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パキポディウムの種類|幹の形と花の色で見分ける一覧と、育てやすい種類

縁側に並んだ5つの素焼き鉢のパキポディウム。丸い幹、柱のように伸びる幹、平たく広がる幹、徳利形の幹、細い枝が分かれる低木状の株が並んでいる
AIで生成したイメージです
この記事の結論

パキポディウムは、マダガスカルと南部アフリカに自生するおよそ20種あまりの仲間です。見分けるときは「幹の形(丸い・平たい・柱状・低木状)」と「花の色(黄・白・赤・ピンク)」の2つを見ると整理しやすく、マダガスカルの低い種類は黄花、背の高くなる種類は白花が中心です。はじめての1鉢にはラメリーかグラキリスが選びやすく、冬に育つ光堂と、夏の蒸れに弱い恵比寿笑いは扱いが少し変わります。

パキポディウム(Pachypodium)は、太い幹に棘を並べ、枝先に細い葉を広げる塊根植物です。売り場で見かける名前はグラキリスやラメリーが多いのですが、同じ属のなかには、岩のように平たい株、背の高い木になる種類、冬に育つ種類まで含まれます。この記事では、主な種類を一覧にしたうえで、幹の形と花の色を手がかりにした見分け方、育てやすさの違い、名前のまぎらわしいところを順にまとめます。育て方そのものはパキポディウムの育て方に、塊根植物全体の考え方は塊根植物・コーデックス入門にまとめています。

パキポディウムは何種類ある?|マダガスカルと南部アフリカの2つの故郷

パキポディウムはキョウチクトウ科パキポディウム属の植物で、数え方にもよりますが、およそ20種あまりが知られています。植物の系統を調べた研究では21種とされ、そのうち16種がマダガスカル、残りの5種が南アフリカやナミビアなど南部アフリカに分布します。亜種や変種を別に数えるかどうかで数が変わるため、資料によって「20種」「25種」と幅があります。

分布の偏りは、そのまま見た目の偏りにもつながっています。

  • マダガスカルの種類:グラキリス、恵比寿笑い、ラメリー、亜阿相界など、国内でよく見かける種類の大半がここの出身です。背の低い株から高木まで、姿の幅がいちばん広いグループです。
  • 南部アフリカの種類:白馬城、光堂、天馬空など。枝が分かれて低木状になるものと、1本の柱のように立ち上がる光堂のような種類があります。

なお、パキポディウムは属のすべての種がワシントン条約の対象になっています。とくにアンボンゲンセ、バロニー、デカリーの3種は附属書Iに入っており、国をまたぐ商業取引がきびしく制限されています。種子は条約の対象外のため、国内で見かける株には種から育てられたものも多く含まれます。

主な種類の一覧|自生地・姿・花の色

国内で名前を見かけることが多い種類を並べると、次のようになります。和名・園芸名がある種類は、それを先に書いています。

種類(流通名)学名自生地姿花の色
グラキリス(象牙宮)P. rosulatum var. graciliusマダガスカル丸くふくらむ幹から短い枝黄
マカイエンセ(魔界玉)P. rosulatum subsp. makayenseマダガスカル低くふくらむ幹黄(中心が白)
恵比寿笑いP. brevicauleマダガスカル中央部平たく横に広がる幹黄
デンシフローラムP. densiflorumマダガスカル低い幹から枝を広げる黄
ホロンベンセP. horombenseマダガスカル低い幹から枝を広げる黄
エブルネウムP. eburneumマダガスカル低くふくらむ幹白
ラメリーP. lamereiマダガスカル南部棘の並ぶ柱状の幹、頂に葉白
亜阿相界(ゲアイー)P. geayiマダガスカル南西部柱状の幹、銀色がかった細い葉白
デカリーP. decaryiマダガスカル北部根元のふくらむ幹白
バロニーP. baroniiマダガスカル北部ふくらむ幹から枝赤
ウィンゾリーP. windsoriiマダガスカル北部小ぶりでふくらむ幹赤
白馬城(サウンデルシー)P. saundersii南部アフリカ白っぽい幹から枝が分かれる白
天馬空(サキュレンタム)P. succulentum南アフリカ地際のふくらみから細い枝淡いピンク
光堂(ナマクアナム)P. namaquanum南アフリカ西部〜ナミビア1本の柱のような幹外は黄緑、内側が赤

