白樺キリンとは|どんな植物か、育て方の要点と白さを保つコツ

白樺キリンは、ユーフォルビア・マミラリス(和名 鱗宝)の斑入り品種です。指ほどの太さのクリーム色の円筒形の茎が株元から群生し、白樺の幹のような肌からこの名で呼ばれます。ミルクトロンも同じ植物です。育て方は、土が乾いてからたっぷりの水やり、明るい半日陰、冬は最低5〜10℃の室内の3点が要点です。
白樺キリンは、南アフリカ原産の多肉植物ユーフォルビア・マミラリス(和名 鱗宝)の斑入りです。サボテンのように見えますが、サボテンではなくトウダイグサ科のユーフォルビアの仲間で、切ると白い乳液が出ます。指ほどの太さのクリーム色の茎が株元から何本も立ち上がり、秋冬には先がほんのりピンクに色づきます。
まず下の表で、どんな植物かと育て方の要点をひと目で確かめられます。そのあと、似た名前の植物との見分け方、季節ごとの水やり・置き場所・冬越し、斑入りならではの変化への対処へと続きます。ユーフォルビア全体の育て方はユーフォルビアの育て方にあります。
白樺キリンとは|ひと目でわかる基本情報と育て方の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| どんな植物か | 鱗宝(ユーフォルビア・マミラリス)の斑入り。サボテンに似るがユーフォルビアの仲間 |
| 学名 | Euphorbia mammillaris ‘Variegata’ |
| 別名 | 白樺麒麟、ミルクトロン、マミラリス錦 |
| 原種 | 鱗宝(りんぽう)。緑色の同じ種類 |
| 原産地 | 南アフリカ(東ケープの乾いた丘陵) |
| 生育型 | 春〜秋に育ち、冬は休む |
| 姿 | 指ほどの太さの円筒形の茎。表面は六角形のこぶで細かく区切られ、稜に沿って短いとげが並ぶ |
| 大きさ | 鉢植えで高さ10〜30cmほど。株元から子株を吹いて群生する |
| 水やり | 土が中まで乾いてから鉢底に流れるまで。冬は月1回ほど |
| 置き場所 | 明るい半日陰。真夏は遮光、冬は室内の明るい窓辺 |
| 耐寒性 | 乾かしていれば5℃前後まで。安心して見るなら最低5〜10℃ |
| 肥料 | ほぼ不要。春と秋に薄い液体肥料を月1回まで |
| 樹液 | 切ると白い乳液が出る。皮膚や目に付けない |
「白樺」の名は、クリーム色の肌に緑がうっすら入る茎を、白樺の幹に見立てたものです。ミルクトロンも、乳白色の柱という見た目からの流通名です。学名の mammillaris は「乳頭状の」という意味で、茎を覆う六角形のこぶから付いた名前です。稜に並ぶとげは、ホリダと同じく咲き終わった花の柄が硬く残ったもので、長さ1cmほど。サボテンのとげほど鋭くはありませんが、群生した株を握るとちくちくします。
似た名前の植物との違い
「キリン」と付くユーフォルビアは多く、名前だけでは取り違えやすい種類です。
| 名前 | 正体 | 見た目の違い |
|---|---|---|
| 白樺キリン(ミルクトロン) | マミラリスの斑入り | 指ほどの太さのクリーム色の円筒が群生する |
| 鱗宝 | マミラリス(斑なし) | 姿は同じで、茎が緑色 |
| 姫キリン | サブマミラリス(別種) | さらに細い茎が低く枝分かれして茂る |
| 白角麒麟 | レシニフェラ(別種) | 緑の四角い柱に、とげが対になって並ぶ |
| ラクテア(ホワイトゴースト) | ラクテア(別種) | ずっと太い柱に稜がまっすぐ通り、大きく育つ |
白い柱状という点ではラクテアと混ざりやすく、詳しくはラクテアの育て方にまとめています。
置き場所と日当たり|明るい半日陰がちょうどいい
白樺キリンの白い部分は、葉緑素が少なく光合成をあまりしない組織です。そのため、緑の鱗宝に比べて光が足りないと間延びしやすく、強すぎると焼けやすい、という両側に気をつかう性質があります。
- 春と秋:屋外の明るい半日陰か、午前中だけ日が当たる場所。室内なら南〜東向きの窓辺のいちばん明るいところへ。
- 真夏:遮光30〜50%程度。直射と西日、照り返しの強い場所は避けます。白い茎は一度焼けると茶色い跡が残ります。
