パキポディウム・ウィンゾリーの育て方|赤い花と冬越しの温度

ウィンゾリーは、とっくり形にふくらむ小ぶりな幹と、赤い花が魅力のパキポディウムです。暖かい季節に育つ夏型で、春から秋はよく日に当てて乾いたらたっぷり。ほかの種類より寒さに弱いため、秋は早めに室内へ入れ、冬は15℃前後を目安に暖かく乾かして春を待ちます。
パキポディウム・ウィンゾリーは、とっくりのようにふくらんだ小ぶりな幹から短い枝を伸ばし、その先に鮮やかな赤い花を咲かせる種類です。黄色や白の花が多いパキポディウムのなかで、赤い花はこの仲間だけの特徴です。育て方の骨組みは属全体と同じ「日に当てて、乾いたら水、冬は室内」ですが、寒さへの弱さだけはひと回り気をつけたいところです。この記事では、ウィンゾリーならではの性質と、それをふまえた一年の扱い方を順に並べます。属全体に共通する話はパキポディウムの育て方に、塊根植物全般の扱いは塊根植物の育て方にまとめています。
ウィンゾリーという株|赤い花と、とっくり形の幹
学名は Pachypodium windsorii。マダガスカル北部の、石灰岩の岩場が広がる乾いた土地に自生します。同じく赤い花を咲かせるバロニー(P. baronii)にごく近く、バロニーの亜種や変種として扱う見方もあります。ウィンゾリーは、そのバロニーをひと回り小さくまとめたような姿です。
姿の特徴は、次の3つにまとめられます。
- とっくり形にふくらむ幹:幹は根元から中ほどにかけて丸くふくらみ、上に向かってすぼまります。肌はなめらかな灰色から灰緑色で、とげは細く控えめです。
- 短い枝が数本:幹の上部から短い枝が分かれ、枝先に光沢のある楕円形の葉が集まります。大きく育っても、背丈は低く収まる種類です。
- 赤い花:花は5枚の花びらが開く形で、鮮やかな赤。中心がやや淡くなり、葉の上に浮かぶように咲きます。
ほかのパキポディウムとの位置づけはパキポディウムの種類で一覧にしています。赤い花を咲かせるのは、ウィンゾリーとバロニーの2つです。
寒さに弱い北部の出身|ほかの種類との違い
ウィンゾリーの扱いでいちばん大切なのは、寒さに弱いという点です。自生地のマダガスカル北部は一年を通して暖かく、高原や南部の乾いた土地に育つグラキリスやホロンベンセに比べて、低い温度に慣れていません。
| 見るところ | ウィンゾリー | グラキリス・ホロンベンセ |
|---|---|---|
| 自生地 | マダガスカル北部の暖かい岩場 | 中南部の高原や乾いた草原 |
| 花の色 | 赤 | 黄色 |
| 室内へ取り込む目安 | 夜の最低気温が18℃を切るころ | 夜の最低気温が15℃を切るころ |
| 冬の温度の目安 | 15℃前後を保つと安心 | 最低10℃が目安 |
| 苦手なこと | 冷えと湿りが重なること | 冷えと湿りが重なること |
温度の数字は、置き場所や株の大きさで変わる目安です。乾かした状態なら一時的にもう少し低い温度をしのぐこともありますが、ウィンゾリーは「寒くなる前に、早めに暖かい場所へ」を基本にすると迷いが減ります。黄色い花のパキポディウムの扱いは、グラキリスの育て方やホロンベンセの育て方にまとめています。
春から秋の置き場所と水やり|暖かい季節にしっかり育てる
ウィンゾリーが育つのは、気温が十分に上がった季節です。屋外に出すのは、夜の気温が安定して高くなってからにします。
| 時期 | 置き場所 | 水やりの目安 |
|---|---|---|
| 4〜5月 | 室内の明るい窓辺。夜の最低気温が15℃を超えたら屋外の半日陰から慣らす | 新芽が動いたら、表面が湿る程度から再開 |
| 6〜9月 | 雨の当たらない、風通しのよい日なた | 鉢の中まで乾いたら、鉢底から流れるまでたっぷり |
| 10月 | 日なた。夜の最低気温が18℃を切ったら室内へ | 気温が下がり始めたら間隔を伸ばす |
光が足りないと、枝が細く間延びして、幹のふくらみも締まりにくくなります。育つ季節はできるだけ日に当てますが、室内から出したばかりの株はいきなり直射日光に当てず、1〜2週間かけて慣らすと葉焼けを防げます。
水やりの基準は、日付ではなく葉が開いているかどうかと鉢の中が乾いたかどうかです。乾き具合は、竹串を挿して抜いたときの湿り気や、鉢を持ち上げたときの軽さで確かめます。確かめ方の手順は塊根植物の水やりにまとめています。梅雨の長雨に当て続けると鉢の中が乾かず、根が傷みやすくなります。雨の当たらない軒下や棚の上に置き、風が通るようにしておくと安心です。空気が淀みやすい場所では、サーキュレーターで風を作るのも同じ目的です。
