育て方

アデニア・グラウカの育て方|水やり・冬越し・剪定と塊根を太らせるコツ

縁側の木の台に置いた素焼きの浅鉢に、青緑色でなめらかなとっくり形の塊根をもつアデニア・グラウカが植わり、頂部から巻きひげのある細いつると切れ込みの深い葉が伸びている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

アデニア・グラウカは南部アフリカ生まれの夏型の塊根植物です。春から秋はよく日の当たる場所で、土が中まで乾いたらたっぷり。葉が黄ばんで落ちはじめたら水を減らし、冬は最低10℃前後を保てる明るい室内で断水気味に休ませます。塊根を太らせるいちばんの近道は、生育期につるを切らずに伸ばし、葉をよく働かせることです。

アデニア・グラウカ(Adenia glauca)は、青緑色のとっくり形の塊根から細いつるを伸ばす、トケイソウ科の塊根植物です。流通名で「幻蝶かずら(幻蝶カズラ)」とも呼ばれます。育て方そのものは夏型の塊根植物の基本どおりで、つまずきやすいのは「冬に葉が落ちたあとの水」と「伸びたつるを切るかどうか」の2点に集まります。この記事では、置き場所と水やりから、用土と植え替え、つるの剪定、塊根を太らせるコツ、花と増やし方、冬越し、調子を崩したときのサインまでを順に並べます。塊根植物というくくり全体の考え方は塊根植物・コーデックス入門にまとめています。

アデニア・グラウカとは|青緑色の塊根と、巻きひげで登るつる

グラウカは南アフリカ北部からボツワナにかけての、乾いた岩場や藪に自生します。地際に水を蓄える塊根をつくり、雨の多い夏に茎と葉を伸ばして育ち、乾いて冷える冬は葉を落として休みます。種小名の glauca は「白い粉を帯びたような青緑色」を指す言葉で、塊根の肌と葉の色合いをそのまま表しています。

姿の特徴は次のとおりです。

  • 塊根:青緑色から灰緑色で、肌はなめらか。下がふくらみ上がすぼまる、とっくり形に育ちます。トゲはありません。
  • つる:塊根の頂部から細い緑の茎を何本も伸ばし、葉のつけ根から出る巻きひげで周りに絡みながら登ります。
  • 葉:手のひらのように深く切れ込んだ形で、色は青みを帯びた緑です。
  • 雌雄異株:雄の株と雌の株に分かれていて、1株だけでは種ができません。

名前の似たアデニウム(砂漠のバラ)はキョウチクトウ科の別の植物で、育て方も寒さへの強さも違います。混同しやすいので、ラベルの綴り(Adenia/Adenium)で確かめておくと安心です。アデニウムの育て方はアデニウムの育て方にまとめています。

日本の鉢植えでの一年は、おおよそ次のように進みます。

時期株の様子水やり
春(4〜5月)頂部から新芽が動き出す芽が見えてから少量で再開
夏(6〜9月)つるを伸ばし葉を広げる乾いたらたっぷり
秋(10〜11月)葉が黄ばみはじめる間隔を少しずつ空ける
冬(12〜3月)葉を落として休む断水か、月に1回ごく少量

置き場所|春から秋は日なた、真夏の西日だけやわらげる

グラウカは光をよく使う植物です。春から秋は屋外のよく日の当たる場所が基本で、日が足りるほどつるが締まり、葉と葉の間隔が詰まって、塊根も太りやすくなります。光が足りないと、つるが細く間延びして葉が薄くなり、塊根はほとんど変わりません。

  • 春:室内で冬を越した株は日差しに慣れていないので、数日かけて半日陰から段階的に日なたへ移します。
  • 夏:日なたでかまいませんが、真夏の強い西日が塊根に長く当たると、肌が白っぽく焼けることがあります。午後だけ日陰になる場所か、寒冷紗で少しやわらげます。鉢は地面に直置きせず、棚に上げて風を通します。
  • 秋:最低気温が15℃を下回りはじめたら、室内に入れる準備をします。
  • 冬:室内の明るい窓辺。葉を落とした株は光をほとんど使わないので、温度の安定を優先します。

雨は、生育期なら多少当たっても問題ありません。ただ、長雨が続く時期や気温が下がってからの雨は、鉢の中が乾かずに根を傷める原因になります。軒下など、雨を避けられる場所に置いておくと管理が楽になります。

