育て方

コミフォラの発根管理|輸入株の見極め、30℃前後の温度と水、芽吹きから発根までの目安

紙のように剥がれる樹皮とこぶの多い短い枝をもつ、葉のないコミフォラの輸入株を、粗い軽石の用土に浅く据えた素焼き鉢。縁側の板の上に置かれている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

コミフォラの発根管理は、鉢の中を30℃前後に保ち、用土を湿らせっぱなしにしないことが軸です。届いたら重さと、薄い樹皮の下の緑色、枝のしわ、主根の切り口で見極め、枯れた枝と傷んだ根を落として乾かしてから、乾きやすい用土に浅く据えます。芽は早ければ数日〜2週ほどで動きますが、根が張るのはその後で、株がぐらつかなくなるまで1〜2か月以上みておきます。つまずきやすいのは、発根した年の最初の冬です。

コミフォラの発根管理は、根を切った状態で輸入されたコミフォラの株に、新しい根を出させるまでの過ごし方のことです。手順の骨組みは塊根植物どれも同じで、それは塊根植物の発根管理にまとめています。この記事では、そこにコミフォラならではの事情を重ねて、届いた株の見極め方、下処理と用土、温度と水、芽吹きと発根の見分け方、そして発根した年の最初の冬までを順にまとめました。

コミフォラの発根管理で、ほかと違うところ

コミフォラは、アフリカ東部やマダガスカル、アラビア半島などの乾いた土地に育つカンラン科の低木です。樹脂が没薬(ミルラ)の原料になる仲間で、枝や切り口からは独特の香りがします。輸入株として出回るのは、カタフ、モンストローサ、アフリカーナ、ハベシニカなど種類が多く、どれも夏に育つ夏型です。発根管理の面では、次の3つのくせを押さえておくと迷いが減ります。

  • 生きているかを樹皮の下の色で見られる:多くの種類は、紙のように薄く剥がれる樹皮の下に、緑色の層を持っています。パキプスのような厚いコルク質の幹と違い、内側の状態を確かめる手がかりが表に近いところにあります。
  • 芽が動くのが早い:暖かい場所に置くと、早ければ数日〜2週ほどで枝先から小さな葉が出ます。根が張るのはそれより後で、このずれの間の水の与え方がいちばんのつまずきどころです。
  • 枝を挿しても根が出やすい仲間:国内で殖やされる株の多くが挿し木なのはそのためです。下処理で切った健全な枝を挿しておく、という手の打ち方ができます。

迎える前に、ベアルート(土を落とした状態)で届く株全般の選び方を知っておきたい場合はベアルート株の選び方が参考になります。

届いた株の見極め|重さ・樹皮の下・枝・主根

発根を待てるかどうかは、株に残っている体力で決まります。コミフォラは幹が細めの種類も多く、押して硬さを比べるより、次のところを順に見るほうが確かです。

見るところ待てる状態手当てが要る状態
持ったときの重さ大きさのわりにずっしりしている見た目より軽く、乾いた枝のよう
樹皮の下の色剥がれかけた皮の下が緑〜黄緑茶色く乾いている
枝張りがあり、曲げると弾力がある縦にしわが寄り、ぽきっと折れる
主根の切り口乾いて白〜薄茶色、香りがある黒い・ぬめる・酸っぱいにおい

樹皮の下の色は、コミフォラでいちばん頼りになる手がかりです。すでに剥がれかけている皮の下をのぞくか、目立たない枝の付け根を爪でほんの少しこすって、緑色の層が見えれば幹は生きています。広く削る必要はありません。

紙のように薄く剥がれたコミフォラの樹皮の下に、緑色のなめらかな層がのぞいている幹の様子 薄い樹皮の下に緑色の層が見えれば、幹はまだ生きています。(AIで生成したイメージです)

枝は、縦にしわが寄って折れるものは枯れています。細い枝先が少し枯れているのは輸送のあいだによくあることで、幹に近い太い枝に張りがあれば待てる株です。主根の切り口や幹の底に湿った部分、沈む部分があるときは、清潔な刃物で健全な組織が出るまで削ります。

下処理と用土|枯れ枝を落とし、乾かして、浅く据える

  1. 主根を整える:黒い部分、つまむと崩れる部分は落とし、切り口が白〜薄茶色の健全な組織になるところまで切り戻します。張りのある太い根は残します。
  2. 枯れた枝を切り戻す:しわの寄った枝は、緑色の層が見えるところまで戻します。根のないあいだに枝から水が抜けていくのを減らす意味もあります。
  3. 切り口を乾かす:風通しのよい明るい日陰で、切り口が乾いて固まるまで1〜数日おきます。

