育て方

パキポディウム・エブレネウムの育て方|白い花の見分け方と水やり・冬越し

木の縁側に置かれた素焼きの浅鉢のパキポディウム・エブレネウム。銀灰色のなめらかな塊根から短い枝が分かれ、長い花茎の先に黄色い喉をもつ白い花が咲いている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

エブレネウムは、銀色がかったなめらかな低い幹と、黄色い喉をもつ象牙色の花が特徴のパキポディウムです。マダガスカル中央部の高い岩山の出身で、強い光を好む一方、湿った根と寒さには弱い面があります。春から秋はよく日に当てて乾いてから水を与え、真夏は蒸れを避け、落葉したら水を止めて10℃以上の明るい室内で冬を越します。

パキポディウム・エブレネウム(Pachypodium eburneum)は、銀色がかったなめらかな幹を低く太らせ、長い花茎の先に象牙のような白い花を咲かせる種類です。黄色い花の多いパキポディウムのなかで白い花をつけることから、名札を見て気になった方も多いはずです。表記は「エブレネウム」と「エブルネウム」の両方が使われますが、同じ植物を指しています。

この記事では、エブレネウムがどんな株か、よく似た種類との見分け方、そして置き場所・水やり・冬越し・用土の順に育て方をまとめます。属全体に共通する話はパキポディウムの育て方にあります。

エブレネウムという株|象牙色の花と、高い岩山の出自

種小名の eburneum は「象牙のような白さ」を意味し、花の色に由来します。1997年に新しい種として記載された比較的新しい名前で、ロスラーツムの変種(P. rosulatum var. eburneum)として扱う考え方もあります。

姿の特徴は、次の3つにまとめられます。

  • 銀色がかった、なめらかな幹:うっすら緑を帯びた銀灰色の肌で、低く太った幹から短く太い枝を出します。成熟しても直径25cm・高さ25〜30cmほどにとどまる、小ぶりな種類です。
  • 対になって並ぶ太いとげ:円錐形のしっかりしたとげが2本ずつ組になり、階段のように幹を取り巻きます。
  • 丸みのある葉と、白い花:葉は先の丸い倒卵形で、中くらいの緑色。花は長い花茎の先に数輪ずつ咲き、象牙色の花びらの奥(喉の部分)がほんのり黄色くなります。

自生地はマダガスカル中央部のイビティ山周辺に限られ、標高1500〜2000mほどの、石英質の岩の斜面や岩山の上に育ちます。同じ山には恵比寿笑い(ブレビカウレ)やデンシフローラムも生えています。自生地はごく狭く、採集や野火の影響で、野生の株は絶滅の危険が非常に高い状態とされています。パキポディウム属はワシントン条約(CITES)の対象でもあり、国内で育てるなら、種から育てた実生株や接ぎ木株を選ぶのが自然な選び方です。

ほかのパキポディウムとの位置づけはパキポディウムの種類で一覧にしています。

似た種類との見分け方|デンシフローラム・ロスラーツム・白花の恵比寿笑い

エブレネウムは、同じ山の仲間や「白い花」の名札をもつ株と取り違えやすい種類です。花が咲いていれば色でほぼ分かれますが、葉ととげでも見分けられます。

木の台に並んだ2鉢のパキポディウム。左は丸い葉と白い花をつけた株、右は細い葉と黄色い花をつけた株 左が白い花のエブレネウム、右が黄色い花のデンシフローラムのイメージ。(AIで生成したイメージです)

見るところエブレネウムデンシフローラムロスラーツム白花の恵比寿笑い
花の色象牙色・喉が黄色黄色黄色白っぽい花
幹低く太る銀灰色低く平たく横に張る上へ伸びて枝分かれ平たくこぶ状に広がる
とげ太く、2本ずつ並ぶエブレネウムより細め枝にも並ぶ短く目立たない
葉先が丸い細長く先がとがる細長い小さく集まる

いちばん紛らわしいのはデンシフローラムで、幹の形はよく似ています。とげが太く、葉の先が丸ければエブレネウムと考えてよいでしょう。白い花を咲かせる恵比寿笑いの仲間(ブレビカウレ・レウコキサンツムの名で流通)は、幹が岩のように平たく、とげがほとんど目立たない点で区別できます。

苗のうちは花も咲かず、どれも似た姿をしています。迷ったら名札の学名(P. eburneum)を確かめておくのが確実です。それぞれの育て方はデンシフローラムの現地球・ロスラーツムの育て方・恵比寿笑いの育て方にまとめています。

置き場所と水やり|よく日に当て、蒸れを避ける

エブレネウムは春から秋に育ち、冬に葉を落として休む夏型です。日当たりのよい岩山の出身なので、育つ季節はできるだけ強い光に当てます。光が足りないと枝が間延びし、低く締まった姿から離れていきます。

一方で、根が湿ったままの状態にはあまり強くありません。高地は日差しが強くても空気は乾いて涼しく、日本の梅雨や真夏の蒸し暑さとは条件が違います。同じ山に育つ恵比寿笑いと同じく、蒸れを避けることを光と同じくらい大切に考えると安心です。

時期置き場所水やりの目安
4〜6月雨の当たらない屋外の日なた。冬越し明けは半日陰から慣らす新しい葉が開いてから。鉢の中まで乾いたらたっぷり
7〜8月日なたのまま、風がよく通る場所。鉢が熱くなるなら午後だけ日を和らげる乾いてから数日置き、涼しい夕方に与える
9〜10月再び屋外の日なた乾いたらたっぷりに戻す
11〜3月明るい室内の窓辺落葉したらほぼ断水

