花

グラキリスの花|咲く時期と花の特徴、何年で咲くか、咲かせる条件と花芽を切る判断

縁側に置いた素焼き鉢のパキポディウム・グラキリス。丸く膨らんだ銀灰色の幹の枝先から長い花茎が伸び、レモン色の花が数輪咲いている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

グラキリスの花は、春から初夏、休眠明けに葉が出るのと前後して咲きます。枝先から長い花茎がまっすぐ伸び、その先に中心まで黄色一色の花が2〜5輪ほど集まります。咲くのはある程度育った株で、実生ならおおむね5年前後から。咲かせる鍵は、生育期の十分な光と、冬にきちんと休ませることの2つです。根が落ち着いた株なら咲かせて構いませんが、発根して間もない株や弱っている株は、花芽を早めに切って体力を残す選び方もあります。

パキポディウム・グラキリスは、丸く膨らんだ銀灰色の幹で知られる塊根植物ですが、春には枝先から長い花茎を伸ばして、明るいレモン色の花を咲かせます。幹の姿とは対照的なやわらかな花で、咲くのは年に一度、限られた期間だけです。この記事では、咲く時期と花の特徴を先に、何年目から咲くか、咲かせるための条件、花芽を残すか切るかの考え方、咲いたあとの片づけと種のさやを順にまとめました。なお、ここで扱うのは塊根植物のパキポディウム・グラキリスです。同じ「グラキリス」の名がつく花木のエリカ・グラキリスとは別の植物です。

グラキリスの花が咲く時期|春、葉が出るのと前後して

グラキリスの花は、春から初夏に咲きます。国内ではおおむね4月から6月ごろで、冬の休眠から目を覚まし、枝先に新しい葉が出はじめるのと前後して花茎が伸びてきます。株によっては葉より先に花茎が上がり、葉のない枝先に花だけが咲くこともあります。

時期の目安株の様子花まわりで起きること
3月下旬〜4月休眠明け。枝先が緑を帯びてくる枝先の中心から、細い花茎の芽が上がりはじめる
4月〜5月葉が開きはじめる花茎が伸びきり、先のつぼみが順に開く
5月〜6月葉が茂る遅れて上がった花茎が咲く。早く咲いた花茎は乾きはじめる
初夏以降本格的な生育期受粉していれば、花茎の先でさやがふくらむ

咲く時期は、冬をどこで越したかで前後します。暖かい室内で早く目覚めた株は早めに、涼しい場所で休ませた株は少し遅れて咲く傾向があります。一輪の花は数日ほどで終わりますが、1本の花茎に複数のつぼみがつき、さらに花茎が何本か時期をずらして上がるので、株全体ではしばらく花の季節が続きます。

花の特徴|長い花茎の先に、黄色一色の花が集まる

枝先から伸びた細長い花茎の先に、中心まで黄色い5弁の花が数輪集まって咲き、まだ開かないつぼみもひとつ付いている 長い花茎の先に、レモン色の花が数輪まとまって咲きます。(AIで生成したイメージです)

グラキリスの花でまず目に入るのは、花茎の長さです。枝先の葉の集まりから細い花茎がすっと伸び、幹や枝の背丈より高い位置で花が咲きます。その先に2〜5輪ほどの花がまとまってつき、順番に開いていきます。

花そのものは、細い筒の先に5枚の花びらが風車のように開く、キョウチクトウ科らしい形です。色は明るいレモン色で、中心まで黄色一色になります。よく比べられるマカイエンセは、黄色い花の中心に白い輪が入るのが違いで、花は2つを見分けるいちばん確かな手がかりになります。見分け方の詳しい話はマカイエンセとグラキリスの違いにまとめています。

見るところグラキリスの花
色明るいレモン色。中心まで黄色
形細い筒の先に5枚の花びらが開く
つき方長い花茎の先に2〜5輪ほど
咲く場所枝先の、葉が集まる中心から
一輪の長さ数日ほど。つぼみが順に開く

花の香りはほとんど目立たず、楽しむのは姿と色です。丸い幹の上に、細い花茎と黄色い花が高く浮かぶ眺めは、葉だけの季節とはまた違った印象になります。

何年目から咲くか|実生は5年前後、現地球は根が落ち着いてから

グラキリスの花は、ある程度育った株にしか咲きません。小さな苗は幹と根をつくる時期で、咲かないのが普通です。

  • 実生株:種から育てた株は、幹の直径が5〜8cmほどになる5年前後から、花をつける株が出てきます。同じ年にまいた苗でも、咲きはじめる年は1株ずつ違います。育ち方の年数の目安はグラキリスの実生にまとめています。
  • 現地球(輸入株):原産地で長く育った成株なので、花を咲かせる大きさにはすでに届いています。ただし根を落として運ばれてくるため、根が出て鉢のなかで働きはじめるまでは、花より株の立て直しが先になります。

迎えた株が咲かないときも、まず大きさと根の状態を確かめます。成株の大きさがあって、春に葉がきちんと開き、秋まで元気に育っている株なら、翌春以降に咲く見込みは十分にあります。

花を咲かせる条件|生育期の光と、冬の休ませ方

咲く大きさに育った株で、花の上がりを左右するのは主に次の3つです。

  1. 生育期に光を十分に当てる:つぼみの元になる蓄えは、春から秋に葉がつくります。日当たりと風通しのよい場所で一年を通した株ほど、翌春の花がそろいます。光が足りない場所では、花より枝が間延びしがちです。
  2. 冬にきちんと休ませる:秋に葉が落ちたら水を止め、10℃以上を保つ場所で乾かして春を待ちます。冬に暖かい部屋で水を続けて休眠させないと、春に花より枝葉が先に動くことがあります。冬越しの温度の考え方はグラキリスの冬越しに詳しく書いています。
  3. つぼみが見えたら環境を変えない:花茎が伸びはじめてから置き場所を大きく変えたり、強く乾かしたりすると、つぼみが開かずに落ちることがあります。

