実生

ドルステニアの実生|種の入手、はじけ飛ぶ種の受け止め方と種類別の違い

木の縁側に置いた木のトレーに黒い角鉢が並び、丸い双葉の芽と、根元が少しふくらんだドルステニアの苗が育っている。奥の素焼き鉢には、ヒトデのような花をつけた親株が置かれている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ドルステニアは、熟した種を勢いよくはじき飛ばし、周りの鉢から芽が出るほど種で増えやすい仲間です。実生の基本はどの種類も同じで、清潔な細かい用土の表面に埋めずにまき、表面を乾かさずに20℃台を保ちます。違いが大きいのは種の手に入れ方と発芽までの日数で、フォエチダは1株でも種が採れて扱いやすく、ギガスは購入した種を2〜4週間待つ実生になります。

ドルステニア(Dorstenia)は、イチジクと同じクワ科の植物で、ヒトデのような形の花と、ずんぐり太る根元や幹をもつ塊根植物です。この仲間は、熟した種を勢いよくはじき飛ばし、親株の周りの鉢からまいた覚えのない芽が出てくるほど、種で増えやすい性質をもっています。

この記事では、ドルステニアを種から育てる実生(みしょう)について、種類を問わず共通する考え方をまとめます。種の手に入れ方、はじけ飛ぶ種の受け止め方、まき方の基本、こぼれ種の芽との付き合い方、そして種類によって変わるところです。フォエチダとギガスそれぞれの細かい手順は、種類ごとの記事に書いています。株そのものの管理はドルステニアの育て方にあります。

ドルステニアの実生とは|種類で変わるのは「種の入手」と「待ち方」

実生は、種をまいて苗から育てることです。ドルステニアは挿し木で増やすこともできますが、根付いた株は種から育った株ほど根元が太りにくく、姿が変わります。根元のふくらみやとっくり形の幹を楽しむなら、種から育てるのが基本です。

園芸で出回るドルステニアの代表はフォエチダとギガスの2種類で、実生の流れは共通していても、つまずくところが違います。

フォエチダギガス
種の入手1株でも種ができ、手元で採りやすい流通が少なく、購入に頼ることが多い
発芽に向く温度20℃台(21℃前後でよく発芽するとされる)20〜25℃前後
発芽までの日数早い粒から順に、ばらばらに出る2〜4週間ほど。遅いと2か月近く
苗でつまずく点光不足での徒長、最初の冬待つあいだのカビ、最初の冬
冬の最低温度(苗)10℃以上10℃、できれば15℃

大まかにいえば、フォエチダは種が身近で、発芽したあとの光と冬に気を配る実生、ギガスは種が手に入りにくく、芽が出るまで落ち着いて待つ実生です。手元にあるのがどちらかで、気をつけるところを選びます。

種がはじけ飛ぶ性質|花のつくりと、種が熟すまで

ドルステニアの花は、平たい円盤のような花托(かたく)の上に、ごく小さな花がびっしり並ぶ形をしています。円盤のふちからは細い苞(ほう)が放射状に伸び、全体がヒトデのように見えます。種はこの円盤の中で育ちます。

熟した種は、円盤から勢いよくはじき飛ばされます。フォエチダでは飛ぶ距離が最大で2mほどになるとされ、気づいたときには円盤が空になっていることがほとんどです。このため、ドルステニアの実生では「種を採る」というより「飛んでいく種を受け止める」準備が要ります。

  • 花に袋をかぶせる:咲き終わって円盤がふくらみはじめたら、お茶パックや目の細かいネットの小袋をかぶせ、茎元を軽く結んでおきます。はじけた種が袋の底にたまります。
  • 鉢ごと囲う:花がいくつも上がる株は、鉢の周りを紙箱や布で囲って受け止めます。
  • 増やしたくないときは摘む:反対に、周りの鉢に芽が出てほしくない場合は、咲き終わった花を種が熟す前に摘み取ります。

種を手に入れる|採るか、買うか

種の手に入れ方は、手元の株から採るか、買うかの2つです。

採る:フォエチダは1株の花だけで種ができやすく、生育期に花が次々に咲く株なら、何度も採種できます。上の方法で袋をかけておけば、特別な作業なしに種が集まります。

買う:ギガスをはじめ、手元に親株がない種類は購入した種を使うことになります。流通量が少なく、入荷のたびにすぐ売り切れることも多いので、手に入ったら用土と容器を先にそろえ、できるだけ早くまくと無駄がありません。海外から取り寄せる場合は植物検疫の手続きが関わるため、はじめは国内で販売されている種を選ぶのが手軽です。