- 冬:室内の明るい窓辺。冬の日差しは弱いので、ガラス越しの直射に当ててかまいません。
室内で光が足りないと、茎の先が細くなり、こぶの間隔が開いて、ひょろりと伸びてきます。窓辺が暗い場合は植物育成ライトで補うと、締まった姿を保ちやすくなります。雨ざらしは避け、風通しのよい場所に置きます。室内ならサーキュレーターで空気をゆるく動かしておくと、蒸れと間延びの両方を防げます。
水やり|土が中まで乾いてから、たっぷり
| 季節 | 目安 | 与え方 |
|---|---|---|
| 春(3月下旬〜6月) | 土が中まで乾いてから。週1回前後 | 鉢底から流れ出るまでたっぷり |
| 梅雨〜真夏 | 10日〜2週間に1回 | 涼しくなった夕方に。蒸し暑い時期は間隔を伸ばす |
| 秋(9〜10月) | 週1回前後 | 春と同じ。10月後半から少しずつ間隔を伸ばす |
| 冬(11〜2月) | 月1回ほど | 暖かい日の午前に少量。5℃を下回る場所なら断水 |
乾いたかどうかは、竹串を挿して抜いたときの湿り気か、鉢を持ち上げたときの軽さで確かめます。白樺キリンは小ぶりな株が多く、小さな鉢ほど乾きが早いので、日数より土の状態で決めるほうが確かです。
茎が細いぶん、体にためておける水はオベサや太い柱状の種より少なめです。成長期に茎の表面に浅い縦じわが寄ってきたら、水を欲しがっている合図です。反対に、株元が黄色っぽく柔らかくなってきたら水の与えすぎを疑います。季節ごとの考え方はユーフォルビアの水やりで種類横断に整理しています。
冬越し|最低5〜10℃の明るい室内で
白樺キリンは、乾かして管理していれば5℃前後まで耐えます。ただし霜と凍結には耐えられないので、安心して冬を越すなら最低5〜10℃を保てる場所を選びます。
- 取り込みの合図:夜の最低気温が10℃を切りはじめる頃(地域によって10月下旬〜11月)。ここから水の間隔を伸ばしはじめます。
- 室内での置き場所:いちばん明るい窓辺。夜は窓ガラスのそばが外気並みに冷えるので、少し離すかカーテンの内側へ。暖房の風が直接当たる場所は避けます。
- 水:月1回ほどの少量。寒い部屋なら断水して乾かしたまま越します。体の水分が少ないほど冷えに強くなります。
取り込む前には、茎のすき間にカイガラムシの白い綿が付いていないかを確かめておくと、室内のほかの鉢へ広げずに済みます。
春は、最低気温が安定して10℃を超えてから少量の水で再開し、半日陰で1〜2週間慣らしてから明るい場所へ戻します。冬越しの考え方はオベサと共通なので、オベサの冬越しも参考になります。
ピンクに色づくのは寒さと光のサイン
秋から冬にかけて、茎の先がピンクに色づいた白樺キリン。(AIで生成したイメージです)
秋が深まって夜が冷えてくると、白樺キリンの茎の先や日の当たる面が、ほんのりピンクから赤紫に色づきます。これは寒さと光を受けて、葉緑素の少ない白い組織に色素が現れたもので、紅葉と同じ自然な変化です。春になって暖かくなり、新しい部分が伸びてくると、また白〜クリーム色に戻ります。
色づきを楽しむなら、秋に日当たりのよい場所で、水をやや控えめに育てると出やすくなります。気をつけたいのは、夏に出る色の変化です。真夏に日の当たる面だけが赤茶色や茶色に変わり、触ると硬くかさついている場合は、色づきではなく日焼けです。遮光を強め、半日陰へ移します。
緑に戻った枝と、間延びした株の仕立て直し
白い株から伸びた緑の茎。付け根から切り取ると、株全体の白さを保てます。(AIで生成したイメージです)
白樺キリンを育てていると、株元や茎の途中から、斑のない濃い緑の茎が出てくることがあります。これは斑入りが原種の鱗宝の姿に戻ったもので、先祖返りと呼ばれます。緑の茎は葉緑素が多いぶん勢いがよく、そのままにしておくと株の中で緑の割合が少しずつ増えていきます。白い株として育てたいなら、見つけた時点で付け根から切り取ります。切った緑の茎は、乾かして挿せば鱗宝として育てることもできます。
光が足りずに間延びした茎は、細くなった部分が元の太さには戻りません。成長期(5〜9月)に、締まった部分の少し上で切り戻すと、切り口の近くから新しい芽が吹いて、姿を整え直せます。切り取った先端は挿し穂として使えます。
