ユーフォルビアのカイガラムシ|つきやすい場所と取り方、根のネジラミ・薬剤の選び方

ユーフォルビアにつくカイガラムシの多くは、白い綿のように固まるコナカイガラムシです。柱状の種類はとげの付け根と稜の谷、球形や群生する種類は子株のすき間と株元、枝ものと葉をつける種類は枝の分かれ目と葉の付け根に潜みます。見つけたら鉢を離し、湿らせた綿棒や柔らかい歯ブラシで、株を傷つけないように取ります。育つ季節なのに張りが戻らないときは、根につくネジラミを疑って鉢から抜いて確かめます。薬剤は、取れるだけ取ったうえで、ラベルの適用植物と使い方を確かめてから使います。
ユーフォルビアの株に白い綿のようなものがついている、鉢のまわりがなんとなくべたつく——そんなとき、まず疑いたいのがカイガラムシです。ユーフォルビアは種類によって姿がまったく違うので、虫が隠れる場所も種類ごとに変わります。また、株に傷がつくと白い樹液が出るため、取り方にもひと工夫が要ります。この記事では、種類ごとのつきやすい場所から始めて、株を傷めない取り方、根につくネジラミ、薬剤を使うときの確かめ方、繰り返さないための置き方までをまとめます。属全体の育て方はユーフォルビアの育て方にあります。
白い綿はカイガラムシか|まず見分ける
ユーフォルビアで見かけるカイガラムシは、おおきく2つの姿をしています。
- 白い綿や粉をまとって固まるもの(コナカイガラムシの仲間):いちばん多いのがこちらです。1〜4mmほどの体が白いロウでおおわれ、指先ほどの範囲に数匹から数十匹がまとまっています。動きはゆっくりです。
- 小さな殻をかぶって貼りつくもの:茶色や白っぽい殻のような粒が、表面にじっと貼りついています。殻の下に体があり、ほとんど動きません。
ほかのものと紛らわしいこともあります。次の表で見分けておくと、手当てを間違えずに済みます。
| 見えているもの | 正体 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 白い綿のかたまり。つぶすと汁が出る | コナカイガラムシ | 綿棒でつつくと崩れ、中に小さな虫がいる |
| 表面に貼りついた茶色・白の小さな粒 | 殻をもつカイガラムシ | 爪楊枝で押すと、殻ごとはがれる |
| 白い粉が表面全体にうっすら | 種類もともとの粉(白樺キリンなど) | 一か所に固まらず、虫の形がない |
| 咲き終わった花の柄が白っぽく乾いて残る | 花柄 | 触れるとかさっと落ち、中身がない |
| 傷のまわりに白いものが固まっている | 乾いた樹液 | 硬く、つついても崩れない |
カイガラムシがいると、株や鉢、受け皿がべたつくことがあります。虫の出す甘い排せつ物で、そこに黒いカビが生えると表面が煤けたように黒くなります(すす病)。鉢のまわりをアリが行き来しているときも、この排せつ物が目当てのことがあるので、株を見直す合図になります。
種類ごとのつきやすい場所
カイガラムシは、目が届きにくく、空気がよどむすき間を好みます。ユーフォルビアは姿のタイプでそのすき間の場所が変わるので、育てている種類に合わせて見るところを決めておくと、早く見つけられます。
| 姿のタイプ | 代表的な種類 | 見るところ |
|---|---|---|
| 柱状・とげのあるもの | ラクテア、ホリダ、紅彩閣 | とげの付け根、稜の谷、枝の分かれ目、綴化した株のひだ |
| 球形・子株で群れるもの | オベサ、バリダ、スザンナエ、笹蟹丸、白樺キリン | 子株と子株のすき間、株元と土の際、花柄の跡 |
| 緑の枝で育つもの | ミルクブッシュ | 枝の分かれ目、込み合った内側の枝、新しい枝先 |
| 葉をつけるもの | ハナキリン、峨眉山、ソテツキリン、デカリー | 葉の付け根、葉の裏、鱗片やいぼのすき間 |
とげの付け根や枝の分かれ目のくぼみは、外から見えにくく虫が潜みやすい場所です。(AIで生成したイメージです)
柱状の種類は、上からだと稜の谷の奥やとげの陰が見えません。鉢を回しながら、株元から上へ、横から覗くように見ていきます。綴化(石化)したラクテアのように、ひだが波打つ株は、ひだの奥がいちばんの隠れ場所です。
球形の種類は、表面がなめらかなぶん隠れる場所は限られていますが、子株が群れてくると、子と子のあいだに虫が入りこみます。株元と土が接するところも、鉢を少し傾けて一周見ておきます。オベサを中心に、球形の株での見つけ方と手当てはオベサの害虫にも詳しくまとめています。
