育て方

パキポディウムの太らせ方|サンデルシー(白馬城)を中心に、種類で違う太り方と成長速度の目安

夏の日が差す木の縁側に置かれた浅い素焼き鉢のサンデルシー(白馬城)。白っぽく丸い塊根から棘の並ぶ太い枝が数本伸び、枝先に細長い緑の葉が集まっている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

パキポディウムが太るのは葉が出ている期間だけで、その間にどれだけ光と水を受け取れたかの積み重ねが太さになります。ただし「太る」の形は種類で違い、サンデルシー(白馬城)は地際の塊根が横に張り、ラメリーは幹が上へ伸びます。サンデルシーは暑さに強く育ちが早いので、真夏も止めずに日に当てて水を回し、根が動ける鉢で、若いうちに生育期を長く取るのがいちばんの近道です。

パキポディウムを迎えてしばらくすると、「もっと太らせたい」と考える方は多いものです。太らせる仕組み自体は種類を問わず共通で、葉が出ている時期に光と水をどれだけ受け取れたかで決まります。一方で、どこが・どんな形で太るかは種類ごとに違い、同じ管理でも見え方が変わります。この記事では、パキポディウム全般の太らせる考え方を短く押さえたうえで、育ちが早く太らせる楽しみを味わいやすいサンデルシー(白馬城)の場合を中心にまとめます。グラキリスについては、幹の張りの読み方まで含めてグラキリスの太らせ方に詳しく書いています。属全体の育て方はパキポディウムの育て方にあります。

パキポディウムが太る仕組み|葉のある期間がすべて

パキポディウムの幹や塊根は、葉が光を受けて作った養分を蓄えることで太っていきます。つまり太れるのは葉が出ている生育期だけで、冬に葉を落として休んでいるあいだは、どれだけ手をかけても太りません。太らせる工夫は、すべて生育期の過ごさせ方に集まります。

もうひとつ、夏に水やりで張った幹が冬の断水で少し痩せて見えるのは、蓄えた水の出入りによる変化です。育って増えた太さは冬にも戻らないので、育ち具合は去年の夏と今年の夏のように、同じ季節どうしで比べると読み違えません。

生育期に揃えたい条件は、種類を問わず次の4つです。

  • 光:いちばん大切な条件です。光が足りないと、水と養分は太さではなく枝の伸びに回ります。
  • 水:鉢の中が乾いたら、鉢底から流れるまでたっぷり。乾いてたっぷりの回数が多いほど根が動きます。
  • 肥料:生育期に薄めの液肥を月1〜2回ほど。光と水がそろってはじめて効く、下支えの役です。
  • 根:根が動ける鉢と、水はけのよい用土。根が張っていない株は、何をしても太りません。

種類で違う「太る」の形|塊根が張る・幹がふくらむ・背が伸びる

同じパキポディウムでも、栄養を蓄える場所と姿の伸び方は種類で違います。「太らせたい」と思ったときに目指せる形も、それに合わせて変わります。

素焼き鉢に植えられた3種類のパキポディウムを並べた様子。左は棘のある柱のような幹がまっすぐ伸びたラメリー、中央は銀白色のとっくり形の幹から短い枝が出たグラキリス、右は地際の平たく丸い白い塊根から棘の枝を広げたサンデルシー 左からラメリー、グラキリス、サンデルシー。太り方の向きが種類で違います。(AIで生成したイメージです)

種類太る場所と形育ちの速さ太らせるときの見どころ
サンデルシー(白馬城)地際の塊根が丸く、やがて平たく横に張る速い塊根の幅と白い肌。枝は長く伸びやすい
グラキリス幹がとっくり形に丸くふくらむゆっくり幹の丸さと、枝の詰まり方
恵比寿笑い(ブレビカウレ)平たい幹が横に広がるとてもゆっくり年に少しずつの横の広がり
ラメリー柱状の幹が上へ伸び、根元から太る速い太さより背丈が先に伸びる

サンデルシーとラメリーはどちらも育ちが早い種類ですが、ラメリーは「太る」より「伸びる」が先に立つので、太さを楽しむなら頭を止めて枝分かれさせる仕立てが中心になります。詳しくはラメリーの育て方に、ゆっくり育つ恵比寿笑いの扱いは恵比寿笑いの育て方にまとめています。種類ごとの姿の違いはパキポディウムの種類で一覧にしています。

サンデルシー(白馬城)を太らせる|育ちの早さを生かす

サンデルシーは南部アフリカの、夏に雨が降る乾いた岩場の出身です。マダガスカル出身の種類に比べて暑さに強く、生育期によく水を吸って育ちます。この「夏に強く、育ちが早い」性質が、太らせるうえでの最大の味方になります。

  • 光は真夏も遠慮しない:屋外の日なたで、雨の当たらない場所がいちばん育ちます。暑さに強いので、真夏も遮光せずに当てられることが多い種類です。春に室内から出すときだけ、1〜2週間かけて光に慣らします。
  • 水は夏に止めない:梅雨明けから9月が、もっとも太る時期です。鉢の中まで乾いたらすぐにたっぷり与え、乾きの早い株なら間隔を詰めてかまいません。真夏に水を控える種類と同じ扱いにすると、太れる時期をみすみす逃します。季節ごとの頻度はパキポディウムの水やりにまとめています。
  • 肥料は薄く、回数で:5〜9月に、規定より薄めた液肥を水やりのたびではなく月2回ほど。元肥として緩効性の粒を少量混ぜておく方法もあります。濃い肥料は根を傷めるので、量を増やして急がせるより、回数で支えます。肥料の種類は肥料の選び方を参考にしてください。
  • 鉢はひと回りずつ:サンデルシーは根の伸びも早く、小さな苗は1年で鉢が根でいっぱいになることがあります。根詰まりすると水を吸う量が落ちて太りが止まるので、小さな苗は毎年、大きな株は2〜3年ごとに、ひと回り大きな鉢へ上げます。鉢の大きさの目安は鉢のサイズの選び方に、手順はパキポディウムの植え替えにあります。

