育て方

ユーフォルビア・デカリーの育て方|水やり・冬越し・ランナーで増やす株分け

縁側に置いた浅い素焼き鉢のユーフォルビア・デカリー。土から顔を出した太く短い茎の先に、縁が細かく波打つ細長い葉がロゼット状に広がっている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ユーフォルビア・デカリーは、マダガスカル原産の小さな多肉質ユーフォルビアで、春から秋に育ち冬は休む夏型です。成長期は土が中まで乾いてからたっぷり、冬は葉が落ちはじめたら水を月1回ほどに絞り、最低10℃を目安に室内で越します。地中を這う茎で横に広がるので、鉢は浅く口の広いものが合い、増やすときはその茎ごと株を分けます。

縁が細かく波打つ葉を、手のひらに収まるほどの低い株に広げる。ユーフォルビア・デカリーは、育てやすさと小ささで、多肉質のユーフォルビアの中でも手に取りやすい一鉢です。育て方の骨組みはほかの多肉質タイプと同じ「乾かしてからたっぷり」ですが、夏に育って冬に葉を落とすこと、地中の茎で横へ広がっていくことの2つは、デカリーならではの気にかけどころです。この記事では、まず同じ名前で呼ばれる別の植物との見分け方を確かめてから、置き場所・水やり・冬越し・植え替え・増やし方を順にまとめます。ユーフォルビア全体の育て方はユーフォルビアの育て方にあります。

「デカリー」はいくつもある|手元の株を確かめる

「デカリー(decaryi)」は、マダガスカルで植物を採集したフランスの研究者デカリーにちなむ名前で、科の違ういくつもの植物に付いています。園芸店やネットで「デカリー」とだけ書かれていると取り違えやすく、育て方もそれぞれ違うので、最初に手元の株がどれかを確かめておくと迷いません。

呼び名科姿育て方の要点
ユーフォルビア・デカリートウダイグサ科背の低い株に、縁の波打つ細長い葉のロゼット。傷つけると白い樹液この記事の内容
オペルクリカリア・デカリーウルシ科幹が太る小さな木。細かい小葉が枝に並ぶ盆栽のように幹と枝を仕立てる塊根植物
ウンカリーナ・デカリーゴマ科太る幹から枝を伸ばし、黄色い花を咲かせる夏によく水を使う塊根植物
ディプシス・デカリーヤシ科葉の付け根が三角形に重なるヤシ(トライアングルパーム)大型の観葉植物として扱う

見分けの決め手は、葉の付き方と樹液です。茎の先に細長い葉がロゼット状に集まり、葉をちぎると白い乳液が出れば、ユーフォルビア・デカリーです。木のように枝を伸ばしているなら、ほかの「デカリー」の可能性が高くなります。オペルクリカリアの仲間はオペルクリカリア・パキプスの記事で、幹の太る植物全体の考え方は塊根植物(コーデックス)とはで扱っています。

ユーフォルビア・デカリーとは|基本情報

項目内容
学名Euphorbia decaryi
原産地マダガスカル南部
分類トウダイグサ科ユーフォルビア属・多肉質タイプ(塊根性)
生育型夏型(春から秋に育ち、冬は休む)
姿地中や地際に太い茎を持ち、その先に縁の波打つ細長い葉をロゼット状に広げる
大きさ1つのロゼットで直径5〜10cmほど。地中の茎で横へ広がり、群生する
耐寒性弱い。最低10℃が目安
増やし方地中の茎ごと株を分ける。挿し木も可

葉の色は、日によく当てたものほど深い緑から赤銅色を帯び、光が足りないと明るい緑のまま間延びします。葉のねじれが強く、ロゼットがらせん状に見える型は変種のスピロスティカ(var. spirosticha)として流通することがあります。育て方は同じです。

花は、ロゼットの中心近くに黄緑から褐色の小さな花をつけます。花びらに見える部分を持たない、ユーフォルビアらしい控えめな花です。花のつくりはユーフォルビアの花にまとめています。

