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オペルクリカリアの種類|パキプス・デカリー・ハイフェノイデスの見分け方と育てやすさ

木の縁側に並んだ2鉢のオペルクリカリア。左はごつごつと隆起したコルク質の幹に短い枝のパキプス、右はなめらかな灰色の幹から枝を高く伸ばしたデカリー
AIで生成したイメージです
この記事の結論

オペルクリカリア属はマダガスカルを中心に分布するウルシ科の小さな木の仲間で、8種ほどが知られています。国内で名前を見かけるのはほぼパキプス、デカリー、ハイフェノイデスの3種で、なかでも流通の中心はパキプスとデカリーです。見分けは葉の小葉の数と枝の曲がり方が確実で、育てやすさでは挿し木で増やせるデカリーが一歩手前にあります。

オペルクリカリアと聞いて思い浮かぶのは、多くの場合ごつごつした幹のパキプスです。ただ、同じ属には枝ぶりの細かいデカリーや、ほとんど出回らない種もあり、売り場では名前だけが先に並んでいることがあります。この記事では、属としての全体像を短く押さえたうえで、国内で出会う種の見分け方、出回り方、育てやすさの違いを順にまとめます。パキプスの育て方そのものはオペルクリカリア・パキプスの育て方に、塊根植物全体の考え方は塊根植物(コーデックス)とはにまとめています。

オペルクリカリア属とは|マダガスカルのウルシ科、幹の太る小さな木

オペルクリカリア(Operculicarya)は、ウルシ科に属する低木から小高木の仲間です。分布の中心はマダガスカルで、コモロ諸島やアルダブラ環礁にも見られます。多くは乾いた岩場や疎林に生え、幹や根に水を蓄えて乾季をしのぎます。

属に含まれる種の数は、分類の扱いによって数え方が変わります。英国キュー王立植物園のデータベース(Plants of the World Online)では、次の8種が認められています。

  • パキプス(O. pachypus)
  • デカリー(O. decaryi)
  • ハイフェノイデス(O. hyphaenoides)
  • ボレアリス(O. borealis)
  • ヒルスティッシマ(O. hirsutissima)
  • カルキコラ(O. calcicola)
  • カプロニー(O. capuronii)
  • ムルティユガ(O. multijuga)

このうち園芸の場で名前が出てくるのは、上の3種にほぼ限られます。残りの種は記載が新しいか、自生地の外にほとんど出ていない種で、育て方や見た目の違いを確かめられる情報もわずかです。

属に共通する性質として、雌雄が別の株に分かれることが挙げられます。花を咲かせても1株だけでは種ができないため、国内で種子が採れる機会は限られます。また、パキプス・デカリー・ハイフェノイデスの3種は、ワシントン条約(CITES)の附属書IIに掲載されており、国境をまたぐ取引には輸出国の許可が必要です。

国内で出会う3種の比較

まずは3種を並べて、違いの輪郭をつかんでおきます。

種類幹と枝の姿葉国内での出回り方育てやすさ
パキプス低く太い幹がごつごつと隆起。枝はジグザグに折れ、先がとげ状になることも小さく、小葉は3〜4対ほど現地球(発根済み・未発根)が中心。実生株は少なめ根の張った株なら素直。成長はとても遅い
デカリーなめらかな灰色の幹。枝が上へ伸び、木らしい樹形になるパキプスより長く、小葉は5〜7対ほど挿し木・根挿しで増やした株が多く、手に取りやすい3種のなかでいちばん扱いやすく、成長も早め
ハイフェノイデス国内での栽培例が少なく、見た目の比較情報が限られる同左ごくまれ。専門の販売店で見かける程度情報が少なく、パキプスに準じて扱われることが多い

表のとおり、出会う機会と情報の多さで見ると、パキプスとデカリーの2種が実質的な選択肢です。ハイフェノイデスは名前を覚えておく程度で、見かけたときは販売者に株の来歴を確かめるのが確実です。

パキプスとデカリーの見分け方|葉・枝・幹の3か所

パキプスは1995年に新種として記載された種で、それ以前はデカリーの名で扱われていました。そのため古い資料や流通名には、両者が混ざっていることがあります。見た目で切り分けるなら、葉 → 枝 → 幹の順に見ると迷いません。

木の板の上に並べた2本の小枝。左はジグザグに折れて先がとげ状になった枝に、丸い小葉が数対だけ付いた短い葉。右はまっすぐな枝に、小葉が5〜7対並ぶ長めの葉 左がパキプス、右がデカリーの枝のイメージ。小葉の数と枝の折れ方に違いが出ます。(AIで生成したイメージです)

  1. 葉の小葉の数:いちばん確実な手がかりです。1枚の葉に並ぶ小葉が3〜4対ほどで、葉全体が短く詰まっていればパキプス。5〜7対ほど並び、小葉どうしの間が空いて葉が長く見えればデカリーです。
  2. 枝の曲がり方:パキプスの枝は節ごとに向きを変えてジグザグに伸び、先端がとげのように硬く尖ることがあります。デカリーの枝は比べてまっすぐ上へ伸びます。
  3. 幹の肌と形:パキプスの幹は円すい形から不規則な塊状で、コルク質の表面が深く隆起します。デカリーの幹は灰色でなめらかに近く、年数を重ねると根元が太った木の姿になります。

ただし、幹の肌は株の年齢や育った環境で大きく変わります。若い実生株のパキプスは幹がまだなめらかで、デカリーとの区別がつきにくいこともあります。幹の印象だけで決めず、葉と枝を合わせて見るのが確かです。

