育て方

塊根植物の室内の日当たり|窓辺の明るさと冬の置き場所、夏型・冬型で変わる光の目安

晩秋の朝の光が入る窓辺の木の台に、葉が黄ばみはじめたパキポディウム、葉を落としたアデニウム、蔓を伸ばした亀甲竜の素焼き鉢が並ぶ
AIで生成したイメージです
この記事の結論

塊根植物の室内の日当たりは、「その株がいま育っているか、休んでいるか」で必要な量が変わります。冬に育つ亀甲竜などの冬型は、冬こそ南〜東向きの窓のガラス際がいちばんの置き場所です。葉を落として休む夏型のパキポディウムやアデニウムは、冬は光より温度と乾かし方が大切で、窓から少し離れた明るい場所でもかまいません。暖かい部屋で葉を残す夏型だけは光が大きく不足するので、育成ライトを真上から足します。

秋に塊根植物を室内へ取り込むと、「どの窓に置けばいいのか」「冬のあいだも日に当て続けるべきか」が気になってきます。塊根植物は、同じように幹や根が膨らんでいても、夏に育つ種類と冬に育つ種類で、冬に要る光の量がまったく違います。この記事では、室内での日当たりを、生育型ごとの考え方、窓辺の明るさ、種類別の目安、取り込み直後の置き場所、育成ライトの足し方、光が合っているかのサインの順にまとめました。冬の温度と水の減らし方は塊根植物の冬越しに、伸びてしまった株の扱いは塊根植物の徒長に分けています。

室内で要る光は「育っているか、休んでいるか」で決まる

塊根植物の多くは、マダガスカルやアフリカ、中南米の、日差しの強い乾燥地の出身です。生育期には強い光を受けて葉を広げ、そのぶん幹や根を太らせます。光が足りないまま育てると、枝や蔓の間が伸びて、膨らんだ幹とのつり合いが崩れてしまいます。

ただし、光をたくさん要るのは葉を広げて育っているあいだです。葉を落として休んでいる株は、光合成をほとんどしていないので、光の量よりも温度と乾かし方のほうが株の調子を左右します。室内の日当たりは、次の3つに分けて考えると迷いません。

  • 冬に育つ株(冬型):亀甲竜、オトンナ、チレコドンなど。秋に芽を出し、冬が生育期です。室内に取り込んだあとも、窓辺のいちばん明るい場所が要ります。
  • 冬に休む株(夏型・休ませる冬):パキポディウム、アデニウム、火星人など。10〜15℃ほどの部屋で葉を落とし、水を止めて休ませます。光は「真っ暗でなければよい」程度で足ります。
  • 暖かい部屋で葉を残す夏型:15℃以上の暖かい部屋では、夏型でも葉が残り、ゆっくり動き続けます。この状態がいちばん光不足になりやすく、窓辺の光だけでは足りないことが多くなります。

手元の株が夏型か冬型か、休眠の時期と合図は塊根植物の休眠にまとめています。

窓辺の明るさ|方角・ガラス越し・窓からの距離

室内の光は、人の目に明るく見えていても、屋外のおよそ数分の1から数十分の1しかありません。同じ部屋でも、どの窓のどこに置くかで、株に届く光は大きく変わります。

冬の明るい窓のガラス際に置かれた亀甲竜が蔓と葉を伸ばし、窓から1mほど奥の台には葉を落としたパキポディウムが置かれている 冬に育つ亀甲竜はガラス際へ、休んでいる夏型は少し奥の明るい場所でも過ごせます。(AIで生成したイメージです)

  • 方角:南向きの窓がいちばん明るく、冬は低い日差しが奥まで入ります。東向きは午前の光がよく入り、温度が上がりすぎません。西向きは午後の光が強いぶん、晩春から夏は窓辺が熱くなります。北向きの窓は、ガラス際でも生育期の塊根植物には光が足りません。
  • ガラス越し:窓ガラスや網戸、レースのカーテンを1枚通るごとに光は削られます。日中はカーテンを開け、株の頭が窓の下端より上に来るよう、台や棚で高さをそろえます。床に直接置くと、窓枠やベランダの手すりの影に入りやすくなります。
  • 窓からの距離:ガラス際から1mほど内側に入るだけで、届く光は大きく減ります。目は明るさに慣れてしまうので、窓辺と部屋の中ほどの差は、見た目ではほとんど分かりません。
置き場所冬型(冬に育つ)夏型(休ませる冬)夏型(葉を残す冬)
南〜東向き窓のガラス際いちばん向く置ける(夜の冷えに注意)向く。それでも足りないことが多い
同じ窓から1mほど内側蔓が間延びしやすい向く足りない
部屋の中ほど・北向きの窓辺足りない明るければ置ける大きく足りない

