育て方

ドルステニア・フォエチダの育て方|置き場所・水やり・冬越しと増え方

木の縁側に置いた素焼き鉢のドルステニア・フォエチダ。ずんぐり太った短い幹の上に波打つ細長い葉が広がり、ヒトデのような形の小さな花がいくつも立ち上がっている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ドルステニア・フォエチダは、ずんぐりした幹とヒトデのような花をもつ夏型の塊根植物です。春から秋は明るい場所で、土が乾いたらたっぷり水を与えます。冬は最低10℃を目安に明るい室内へ取り込み、水は控えめに。丈夫で花もよく咲き、熟した種が飛んで鉢のまわりから芽が出るほど増えやすいのが特徴です。

ドルステニア・フォエチダ(Dorstenia foetida)は、アラビア半島から東アフリカにかけての乾いた岩場に自生する、クワ科の小さな塊根植物です。根元がずんぐりと太り、そのてっぺんから細長い葉と、ヒトデのような形の不思議な花を次々に出します。「フォエティダ」と表記されることもあります。

塊根植物のなかでは丈夫で育てやすく、花もよく咲くため、最初の一株として迎えられることの多い種類です。この記事では、置き場所、水やり、冬越し、用土と植え替え、花と種の扱い、調子を崩したときのサインまでを順にまとめます。塊根植物全体の考え方は塊根植物・コーデックス入門にあります。

ドルステニア・フォエチダとは|ヒトデのような花を咲かせる小さな塊根

フォエチダの株は、手のひらに収まるくらいの大きさで落ち着くことが多い植物です。幹は灰色がかった緑色から褐色で、年数とともに根元がとっくりのように太っていきます。大きく育つ同属のドルステニア・ギガスに比べると、小ぶりなまま締まった姿を楽しむ種類です。

いちばんの見どころは花です。平たい円盤(花托)のふちから、細い突起が放射状に伸び、ヒトデや星のような形になります。円盤の表面に見える細かな粒が、ひとつひとつの小さな花の集まりです。生育期には次々と咲くので、葉の間から花が立ち上がる様子を長く眺められます。

名前の「foetida」は「においのある」という意味のラテン語ですが、鉢を置いていて気になるほどのにおいはほとんどありません。葉の形には、細長く波打つもの、幅の広いものなど個体差や変種による違いがあり、流通名にも幅があります。

生育型は夏型です。暖かい季節に葉を広げて育ち、気温が下がると葉を落として休みます。傷をつけると白い乳液が出るので、植え替えや剪定のあとは手を洗っておきます。

ヒトデのような形をしたドルステニア・フォエチダの花のアップ。平たい緑の円盤のふちから細い突起が放射状に伸びている 円盤のふちから細い突起が伸びる、フォエチダの花。(AIで生成したイメージです)

一年の流れ|季節ごとの置き場所と水の目安

先に一年の流れを見ておくと、それぞれの管理がつながりやすくなります。地域や置き場所の温度で前後するので、月は目安です。

季節株の様子置き場所水やり
春(4〜5月)新しい葉が出はじめる最低気温15℃前後で屋外へ。半日陰から慣らす芽を見てから少量で再開
夏(6〜9月)葉と花が次々に出る明るい屋外。真夏の強い西日は避ける土が乾いたらたっぷり
秋(10〜11月)葉が黄ばみはじめる最低気温10℃前に室内へ間隔を少しずつ空ける
冬(12〜3月)葉を落として休む株が多い明るい室内。最低10℃が目安月1〜2回、少量

置き場所|明るさは好きだが、真夏の強光は少しやわらげる

フォエチダは日当たりのよい場所でよく育ちます。光が足りないと、葉の間隔が開いて茎がひょろりと伸び、花つきも落ちます。春から秋は、屋外の明るい場所が基本です。

  • 春:最低気温が15℃前後を超えるようになったら外へ出します。冬を室内で過ごした株は、最初の1〜2週間を半日陰で慣らしてから日なたへ移すと、葉焼けを防げます。
  • 夏:日差しには比較的強い植物ですが、小さな鉢は真夏に熱を持ちやすく、葉先が焼けることがあります。午後の強い西日が当たる場所なら、遮光ネットで少しやわらげるか、午後だけ日陰になる位置に置きます。コンクリートへの直置きは避け、棚の上で風を通します。
  • 雨:生育期の雨にはそれほど弱くありませんが、長雨で土が乾かない日が続くときは軒下へ寄せます。
  • 秋:最低気温が10℃を下回りはじめる前に室内へ取り込みます。

