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塊根ユーフォルビアの種類|飛竜・デカリー・鉄甲丸ほか、見分け方と冬の扱い

木の縁側に並べた3つの浅い素焼き鉢。左は土の上に灰白色のふくらんだ根を出し平たい枝を広げた株、中央は丸い幹から短い枝を放射状に出した株、右は波打つ葉を低く広げた株
AIで生成したイメージです
この記事の結論

塊根になるユーフォルビアは、地中や土の上で「根が太る」飛竜・デカリー・フランコイシー・ツベローサなどと、「幹や株元が太る」鉄甲丸・金輪際・モナデニウムの仲間などに分けると見分けやすくなります。多くは春から秋に育つ夏型で、冬は最低10℃前後を目安に明るい室内で水を控えます。南アフリカ西部の冬に雨が降る地域の出身であるツベローサは反対に冬に育つので、手元の株がどちらの季節に動くかを先に確かめるのがいちばんの近道です。はじめの一株には、出回りが多く性質の分かりやすい飛竜やデカリーが選びやすい種類です。

ユーフォルビアというと、球形のオベサや柱状のホリダを思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど2,000種を超えるこの仲間には、根や幹を太らせて水をためる、塊根植物(コーデックス)らしい姿の種類も少なくありません。パキポディウムやアデニウムと同じ棚に並べられることも多く、「塊根のユーフォルビアにはどんな種類があるの?」と気になったときに、名前と姿が結びつきにくいグループです。

この記事では、塊根になるユーフォルビアを「どこが太るか」で2つに分け、代表的な種類の見分け方、育てやすさ、冬の扱いを順に整理します。塊根植物全体の考え方は塊根植物(コーデックス)とはに、ユーフォルビア全体の種類はユーフォルビアの種類にまとめています。

塊根ユーフォルビアとは|「根が太る」か「幹が太る」かで分ける

塊根植物は、科の決まりではなく「幹や根の一部が膨らんで水をためる」という姿で括られた呼び名です。ユーフォルビアの中でも、乾季の長い南アフリカやマダガスカルの乾いた土地に育つ種類の一部が、この姿をとります。

塊根ユーフォルビアは、太る場所で見ると2つに分かれます。

  • 根が太るタイプ:地中の根がかぶやいものように太り、その頂から枝や葉を出します。飛竜、デカリー、フランコイシー、ツベローサなど。根の一部を土の上に出して仕立てると、塊根植物らしい姿になります。
  • 幹や株元が太るタイプ:地上の幹や、土に半分埋まった株元が太ります。松かさのような幹の鉄甲丸、丸い幹から枝を放射状に出す金輪際(ゴルゴニス)、株元がふくらむモナデニウムの仲間などです。

どちらのタイプでも、傷をつけると白い樹液が出る点はほかのユーフォルビアと同じです。植え替えや根の手入れでは手袋をし、作業のあとは手を洗います。扱い方はユーフォルビアの樹液の扱いにまとめています。

根が太る種類|飛竜・デカリー・フランコイシー・ツベローサほか

浅い素焼き鉢が2つ。左は土の上に灰白色のふくらんだ根を出し、その頂から波打つ平たい枝を広げた株。右は松かさのような鱗状の幹の上に細長い葉を広げた株 左が根の太るタイプ、右が幹の太るタイプのイメージ。同じユーフォルビアでも、太る場所で姿が大きく変わります。(AIで生成したイメージです)