室内で育てる場合は、南向きの窓辺でできるだけ長く光の入る場所へ。窓辺だけでは光が足りないときは、植物育成ライトを足すとつるの間延びを抑えられます。

水やり|葉があるあいだは乾いたらたっぷり、葉が落ちたら控える

水やりの基本は、土が中まで乾いてから、鉢底から流れ出るまでたっぷり。塊根に水を蓄える植物なので、少しずつ毎日与えるより、乾かしてから一度にしっかり与えるほうが根が健やかに保てます。季節ごとの目安は次のとおりです。

  1. 春(4〜5月):頂部から新芽が動いたのを確かめてから再開します。最初の1〜2回は土が軽く湿る程度にとどめ、葉が数枚開いてから通常の量に移します。芽が動く前に水を与えると、根がまだ水を吸えず、鉢の中が湿ったままになります。
  2. 夏(6〜9月):土が乾いたらたっぷり。つると葉が多い株ほど水を使うので、日なたに置いた株では数日おきになることもあります。受け皿にたまった水は捨てます。
  3. 秋(10〜11月):葉が黄ばみはじめたら、間隔を少しずつ空けていきます。気温が下がった土は乾きが遅く、夏と同じ調子で与え続けると根が傷みます。
  4. 冬(12〜3月):葉が落ちたら断水するか、暖かい日の午前中に月1回、土の表面が湿る程度にとどめます。

乾いたかどうかは、鉢を持ち上げたときの軽さか、鉢の縁から挿した竹串の湿り気で確かめます。手順はオベサの水やりにまとめたものがそのまま使えます。ほかの塊根植物と並べたときの間隔の違いは塊根植物の水やりで表にしています。

肥料は、生育期の前半に緩効性の置き肥を規定量だけ。液体肥料を使うなら、薄めたものを生育期に月2回ほどで十分です。秋以降は与えません。

用土と植え替え|水はけを優先し、春に一回り大きな鉢へ

用土は水はけを最優先にします。市販の多肉植物・サボテン用の土に軽石を足すだけでも育ちます。配合するなら、赤玉土小粒を3〜4割、日向土や軽石を4〜5割、残りを鹿沼土やくん炭にし、腐葉土などの有機質はごく少量に。用土の組み方は用土の選び方にまとめています。鉢は素焼き鉢やスリット鉢のように、通気がよく乾きの早いものが安全です。

植え替えは1〜2年に1回、気温が上がりはじめる4〜5月に行います。

  1. 鉢から抜き、古い土を軽く落とす。
  2. 黒く傷んだ根や、鉢の形に沿ってぐるぐる回った根だけを取り除く。
  3. 乾いた新しい用土で、一回り大きな鉢に植え付ける。
  4. 1週間ほどは水を与えず、根の傷を乾かしてから水やりを始める。

鉢底から根がのぞく、水がしみ込みにくくなった、塊根が鉢の縁に当たりそう、といった様子が見えたら植え替えの合図です。いきなり大きな鉢に移すと用土が乾かず、冬に根を傷めます。夏型の塊根植物に共通する時期の見極めは塊根植物の植え替え時期にまとめました。

輸入株を根のない状態で迎えた場合は、植え替えの前に根を出させる管理が必要です。手順は塊根植物の発根管理にあります。

つるの剪定と支柱|切るなら生育期の前半に

生育期のつるは勢いよく伸び、放っておくと隣の鉢や窓枠に巻きひげで絡みつきます。春に芽が見えた時点で、輪にした針金やリング支柱、小さなトレリスを鉢に挿しておくと、伸びるにつれて自然に収まり、姿も整います。

輪状の針金支柱に巻きひげで絡みながら伸びるアデニア・グラウカの細いつる。切れ込みの深い青緑色の葉が並び、下に青緑色の塊根の頂部が見える 芽が動き出す前に支柱を挿しておくと、巻きひげが自分で絡んで収まります。(AIで生成したイメージです)

剪定で押さえておきたいのは、つるを切るほど、その年の塊根の太りは鈍るということです。葉は塊根に養分を送る働き手なので、伸ばしたつると葉の量が、そのまま秋までの太り幅になります。置き場所に収まらないなど、切る理由があるときは次の点を守ります。

  • 時期:生育期の前半(5〜7月)に。切った節の下から新しいつるが出て、密な姿になります。
  • 秋は切らない:黄ばみはじめた葉やつるは、まだ塊根へ養分を戻している最中です。茶色く枯れきってから、根元で切り取ります。
  • 樹液に気をつける:アデニアの仲間の樹液は有毒とされています。手袋をして作業し、切り口から出た樹液は拭き取り、終わったら手を洗います。

