育て方

アンボンゲンセの育て方|白い花のパキポディウム、冬越しと水やり・用土の目安

木の縁側に置かれた素焼き鉢のパキポディウム・アンボンゲンセ。灰緑色のとっくり形にふくらんだ幹から、とげのある短い枝が数本伸び、枝先の葉の上に白い花が咲いている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

アンボンゲンセは、マダガスカル北西部の石灰岩の岩場にだけ自生する、白い花のパキポディウムです。暖かい季節に育ち冬に葉を落とす夏型で、春から秋はよく日に当てて鉢の中が乾いてから水を与えます。寒さには弱いほうなので、冬は水を止めて15℃前後を保てる明るい室内で越すと安心です。ワシントン条約の附属書Iに入る種類のため、株は出どころを説明できる国内の実生株から選びます。

パキポディウム・アンボンゲンセは、マダガスカル北西部の限られた岩場にだけ見られる、白い花のパキポディウムです。とっくり形にふくらむ灰緑色の幹と、枝先に開く大きな白い花が特徴で、国内で出会う機会はまだ多くありません。そのぶん日本語でまとまった育て方の情報も少ないため、この記事では自生地の環境から分かることと、資料のあいだで扱いが分かれることを分けながら、一年の育て方を順に整理します。属全体に共通する話はパキポディウムの育て方に、塊根植物全体の入り口は塊根植物のコラム一覧にまとめています。

アンボンゲンセはどんな植物か|石灰岩の岩場に育つ、白い花の種類

アンボンゲンセ(Pachypodium ambongense)は、マダガスカル北西部、ナモロカ周辺の石灰岩地帯に自生する種類です。尖った岩が林立する「ツィンギ」と呼ばれる地形の、岩の割れ目にたまった黒い腐植に根を張り、乾いた落葉樹林のなかで育ちます。知られている自生地は数か所しかなく、1920年代に記載されたあと長く姿が確かめられず、1990年ごろにあらためて見つかった、という経緯をもつ種類です。

株の姿は、次のようにまとめられます。

部分特徴
幹灰緑色で、とっくり形にふくらむ。やや横に平たくなることがある
枝下のほうから少なめに分かれ、まばらに伸びる
とげ枝に2本ずつ対になって付く、まっすぐな短いとげ
葉楕円形で、枝先にまとまって付く。裏に細かな毛がある
花白く、直径5cmほどまで。筒の部分は外側が淡い黄緑色

自生地では1〜2mほどになることもありますが、鉢で育てる株はずっと小ぶりで、幹がゆっくり太っていく姿を楽しむ種類です。とっくり形の幹と白い花という組み合わせは、同じく附属書Iに入る赤い花のウィンゾリーや、白い花でも背の低いイノピナツムと比べると違いが分かりやすくなります。ほかの種類との関係はパキポディウムの種類で一覧にしています。

白い花|乾いた季節が明けるころに咲く

花は、5枚の花びらが平たく開く白い花です。花の中心の筒は細長く、外側がうっすら黄緑色を帯びます。ひとつの花茎に1〜5輪ほどが付き、資料では「花付きのよい種類」と書かれています。

パキポディウム・アンボンゲンセの花。とげのある灰緑色の枝先の葉の間から、中心が淡い黄緑色の白い5弁の花が3輪開いている 枝先の葉の間から、白い花をまとめて咲かせます。(AIで生成したイメージです)

自生地では、長い乾季が明けて株が動き出すころに花を咲かせるとされています。日本で育てる場合は、休眠から覚めて新芽と葉が開いてくる春から初夏が、それにあたる時期と考えられます。ただし咲く時期は冬越しの温度や株の大きさで前後し、月まで決まった目安は資料に見当たりません。花が上がるのは幹に力のついた株で、小さな苗のうちは数年、葉だけで過ごすこともあります。

花付きはよい一方で、種を実らせるのがとくに難しい種類とも書かれています。花が咲いても実が付かないのはめずらしいことではなく、栽培の場で数が増えにくい理由のひとつになっています。

春から秋の置き場所と水やり|よく当てて、乾いてから

アンボンゲンセは、雨季と長い乾季がはっきり分かれる暑い土地の出身です。自生地の平均気温は27℃前後、日中は40℃近くまで上がります。暖かい季節に育ち、冬に葉を落として休む夏型として扱います。

時期置き場所水やりの目安
4〜5月室内の明るい窓辺。夜の最低気温が15℃を超えたら、屋外の半日陰から1〜2週間かけて慣らす新芽が動いたら、表面が湿る程度から再開
6〜9月雨の当たらない、風通しのよい日なた鉢の中まで乾いたら、鉢底から流れるまでたっぷり
10月日なた。夜の最低気温が18℃を切ったら室内へ気温が下がり始めたら間隔を伸ばす

日当たりは、日なたから明るい半日陰までが目安です。真夏の西日で幹が焼けるようなら、午後だけ日を和らげます。岩の割れ目に根を張る植物なので、鉢の中に水が長く残る状態は苦手です。梅雨の長雨に当てず、鉢のまわりに風が通る場所に置きます。