どちらの作業でも、切り口から白い乳液が出ます。皮膚や目に付かないよう手袋をして、刃物と手はすぐに水で洗います(ユーフォルビアの樹液の扱い)。
用土・植え替え・肥料と増やし方
用土は水はけを最優先に、赤玉土(小粒)・軽石・鹿沼土などの粒を中心にした多肉植物・サボテン用の配合を使います。群生して横に広がるので、鉢は深さより口の広さがあるものが収まりよく、通気のよい素焼き鉢が乾きの管理もしやすくなります。配合の考え方は用土配合、鉢の選び方は鉢の選び方にまとめています。
植え替えは、子株が鉢いっぱいに広がったら、2〜3年に1回を目安に春(4〜5月)か秋(9月中旬〜10月前半)に行います。数日前から水を止め、古い土を落として傷んだ根を切り、乾いた用土に植えて1週間ほどしてから水を与えます。手順の細部はユーフォルビアの植え替えにあります。
肥料はほとんど要りません。与えるなら、春(4〜5月)と秋(9〜10月前半)に、袋の表示よりさらに薄めた液体肥料を月1回まで。植え替えのときに緩効性の粒をひとつまみ混ぜておくだけでも足ります。白い部分の多い株は育ちがゆっくりなので、迷ったら少なめにします。多すぎると茎が間延びして、こぶの間隔が開きやすくなります。冬と真夏、植え替えや挿し木の直後には与えません。種類ごとの量の違いはユーフォルビアの肥料にまとめています。
増やし方は、株元の子株を外すか、茎を切って挿す方法がかんたんです。
- 子株は付け根から、茎は締まった部分で、清潔な刃物で切り離す
- 切り口から出る白い乳液を水で洗い流す
- 明るい日陰で、切り口の中心まで乾いて硬くなるまで5日〜1週間乾かす
- 乾いた用土に浅く挿し、水は1週間ほど待ってから少量で始める
白樺キリンは発根しやすく、成長期なら1か月ほどで根が回りはじめます。挿し木全般の乾かし方と発根の確かめ方はユーフォルビアの挿し木に詳しくまとめています。
調子を崩したときのサイン
| 見えているもの | 考えられること | 手当て |
|---|---|---|
| 夏に日の当たる面が茶色くかさつく | 日焼け | 戻らないが株は育つ。遮光を強め、半日陰へ |
| 茎の先が細く、こぶの間隔が開く | 光不足(間延び) | 明るい場所へ移す。伸びた部分は成長期に切り戻す |
| 株元が黄色っぽく柔らかい・黒ずむ | 根腐れ | 水を止めて鉢から抜き、傷んだ部分を切って乾かし植え直す |
| 茎のすき間に白い綿状の塊 | カイガラムシ | 綿棒や細い筆でこそげ落とす。多ければ粒剤を土に |
| 浅い縦じわ・触ると硬い | 水切れ、または冬の休眠 | 成長期なら土の乾きを確かめてたっぷり。冬ならそのまま |
株元の腐りは、オベサの根腐れと同じ手順で見分けと手当てができます。白樺キリンは群生しているので、傷んだ茎だけを外し、健全な茎を挿し直して株を立て直せることが多い種類です。柱状の種類の間延びの見分け方と光の整え方はユーフォルビアの徒長にまとめています。ほかの代表種との比較はユーフォルビアの種類をどうぞ。
よくある質問
白樺キリンの白い斑が消えて、緑っぽくなってきました
茎全体がうっすら緑がかる程度なら、光が足りずに色が浅くなっていることが多く、明るい場所へ移すと新しい部分は白く出てきます。一本の茎がはっきり濃い緑になっている場合は先祖返りなので、付け根から切り取ると株の白さを保てます。
ピンクになったのは病気ですか?
秋冬に茎の先や日の当たる面がピンクになるのは、寒さと光による自然な色づきで、春に暖かくなるとまた白に戻ります。夏に日の当たる面だけが茶色くかさついている場合は日焼けなので、遮光を強めて半日陰へ移します。
冬に白樺キリンを外に置いたままでも大丈夫ですか?
霜や凍結には耐えられないので、夜の最低気温が10℃を切りはじめたら室内の明るい窓辺へ取り込みます。乾かしていれば5℃前後まで耐えますが、冷たい雨に濡れたまま冷えると傷みやすくなります。
白樺キリンとミルクトロンは同じ植物ですか?
同じ植物です。鱗宝(ユーフォルビア・マミラリス)の斑入りで、白樺キリン(白樺麒麟)とミルクトロンは流通上の呼び名の違いです。育て方も変わりません。