切り戻した枝のうち、緑色の層があって張りのあるものは、乾きやすい用土に挿しておくと根が出ることがあります。親株がうまくいかなかったときの控えになり、うまくいけば同じ姿の株がもう一つ育ちます。

殺菌剤への浸け置きや発根促進剤は、使わなくても発根管理はできます。使う場合は表示どおりの濃さと時間を守ります。濃すぎる液や長すぎる浸け置きは、切り口を傷める原因になります。

用土は、軽石や硬質赤玉土を主体にした、肥料を含まない乾きやすい配合が向きます。コミフォラは根のないあいだに用土が湿りっぱなしになるのを嫌うので、保水の強い土を多く混ぜないほうが安全です。肥料も、根が張るまでは入れません。切り口が軽く埋まる深さに浅く据え、株がぐらつかないよう用土をしっかり詰めます。配合の考え方は用土の選び方にあります。

温度と水|鉢の中を30℃前後に、湿らせっぱなしにしない

コミフォラの根が動きやすいのは、鉢の中が30℃前後まで上がる環境です。育てる人のあいだでは30〜35℃ほどを保って進める例が多く、気温が足りない時期に始めると、芽も根も動かないまま時間が過ぎがちです。鉢の中は水が蒸発するぶん気温より低くなりやすいので、用土に差し込める温度計で確かめると状態がはっきりします。

方法向く時期水の与え方気をつけたいところ
屋外の土耕6月下旬〜8月用土が乾いたら与えて、また乾かす強い直射は遮光して和らげる
ヒーターマット5月〜9月、加温すれば通年用土が乾いたら与えて、また乾かす室内ならライトと送風を足す
加温した腰水5月〜9月鉢底をごく浅く浸ける水位は低く。温度が下がったら上げる

いちばん素直なのは、真夏の屋外です。日中の気温が高く、夜も下がりにくい時期なら、鉢の中も自然に温まります。ヒーターマットは、春や初秋のように気温が足りない日が混じる時期に、鉢の中の温度を底上げする方法です。室内で使うなら、育成ライトで光を足し、送風機で空気を動かして、用土の表面が乾く時間をつくります。選び方は植物育成ライトの選び方とサーキュレーターの選び方にあります。

腰水で進める例もよく見かけます。その場合は、水位を主根の切り口に届かない程度に低く保ち、水が濁ったら替え、温度が下がる日は鉢を上げて休ませるのが前提です。温度が足りないまま用土だけが湿っている状態が、コミフォラでいちばん傷みやすい組み合わせです。

枝や幹が乾きすぎるのが気になる場合は、朝に霧吹きで枝を軽く湿らせる程度にとどめます。株に直接強い風を当て続けると、根のない株から水が抜けやすくなるので、空気がゆるく動くくらいにします。

芽吹きから発根まで|葉が出ても、まだ根とは限らない

鉢の中の温度が足りている場合の、おおまかな流れです。種類と株の大きさで幅があり、太い株ほど時間がかかる傾向があります。

段階日数の目安株の様子水
下処理・乾燥植える前の1〜数日切り口が乾いて固まる与えない
芽が動く植えてから数日〜2週ほど枝先に小さな葉が出る乾いたら控えめに
根が出はじめる3〜6週ほど葉が落ちずに増え、新しい枝が伸びる乾いたら与えて、また乾かす
根が張る1〜2か月以上株がぐらつかなくなる生育期の与え方へ寄せる

素焼き鉢の軽石の用土に据えたコミフォラの枝先から、小さなぎざぎざの若葉が出はじめ、用土に温度計が差し込まれている 枝先の若葉は、幹の蓄えで先に出ることがあります。発根は株のぐらつきで確かめます。(AIで生成したイメージです)

コミフォラは芽吹きが早いぶん、葉が出たのを発根と取り違えやすい植物です。葉は幹と枝の蓄えだけでも出るので、発根は次のところで確かめます。

  • 株を指で軽く押す:ぐらつかず、鉢に固定されているように感じれば、根が用土をつかんでいます。
  • 新しい枝が伸びる:葉が増えるだけでなく、枝そのものが伸びはじめれば、根から水が上がっています。
  • 用土の乾きが早くなる:同じ条件で水の減りが目に見えて早くなったら、根が水を吸いはじめた合図のひとつです。