水やりは日付で決めず、葉が開いているかと鉢の中が乾いたかで判断します。資料では、育つ季節でも水は控えめにと書くものと、乾季明けにはたっぷり与えると書くものがあり、表現に幅があります。どちらにも共通するのは、湿ったままにしないことです。乾いてからたっぷり与え、次の水までは鉢の中がしっかり乾くのを待つ、というリズムが扱いやすいでしょう。乾き具合の確かめ方は塊根植物の水やりにまとめています。

同じく暖かめに冬を越す、赤い花の種類もとっくり形の幹が魅力で、寒さに弱い点もよく似ています。冬の温度の考え方は、ウィンゾリーの育て方にもくわしくまとめています。
ウィンゾリーの育て方を見る →

冬越し|水を止めて、15℃前後を目安に

アンボンゲンセは、寒さに弱いほうのパキポディウムです。秋に葉が黄ばんで落ち、幹と枝だけの姿で春を待ちます。

  1. 夜の最低気温が18℃を切りはじめる(9月下旬〜10月ごろ):屋外の株を室内の明るい窓辺へ取り込みます。
  2. 葉が黄ばんで落ち始める:水やりの間隔を2〜3週間に伸ばします。
  3. 葉がほぼ落ちきる:断水に切り替えます。枝だけになるのが通常の休眠の姿です。
  4. 春に新芽が動く(4〜5月):動きを確かめてから、少量の水で再開します。

冬の温度は、資料によって目安が分かれます。

  • 分かっていること:霜と凍結には耐えられない。冬は葉を落として休み、そのあいだは乾かして過ごさせる。
  • 資料で幅があること:完全に乾かしていれば10℃前後をしのぐとする資料がある一方、15〜20℃ほどで越すことをすすめる資料もある。

どこまで低い温度に耐えるかは株の大きさや状態でも変わるため、15℃前後を保てる明るい室内を目安にしておくと安心です。窓辺は夜に冷え込むので、寒い夜だけ窓から離します。暖房の温風が直接当たる場所は、幹が乾きすぎるので避けます。冬のあいだに幹が少し痩せるのは正常な範囲で、幹を軽く押して硬ければそのまま春を待ちます。種類ごとの温度の考え方は塊根植物の冬越しにまとめています。

用土と植え替え|水はけを第一に、春に

自生地では、石灰岩の割れ目にたまった腐植に根を張っています。鉢で育てるときも、水がすっと抜けて、根のまわりに空気が残る土が合います。

  • 用土は粒の粗いものを中心に:軽石や硬質赤玉土を多めにし、細かい土を少なくします。配合の考え方は用土の選び方にまとめています。
  • 酸性に寄せすぎない:石灰岩地の植物であることから、強い酸性の土は避けるとする資料があります。石灰質の小石を少し混ぜる育て方も紹介されています。
  • 鉢は通気のよいもの:素焼き鉢やスリット鉢が合います。
  • 時期と間隔:新芽が動き始めた4〜6月に、3年に1回ほどが目安です。鉢底から根が出てきた、水が染み込みにくくなったといった変化を見て決めます。
  • 植えたあとは水を待つ:根の切り口が落ち着くまで、数日から1週間ほどあけてから与えます。

とげが鋭いので、植え替えでは幹を新聞紙や厚手の布で包んで持つと扱いやすくなります。手順の流れは塊根植物の植え替え時期に、幹が柔らかくなった・枝先が黒ずんだといった変化の見分け方はパキポディウムのトラブルにまとめています。

株を選ぶときに|ワシントン条約の附属書Iに入る種類

パキポディウム属はすべての種類がワシントン条約(CITES)の対象で、なかでもアンボンゲンセは、バロニーやデカリーと並んで附属書Iに入っています。附属書Iの種類は、国をまたぐ商業取引がきびしく制限され、種も含めて扱われます。自生地が数か所しか知られていないことを考えると、野生から採られた株を求めるのではなく、国内で種から育てられた実生株を選ぶのが自然です。

実生株を選ぶときは、どこで種をとり、どう育てた株なのかを売り手が説明できるかを確かめておくと安心です。挿し木では根が出にくい種類とされ、増やし方は基本的に種からになります。種から育てる流れはパキポディウムの実生に、値段の幅や株の選び方はパキポディウムの値段で扱っています。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に扱っています。個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

アンボンゲンセの花は何色ですか?

白い花です。花びらは5枚で平たく開き、中心の筒の外側がうっすら黄緑色を帯びます。ひとつの花茎に1〜5輪ほどがまとまって付きます。背の低いパキポディウムには黄色い花の種類が多いため、白い花と、とっくり形の灰緑色の幹の組み合わせが見分けの手がかりになります。

冬は何℃あれば大丈夫ですか?

15℃前後を保てる明るい室内が目安です。完全に乾かした状態なら10℃前後をしのぐとする資料もありますが、15〜20℃ほどをすすめる資料もあり、扱いには幅があります。ほかの多くのパキポディウムより寒さに弱いと考えて、余裕をもって暖かく管理するほうが安心です。冬は水を止めて乾かしておきます。

グラキリスと同じ育て方で大丈夫ですか?

春から秋はよく日に当てて乾いてから水を与え、冬は葉を落として休ませる、という流れは同じです。違いは主に寒さへの強さで、アンボンゲンセは室内へ取り込む時期を早め、冬の温度も高めに保ちます。自生地が石灰岩の岩場なので、用土は水はけを優先し、強い酸性に寄せないようにします。グラキリスの扱いはグラキリスの育て方にまとめています。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。