育て方

塊根ペラルゴニウムの育て方|冬に育ち夏に休む水やり・置き場所・用土

縁側の板の上に置いた素焼き鉢の塊根ペラルゴニウム。ごつごつした灰褐色の幹から短い枝が広がり、枝先に縁の波打つ銀緑色の丸い葉が集まっている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

塊根ペラルゴニウムの多くは、南アフリカ西部からナミビアの冬に雨が降る土地に育つ冬型です。秋に葉を出して春まで育ち、晩春に葉を落として夏を休みます。秋〜春は日なたで、土が中まで乾いたら鉢底から流れるまでたっぷり。夏は雨の当たらない風通しのよい明るい日陰で、断水か月1回ほどの少量にします。冬は5℃を下回らない日当たりのよい場所に置きます。パキポディウムなど夏型の塊根植物とは、水を与える季節がちょうど反対です。

塊根ペラルゴニウムは、ゼラニウムと同じフウロソウ科ペラルゴニウム属のうち、幹や根が太って水を蓄える種類をまとめた呼び名です。ごつごつした幹が低く広がるミラビレやカルノーサム、地中に芋のような塊根をつくるトリステやアペンディクラツムなど、姿はさまざまですが、流通する種類の多くに共通するのは秋から春に育ち、夏に葉を落として休む冬型だということです。この記事では、この一年のリズムを軸に、季節ごとの水やり、置き場所と温度、用土と植え付け、夏の休眠の過ごし方を順にまとめました。塊根植物というくくり全体の考え方は塊根植物(コーデックス)とはにあります。

塊根ペラルゴニウムとは|冬に雨が降る土地のフウロソウ科

ペラルゴニウム属は南部アフリカを中心に200種以上が知られ、花壇でおなじみのゼラニウムもこの仲間です。そのなかで、南アフリカ西部からナミビアにかけての、冬に雨が降り夏は乾ききる地域に育つ種類の一部が、乾季を越すために幹や根を太らせました。園芸で「塊根ペラルゴニウム」と呼ばれるのはこのグループです。

太るところで、おおきく2つのタイプに分けると育て方を考えやすくなります。

タイプ主な種類姿育て方で違うところ
幹が太るタイプミラビレ、カルノーサム、アルテルナンス、エキナツム地上の幹や枝が太く、ごつごつする。枝先に葉を出す幹を地上に出して植える。幹ぶりを楽しむ
地中に芋をつくるタイプトリステ、アペンディクラツム地上には葉と花茎だけ。芋は土の中芋の頭を用土の表面近くに据える。夏は地上部がすっかり消える

素焼き鉢が2つ並ぶ。左はごつごつした幹が立ち枝先に丸い葉をつけた株、右は用土の表面にのぞく茶色い芋から細かく切れ込んだ葉が広がる株 左が幹の太るタイプ、右が地中に芋をつくるタイプ。どちらも秋から春に葉を広げます。(AIで生成したイメージです)

トリステは、細かく切れ込んだ柔らかな葉と、夕方から夜に香る地味な色の花で知られます。アペンディクラツムは毛の多い葉と淡い黄色の花をつけます。エキナツムは、葉柄の付け根が残ってとげのように見える幹が特徴です。同じフウロソウ科で、乾いた地域に育つ仲間にはサルコカウロンもあります。

冬型の一年|夏型の塊根植物と季節が反対

日本で流通する塊根植物の大半は、パキポディウムやアデニウムのような夏型です。塊根ペラルゴニウムはその反対で、暑さが和らぐ秋に動き出し、冬から春に育ち、気温が上がる晩春に休みに入ります。同じ棚で夏型と並べている場合、夏に水を欲しがるのは夏型だけで、塊根ペラルゴニウムは休ませる番になります。

時期株の様子管理の中心
9〜10月枝先や芋の頭から新しい葉が動き出す少量から水を再開。植え替えの適期
11〜2月葉を広げて育つ。花をつける種類も日なたで乾いたらたっぷり。5℃以上を保つ
3〜4月まだ育つ。花の盛りになる種類も多い引き続き日なた、水は乾いたら
5〜6月葉が黄ばみ、落ちはじめる水の間隔をあけていく
7〜8月葉がなく休む(芋のタイプは地上部が消える)明るい日陰で風を通し、断水か控えめに

葉が出る時期と落ちる時期は、種類や置き場所の温度で1か月ほど前後します。カレンダーより、葉があるかどうかを合図に管理を切り替えるのが確実です。同じ冬型のチレコドンやオトンナ・ユーフォルビオイデスとも、季節の考え方は共通しています。

季節ごとの水やり|葉のあるあいだだけ、乾いたらたっぷり

水やりの基本は塊根植物どれも同じで、葉が茂っているあいだは、土が中まで乾いてから鉢底から流れるまで与え、葉を落としたらほぼ止める、です。塊根ペラルゴニウムでは、その「たっぷり」の時期が秋から春になります。

時期頻度の目安与え方
9〜11月(芽が動く)10日に1回ほどから新芽を確かめてから、土の表面が湿る程度で再開。葉が開くにつれて増やす
12〜3月(葉が茂る)1〜2週間に1回中まで乾いてから鉢底から流れるまで。暖かい日の午前中に
4〜5月(葉の色がさめる)2〜3週間に1回へ量も少しずつ減らす
6〜8月(休眠)断水〜月1回月1回なら涼しい日の夕方に、土の表面が湿る程度

表の日数は、日当たりと風通しのよい場所に、素焼き鉢と水はけのよい用土で置いたときの目安です。冬の室内や大きめの鉢では乾くのに日数がかかるので、日数より「中まで乾いたか」を合図にします。冬は、与えた水が夜までに鉢の中で冷えたままにならないよう、晴れた日の午前中に与えるのが落ち着きます。