置き場所と日当たり|明るい場所で、真夏だけ少し陰に

デカリーは日光を好み、よく当てるほど葉が短く締まって色も深くなります。オベサや鉄甲丸と同じく、春と秋は屋外の日なたか、室内ならいちばん明るい窓辺が定位置です。

  • 春と秋:屋外の日なたへ。室内から出すときは、1〜2週間かけて半日陰から慣らします。
  • 真夏:遮光30〜50%程度。小さな株は鉢ごと熱を持ちやすいので、照り返しの強い床の上は避け、棚の上で風を通します。
  • 雨:長雨の当たる場所は避けます。葉の重なりに水がたまると、株元が蒸れやすくなります。

室内だけで育てる場合、光が足りないと葉と葉の間が伸びて、ロゼットがほどけたような姿になります。南か東の窓辺を選び、それでも足りない時期は植物育成ライトで補うと、締まった姿を保ちやすくなります。伸びてしまった姿の戻し方はユーフォルビアの徒長にあります。

水やり|夏はしっかり、葉が落ちたら控える

季節目安与え方
春(最低気温10℃を超えてから)土が中まで乾いてから。少量から始めて週1回前後へ鉢底から流れ出るまで
初夏〜真夏土が乾いたら。週1回前後涼しくなった夕方に。35℃を超える日が続くあいだは間隔を伸ばす
秋(9〜10月)週1回前後。10月後半から間隔を伸ばす春と同じ
冬(葉が落ちはじめてから)月1回ほど、表面が湿る程度暖かい日の午前に。10℃を下回る場所なら断水

デカリーは夏に育つ株なので、成長期は球形のオベサより水をよく使います。浅い鉢で育てることが多く乾きも早いので、竹串を挿して湿り気を見るか、鉢を持ち上げて軽さで確かめ、乾いていればためらわずにたっぷり与えます。

一方で、地中の太い茎は湿ったままだと傷みます。乾くより先に水を足すのは避け、受け皿にたまった水は捨てます。季節ごとの考え方はユーフォルビアの水やりで、ほかの種類と並べて整理しています。

冬越し|葉が落ちるのは休眠の合図

デカリーは寒さに弱く、**最低10℃**が冬越しの目安です。夜の最低気温が15℃を切りはじめる頃から水の間隔を伸ばし、10℃を切る前に室内のいちばん明るい窓辺へ取り込みます。

気温が下がると、外側の葉から黄色くなって落ちていきます。これは冬の休眠に入る合図で、根や茎が傷んだわけではありません。葉の大半が落ちたら水を月1回ほどの少量にするか、10℃を下回る場所では断水して、乾かしたまま春を待ちます。暖房の効いた15℃以上の部屋に置いていると、葉を付けたまま冬を越すこともあります。その場合は葉があるあいだだけ、乾いてから少量を与えます。葉の有無で水を切り替える考え方は、同じく冬に葉を落とす鉄甲丸とよく似ています。

春は、最低気温が安定して10℃を超え、中心から新しい葉が動き出したのを見てから水を再開します。冬のあいだに茎が少しやせても、根が動けば戻ります。塊根植物の冬の過ごし方は塊根植物の冬越しにも詳しくまとめています。

用土と植え替え|浅く、口の広い鉢へ

用土は、赤玉土(小粒)・軽石・鹿沼土などの粒を中心にした、水はけのよい多肉植物用の配合を使います。配合の考え方は用土配合にあります。

鉢は、深さよりも口の広さを優先します。デカリーは地中の茎を横へ伸ばして新しいロゼットを出すので、浅く広い鉢のほうが群生した姿に育ちやすく、土の乾きも早くなります。鉢の形と素材の選び方は鉢の選び方にまとめています。

植え替えは、成長期に入った春(5〜6月)が適期です。鉢の中が茎と根でいっぱいになり、水が染み込みにくくなってきたら、ひと回り広い鉢へ移します。

  1. 植え替えの数日前から水を止め、土を乾かしておく
  2. 鉢から抜いて古い土を落とし、黒く柔らかくなった根や茎を切り取る
  3. 切り口を半日〜1日乾かす
  4. 地中の茎が土の表面近くに来る高さで、乾いた用土に植える
  5. 1週間ほどおいてから水を与える