赤い花は、株が育って充実すると、暖かい季節に枝先から上がってきます。よく日に当てて株を太らせることが、花を見るいちばんの近道です。
冬越し|早めに取り込み、暖かく乾かす
秋が深まると、ウィンゾリーも葉を黄ばませて落とし、幹と枝だけの姿で休みます。ほかの種類より一歩早く動くのが、ウィンゾリーの冬越しのこつです。
- 夜の最低気温が18℃を切りはじめる(9月下旬〜10月ごろ):屋外の株を室内の明るい窓辺へ取り込みます。
- 葉が黄ばんで落ち始める:水やりの間隔を2〜3週間に伸ばします。
- 葉がほぼ落ちきる:断水に切り替えます。幹と枝だけになるのが通常の休眠の姿です。
- 春に新芽が動く(5月ごろ):動きを確かめてから、少量の水で再開します。
冬の置き場所は、15℃前後を保てる明るい室内が目安です。窓辺は昼は明るくても夜に冷え込むので、寒い夜だけ窓から離すか、部屋の内側に寄せます。暖房の温風が直接当たる場所は、幹が乾きすぎるので避けます。冷えやすい部屋では、植物用のヒーターや温室で温度を補う方法もあります。
葉を落として、幹と枝だけで冬を越します。(AIで生成したイメージです)
気をつけたいのは、冷えと湿りが重なることです。低い温度で鉢の中が湿ったままだと、根や幹の付け根から傷みやすくなります。冬は温度を保つことと、鉢を乾かしておくことをセットで考えます。幹の小さい実生苗は蓄えている水が少ないため、完全に乾かしきらず、月に1回ほど暖かい日の午前中に表面が湿る程度を与えて越します。種類ごとの温度の目安は塊根植物の冬越しにまとめています。
用土と植え替え|暖かくなってから、水はけのよい土で
植え替えは、気温が十分に上がり、新芽が動き始めた5〜6月に行います。寒さに弱い種類なので、ほかのパキポディウムより少し遅めに始めると、根を切ったあとの回復が順調です。
- 用土は粒の粗いものを中心に:軽石や硬質赤玉土を多めにし、細かい土を少なくします。石灰岩の岩場に育つ種類なので、とにかく水がすっと抜けることを優先します。配合の考え方は用土の選び方にまとめています。
- 鉢は通気のよいもの:素焼き鉢やスリット鉢が合います。幹が小ぶりなので、大きすぎる鉢は土が乾きにくくなります。株の大きさにひと回り足すくらいが目安です。
- 間隔は2〜3年に1回ほど:鉢底から根が出てきた、水が染み込みにくくなったといった変化が目安です。
- 根は崩しすぎない:古い土は軽く落とす程度にし、黒く傷んだ根だけを取り除きます。植えたあとは数日から1週間ほど水を待ち、根の切り口が落ち着いてから与えます。
- 幹は深く埋めない:ふくらんだ幹の根元が見える高さに植えると、とっくり形の姿が引き立ち、株元も蒸れにくくなります。
手順の細かい流れは塊根植物の植え替え時期にまとめています。
手に入れる前に|出どころを確かめる
パキポディウムは属のすべての種類がワシントン条約の対象で、なかでもウィンゾリーやバロニーは、国をまたぐ取引がとくにきびしく制限される附属書Iに含まれます。国内で見かける株には、種から育てられたものも多くあります。株を選ぶときは、どこで育てられた株かを売り手が説明できるかを確かめておくと安心です。値段の幅や選び方はパキポディウムの値段で、種から育てる流れはパキポディウムの実生で扱っています。
縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に扱っています。個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。
よくある質問
ウィンゾリーとバロニーは、どう違いますか?
どちらもマダガスカル北部に育ち、赤い花を咲かせる近い仲間で、ウィンゾリーをバロニーの亜種や変種とする見方もあります。ウィンゾリーはバロニーより全体に小ぶりで、とっくり形の幹が低くまとまるのが目安です。育て方はほぼ共通で、どちらも寒さに弱い夏型として扱います。
冬は何℃あれば大丈夫ですか?
15℃前後を保てる明るい室内が目安です。乾かした状態なら一時的にもう少し低い温度をしのぐこともありますが、ほかのパキポディウムより寒さに弱いため、余裕をもって暖かく管理するほうが安心です。低い温度で鉢が湿っていると傷みやすいので、冬は水を止めて乾かしておきます。
花が咲きません。どうすれば咲きますか?
花が上がるのはある程度育った株で、小さな苗ではしばらく咲かないことがあります。成株で咲かない場合は、育つ季節の日当たりや暖かさが足りていないことが多いようです。春から秋によく日に当て、乾いたらたっぷりの水やりで株を充実させると、花が上がりやすくなります。