ハイフェノイデスと、ほとんど出回らない種

ハイフェノイデスは、パキプスやデカリーと同じくマダガスカルに分布し、ワシントン条約の附属書IIにも名前が並ぶ種です。国内では目にする機会がごく少なく、栽培の記録も多くありません。育て方の情報が出ている場合も、多くは同属のパキプスに準じた内容です。

ボレアリス以下の5種については、園芸の場での流通がほとんどなく、見た目の違いや育て方を言い切れるだけの情報がありません。ここでは名前の紹介にとどめます。もし「オペルクリカリア属の珍しい種」として見かけた場合は、学名の表記と、どこからどういう経路で来た株かを販売者が説明できるかどうかを、株を見る前の判断材料にするのがよいでしょう。

名前の取り違えに気をつける|「デカリー」「パキプス」は別の植物にもある

オペルクリカリアの種を調べるときに、いちばん混乱しやすいのが名前です。

「デカリー(decaryi)」は、マダガスカルで植物を採集したフランスの研究者デカリーにちなむ種小名で、科の違ういくつもの植物に付いています。売り場で「デカリー」とだけ書かれている場合、次のどれかであることが多くなります。

名前科見た目の特徴
オペルクリカリア・デカリーウルシ科幹が太る小さな木。細かい小葉が枝に並ぶ
ユーフォルビア・デカリートウダイグサ科低い株に縁の波打つ細長い葉のロゼット。傷つけると白い樹液
パキポディウム・デカリーキョウチクトウ科根元のふくらんだ幹に、とげと白い花

いっぽう「パキプス」は、国内の塊根植物の売り場ではほぼオペルクリカリア・パキプスを指します。ただ、同じく「パキ」で始まるパキポディウムと略称が似ているため、検索や会話で取り違えが起きやすい名前です。学名の属名(Operculicarya か Pachypodium か)を一度確かめておくと、育て方を調べるときにも迷いません。

出回り方で変わる、最初の一株の選び方

オペルクリカリアは、種類の違いよりも手元に来る株がどういう経路で育ったかのほうが、最初の一年の扱いやすさを左右します。

  • デカリー:挿し木や根挿しで増やせるため、国内で増やされた株が多く出回っています。根が張った状態で手に入ることがほとんどで、最初の一株として選びやすい種です。
  • パキプス(実生株):種から育てた株で、根が鉢のなかで働いています。雌雄異株で種子が限られるぶん数は多くありませんが、育て方の基本どおりに進められます。種から育てる話はパキプスの実生にまとめています。
  • パキプス(発根済みの現地球):輸入後に根を出させてから売られる株です。実生株と同じ扱いで育てられます。
  • パキプス(未発根の現地球):根のない状態で輸入されたままの株です。まず根を出させる工程が必要で、温度の管理が成否を分けます。手順はパキプスの発根管理に、根のない輸入株を選ぶときの見方はベアルートとはにあります。

ごつごつした幹のパキプスに惹かれて選ぶ場合も、一鉢目は実生株か発根済みの株のほうが確実です。根の張った株で一年の水と光のリズムを一度通しておくと、未発根の株を迎えるときの判断が楽になります。

育て方の骨組みは3種ともほぼ共通で、夏に育ち、秋に色づいて葉を落とし、冬は10℃以上を保って休ませます。植え替えや枝の整え方は、パキプスの植え替えとパキプスの剪定で扱っており、デカリーにもそのまま当てはまります。デカリーは成長が早いぶん枝もよく伸びるので、剪定で樹形を整える機会はパキプスより多くなります。

同じ棚に並べる塊根植物を探している方へ夏に育って冬に休むもの、冬に葉を茂らせるもの。生育期の違いを知っておくと、棚の一年が組み立てやすくなります。
塊根植物の基本を見る →

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に扱っています。個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

オペルクリカリアは何種類ありますか?

英国キュー王立植物園のデータベースでは8種が認められています。ただし分類の扱いによって数え方は変わり、資料によっては5〜6種とされることもあります。国内で名前を見かけるのは、パキプス、デカリー、ハイフェノイデスの3種にほぼ限られます。

はじめての一鉢には、パキプスとデカリーのどちらが向いていますか?

扱いやすさで選ぶならデカリーです。挿し木や根挿しで国内で増やされた株が多く、根の張った状態で手に入ることがほとんどで、成長も比較的早めです。パキプスの幹の姿に惹かれるなら、未発根の現地球ではなく、実生株か発根済みの株を選ぶと最初の一年がぐっと楽になります。

パキプスとデカリーは、葉が落ちた冬でも見分けられますか?

葉がないときは枝と幹で見ます。枝が節ごとに向きを変えてジグザグに伸び、先がとげのように尖っていればパキプス、枝が比べてまっすぐ上へ伸びていればデカリーの可能性が高くなります。若い株は幹の肌が似ていることがあるので、確実に切り分けたいときは春に葉が開くのを待って、小葉の数を数えるのがいちばん確かです。

「デカリー」と書かれた株が、オペルクリカリアかどうか分かりません。

葉の付き方と樹液で確かめられます。木のように枝を伸ばし、細かい小葉が羽のように並んでいればオペルクリカリア・デカリーです。低い株に細長い葉が集まり、葉をちぎると白い乳液が出るならユーフォルビア・デカリー、根元がふくらんだ幹にとげがあればパキポディウム・デカリーです。育て方がそれぞれ違うので、最初に確かめておくと安心です。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

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