春の水は、花茎よりも葉の動きを見て再開します。葉が開きはじめたら少量から与えはじめ、葉が増えるにつれて量を戻していきます。花茎が上がってきても葉がまだ出ていないうちは、急にたっぷり与えず、暖かい日の少量にとどめます。葉の枚数に合わせた水の加減はグラキリスの育て方にまとめました。

肥料を増やしても、それだけで花が咲くわけではありません。肥料は生育期に薄く回す程度で十分で、効いてくるのはあくまで光と休眠のリズムです。

グラキリスの一年の流れを通して見る葉の枚数に合わせた水やり、秋の落葉から断水への切り替え、幹がしぼんだときの見分け方まで。花の季節をはさんだ管理がわかります。
グラキリスの育て方を見る →

花芽は切る?残す?|株の状態で決める

グラキリスの花芽を見つけたとき、咲かせるか、早めに切るかで迷う方は少なくありません。花を咲かせて種をつくるには株の蓄えを使うので、株の状態によって選び方が変わります。

株の状態おすすめの選び方理由
根が張って数年たつ株、毎年よく葉が出る株咲かせて楽しむ蓄えに余裕があり、花のあとも普段どおり育つ
発根して1年目の現地球花芽を早めに切る選び方もある根づくりを優先したい時期で、花に回す余力が少ない
植え替えた直後、根を傷めた株早めに切るほうが無難根の回復に蓄えを回せる
幹が柔らかい、しぼみが戻らない株切って株の回復を優先する花より先に原因を見直したい状態

切る場合は、花茎がまだ短いうちに、付け根の近くで清潔なハサミで切ります。パキポディウムの切り口からは白い樹液が出ることがあるので、手袋をして作業し、樹液は拭き取っておきます。花茎を切っても、枝先の葉や翌年の成長には影響しません。

反対に、根の張った健康な株であれば、咲かせたからといって弱ることはまずありません。年に一度の花なので、株に余裕があれば咲かせて眺めるのが自然な楽しみ方です。株が弱っているかどうかの見分け方はグラキリスのトラブルにまとめています。

咲いたあと|花茎の片づけと、種のさや

乾いた長い花茎の先で、細長い緑色のさやが2本、角のように左右に開いている。下には丸い銀灰色の幹と枝先の葉 受粉すると、花茎の先に細長いさやが2本並んでふくらみます。(AIで生成したイメージです)

花が終わると、花びらはしおれて落ち、花茎は時間をかけて茶色く乾いていきます。乾ききった花茎は、付け根から切るか、手で軽く引いて取れるのを待ちます。しおれた花びらが枝先の葉のあいだにたまると湿気がこもるので、気づいたときに取り除きます。

多くの場合、花はそのまま実を結ばずに終わります。グラキリスを含むパキポディウムは、1株の花どうしでは実がつきにくいとされ、種をつくるには別の個体の花粉が要ることがほとんどです。花の中心は花粉と雌しべが筒の奥に収まった形をしていて、筆でなでるだけの受粉は難しく、虫の助けや細い道具を使った作業が必要になります。

受粉した花は、花茎の先で細長いさやが2本、角のように並んでふくらみます。さやは数か月かけて熟し、乾いて裂けると、綿毛のついた種が風に乗って飛び出します。種を採りたい場合は、さやが色づきはじめたら紙袋や細かい網をかぶせておきます。採った種のまき方はグラキリスの実生で扱っています。

近い仲間のマカイエンセなどが近くで同じ時期に咲いていると、互いの花粉で実を結ぶことがあり、その種から育てた苗は親の名前どおりの姿にならない場合があります。種を採るなら、どの株とどの株の花だったかを書き残しておくと、育った苗の姿を読み解く手がかりになります。

同じキョウチクトウ科で、花を目当てに育てられる塊根植物としてはアデニウムの花があります。パキポディウムの仲間ごとの花の色や時期はパキポディウムの育て方に、幹に水をためる植物全体の見取り図は塊根植物・コーデックス入門にまとめています。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、塊根植物の個体も紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

グラキリスの花は毎年咲きますか?

咲く大きさに育った株なら、毎年春に咲くことが多くあります。ただ、前の年の光が足りなかった、冬に暖かい部屋で水を続けて休ませなかった、植え替えで根を傷めた、といった年は花が少なくなったり、咲かなかったりします。翌年に向けては、生育期に日によく当て、秋の落葉後は水を止めて休ませるリズムを一年通すことがいちばんの近道です。

花茎が伸びてきたのに、つぼみが落ちてしまいました。

花茎が上がってから置き場所を大きく変えた、強く乾かした、夜に冷え込んだ、のどれかが重なっていることが多くあります。つぼみが見えたら、置き場所はそのままにして、葉の動きに合わせて少量ずつ水を与えます。一度落ちても株そのものには影響がないので、その年は葉を育てることに切り替え、翌春に期待します。

葉が出る前に花が咲いても大丈夫ですか?

グラキリスではよくあることで、心配はいりません。休眠明けは、葉より先に花茎が動きだす株もあります。この時期はまだ根の働きがゆるやかなので、花が咲いているからといって急にたっぷり水を与えず、葉が開きはじめてから少量ずつ戻していきます。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。