置き場所ごとの明るさを数字で確かめたいときは、育成ライトの使い方にスマホの照度計アプリでの測り方と、場所ごとのルクスの目安をまとめています。窓辺の明るさの考え方は、同じく強い光を好む多肉植物のユーフォルビアの室内の日当たりとも共通します。

種類別の光の目安|パキポディウム・アデニウム・亀甲竜ほか

塊根植物の光の好みは、生育型に加えて、種類ごとの性質でも変わります。室内でよく育てられる種類を並べると、次のようになります。

種類生育型冬(11〜3月)の室内生育期の室内光が足りないと
パキポディウム・グラキリス夏型休ませるなら明るい場所でよい屋外の日なたが基本。室内ならガラス際+ライト枝が細く伸び、棘の間隔が空く
アデニウム夏型休ませるなら明るい場所でよい屋外の日なたが基本枝が間延びし、花が咲きにくい
火星人(フォッケア)・オペルクリカリア・パキプス夏型休ませるなら明るい場所でよい明るい窓辺か屋外蔓や枝の節の間が長くなる
亀甲竜・オトンナ・チレコドン冬型ガラス際のいちばん明るい場所冬が生育期(夏は明るい日陰で休む)蔓が長く伸び、葉が小さく色が薄い
ステファニア夏型休ませるなら明るい場所でよい明るい日陰。強い直射は葉が焼けやすい蔓が細く伸び、葉の間隔が空く

パキポディウムとアデニウムは、生育期には屋外の直射を好むほど光が要る種類です。室内で一年を通すのは難しく、春から秋は屋外の日なた、冬は室内で休ませる、という使い分けがいちばん無理がありません。

亀甲竜をはじめとする冬型は、冬の室内では最も光を優先したい株です。日が短く光が弱い季節に育つので、窓辺の一番いい場所はこちらに譲ります。日中は日が当たり、夜は5〜10℃ほどに下がる環境のほうが、蔓も葉も締まって育ちます。

ステファニアは、塊根植物のなかでは強い直射で葉が焼けやすい種類です。室内なら、レース越しの明るい窓辺くらいがちょうどよく、ほかの種類と同じガラス際の直射には置かないほうが葉を保てます。

秋に取り込んだあとの置き場所|屋外との光の差に気をつける

11月ごろ、屋外から室内へ取り込んだ直後は、株にとって光が急に落ちる時期です。屋外の日なたと室内の窓辺では、届く光が大きく違います。取り込んだあとは、生育型ごとに置き場所を分けます。

  • 冬型(亀甲竜など):芽が動きはじめている時期なので、南〜東向きの窓のガラス際、それもいちばん日が長く当たる位置へ置きます。窓辺の場所が限られるなら、冬型を優先します。
  • 夏型で休ませる株:取り込んだあとに葉が黄ばんで落ちていくのは、休眠に入る自然な流れです。光が足りないせいではないので、慌てて明るい場所へ移したり、水を足したりする必要はありません。窓から少し離れた、温度の安定した明るい場所で、乾かし気味に休ませます。
  • 夏型で葉を残す株:暖房の効いた部屋で冬を越す場合は、ガラス際に置いたうえで育成ライトを足します。暖かいのに光が足りない、という組み合わせが、冬の徒長のいちばんの原因です。

冬の窓辺は、日中は明るくても、夜はガラス越しに外気近くまで冷えます。日中はガラス際、夕方以降は窓から50cm〜1mほど内側へ移すか、鉢とガラスのあいだに厚紙を挟みます。暖房の風が当たる場所は避け、空気はサーキュレーターを弱く回して動かします。種類ごとの最低温度の目安は塊根植物の冬越しに、アデニウムと亀甲竜の冬の過ごし方はアデニウムの冬越し・亀甲竜の休眠期の管理にまとめています。

光が限られる冬は、鉢を2〜3週間に1回ほど回して、光の当たる向きを変えます。一方向からの光だけだと、葉や蔓が窓のほうへ寄って伸びます。

育成ライトで足すとき|窓辺の補助か、主な光源か

窓辺だけでは光が足りない株には、植物育成ライトを足します。塊根植物では、生育型によってライトの役目が変わります。

棚板の下に付けた白いバー型の育成ライトが、真上から葉を広げたアデニウムとパキポディウムの鉢を照らしている ライトは真上から当てると、枝が片側へ寄りにくくなります。(AIで生成したイメージです)