剪定で出たつるは、挿し木に回すこともできます(後半の増やし方の節を参照)。塊根植物の姿の整え方全般は塊根植物の仕立て方にも書いています。

塊根を太らせるコツ|葉を働かせる量が、そのまま太さになる

「何年育てても塊根の大きさが変わらない」というのは、グラウカでよく聞く悩みです。太りは生育期に葉をどれだけ働かせたかの積み重ねなので、見直すところはおおむね次の5つに絞られます。

  1. 光:室内の窓辺だけで夏を越すと、つるは伸びても塊根はほとんど太りません。春から秋は屋外の日なたへ。
  2. つるを切らない:太らせたい年は支柱を高めにして、秋まで伸びるにまかせます。
  3. 生育期の水:冬の感覚のまま夏も乾かし気味にしていると、葉を十分に働かせられません。乾いたらたっぷり、を夏はためらわずに。
  4. 根の場所:根が回りきった鉢では水も養分も入っていきません。1〜2年ごとの植え替えで根の場所を確保します。
  5. 生育期を長く取る:春の動き出しが遅れ、秋に早く休むほど、太る期間が短くなります。春は暖かい場所で早めに目覚めさせ、秋は急に冷やさないようにします。

塊根の一部を土に埋めて育てると、根が広く張って太りが速くなる、という育て方もあります。埋めた部分は乾きが遅く日にも当たらないぶん、肌の色や締まりは出したときと変わります。大きく育ててから植え替えのたびに少しずつ持ち上げていく、という進め方がよく取られます。

挿し木で増やした株は、根元がとっくり形にふくらみにくいとされます。塊根を太らせて楽しみたいなら、種から育った実生株か、すでに塊根のできた株を迎えるのが近道です。札に書かれた「実生」「現地球」の違いは実生株と現地球(輸入株)の違いで整理しています。

花と増やし方|雌雄異株の花、挿し木と種まき

グラウカは株が育つと、夏に葉のつけ根へ小さな淡い黄緑色の花を咲かせます。雌雄異株なので、雄株の花と雌株の花がそれぞれ別の株に咲き、種を採るには雄株と雌株を同じ時期に咲かせて受粉させる必要があります。受粉した雌株には丸い実がなり、熟すとなかに数粒の種が入っています。雌雄をそろえて受粉させる流れは交配(受粉)のやり方にまとめました。

増やし方は、挿し木と種まきの2通りです。できる株の姿が違うので、何を目当てにするかを先に決めておきます。

挿し木種まき(実生)
時期生育期の5〜7月暖かさが安定する5〜7月
根の出やすさ比較的出やすい発芽に25〜30℃前後の暖かさが要る
塊根ふくらみにくい年ごとにふくらむ
向いている目的つると葉を楽しむ鉢とっくり形の塊根を育てる

挿し木は、元気なつるを節が2〜3つ付くように切り、切り口の樹液を水で流して半日ほど乾かしてから、湿らせた用土に挿します。根が出るまでは明るい日陰で、土を乾かしすぎないように管理します。剪定で出たつるを活かす方法と考えると気が楽です。

種まきは、塊根の姿を一から育てたいときの方法です。種の選び方、まく時期と発芽の温度、苗の最初の冬の越し方はアデニア・グラウカの実生に詳しくまとめています。

種から育てるなら、手順はこちら雌雄異株で種が少ない理由、発芽に向く温度、苗を失いやすい最初の冬の越し方まで、グラウカの種まきを順に追っています。
アデニア・グラウカの実生を見る →

冬越し|最低10℃前後を目安に、葉が落ちたら休ませる

グラウカは霜には耐えられません。冬越しの最低温度は資料によって5〜10℃と幅がありますが、余裕をみて10℃前後を下回らない場所に置くと安心です。秋に最低気温が15℃を切りはじめたら、室内の明るい窓辺へ移します。

葉を落として休眠しているアデニア・グラウカ。室内の木の窓辺に置かれた素焼き鉢に、青緑色のとっくり形の塊根と、乾いた細いつるが残っている 冬は葉を落として休みます。塊根が硬く張っていれば、葉がなくても心配はいりません。(AIで生成したイメージです)