枝ものや葉をつける種類は、枝や葉が込み合うほど内側が蒸れ、虫が増えやすくなります。とくに、室内で冬を越したあとの春先は、増えていることが多い時期です。それぞれの種類の手入れは、ミルクブッシュの育て方やハナキリンの育て方にもあります。
取り方|白い樹液を出さないように
ユーフォルビアの仲間は、株に傷がつくと白い樹液(乳液)を出します。樹液は皮膚につくとかぶれることがあり、目に入ると強い痛みが出ます。虫を取るときは、株を傷つけない力加減と、手袋をしてから作業することの2つが基本になります。
手順
- その鉢をほかの鉢から離して置きます。生まれたばかりの幼虫は小さく、隣の鉢へ歩いて移ります。
- 水を通さないゴム手袋かニトリル手袋をはめます。とげのある種類は厚手のものが扱いやすいです。
- 綿棒や柔らかい筆、使い古しの柔らかい歯ブラシを水で湿らせ、すき間の奥から掻き出すように取ります。とげの付け根やひだの奥は、ピンセットの先に綿を巻いたものが届きやすいです。
- 株元についていたら、土の表面を1〜2cmほど取り除き、新しい用土を足します。土の際に卵が残っていることがあるためです。
- 取ったものは紙に包んで捨て、使った綿棒や筆は洗うか処分します。
- 1週間ほどあけて、同じ場所をもう一度見ます。取りこぼした卵から幼虫が出てくるので、2〜3回見直すと落ち着きます。
殻をかぶったタイプは、爪楊枝の先や綿棒でそっと押し外します。強くこすると表皮に傷がつき、そこから樹液が出ます。
消毒用のアルコールを綿棒に含ませて、虫に直接触れさせる方法もよく使われます。ロウにおおわれた虫にもなじみやすいのが利点ですが、白い粉をまとった種類や若い枝先では、表面の粉が落ちたり跡が残ったりすることがあります。使うときは株全体に吹きかけず、虫のいるところだけに、目立たない場所で一度試してからにします。
樹液が出てしまったら
うっかり表皮を傷つけて樹液が出たときは、株のほうは拭き取らずにそのまま乾かせば、傷はふさがります。手や腕についたら、すぐに石けんと流水で洗い流します。目に入ったとき、口に入ったときの手当てや、作業に向く手袋・道具のそろえ方はユーフォルビアの樹液にまとめています。
根のネジラミ|張りが戻らないときは鉢から抜く
ネジラミ(ネコナカイガラムシなど)は、根につくカイガラムシの仲間です。鉢の中で増えるため、地上からは見えません。気づくきっかけは株の様子です。
- 春や秋の育つ季節に、水を与えても張りが戻らない
- 新しい枝や葉が出ず、大きさがしばらく変わらない
- 株元がぐらつくようになった
- 鉢の内側や鉢底の穴のまわりに、白い粉のようなものがついている
水切れなら、与えて数日で張りが戻ります。戻らないときは根に何かが起きていて、根腐れでも同じように張りが戻らなくなります。どちらかは鉢から抜いて確かめるのがいちばん確実です。株元が柔らかい、黒ずんでいるときの見分け方はユーフォルビアの根腐れにあります。
細い根に白い粉や綿がまとわりついていたら、ネジラミを疑います。(AIで生成したイメージです)
根の洗い方と植え直し
- 手袋をして鉢から抜き、新聞紙の上で古い土をできるだけ落とします。根を切ると樹液が出るので、作業の前に敷き物と水を用意しておきます。
- 白い粉や綿がついた根を、流水でていねいに洗い流します。細かい根に固まっているところは柔らかい筆で払います。
- 虫が多くついていた根や、黒く傷んだ根は切り落とします。
- 明るい日陰で、根と切り口がしっかり乾くまで数日置きます。
- 新しい用土と、洗った鉢で植え直します。古い土は卵が残っていることがあるので、ほかの鉢には使いません。
- 植え直したあとの水は、すぐには与えず、1週間ほどあけてからにします。
植え直しの段取りと、株のタイプで変わる根の扱いはユーフォルビアの植え替えと同じです。ネジラミが見つかった鉢の隣に置いていた株も、鉢底の穴どうしが近いと移っていることがあるので、次の植え替えのときに根を見ておくと安心です。
薬剤を使うときに確かめること
数が多いとき、何度取っても出てくるとき、根のネジラミが広がっていたときは、薬剤を使う選択もあります。カイガラムシに使われる園芸用の薬剤には、効き方の違ういくつかの種類があります。