状況ライトの使い方
冬型で、窓辺はあるが冬の日照が短い窓辺はそのまま。朝夕に点けて、光の時間を足す
暖かい部屋で葉を残す夏型窓辺の光に足して、1日10〜14時間をタイマーでそろえる
北向きの窓しかない・窓辺が狭い棚にライトを付けて、主な光源にする
休ませている夏型基本は要らない。葉を落として休んでいれば光は少なくてよい

使うときに押さえたいのは、真上から当てる・株の頭から20〜40cmあたりで始める・タイマーで毎日同じ時間に点けるの3つです。窓辺と同じく、横からの光だけでは片側に寄って伸びます。葉の色が白っぽく抜けてきたら、少し距離を離します。

ライトの形や明るさの選び方は植物育成ライトのおすすめに、距離と点灯時間の決め方は育成ライトの使い方にまとめています。棚にライトを付けるときの段の高さは植物棚の選び方が参考になります。

窓辺で足りない光を、棚の上から足すバー型・電球型・パネル型の違いと、塊根植物の棚に付けるときの選び方をまとめました。
植物育成ライトのおすすめを見る →

光が合っているかは、枝・蔓・葉の姿で分かる

塊根植物は、膨らんだ幹そのものはすぐには姿を変えません。光が合っているかどうかは、幹の上に伸びる枝や蔓、葉に先に表れます。

  • 足りているサイン:新しく伸びた枝や蔓が、それまでの部分と同じ太さで、節や棘の間隔が詰まっている。葉は厚みがあり、色が濃い。
  • 足りないサイン:先のほうだけ細く、色が薄い。節や棘の間隔が空く。株全体が窓のほうへ傾く。亀甲竜なら、蔓ばかり長く伸びて葉が小さくなる。
  • 強すぎるサイン:日の当たる側の葉が白っぽく抜け、やがて茶色く乾いた跡になる。室内で冬を越した株を、春に急に屋外の直射へ出したときに起きやすい変化です。

足りないサインが出たら、より明るい位置へ移すか、ライトを足します。一度細く伸びた部分は元の太さには戻りませんが、その先が締まって育つようになれば、置き場所は合っています。見分け方と伸びた枝の整え方は塊根植物の徒長に、グラキリスの場合はグラキリスの徒長と不調にまとめています。

春に屋外へ戻すときは、室内で弱い光に慣れた葉が焼けやすくなっています。はじめの1〜2週間は明るい日陰か、午前中だけ日が当たる場所に置き、少しずつ日なたへ移します。塊根植物全体の季節ごとの育て方は塊根植物(コーデックス)とはからたどれます。

縁側では、オベサと鉄甲丸の交配種「オベサ鉄甲」(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

塊根植物は日の当たらない部屋でも育ちますか?

葉を広げて育っている時期は、日の当たらない部屋では枝や蔓が細く伸びていきます。窓のない部屋や北向きの部屋で育てるなら、育成ライトを主な光源にして、真上から1日10〜14時間ほど当てるのが現実的です。一方、夏型の株が葉を落として休んでいる冬のあいだは、光をほとんど使わないので、真っ暗でなければ窓から離れた場所でも過ごせます。

冬は窓辺に置いたほうがいいですか?

亀甲竜などの冬型は、冬が生育期なので、日中は窓辺のガラス際がいちばん向いています。パキポディウムやアデニウムなど休ませる夏型は、光より温度の安定が大切なので、夜に冷え込む窓辺より、少し内側の温度が10℃前後に保てる場所が向きます。どちらも、夜のガラス際は外気近くまで冷えるので、夕方以降は窓から離すか、ガラスとのあいだに厚紙を挟みます。

室内に入れたら葉が落ちてきました。日当たりが足りないのでしょうか?

夏型の塊根植物が秋から初冬に葉を黄ばませて落とすのは、多くの場合、休眠に入る自然な変化です。幹が硬く、重さが保たれていれば心配はいりません。水を減らして休ませます。暖かい部屋で葉が残っている株が、葉を小さくしながら枝だけ伸ばしている場合は、光が足りていないサインなので、ガラス際へ寄せるか育成ライトを足します。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。