根が太るタイプは、根の形と、その上に出る枝や葉の形を見ると区別がつきます。

  • 飛竜(ステラータ/Euphorbia stellata):南アフリカ原産。灰白色にふくらんだ根の頂から、縁に短いとげの並ぶ平たい帯状の枝を星形に広げます。塊根ユーフォルビアの中でも出回りが多く、名前を最初に知る種類のひとつです。育て方は飛竜の育て方に、大きさ別の値段の目安は飛竜の価格と相場にあります。
  • デカリー(Euphorbia decaryi):マダガスカル原産。縁が細かく波打つ葉を地面近くにロゼット状に広げ、地中に塊根を作ります。地中を這う茎で横に増えるので、浅く口の広い鉢が合います。詳しくはデカリーの育て方へ。
  • フランコイシー(Euphorbia francoisii):マダガスカル原産の小型種。地中にふくらんだ根を持ち、地上には小さな株元と葉が出るだけの控えめな姿です。葉の色や模様、縁の波打ち方に個体差が大きく、葉を楽しむ種類として集める人もいます。
  • シリンドリフォリア(Euphorbia cylindrifolia):マダガスカル原産。名前のとおり筒状の細い葉をつけ、這うように伸びる茎の下に塊根を作ります。塊根がよく太る系統は、亜種トゥベリフェラ(ssp. tuberifera)の名前で流通することがあります。
  • ツベローサ(Euphorbia tuberosa):南アフリカ西部の、冬に雨が降り夏に乾く地域の出身です。地中に塊茎を作り、秋から春に葉を広げて、夏は葉を落として休みます。ここに挙げた中では珍しい冬型で、季節の管理がほかの種類と反対になります。

飛竜とデカリーは、日本でも種から育てた株が比較的よく出回り、性質の情報も多い種類です。フランコイシーやシリンドリフォリア、ツベローサは流通が少なめで、見かけたときに性質を確かめてから迎えると安心です。

幹や株元が太る種類|鉄甲丸・金輪際・モナデニウムの仲間ほか

幹が太るタイプは、地上部の姿そのものが見分けの手がかりになります。

  • 鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia):南アフリカ原産。葉の落ちた跡が鱗のように重なった、松かさのような幹を持ち、その頂に細長い葉を広げます。春に葉を出し、秋に落として、冬は幹だけで休みます。成長は1年に鱗片一段分ほどとゆっくりです。育て方は鉄甲丸の育て方にまとめています。
  • 金輪際(ゴルゴニス/Euphorbia gorgonis):南アフリカ原産。土に半分埋まった丸い幹の頂から、短い枝を何重にも放射状に出す「タコもの」と呼ばれる姿です。枝の付け根の丸い幹が年数とともに太り、塊根植物のように見えてきます。詳しくは金輪際の育て方へ。
  • エノルミス(Euphorbia enormis):南アフリカ原産。にんじんのような形の太い根茎を持ち、大きく育つと直径10cmを超えるとされます。その頂から、とげのある短い枝を出します。
  • モナデニウムの仲間:いまはユーフォルビア属に含まれるグループで、スタペリオイデス(現在の学名 Euphorbia neostapelioides)のように株元がふくらみ、茎を低く這わせる種類があります。名前の扱いと育て方はモナデニウムの育て方にあります。

同じ「太い幹」でも、柱のように上へ伸びるホリダやバリダは、ふつう塊根植物とは呼ばず柱状・球形のユーフォルビアとして扱われます。札の名前と姿が結びつかないときは、ユーフォルビアの和名一覧で学名をたどると見つけやすくなります。

種類ごとの見分け方と育てやすさ|一覧で比べる

代表的な種類を、太る場所・生育の季節・冬の温度の目安・育てやすさで並べました。冬の温度は、乾かし気味に管理したときの目安です。

種類太るところ育つ季節冬の目安育てやすさ
飛竜根夏型5℃下限・10℃前後で安心比較的やさしい
デカリー根夏型最低10℃前後比較的やさしい
フランコイシー根夏型最低10℃以上寒さと過湿にやや弱い
シリンドリフォリア根夏型最低10℃前後中くらい
ツベローサ根(塊茎)冬型5℃を下回らない明るい場所季節の管理に慣れが要る
鉄甲丸幹夏型最低10℃前後中くらい(成長はゆっくり)
金輪際幹(株元)夏型5℃下限・10℃前後で安心比較的やさしい

はじめの一株なら、飛竜かデカリーが選びやすい種類です。どちらも夏型で季節の管理が分かりやすく、種から育てた株が手に入りやすいので、根の張った小さな株から姿の変化を楽しめます。塊根植物全体から一株目を考えるなら、塊根植物の初心者におすすめの種類も参考になります。