  • 葉を落とした株:断水するか、暖かい日の午前中に月1回、表面が湿る程度にとどめます。光より温度の安定を優先します。
  • 葉が残っている株:暖かい部屋では葉を付けたまま冬を越すこともあります。その場合は明るい窓辺に置き、月に1〜2回、土の表面が湿る程度を与えます。
  • 窓辺の冷え:窓ガラスのすぐそばは、夜に室温より数℃下がります。夜は部屋の内側へ寄せるか、厚手のカーテンを一枚引くだけでも違います。暖房の温風が直接当たる場所は避けます。

休眠中に塊根がゆるくしわを寄せるのは、蓄えを使っているだけです。押して硬ければ心配はいりません。春は最低気温が15℃を安定して超え、頂部の芽が動いたのを確かめてから、少量の水やりで再開します。動き出しは株によって遅く、暖かくなってもしばらく変化が見えないことがあります。硬さと重さが保たれているうちは待ってかまいません。

種まきした年の小さな苗は、大きな株より寒さに弱く、乾かしきらない管理が必要です。苗の冬越しはアデニア・グラウカの実生の冬越しの節を参照してください。種類ごとの最低温度の目安を並べて見たいときは塊根植物の冬越しが参考になります。

調子を崩したときのサイン

調子の変化は、葉と塊根の硬さに出ます。

  • 秋に葉が黄ばんで落ちる:気温が下がったことによる、正常な休眠入りです。水を減らし、つるが枯れきってから切ります。
  • 生育期に葉が黄色くなって落ちる:水切れか、逆に多すぎか。鉢の重さで見分けます。軽ければ水を、重いままなら乾くまで待ちます。
  • つるが細長く伸び、葉の間隔が開く:光が足りていません。より明るい場所へ移します。
  • 塊根が柔らかい、押すとへこむ、黒ずむ:腐りです。低温と過湿が重なったときに起きやすくなります。水を止めて鉢から出し、傷んだ部分を硬い組織が出るまで削って数日乾かし、乾いた用土に植え直します。
  • 塊根の肌が白っぽくかさつく:真夏の強い日差しによる日焼けのことがあります。西日をやわらげる場所へ移します。
  • 葉がかすれたように白っぽい、葉裏に細かい点:ハダニです。乾いた高温で増えるので、葉裏にも水をかけ、風を通します。
  • 春になっても芽が動かない:塊根が硬く重いうちは待ちます。15℃を超える日が続いたら、少量の水を与えて様子を見ます。

同じしわでも、水不足か腐りかで手当てが逆になります。押して硬ければ水不足か休眠中の自然な痩せ、柔らかく指が沈めば腐りの疑いです。迷ったときは、まず水を止めて硬さを確かめるほうが安全です。

縁側では、ユーフォルビアのオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。同じアデニア属でトゲのある茎といぼ状の塊根をもつアデニア・グロボーサの実生や、同じくつるを伸ばして冬に休む火星人(フォッケア・エデュリス)もあわせてどうぞ。

よくある質問

冬に葉が全部落ちました。枯れているのでしょうか?

寒さで休眠に入っただけで、多くの場合は問題ありません。確かめ方は塊根の硬さと重さで、押して硬く締まり、持ったときに大きさのわりに重ければ生きています。落葉した株は断水するか月1回ごく少量にとどめ、10℃前後を下回らない明るい場所で春を待ちます。最低気温が15℃を安定して超え、頂部の芽が動いてから水やりを再開します。

伸びすぎたつるは切ってもよいですか?

切ってかまいません。ただし、つると葉の量がその年の塊根の太りを左右するので、切るほど太りは鈍ります。切るなら生育期の前半(5〜7月)に行い、秋の黄ばみはじめた時期は避けて、枯れきってから根元で切り取ります。樹液は有毒とされているので、手袋をして作業し、終わったら手を洗います。

挿し木で増やした株も、とっくり形の塊根になりますか?

根は比較的出やすいものの、根元が大きくふくらむことは少ないとされます。挿し木の株は、つると葉の姿を楽しむ鉢と考えるとわかりやすくなります。塊根の姿を育てたい場合は、種から育った実生株を迎えるか、種から育てるのが向いています。

アデニア・グラウカと幻蝶かずらは同じ植物ですか?

同じ植物です。幻蝶かずら(幻蝶カズラ)は日本での流通名で、学名が Adenia glauca(アデニア・グラウカ)です。名前の似たアデニウム(砂漠のバラ)はキョウチクトウ科の別の植物で、寒さへの強さや育て方が違います。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。