室内で育てる場合は、南向きの窓辺のようにできるだけ長く日が入る場所を選びます。光が足りないと感じたら、植物用の育成ライトを足すと姿が締まります。選び方は育成ライトの選び方に、室内の空気を動かす工夫はサーキュレーターにまとめています。

水やり|生育期はたっぷり、休眠中は控えめに

水やりは、葉が出ているかどうかで切り替えます。

  1. 春(動き出し):新しい葉や花芽が見えてから再開します。最初の数回は土が軽く湿る程度にし、葉が増えるのに合わせて量を増やします。
  2. 夏(生育期):土が中まで乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。小さな鉢は乾きが早いので、真夏は乾き具合をこまめに確かめます。受け皿にたまった水は捨てます。
  3. 秋:葉が黄ばみはじめたら、少しずつ間隔を空けます。気温が下がった土は乾きが遅くなるので、夏の調子で与え続けないようにします。
  4. 冬(休眠期):葉が落ちたら控えめにします。ただし何か月も完全に水を切ると細い根が傷みやすいので、暖かい日の午前中に、表面が湿る程度の少量を月1〜2回与えます。

室温が高く明るい場所では、冬も葉を残したまま過ごす株があります。その場合は葉が働いているぶん、土が乾いたら少し多めに与えて構いません。乾いたかどうかは、鉢の軽さか、挿した竹串の湿り気で確かめます。ほかの塊根植物との違いは塊根植物の水やりにまとめています。

肥料は生育期(5〜9月)に、規定より薄めた液体肥料を月1〜2回ほど。休眠期は与えません。使い分けは塊根植物の肥料を参照してください。

冬越し|最低10℃を目安に、明るい室内で

フォエチダは、ドルステニアの仲間のなかでは寒さにやや耐える部類とされますが、霜や凍結には耐えられません。冬は室内で管理します。

  • 温度:最低10℃前後を目安にします。5℃前後まで下がる場所では、幹が傷むおそれが高くなります。
  • 光:葉を落とした株でも、日の当たる窓辺に置きます。日中に鉢と幹が温まると、夜の冷え込みに耐えやすくなります。
  • 窓辺の夜:窓ガラスの近くは、夜に室温より数℃下がります。冷え込む夜は部屋の内側へ寄せます。
  • 暖房:エアコンの温風が直接当たると、幹も土も一気に乾きます。風の当たらない位置を選びます。

冬に葉が落ちても、幹を指で押して硬く締まっていれば休んでいるだけです。春に最低気温が15℃前後まで上がり、新しい芽が見えたら、水やりを少しずつ戻していきます。種類ごとの冬の置き場所は塊根植物の冬越しが参考になります。

冬の置き場所と水の量を、ほかの塊根植物と並べて夏型と冬型の違い、種類別の最低温度、室内での置き場所を一覧にしています。フォエチダと同じ棚に並ぶ株の冬支度もあわせて確認できます。
塊根植物の冬越しを見る →

用土と植え替え|水はけを優先し、春から初夏に

用土は水はけと通気を優先します。配合の一例は、赤玉土小粒を5割、軽石小粒を3割、日向土を2割ほど。有機質の多い土は乾きが遅くなるので控えめにします。組み方は用土の選び方にまとめています。

鉢は素焼き鉢やスリット鉢のように、乾きやすいものが扱いやすいです。大きさは幹の太さよりひと回り大きい程度で十分で、大きすぎる鉢は土が乾かず根が傷む原因になります。鉢選びは鉢の選び方も参考になります。

