でよく洗っておけば、多くの場合はそれで済みます。かぶれは少し時間をおいて出てくることもあるので、その日のうちは触れた場所の様子を見ておきます。赤みやかゆみ、痛みが出て引かないときは皮膚科に相談してください。洗う前の手で目をこすらないようにすることも大切です。
軍手でも作業できますか?
布の軍手は樹液が染みて、肌に触れたままになりやすいので向いていません。ゴム手袋やニトリル手袋のように、水を通さないものを選びます。とげのある種類は、手のひら側がゴム引きになった厚手の園芸用手袋が扱いやすいです。
鉢を触ったり水をやったりするだけでも、気をつける必要がありますか?
樹液は株を傷つけたときにしか出ないので、鉢の移動や水やり、軽く触れる程度であれば心配はいりません。気をつけたいのは、剪定・植え替え・挿し木・折れた枝の処理など、株を切ったり傷つけたりする作業のときです。とげのある種類は、とげで手を傷つけないよう、持ち運びのときも鉢のほうを持ちます。
ペットがかじってしまったかもしれません。
口のまわりを気にする、よだれが多い、吐くといった様子があれば、かかりつけの動物病院に連絡します。何をかじったかが分かるよう、植物の名前か写真を伝えると診てもらいやすくなります。様子が変わらなくても、心配なときは早めに相談して構いません。