太い茎を少し土から出して植えると、塊根らしい姿を楽しめます。ただし出しすぎると茎が日焼けしたり乾きすぎたりするので、まずは地際がのぞく程度から始めます。根や茎を切ると白い乳液が出るので、手袋をして作業し、皮膚や目に付かないように扱います(樹液の扱い)。手順全般はユーフォルビアの植え替えを参考にしてください。

増やし方|地中の茎ごと株を分ける

鉢から抜いたユーフォルビア・デカリー。太い茎が地中を這い、その先からいくつもの小さなロゼットが出ている 鉢から抜くと、地中を這う太い茎で小さな株どうしがつながっているのが分かります。(AIで生成したイメージです)

デカリーは、地中を這う茎(ランナー)の先から新しいロゼットを出して増えていきます。この性質を使うと、植え替えのついでに無理なく株を増やせます。

  1. 鉢から抜き、茎でつながった株のうち、自分の根を持っているものを選ぶ
  2. つなぎ目の茎を、清潔な刃物で切り離す
  3. 切り口から出る白い乳液を水で洗い流す
  4. 明るい日陰で、切り口に乾いた皮ができるまで数日〜1週間乾かす
  5. 乾いた用土に植え、1週間ほどしてから少量の水で始める

根の付いていない子株やロゼットだけを外した場合は、挿し木として扱います。切り口をしっかり乾かしてから挿し、発根までは水を控えめにします。乾かし方と発根の確かめ方はユーフォルビアの挿し木に詳しくまとめています。

小さな多肉質ユーフォルビアの、もう一つの楽しみ方縁側では、オベサと鉄甲丸の交配種「オベサ鉄甲」の個体を、1株ずつ紹介する準備を進めています。はじめの入荷は、入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。
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調子を崩したときのサイン

見えているもの考えられること手当て
秋〜冬に外側の葉から黄色くなって落ちる冬の休眠水を絞って見守る。春に中心から新しい葉が出る
成長期に葉が落ち、茎が柔らかい根腐れ・茎の傷み鉢から抜き、傷んだ部分を切って乾かし、植え直す
葉の間が伸び、色が薄い光不足明るい場所へ。伸びた部分は戻らないので以降の成長を締める
葉の表面に茶色く乾いた跡日焼け戻らないが株は育つ。半日陰から慣らし直す
葉の付け根に白い綿状の塊カイガラムシ綿棒でこそげ落とす。多ければ粒剤を土に

茎の傷みの見分け方と切り戻しの手順は、ユーフォルビアの根腐れと同じです。デカリーは地中の茎で株がつながっているので、一部が傷んでも、健全な茎の先に付いたロゼットを切り分ければ育て直せることが多くあります。ほかの代表種との姿の違いはユーフォルビアの種類で見比べられます。

よくある質問

冬に葉が全部落ちてしまいました。枯れていますか?

茎を指で軽く押して硬ければ、休眠しているだけです。デカリーは気温が下がると葉を落として冬を越すので、水を絞ったまま明るい場所で春を待ちます。茎が黒ずんで柔らかい場合は傷んでいるので、鉢から抜いて硬い部分だけを残し、乾かしてから植え直します。

オベサと同じ棚で育てられますか?

置き場所は同じ明るい棚で問題ありません。違うのは水の量で、夏に育つデカリーは成長期にオベサより乾きが早く、水をよく使います。乾き具合を鉢ごとに確かめて、同じ日にまとめて与えないようにすると、それぞれに合った加減になります。

鉢から別の場所に小さな株が出てきました。抜いてもいいですか?

地中を這う茎の先から出た新しい株です。そのまま育てると群生した姿になり、増やしたいときは春の植え替えのついでに、茎ごと切り分けて別の鉢に植えられます。成長期の途中に無理に引き抜くと親株側の茎を傷めるので、植え替えの時期を待つのが安心です。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

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