| 種類 | 効き方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 浸透移行性の粒剤・スプレー(ジノテフラン、アセタミプリド、クロチアニジンなどを含むもの) | 株や根に吸われた成分を、汁を吸った虫が取りこむ | 隠れて手が届かない虫、根のネジラミ |
| 気門をふさぐタイプ(でんぷんや油脂、マシン油などを含むもの) | 虫の体をおおって呼吸を止める | 見えている虫に直接かけるとき |
| ハダニ用の殺ダニ剤 | ハダニに効く | 表面がかすれる虫が一緒に出ているとき(カイガラムシには効かないものが多い) |
使う前に、次のことを製品のラベルで確かめます。
- 適用植物:多肉植物、観葉植物、花き類など、育てているユーフォルビアが含まれる区分が書かれているか
- 対象の虫:カイガラムシ類が対象に入っているか
- 使い方:薄める倍率、使う量、使える回数、使う時期
農薬は、ラベルに書かれた植物と使い方の範囲で使うものです。製品の表示に従って使ってください。
カイガラムシは、ロウや殻におおわれた成虫ほど薬剤が届きにくく、殻のない幼虫のうちが効きやすいとされます。幼虫が多く出てくるのは初夏(5〜7月ごろ)で、この時期は手で取るのと合わせて見回りを増やすと、数を抑えやすくなります。薬剤を使う場合も、まず綿棒や筆で取れるだけ取っておくと、使う量を減らせます。散布したあとは強い日差しを避け、明るい日陰で表面を乾かします。
迷ったときは、園芸店で「ユーフォルビア(多肉植物)の、カイガラムシに」と伝えて選んでもらうのが確かです。
繰り返さないための置き方
カイガラムシは、外から持ち込まれて、風のない場所で増えることがほとんどです。日々の手間は多くありません。
- 新しく迎えた株は、2〜3週間ほかの鉢と離して置く:そのあいだに、上の表の「見るところ」を一通り確かめます。根のついていない状態で届く株の迎え方はベアルートの迎え方にあります
- 風を通す:空気のよどむ場所ほど増えます。室内では小さな扇風機で空気をゆるく動かすだけでも違います。風の当て方は塊根植物のサーキュレーターにまとめています
- 込み合った枝を間引く:枝ものや葉をつける種類は、育つ季節のうちに内側の枝を減らしておくと、蒸れにくくなります
- 鉢を詰めて並べない:隣の鉢と触れていると、虫が歩いて移ります
- 植え替えのたびに根を見る:ネジラミは鉢から抜かないと見つかりません
- 古い土を使い回さない:卵が残っていることがあります
- 取り込む前と、外へ出す前に一度見る:秋に室内へ入れる前、春に外へ戻す前の2回、すき間と株元を確かめておくと、室内のほかの鉢へ広げずに済みます
季節ごとの見回りの目安は、次のとおりです。
| 時期 | 気をつけること | 見るところ |
|---|---|---|
| 春 | 室内で冬を越したあとに増えていることが多い | 枝の分かれ目、葉の付け根、子株のすき間 |
| 初夏(5〜7月) | 幼虫が多く出てくる | 新しい枝先、株元、隣の鉢 |
| 秋 | 室内へ取り込む前の確認、植え替えで根を見る | 株元と土の際、根 |
| 冬(室内) | 風のない室内で少しずつ増える | 込み合った内側、とげの付け根 |
よくある質問
カイガラムシを取ったあと、表面に跡が残りました。治りますか?
虫が吸っていた場所は、黄ばみや小さなへこみとして跡が残ることがあります。硬く乾いていれば株の育ちには関わらず、新しく伸びる部分はきれいな肌で育っていきます。跡の周りが柔らかくなってくるときだけは、傷から傷んでいる可能性があるので、水を控えて様子を見ます。
黒くなった「すす病」は、拭けば落ちますか?
表面についた黒いカビは、湿らせた柔らかい布や筆で軽く拭うと薄くなることがあります。こすりすぎると表皮が傷つくので、落ちない分は無理をしません。もとのカイガラムシを取り除けば新しくは広がらないので、まずは虫を取ることを先にします。
牛乳や木酢液でも退治できますか?
身近なもので試す方法として紹介されることはありますが、効き目にはばらつきがあり、においや株への影響が出ることもあります。数が少ないうちは、湿らせた綿棒や筆で取るほうが確実で、株への負担も少なく済みます。
室内の1鉢に出ました。ほかの鉢も手当てが必要ですか?
同じ棚や近くに置いていた鉢は、移っていることがあります。すぐに全部へ薬剤をまく必要はありませんが、すき間と株元を一通り見て、1〜2週間は見回りを続けます。見つかった鉢は、落ち着くまで離して置いておきます。