植え替えは2年に1回ほど、新しい葉が動き出した4〜6月に行います。

  1. 植え替えの1週間ほど前から水を控えて、土を乾かしておく。
  2. 鉢から抜いて古い土を軽く落とし、黒く柔らかくなった根を取り除く。
  3. 乾いた新しい用土に植え付ける。幹の太った部分は埋めすぎず、根元が少し見える高さに。
  4. 植え付け後5日ほどは水を控え、根の傷が乾いてから再開する。

鉢底から根が出ている、水がしみ込みにくくなった、といった様子が植え替えの合図です。時期の見極め方は塊根植物の植え替え時期にあります。

花と種|こぼれ種で、鉢のまわりから芽が出る

フォエチダは、ひとつの株だけで種ができやすい植物です。花が咲き終わると、円盤の中で種が熟し、熟した種を勢いよくはじき飛ばします。そのため、親株の近くに置いた別の鉢から、まいた覚えのない小さな芽が出てくることがよくあります。

増やしたいときは、そのこぼれ種の芽を育てるのがいちばん手軽です。本葉が数枚出て根が張ってきたら、小さな鉢に移します。種から育った株は、小さいうちから根元がふくらみはじめ、フォエチダらしい姿になっていきます。

一方で、ほかの塊根植物の鉢にまで芽が出るのが困る場合は、次のような扱いができます。

  • 咲き終わった花を、種が熟す前に摘み取る。
  • 親株を、ほかの鉢から少し離して置く。
  • 見つけた芽は、小さいうちに抜くか、別の鉢へ移す。

花をたくさん咲かせると株の力を使うので、植え替え直後や調子が落ちている株は、花を早めに摘んで休ませる方法もあります。

調子を崩したときのサイン

不調は、多くが「寒さ」「水の過不足」「光不足」のどれかから出ます。幹の硬さと鉢の重さを確かめると、見当がつきます。

  • 秋に葉が黄ばんで落ちる:気温が下がったことによる休眠入りです。水を減らし、室内へ取り込みます。
  • 夏に葉が黄色くなる:水切れか、水の多すぎ。鉢が軽ければ水を、重いままなら乾くまで待ちます。
  • 茎が細長く伸び、葉の間隔が開く:光が足りていません。より明るい場所へ移すか、ライトを足します。
  • 幹が柔らかい・黒ずむ:腐りのサインです。低温と湿った土が重なると起きやすくなります。水を止め、鉢から出して傷んだ部分を確かめます。
  • 葉裏に細かい点、葉がかすれる:ハダニです。乾いた高温で増えるので、葉裏に水をかけて風を通します。
  • 茎の付け根に白い綿や殻のようなもの:カイガラムシの類です。数が少ないうちに綿棒などで取り除きます。

塊根植物を迎えるときの株の選び方は、実生株と輸入株の違いにまとめています。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

ドルステニア・フォエチダは冬に何℃まで耐えられますか?

最低10℃前後を目安にすると安心です。霜や凍結には耐えられず、5℃前後まで下がる場所では幹が傷むおそれが高くなります。冬は明るい室内の窓辺に置き、夜は窓ガラスのそばの冷え込みを避けます。

冬に葉が全部落ちました。枯れたのでしょうか?

気温が下がって休眠に入っただけのことが多いです。幹を指で押して硬く締まっていれば生きています。水を控えめにし、明るい室内で春を待ちます。幹が柔らかくなっていたり黒ずんでいたりする場合は腐りの可能性があるので、鉢から出して確かめます。

ほかの鉢から小さな芽が出てきました。これは何ですか?

フォエチダのこぼれ種から出た芽の可能性が高いです。熟した種を勢いよくはじき飛ばす性質があり、近くの鉢に入って発芽します。育てたい場合は本葉が数枚出てから小さな鉢に移し、不要なら小さいうちに抜いておきます。

花が咲いたら摘んだほうがよいですか?

元気な株なら、咲かせたままで問題ありません。種を増やしたくない場合や、植え替え直後で株を休ませたい場合は、咲き終わった花を種が熟す前に摘み取ります。

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縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

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