鉢底の穴から白い根がのぞけば確かですが、掘り返して確かめるのは控えます。出はじめの根は細く、株を抜くだけで切れてしまいます。

うまくいかないときのサインと手当て

様子考えられること手当て
出た葉が黄ばんで落ちる根がまだない・温度が足りない水を控え、鉢の中の温度を確かめる
3〜4週たっても芽が動かない温度不足・消耗温度を見直し、樹皮の下の緑を確かめる
主根の切り口がにおう・湿っている切り口からの傷み抜いて健全な組織まで削り、乾かし直す
枝が先から順に茶色くしなびる蓄えの消耗・低温緑の層が残るところまで切り戻し、暖かい場所へ

芽が動かないときは、まず温度を疑います。気温は足りていても、用土の中が25℃に届いていないことがよくあります。主根に傷みが出たときは、鉢から抜いて削り、乾かしてから植え直します。そのあとは株の体力が落ちているので、温度がそろうまで水は控えめに保ちます。幹の樹皮の下に緑が残っていれば、もう一度芽が動くのを待てます。

発根した年の秋と冬|根の浅い1年目がいちばん傷みやすい

コミフォラでよく聞く失敗は、夏に発根したのに、冬の室内で根が傷んでいたというものです。発根した年の根はまだ浅く少なく、気温が下がって吸う力が落ちたところに用土の湿りが続くと、そこから傷みます。

  • 秋は少しずつ水を減らす:多くの種類は気温が下がると葉を落とします。葉が減るのに合わせて間隔をあけ、落ちきったら用土の表面が湿る程度に控えます。
  • 冬は明るく、なるべく暖かく:根の浅い1年目は、最低気温に余裕を持たせて10〜15℃以上を目安に置きます。冬の置き場所の考え方は塊根植物の冬越しにまとめました。
  • 風を止めない:室内の冬は用土が乾きにくくなります。空気がゆるく動く場所に置くと、用土の湿りが長引くのを防げます。
  • 肥料と植え替えは翌春から:細い根に肥料はまだ強すぎます。鉢を替えるのも、翌春に芽が動いてからにします。

翌春に新しい枝が伸び、ぐらつかないまま夏を越せれば、そこから先は根の張った株と同じ扱いになります。

ほかの種類の発根管理と、実生という選び方

同じ現地球でも、根が動く温度や迷いどころは種類で少しずつ違います。厚いコルク質の幹で傷みが見えにくいオペルクリカリアはパキプスの発根管理に、根がなくても葉を出すパキポディウムはグラキリスの発根管理にまとめています。

発根管理を経ずに迎えたい場合は、種から育ち、太くなる主根を持つ実生株という選び方もあります。挿し木株・現地球との違いや、苗の冬越しはコミフォラの実生にあり、札に書かれた「実生」「現地球」の意味は実生株と輸入株の違いで整理しています。

発根管理の基本から確かめる塊根植物に共通する、届いた株の整え方、温度と水、発根の確かめ方と失敗のサインを順にまとめています。
塊根植物の発根管理を見る →

縁側では、塊根植物とあわせて、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。塊根植物というくくり全体の話は塊根植物(コーデックス)とはにあります。

よくある質問

コミフォラの発根管理には、どのくらいの日数がかかりますか?

鉢の中が30℃前後に保てている場合で、芽が動くまでが数日〜2週ほど、株がぐらつかなくなるまでが1〜2か月以上がひとつの目安です。種類と株の太さで幅があり、太い株ほど時間がかかる傾向があります。温度が足りないまま始めると、芽も根も動かないまま時間が過ぎがちです。

腰水で発根管理してもいいですか?

腰水で進める方法もあります。その場合は、水位を主根の切り口に届かない程度に低く保ち、水が濁ったら替え、温度が下がる日は鉢を上げて休ませます。温度が足りないまま浸け続けると切り口から傷みやすいので、加温の用意がなければ、真夏の屋外で乾いたら与えてまた乾かす方法が失敗の少ない選び方です。

葉はたくさん出たのに、株がぐらつきます。発根していますか?

まだ根が張っていない可能性が高い状態です。コミフォラは幹と枝の蓄えで先に芽を動かすので、葉の量は発根の目安になりません。水は控えめにして温度を保ち、株がぐらつかなくなる、新しい枝が伸びはじめるといった変化を待ちます。

秋に未発根のコミフォラを迎えたら、どうすればいいですか?

ヒーターマットなどで鉢の中を30℃前後に保ち、光と風を用意できるなら秋冬でも進められます。その用意がなければ、枯れ枝と傷んだ根の下処理と切り口の乾燥だけ済ませ、明るく暖かい室内で乾かし気味に春を待つほうが株は持ちます。樹皮の下の緑と枝の張りが保たれていれば、待つことができます。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

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