白い小皿に小さな丸い茶色の種が集められ、横にネットの小袋とピンセット、紙の種袋が置かれている ドルステニアの種は小さな丸い粒。採った日や種類を書いた袋に分けておきます。(AIで生成したイメージです)

どちらの場合も、種は新しいほど揃いよく発芽する傾向があります。種は小さな丸い粒で見た目に目立つ特徴がないので、ほかの種と混ざらないよう、袋に種類の名前と採種の日付を書いておくと安心です。

まき方の基本|表面にまく、乾かさない、20℃台

ドルステニアの実生で、種類を問わず共通する基本は3つです。

  1. 埋めずに表面にまく:ドルステニアの種は光が当たる状態で発芽しやすいとされ、深く埋めると芽が出にくくなります。湿らせた細かい用土の表面に置き、指先で軽く押さえてなじませるだけにします。
  2. 表面を乾かさない:小さな種は乾くとそこで動きが止まります。上から水を注ぐと種が流れるので、腰水と霧吹きで湿らせます。
  3. 20℃台を保つ:まき時は気温が安定して20℃を超える5月〜7月が揃いやすい時期です。夜に冷え込む場所では、ヒーターマットで鉢の温度を補います。

用土は、肥料の入っていない無機質の細粒(細粒の赤玉土・軽石など)を、水で洗って細かい粉を流してから使います。湿った状態が続くので、腐葉土や堆肥が混じっているとカビが出やすくなります。組み方は用土の選び方にまとめました。

発芽したあとは、少しずつ明るい場所へ移します。光が足りないと茎がひょろりと伸びて根元が細いまま育つので、窓辺で数日かけて日差しに慣らすか、育成ライトで補います。最初の冬は、苗のうちは蓄えが少ないので完全には水を切らず、10℃以上の明るい室内で越させます。冬の置き場所の考え方は塊根植物の冬越しにあります。

こぼれ種の芽と付き合う

ドルステニアを育てていると、親株の近くの鉢から、まいた覚えのない小さな芽が出てくることがあります。はじけ飛んだ種が発芽したもので、この芽もそのまま育てれば実生の苗になります。

  • 見分け方:丸い双葉のあとに本葉が出てきて、早いうちから根元が少しふくらみます。
  • 移す時期:本葉が数枚出て根が張ってから、周りの用土ごと小鉢へ移します。双葉だけのうちは根が細く、動かすと傷みやすいので待ちます。
  • 育てない芽:ほかの植物の鉢に出た芽は、その鉢の水やりや植え替えの邪魔になるので、小さいうちに抜いておきます。

自分でまかなくても苗が手に入ることがあるのは、この仲間ならではです。こぼれ種の芽の鉢上げの手順は、ドルステニア・フォエチダの実生でもう少し詳しく書いています。

種類ごとの実生の手順へフォエチダは種の受け止め方とこぼれ種の鉢上げ、ギガスは発芽まで2〜4週間かかる待ち方とカビの防ぎ方。まく時期から最初の冬までを順にまとめています。
ドルステニア・ギガスの実生を見る →

種類ごとの実生と育て方の記事

まく手順や発芽までの日数、苗の育ち方は種類で変わるので、手元の種に合わせて読み進めてください。

実生の道具と手順の基本はオベサの実生に、売り場で見かける「実生株」の意味は実生株と輸入株の違いにまとめています。

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よくある質問

ドルステニアの種はどこで手に入りますか?

手元の株から採るか、買うかの2つです。フォエチダは1株だけでも種ができやすく、咲き終わった花に網の小袋をかぶせておけば、はじけた種が集まります。ギガスなど親株がない種類は、国内で販売されている種を購入するのが手軽です。どちらも新しい種ほど揃いよく発芽します。

種は土に埋めたほうがよいですか?

埋めずに、用土の表面にまいて軽く押さえるだけにします。ドルステニアの種は光が当たる状態で発芽しやすいとされ、深く埋めると芽が出にくくなります。上から水を注ぐと流れるので、腰水と霧吹きで湿らせます。

まいてから何日くらいで発芽しますか?

種類と条件で変わります。フォエチダは20℃台で早い粒から順に出てきます。ギガスは2〜4週間ほどかかるのがふつうで、条件が足りないと2か月近くかかることもあります。芽が出ない粒があっても、表面の湿りと温度を保ったまましばらく待ちます。

挿し木ではなく、種から育てる理由はありますか?

根元の形が違ってきます。挿し木で根付いた株は、種から育った株ほど根元が太りにくく、姿が変わります。ずんぐりした根元やとっくり形の幹を楽しむなら、種から育てるのが基本です。

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