育て方

パキポディウムの水やり|季節ごとの頻度と休眠期の断水、種類で変わる与え方

縁側の棚に置いた素焼き鉢のパキポディウム・グラキリス。丸い銀灰色の幹から伸びた枝先に葉が集まり、細口のじょうろで鉢の縁から土に水を注いでいる
AIで生成したイメージです
この記事の結論

パキポディウムの水やりは、葉が茂る6〜9月は鉢の中が乾いてから鉢底に流れるまでたっぷり、葉が黄ばむ10〜11月は2〜3週間おきに減らし、落葉した冬はほぼ断水が基本です。種類で変わるのは「真夏に控えるか」「冬に葉を残すか」「いつ水を止めるか」の3点で、恵比寿笑いは真夏に控え、ラメリーは暖かい部屋なら冬も少し与え、冬型の光堂は季節が逆になります。小さな実生苗は冬も止めきらず、月1回ほど表面を湿らせます。

パキポディウムの水やりは、葉があるあいだは乾いてからたっぷり、葉が落ちたら止めるが骨組みです。雨季に葉を広げて育ち、乾季には葉を落として幹の水でしのぐ植物なので、鉢の中でも「いま葉が開いているか」が、水の要る・要らないをそのまま示します。ただ、ひとくちにパキポディウムといっても、真夏に動きが鈍る種類、冬も葉を残す種類、季節がまるごと逆の種類があり、同じ暦で与えると外れる株が出てきます。この記事では、属に共通する月ごとの目安から始めて、種類ごとの違い、株の大きさや状態による違い、休眠の前後の切り替え方を順にまとめました。置き場所や植え替えまで含めた1年の流れはパキポディウムの育て方にあります。

月ごとの頻度|夏型のパキポディウムの基本

流通しているパキポディウムのほとんどは、春から秋に育って冬に休む夏型です。まずはその基本の一年を、月ごとの目安で見渡します。日数はあくまで目安で、実際には表の「株の様子」に書いた合図を見て次の段階へ移ります。

時期株の様子頻度の目安与え方
4〜5月最低気温15℃を超え、枝先に新芽が動く10日に1回ほど表面が湿る程度から。葉が開くにつれて増やす
6〜9月葉が茂り、いちばんよく育つ中まで乾いたら(晴天の屋外で3〜5日に1回)鉢底から流れ出るまで。受け皿の水は捨てる
10〜11月下の葉から黄ばみ始める2〜3週間に1回量を減らし、暖かい日の午前中に
12〜3月落葉して休眠ほぼ断水10℃以上の明るい室内で春を待つ

関東の平地を基準にした月です。暖かい地域では春の再開が早まり、寒い地域では秋の減らし始めが早まります。どの地域でも、最低気温が15℃を上下する時期と葉の様子を合わせて見ると、切り替えの日を決めやすくなります。

生育期の乾湿のメリハリは、そのまま幹の太りにつながります。中まで乾いてからたっぷり与え、また乾くのを待つ。少しずつ毎日与えるより、この繰り返しのほうが根が鉢の下まで伸び、株が締まって育ちます。「中まで乾いた」の確かめ方(竹串・鉢の重さ)や、鉢と用土で日数が変わる理由は、塊根植物に共通する話として塊根植物の水やりにまとめています。

梅雨と秋の長雨は、暦より土の乾きを優先します。気温が低く雨が続くと、生育期でも鉢の中が何日も乾きません。雨の当たらない軒下へ移し、乾いてからさらに2〜3日あけるくらいで釣り合います。

種類で変わる水やり|真夏に控える種類、冬も葉を残す種類

パキポディウムの種類による差は、「夏型か冬型か」よりも、同じ夏型のなかで夏の暑さにどれだけ強いか、冬にどこまで葉を落とすか、寒さにどれだけ弱いかに表れます。水やりでは、この3つが「真夏に控えるか」「冬も少し与えるか」「いつ水を止めるか」の違いになります。

種類真夏秋〜冬水やりで気をつけること
グラキリス乾いたらたっぷり。猛暑で乾きが鈍ったら控える落葉を見てから断水葉が少なく乾きが遅い。落葉の見極めが大事
ラメリー乾いたらたっぷり15℃以上の部屋なら葉が残り、少しずつ与え続ける葉が残っている限りは水を使っている
恵比寿笑い(ブレビカウレ)動きが鈍るので量と回数を落とす落葉を見てから断水根が細く、湿りが続くと傷みやすい
白馬城(サウンデルシー)・ホロンベンセ・イノピナツム乾いたらたっぷり落葉を見てから断水。10℃以上で越す基本どおりで扱いやすい
ウィンゾリー・アンボンゲンセ乾いたらたっぷり早めに間隔をあけ、水を止めて15℃前後で越す寒さに弱い。冷えと湿りを重ねない
光堂(ナマクアナム)休眠。日陰で乾かす秋から春が生育期。乾いたら与える季節が逆の冬型