このほかにも、白い花のルテンベルギアナムやアンボンゲンセ、ピンクの花のビスピノーサムなどがあります。国内の売り場で出会う機会が多いのは、表の上半分、とくにグラキリス、恵比寿笑い、ラメリー、デンシフローラムあたりです。

幹の形で見分ける|丸い・平たい・柱状・低木状

葉が落ちている季節でも見分けやすいのが、幹の形です。おおまかに4つの型に分けると、手元の株や売り場の株がどのあたりの種類か見当がつきます。

  • 丸くふくらむ型:グラキリス、マカイエンセなど。壺や球のような幹の上から短い枝を出します。幹の太り方が鑑賞の中心で、育て方の情報もいちばん多い型です。グラキリスにしぼった話はグラキリスの育て方にまとめています。
  • 平たく広がる型:恵比寿笑い。幹が上へ伸びずに横へ広がり、岩の塊のような姿になります。枝がほとんど目立たないのが特徴です。
  • 柱状に伸びる型:ラメリー、亜阿相界、光堂など。幹がまっすぐ上へ伸び、頂に葉を集めます。ラメリーと亜阿相界は自生地では高木になり、光堂は枝を出さずに1本の柱のまま育ちます。
  • 低木状に枝分かれする型:デンシフローラム、ホロンベンセ、白馬城、天馬空など。低い幹や地際のふくらみから枝を何本も伸ばし、こんもりとした株になります。

ラメリーと亜阿相界は、どちらも棘の多い柱状の幹で、若い株はよく似ています。見分けるときは葉を見ます。亜阿相界の葉は細く、銀色がかった色で、葉裏や葉脈に細かな毛が目立ちます。ラメリーの葉は幅がやや広く、つやのある緑です。

花の色で見分ける|黄・白・赤・ピンク

木の縁側に並ぶ2つの鉢。左はふくらんだ銀灰色の幹から伸びた細い花茎に黄色い5弁の花が咲くパキポディウム、右は棘の並ぶ柱状の幹の頂で、長い葉のあいだに中心が黄色い白い花が咲くパキポディウム 背の低い種類の黄色い花と、柱状に伸びる種類の白い花。(AIで生成したイメージです)

パキポディウムの花は5枚の花弁が風車のように並ぶ形で、種類によって色がはっきり分かれます。植物の系統を調べた研究でも、花の色はおおまかなグループ分けと重なることが分かっています。

  • 黄色の花:グラキリス、恵比寿笑い、デンシフローラム、ホロンベンセなど、マダガスカルの背の低い種類に多い色です。株の大きさに比べて長い花茎を伸ばし、その先に咲かせます。
  • 白い花:ラメリー、亜阿相界、ルテンベルギアナムなど、マダガスカルの柱状・高木になる種類の多くが白花です。低い種類でもエブルネウムやデカリーは白い花を咲かせます。
  • 赤い花:バロニーとウィンゾリー。属のなかで赤い花を咲かせるのはこの2つで、ウィンゾリーはバロニーの変種として扱われることもあります。
  • ピンクの花:天馬空やビスピノーサムなど、南部アフリカの枝分かれする種類に見られます。

花は株が十分に育ってから咲くため、若い株では色で見分けられません。そのときは幹の形と葉、そして札に書かれた学名を手がかりにします。

育てやすい種類と、扱いが変わる種類

パキポディウムの多くは、春から秋に葉を広げて育ち、冬に葉を落として休む夏型です。水やりや冬越しの基本はほぼ共通ですが、種類によって向き不向きがあります。

種類育ちのリズム扱いで気をつけたいところ
ラメリー夏型暑さに強く、生育が早い。背が高くなる
グラキリス夏型根の状態で難しさが変わる。冬は落葉させて休ませる
デンシフローラム夏型比較的丈夫。日によく当てると締まった姿になる
恵比寿笑い夏型高地の岩山の出身で、真夏の蒸れに弱い
光堂冬型秋から春に育ち、夏は休む。ほかの種類と逆のリズム