いちばん迷いやすいのは秋の再開です。暦が9月になっても、日中が30℃近い日が続くうちは株はまだ休んでいます。夜の最低気温が20℃を下回るようになり、枝先や芋の頭に新芽がのぞいてから少量で始めると、蒸らして傷めることがありません。根のない状態から根を出させる場合の始めどきも同じ考え方で、詳しくはミラビレの発根管理にまとめています。塊根植物の水やり全体の考え方は塊根植物の水やりにあります。

置き場所と温度|秋〜春は日なた、冬は5℃を下回らない場所

生育期の秋から春は、できるだけ日に当てます。光が足りないと、新しい枝や葉柄がひょろりと伸び、幹の締まった姿が崩れます。秋のうちは屋外の雨の当たらない日なた、冷え込んできたら室内の南向きの窓辺など、日中長く日が入る場所が合います。日照の足りない部屋では、育成ライトで補う方法もあります。

自生地は日本ほど冷え込まないので、寒さそのものには強くありません。目安は**最低5℃**で、夜の最低気温が5℃を下回る予報が出たら室内へ取り込みます。霜と凍結にはどの種類も耐えられません。一方で、冬型だからといって暖房で暖めすぎる必要はなく、昼は15〜25℃ほど、夜はぐっと冷えるくらいの、秋から春らしい温度差のある環境がよく育ちます。窓辺では夜に窓際がいちばん冷えるので、寒い夜だけ窓から少し離します。冬の置き場所の考え方は塊根植物の冬越しにもまとめています。

用土と植え付け|幹のタイプと芋のタイプで据え方が違う

用土は、軽石や硬質赤玉土を主体にした、水はけのよい粒の粗いものが扱いやすく、腐葉土などの有機質は少なめにします。冬の低い気温のなかで水を与える植物なので、湿りが長く残らないことがいちばん大切です。鉢は根の量に合わせて小さめを選び、乾きの早い素焼き鉢がよく合います。配合の考え方は用土の選び方にあります。

  • 幹が太るタイプ:幹は地上に出し、根の部分だけを用土に埋めます。幹の根元が湿った用土に深く埋まっていると、そこから傷みやすくなります。
  • 地中に芋をつくるタイプ:芋の頭が用土の表面近くに来るように浅めに据えます。自生地では土の中にある芋ですが、鉢では深く埋めると夏の休眠中に蒸れやすくなります。芋を少しのぞかせて楽しむ育て方もあります。

植え替えは、**秋に芽が動き出すころ(9〜10月)**が適期です。休眠明けの根がこれから伸びる時期に合わせると、植え替えの傷みが少なく済みます。根を整理したら、切り口を乾かすために植え付け後1週間ほどは水を与えません。肥料は、生育期に薄めた液体肥料をときどき与える程度で足ります。与えすぎると幹が締まらず、枝が間延びします。植え替えの手順そのものは塊根植物の植え替えと共通です。

夏の休眠の過ごし方|断水しきるか、ごく控えめか

晩春に葉が黄ばんで落ちはじめたら、水の間隔をあけていき、葉が落ちきったら休眠です。夏の置き場所は、雨の当たらない、風の通る明るい日陰です。強い西日や、熱のこもるベランダの床の上は避けます。

葉をすべて落としたごつごつした幹の塊根ペラルゴニウム。すだれのかかった軒下の明るい日陰で、乾いた用土の素焼き鉢が縁側の板に置かれている 夏の休眠中は、すだれ越しの明るい日陰で風を通し、土を乾かし気味に保ちます。(AIで生成したイメージです)

水は、根の張った大きな株なら断水で越すこともできます。根の浅い若い株や小さな株は、月1回ほど、涼しい日の夕方に土の表面が湿る程度を与えると、細い根が枯れきらずに秋を迎えやすくなります。どちらの場合も、暑い日中に水を与えて鉢の中を蒸らす組み合わせは避けます。

休眠中の株を見て、枯れてしまったと心配になることがあります。幹のタイプは、幹を指で押して硬く張りがあれば休んでいるだけです。芋のタイプは地上に何も残らないので、鉢ごと処分してしまわないよう、ラベルを立てておくと安心です。秋に新芽が出るまでは、掘り返して確かめずに待ちます。

同じ冬型の育て方を見る秋〜春に育ち夏に休む株の、季節ごとの水やりと夏の断水の加減、置き場所と最低温度をまとめています。
チレコドンの育て方を見る →

縁側では、塊根植物とあわせて、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

夏に葉が全部落ちました。枯れてしまったのでしょうか?

冬型の塊根ペラルゴニウムにとって、夏に葉を落とすのは休眠に入った合図で、枯れたわけではありません。幹を指で押して硬く張りがあれば休んでいるだけです。水は断水か月1回ほどの少量にして、雨の当たらない風通しのよい明るい日陰で秋を待ちます。幹が柔らかく沈む、黒ずんでいる場合は、蒸れて傷んでいる可能性があります。

室内だけで育てられますか?

生育期の秋から春に、南向きの窓辺など日中長く日が入る場所があれば育てられます。光が足りないと枝や葉柄が間延びしやすいので、日照の足りない部屋では育成ライトで補います。冬は夜の窓際の冷え込みに気をつけ、5℃を下回らないようにします。暖めすぎるより、昼と夜の温度差がある環境のほうが株は締まります。

植え替えはいつがいいですか?

秋に新芽が動き出す9〜10月が適期です。休眠明けで根がこれから伸びる時期に合わせると、植え替えの傷みが少なく済みます。夏型の塊根植物のように春に植え替えると、根が張りきる前に夏の休眠が来てしまうので、塊根ペラルゴニウムでは秋を選びます。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。