木の棚に並ぶ3鉢のパキポディウム。丸い幹のグラキリス、円柱状の幹に葉を茂らせたラメリー、平たく低い幹の恵比寿笑い 左から、丸い幹のグラキリス、柱状に伸びるラメリー、平たい恵比寿笑い。幹の形が違えば、水のため方と乾き方も変わります。(AIで生成したイメージです)

恵比寿笑いは高山の岩場の出身で、真夏の蒸し暑さのなかでは水を吸う力が落ちます。春と同じ調子で与えると、吸われない水が熱を持った鉢の中に残り、細い根から傷みます。乾くまでの日数が春より伸びてきたら、それが控える合図です。詳しい扱いは恵比寿笑いの育て方にまとめています。

ラメリーは丈夫で、冬に15℃以上を保てる部屋では葉を残したまま育ち続けることがあります。その場合は落葉を待って断水するのではなく、葉の数に合わせて、乾いてから少なめに与え続けます。反対に10℃前後の部屋で葉が落ちたなら、ほかの種類と同じく水を止めます。

ウィンゾリーとアンボンゲンセは寒さに弱い種類です。夜の最低気温が18℃を切るころから間隔をあけ始め、冬は水を止めて暖かく乾かしておきます。低い温度と湿った鉢が重なると、根や幹の付け根から傷みやすくなります。冬越しの温度の考え方はウィンゾリーの育て方やアンボンゲンセの育て方で詳しく扱っています。

光堂は冬に雨が降る地域の出身で、秋に葉を出して春まで育ち、夏に休みます。上の表の月を、ほぼそのまま半年ずらして読み替えます。夏は日陰の風通しのよい場所で乾かし、秋に新芽が動いてから少量で再開します。

ラベルに種名がなく、どの種類か分からないときは、葉を広げている季節がその株の生育期です。種類の見分け方はパキポディウムの種類に一覧があります。

株の大きさと状態で変わる水やり|実生苗・大株・未発根の株

同じ種類でも、株の大きさや根の状態で、水の加減は変わります。

  • 幹が数センチほどの実生苗:幹にためられる水が少なく、根も浅いので、生育期は土の表面が乾いたら与えるくらいが合っています。冬も完全には止めきらず、月に1回ほど、暖かい日の午前中に表面が湿る程度を与えて細い根を保ちます。幹が太るにつれて、少しずつ「中まで乾いてから」の間隔へ寄せていきます。種から育てる場合の最初の1年はパキポディウムの実生にまとめています。
  • 幹の太い大株:水をため込む力が強く、鉢も大きいぶん乾くまでに時間がかかります。中まで乾いてから1〜2日おいて与えてもかまいません。冬の断水にもよく耐えます。
  • 根を切って輸入された未発根の株:根がないあいだは、鉢の水を吸う手段がほとんどありません。根の張った株と同じ調子で与えると、土だけが長く湿り、株元から傷みます。暖かさを保ちながら、用土をごく軽く湿らせる程度にとどめ、根が出たのを確かめてから通常の水やりに移ります。手順はグラキリスの発根管理にあります。
  • 植え替えたばかりの株:切れた根の傷が乾くまで、1週間ほど水を待ちます。その後、少量から再開します。剪定で枝を切ったあとも、切り口が乾くまでは控えめにします。

迎えたばかりの株は、まず1週間ほど置き場所に慣らし、鉢の乾き具合を確かめてから与え始めると安心です。前の環境と同じ頻度が、自分の家でもそのまま合うとは限りません。

休眠に入るとき・明けるとき|水を止める順番と戻す順番

水やりでつまずきやすいのは、季節の変わり目です。日付ではなく、株が出す合図の順番で追います。

秋に止めるときは、次の順で進めます。

  1. 下の葉が黄ばみ始める:休眠に向かう合図です。間隔を2〜3週間に伸ばします。気温が下がった土は乾くのに時間がかかるので、夏と同じ量を与えると根が傷みます。
  2. 夜の最低気温が15℃を切る:屋外の株を室内の明るい窓辺へ取り込みます(寒さに弱い種類は18℃が目安)。
  3. 葉がほぼ落ちきる:ここで断水に踏み切ります。幹と棘、枝だけになるのが通常の休眠の姿です。