迎えるときは、塊根や幹を指で軽く押して硬く締まっているか、株元に黒ずみや柔らかい部分がないかを見ます。根の太る種類は、土の上に出ている部分だけでなく、鉢の中で根がしっかり張っているかも大切です。

冬の扱い|まず夏型か冬型かを分ける

塊根ユーフォルビアの冬越しは、手元の株が夏型か冬型かで正反対になります。

夏型(飛竜・デカリー・鉄甲丸・金輪際など)

  • 夜の最低気温が15℃を切りはじめる10月ごろを目安に、明るい室内へ取り込みます。
  • 葉が落ちはじめたら水を減らし、冬は暖かい日の午前中に、月1回ほどの少量にとどめます。
  • 最低10℃前後を目安にします。飛竜や金輪際は乾かしていれば5℃前後まで耐えることがありますが、冷えた土が湿ったままになると、塊根や幹が傷みやすくなります。
  • 窓辺は夜に冷え込むので、寒い夜は部屋の内側へ寄せます。

冬型(ツベローサなど)

  • 秋に芽が動き出したら水を再開し、冬は日の当たる場所で、土が乾いたら与えます。
  • 5℃を下回らない明るい場所が目安です。霜や凍結には耐えません。
  • 春の終わりに葉が黄色くなってきたら水を減らし、夏は風通しのよい明るい日陰で、ほぼ断水して休ませます。

どちらの型でも、休眠中に葉がなくても、塊根や幹が硬く重さが保たれていれば株は生きています。夏型・冬型の考え方は塊根植物の冬越しと塊根植物の休眠に、ユーフォルビアが寒さに当たったときのサインはユーフォルビアの寒さにまとめています。

冬の取り込みと水の止め方を、種類ごとに確かめたいときは夏型と冬型の違い、種類別の最低温度、室内での置き場所と水の与え方を、塊根植物全体でまとめています。
塊根植物の冬越しを見る →

用土と鉢|水はけを優先し、根の形に合わせて選ぶ

塊根ユーフォルビアは、冷えた湿った土がいちばんの苦手です。用土は水はけと通気を優先し、赤玉土小粒・軽石・日向土などの粒の硬い土を中心にします。配合の考え方は用土の選び方にあります。

鉢は、根の太る種類なら塊根の幅よりひと回り大きい程度、地中を這って広がるデカリーやシリンドリフォリアなら浅く口の広いものが合います。塊根を土の上に出して仕立てる場合も、出しすぎると根の太りがゆっくりになるので、まずは土に埋めて株を育て、植え替えのたびに少しずつ上げていくと無理がありません。植え替えの時期と手順はユーフォルビアの植え替えにまとめています。

塊根や幹が柔らかくなる、黒ずむといった変化は、根腐れのサインのことがあります。助かるかどうかの見分け方はユーフォルビアの根腐れへ。

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に、個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

塊根になるユーフォルビアで、いちばん育てやすいのはどれですか?

飛竜(ステラータ)とデカリーが選びやすい種類です。どちらも春から秋に育つ夏型で季節の管理が分かりやすく、種から育てた株が比較的手に入りやすいので、根の張った小さな株から始められます。

塊根ユーフォルビアは冬に何℃まで耐えられますか?

夏型の多くは最低10℃前後を目安にすると安心です。飛竜や金輪際のように、乾かしていれば5℃前後まで耐える種類もありますが、霜や凍結、冷えた湿った土には弱いので、冬は明るい室内で水を控えます。冬型のツベローサは、冬が育つ季節なので5℃を下回らない日の当たる場所に置きます。

鉄甲丸や金輪際も塊根植物に入りますか?

根ではなく幹や株元が太る種類ですが、膨らんだ部分に水をためる姿から、塊根植物(コーデックス)の仲間として並べられることがよくあります。塊根植物は科の決まりではなく姿の呼び名なので、どこまで含めるかに厳密な線はありません。

塊根は土の上に出したほうがよいですか?

見た目を整えるために土の上へ出す仕立てはよく行われますが、根は土に埋まっているほうが太りやすい傾向があります。はじめは埋めて株を育て、植え替えのたびに少しずつ上げていくと、株に負担をかけずに姿を整えられます。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。