乾いたかどうかは、竹串を鉢土に挿して湿り気を見るか、鉢を持ち上げた軽さで確かめます。ずっと乾かしっぱなしにするより、「乾いたらしっかり与え、また乾くのを待つ」の繰り返しがよく育ちます。迷ったときは1〜2日待つほうが安全です。水の確かめ方はパキポディウムの水やりに詳しくまとめています。

冬越し|落葉したら水を止め、10℃以上で

エブレネウムは寒さに弱い部類です。秋に最低気温が15℃を下回りはじめたら室内に取り込み、冬のあいだは最低10℃以上を目安にします。

冬越しの流れは次のとおりです。

  1. 秋は水の間隔を少しずつ空ける:気温が下がると乾くまでの日数が伸びます。それに合わせて回数を減らします。
  2. 葉が黄色くなって落ちたら水を止める:葉のない株は水をほとんど吸いません。落葉中は断水か、月に1回ごく少量程度にとどめます。
  3. 明るい窓辺に置く:葉がなくても光は当てておきます。窓際は夜に冷え込むので、寒波の夜は部屋の内側へ移します。
  4. 春は新しい葉を見てから水を再開する:暖かい日が続き、枝先に新芽が動き出してから、表面が湿る程度の少量から始めます。

冷えた土に水が残ると、根から傷みやすくなります。冬の失敗の多くは寒さそのものより「寒い時期の水」から起きるので、迷ったら与えないほうを選びます。置き場所の考え方は塊根植物の冬越しにもまとめています。

用土と植え替え、接ぎ木株|根を湿らせないつくり

用土:根が傷みやすい種類なので、とくに水はけを重視します。軽石や赤玉土・日向土の小粒を中心にした、粒の締まった用土がなじみます。腐葉土などの有機質は控えめにして、水やりのあと鉢の中が早く乾く配合にします。

鉢:根の量に対して大きすぎる鉢は、土がいつまでも乾かず根腐れのもとになります。株がちょうど収まる大きさの、乾きやすい素焼き鉢や駄温鉢が扱いやすい選択です。

植え替え:根が鉢に回ったら、暖かくなって動き出す4〜6月に、ひと回り大きな鉢へ移します。傷んだ根は整理し、植え替え後は数日あけてから水を与えます。手順はパキポディウムの植え替えにまとめています。

実生株と接ぎ木株:種から育てた実生株は、育ちがゆっくりです。年に少しずつ太る姿を楽しむつもりで迎えると焦らずにすみます。流通株のなかには、丈夫なラメリーや亜阿相界(ゲアイー)を台木にした接ぎ木株もあります。台木の根で水を吸うため根腐れしにくく、育ちが早く花もつきやすいとされています。はじめの一鉢で根を傷めるのが心配なら、接ぎ木株も選択肢になります。

花|長い花茎の先に咲く象牙色の花

長い花茎の先に咲くエブレネウムの花。白い5枚の花びらの中心がほんのり黄色く、根元には銀灰色のとげのある幹が見える 長い花茎の先にまとまって咲く、象牙色の花。(AIで生成したイメージです)

エブレネウムの花は大きく、1本の花茎に6輪ほどがまとまってつきます。花びらは象牙色で、喉の部分だけがほんのり黄色を帯びます。栽培下でも花が黄色く変わることはなく、白い花のまま咲くのがこの種類の持ち味です。

花の季節は春から夏にかけてで、葉が開き、株が十分に動き出してから花茎が上がります。条件がよければ実生の2年目から咲きはじめるという記録もありますが、株が小さいうちは咲かないことも多くあります。花をつけるいちばんの近道は、育つ季節によく日に当て、根を傷めずに株を太らせることです。咲いたあとは花茎が枯れてきたら根元で切り取ります。パキポディウムの花を咲かせる考え方はパキポディウムの花にもまとめています。

ほかのパキポディウムも見比べる白い花・黄色い花・赤い花の種類を、幹の形と花色で一覧にしています。次に迎える一鉢を探すときに。
パキポディウムの種類を見る →

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

エブレネウムとエブルネウムは違う植物ですか?

同じ植物です。学名 Pachypodium eburneum のカタカナ読みが店によって分かれているだけで、名札にはどちらの表記も使われます。ロスラーツムの変種として「ロスラーツム・エブルネウム」と書かれることもあります。

エブレネウムは育てるのが難しいですか?

基本はほかのパキポディウムと同じ夏型の管理で、特別な道具は要りません。気をつけたいのは、根が湿ったまま蒸れることと、冬の寒さです。水はけのよい用土で乾いてから水を与え、冬は落葉したら水を止めて10℃以上の室内に置けば、育て方の山はほぼ越えられます。根が心配なら接ぎ木株から始める方法もあります。

白い花のパキポディウムなら、どれもエブレネウムですか?

いいえ。恵比寿笑いの白花(ブレビカウレ・レウコキサンツム)や、ラメリーなど白い花を咲かせる種類はほかにもあります。また「恵比寿」の名を含む流通名の株もあり、名前だけでは判断しにくいことがあります。幹がなめらかな銀灰色で低く太り、太いとげが2本ずつ並んでいればエブレネウムの特徴です。最後は名札の学名で確かめるのが確実です。

なかなか花が咲きません。どうすればいいですか?

株が小さいうちは咲かないことが多く、まずは株を太らせることが先になります。春から秋によく日に当て、乾いたらたっぷり水を与えるリズムを守り、冬は落葉させてしっかり休ませます。光が足りない場所で育てていると、枝ばかり伸びて花茎が上がりにくくなります。

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