冬の明るい窓辺に置いた素焼き鉢のパキポディウム・グラキリス。葉が落ちて銀灰色の丸い幹と棘だけになり、用土は乾いている 葉が落ちきった株は、幹に蓄えた水で春を待ちます。この姿になったら水を止める合図です。(AIで生成したイメージです)

冬のあいだは、部屋の温度と葉の有無で決めます。10〜15℃ほどの部屋で落葉した株は、春まで水を止めます。水を切っておくほうが低温にも強くなります。暖房や育成ライトで15℃以上を保ち、葉を残したまま冬を越している株は、葉が水を使っているので、月に1〜2回、乾いてから少なめに与えます。冬越しの温度の考え方はグラキリスの冬越しにも詳しくまとめています。

断水中の幹に浅いしわが寄るのは、蓄えた水を使っているだけです。幹を軽く押して硬ければ、水を足さずに春を待って問題ありません。冬に水を戻して張りを取り戻そうとすると、動いていない根のまわりが湿ったままになります。

春に戻すときは、最低気温が安定して15℃を超え、枝先に新芽が見えてからです。芽が動く前の根はまだ水を吸えないので、暖かい日が続いたからといってたっぷり与えると、そこから傷みます。最初は表面が湿る程度を10日に1回ほどで始め、葉が開くにつれて量と回数を増やし、葉が出そろったころに生育期の与え方へ移ります。花芽が先に動く種類でも、同じく少量から始めます。

幹が柔らかくなってきたら水切れか腐りかは、押したときの硬さと時期で見分けられます。
パキポディウムが腐る原因と見分け方を見る →

水切れと過湿のサイン|しわ・葉の色・幹の硬さ

水の加減がずれたときは、葉と幹に表れます。同じ「しわ」「黄色い葉」でも、時期と押した感触で意味が変わります。

様子時期考えられること水やりの見直し
幹に浅いしわ、押すと硬い落葉した冬休眠中に蓄えた水を使っている足さずに待つ
幹に浅いしわ、葉がしおれる生育期水切れたっぷり与えて数日見る
下の葉から黄ばんで落ちる秋休眠に向かう自然な変化間隔をあけていく
葉が一斉に黄ばむ・土がいつも湿っている生育期過湿で根が傷んでいる水を止め、乾き方を確かめる
株元が柔らかく、押した跡が戻らない秋〜冬・梅雨に多い冷えや蒸れと湿りによる腐り水を止めて鉢から抜く

パキポディウムは、水が少なすぎて枯れることはめったにありません。幹が痩せても、生育期に水を戻せば張りは戻ります。いっぽう、冷えた土や蒸れた土が湿ったままの状態は、気づいたときには株元から腐りが進んでいることがあります。与えるか迷ったときは、もう2〜3日待つほうが安全です。

一種にしぼった水やりと落葉の見方はパキポディウム・グラキリスの育て方に、塊根植物というくくり全体の考え方は塊根植物・コーデックス入門にまとめています。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

パキポディウムの水やりは何日おきですか?

葉が茂る6〜9月は、鉢の中が乾いたらが目安で、晴天の屋外なら3〜5日に1回、室内や大きめの鉢では1週間ほどになることもあります。春の再開直後は10日に1回ほどの少量、秋に葉が黄ばみ始めたら2〜3週間に1回、落葉した冬はほぼ断水です。日数より、竹串や鉢の重さで乾いたのを確かめてから与えるほうが確かです。

冬は完全に断水していいですか?

葉が落ちきった株で、部屋が10〜15℃ほどなら、春まで止めてかまいません。例外は、幹が数センチほどの実生苗と、暖かい部屋で葉を残している株です。実生苗は月1回ほど暖かい日の午前に表面を湿らせ、葉の残る株は乾いてから少なめに与え続けます。

冬に葉が落ちないのですが、水は止めるべきですか?

葉が残っているあいだは、株がまだ水を使っています。いきなり止めず、間隔をあけながら、乾いてから少なめに与えます。15℃以上の暖かい部屋ではラメリーなどが葉を残したまま冬を越すことがあり、その場合は月1〜2回ほどの水で育て続けます。部屋が10℃前後まで下がるなら、水を減らしていくうちに自然に落葉するので、落ちきってから断水に切り替えます。

春はいつから水やりを再開しますか?

最低気温が安定して15℃を超え、枝先に新芽や花芽が動いてからです。最初の1〜2回は表面が湿る程度にし、葉が開くのに合わせて量を増やします。芽が動く前にたっぷり与えると、まだ水を吸える根がないまま土だけが湿り、傷む原因になります。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。