はじめての1鉢には、ラメリーかグラキリスが選びやすい種類です。ラメリーは暑さに強く成長も早いので、育っていく手応えを感じやすい種類です。グラキリスは人気が高く情報も多い一方、海外から輸入された株は根が十分に出ていないことがあり、最初の1年の扱いが変わります。根の出ていない株の扱いはグラキリスの発根管理にまとめています。

恵比寿笑いは、夏の高温多湿で動きが鈍りやすく、風通しと水の加減に気を配る種類です。光堂は冬に雨の降る地域の出身で、ほかのパキポディウムと同じ感覚で夏に水を与えると調子を崩しやすくなります。夏型・冬型の考え方と、種類ごとの冬の温度の目安は塊根植物の冬越しにまとめています。

種類が決まったら、育て方へ置き場所、葉の出入りで切り替える水やり、10℃を目安にした冬越しまで、種類ごとの違いを含めてまとめています。
パキポディウムの育て方を見る →

名前のまぎらわしいところ|学名・園芸名・表記ゆれ

パキポディウムは、同じ種類が複数の名前で呼ばれていることがよくあります。札や商品名を読むときに迷いやすい点をまとめておきます。

  • グラキリスは「ロスラーツム」の仲間:グラキリスは独立した種ではなく、P. rosulatum(ロスラーツム)の変種、または亜種として扱われます。マカイエンセやカクチペスも同じロスラーツムの仲間です。札に「var.」とあるか「subsp.」とあるかは資料による違いで、別の植物という意味ではありません。
  • カタカナ表記の揺れ:学名の読み方が定まっていないため、「サウンデルシー/サンデルシー」「ゲアイー/ゲアイ」「デンシフローラム/デンシフロルム」のように表記が分かれます。迷ったときは学名で確かめると確実です。
  • 和名・園芸名の併用:恵比寿笑い(ブレビカウレ)、白馬城(サウンデルシー)、光堂(ナマクアナム)、天馬空(サキュレンタム)、亜阿相界(ゲアイー)のように、古くからの園芸名と学名由来のカタカナ名の両方で流通しています。
  • 交配種:種類どうしを掛け合わせた株も流通しています。親の名前を組み合わせた呼び名が付いていることが多く、見た目は両親の中間になります。どちらかの種類として紹介されていても、札に交配と書かれていないか確かめておくと安心です。

種類を選ぶときに見ておきたいこと

同じ種類でも、株の来歴によって育てやすさは大きく変わります。種類を決めたら、次の点もあわせて見ておくと選びやすくなります。

  • 種から育った株か、輸入された株か:種から国内で育てられた株は、根が鉢の中で育っているため環境の変化に強い傾向があります。輸入された株は幹の迫力がある一方、根の状態の確認が欠かせません。種から育てる方法はパキポディウムの実生にまとめています。
  • 葉の出ている季節:夏型の種類なら、春から秋に葉が出ている株は根が動いている目安になります。冬に葉が落ちているのは休んでいるためで、それ自体は異常ではありません。
  • 置ける場所の広さ:ラメリーや亜阿相界は年々背が伸びるため、室内に取り込む冬の置き場所まで考えておくと安心です。低く育つグラキリスや恵比寿笑いは、棚の上でも場所をとりません。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

パキポディウムは全部で何種類ありますか?

およそ20種あまりです。植物の系統を調べた研究では21種とされ、16種がマダガスカル、5種が南部アフリカに分布します。グラキリスのように、ある種の変種・亜種として扱われるものを別に数えるかどうかで、資料によって数が前後します。

グラキリスとロスラーツムは別の植物ですか?

同じ種の仲間です。グラキリスは *Pachypodium rosulatum*(ロスラーツム)の変種または亜種として扱われていて、幹が丸くふくらむ姿が特に好まれて流通しています。マカイエンセやカクチペスも同じロスラーツムの仲間で、いずれも黄色い花を咲かせます。

初心者にいちばん育てやすい種類はどれですか?

ラメリーが選びやすい種類です。暑さに強く成長も早いので、水やりの加減がつかみやすいのが理由です。丸い幹の姿を楽しみたいならグラキリスもよく選ばれますが、その場合は根がしっかり出ている株を選ぶと、最初の1年が安定します。夏の蒸れに弱い恵比寿笑いや、冬に育つ光堂は、ほかの種類に慣れてからのほうが扱いやすくなります。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

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