いちばん太りやすいのは、若い実生株の時期です。苗のうちは1年ごとの変化がはっきり見え、株が大きくなるほど年ごとの変化は小さくなっていきます。太らせる楽しみを味わいたいなら、小さめの実生株から生育期をしっかり取って育てるのが向いています。種から育てる流れはパキポディウムの実生で扱っています。

塊根を土に埋めるか、出すか

サンデルシーの塊根は地際でふくらむので、植え替えのときに「どこまで土に埋めるか」で育ち方と見え方が変わります。

植え方育ち方見え方
塊根を土に深めに埋める土の中は乾きにくく、根と塊根が動きやすい。太りやすいと言われる塊根が隠れ、肌は白くなりにくい
塊根を土の上に出す(根上げ)乾きが早くなり、太り方はやや穏やかになることがある塊根の形と白い肌がよく見え、姿が締まる

愛好家のあいだでは、苗のうちは深めに植えて太らせ、ある程度の大きさになったら植え替えのたびに少しずつ塊根を出していく、という段階的な進め方がよく取られます。一度に大きく持ち上げると、日に当たっていなかった部分が日焼けすることがあるので、出すのは植え替え1回につき少しずつにとどめます。どちらが正解というより、太さを優先するか、姿を見せることを優先するかの選び方です。

生育期を長く取る|春は早く、秋は長く

太れる期間が葉のある期間だけである以上、その期間を数週間でも長く取れれば、そのぶん太さが積み上がります。

  • 春の立ち上がりを早める:新芽が動き出したら少量の水から再開し、最低気温が15℃を超えたら屋外の日なたへ出します。動き出しを見逃さず、室内の明るい窓辺で先に水を回し始めると、屋外に出したあとの伸びがそろいます。
  • 秋は葉を残せるうちは残す:最低気温が10℃を下回る前に室内の明るい場所へ取り込み、葉が自然に黄ばむまでは乾いたら水を与えます。急に断水して葉を落とさせるより、葉が働ける時間を長く取れます。
  • 冬は無理に育てない:暖かい部屋で葉を残すこともできますが、日本の冬の窓辺は光が弱く、暖かさだけを保つと枝が細く伸びやすくなります。育成ライトで光を補えない場合は、落葉させて休ませるほうが翌春の立ち上がりもそろいます。冬の置き場所と温度の目安は塊根植物の冬越しに、ライトの選び方は育成ライトの選び方にまとめています。

太らない・枝ばかり伸びるとき|サンデルシーで多い原因

サンデルシーはもともと枝が長く伸びる種類です。枝が伸びること自体は自然な姿ですが、塊根が太らないまま枝だけが細く長くなるなら、どこかの条件が欠けています。

株の様子考えられる原因見直すこと
枝が細く長く、棘の間隔が広い光が足りないもっと明るい場所へ。水と肥料は増やさない
夏でも鉢がなかなか乾かない鉢が大きすぎる・用土の水はけが悪いひと回り小さな鉢、水はけのよい用土へ
水をやってもすぐ乾き、新芽が鈍い根詰まり5〜6月に植え替えて根を整理する
株がぐらつき、張りが戻らない根が十分に張っていないまず根の様子を確かめる。太らせるのはそのあと
塊根の一部が柔らかい根や塊根の傷み水を止めて状態を確かめる

伸びすぎた枝は、生育期に切り戻して姿を整えられます。枝を切っても塊根が直接太るわけではありませんが、残した枝から新しい枝が出て葉の数が増えれば、そのぶん太る力になります。切る位置と時期はパキポディウムの剪定に、柔らかくなったときの見分け方はパキポディウムのトラブルにまとめています。

どれくらいで太るか|成長速度の目安と比べ方

サンデルシーは、種から育てると数年で塊根の幅が数cmに育ち、手に取ったときに「丸い塊根の株」と感じられる姿になることが多い種類です。グラキリスや恵比寿笑いに比べると変化が見えやすく、生育期の条件がよい年は、1年でひと目で分かるほど塊根が張ることもあります。ただし、この速さは光の量と生育期の長さで大きく変わるので、目安は幅をもって見ておきます。

段階塊根の幅の目安太り方の見え方
小さな実生苗2〜3cm1年ごとの変化がはっきり見える
中くらいの実生株4〜6cm毎年少しずつ、横に張っていく
大きく育った株・現地球握りこぶし大以上年ごとの変化は小さく、形が落ち着いていく

小さな変化を追うには、記録が確かです。塊根のいちばん太い部分の幅を、毎年同じ月(生育期の終わりの9〜10月がおすすめ)に、同じ向きで測ります。写真も同じ角度で撮っておくと、枝の詰まり方や肌の白さの変化から、その年の光の当たり具合まで振り返れます。大きさごとの株の姿は白馬城の値段と選び方でも並べています。

グラキリスを太らせたいときはゆっくり育つグラキリスは、幹の張りの読み方や、現地球の太り方の考え方が少し違います。
グラキリスの太らせ方を見る →

縁側では、球形ユーフォルビアのオベサと鉄甲丸、その交配種であるオベサ鉄甲(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)を中心に扱っています。個体ごとの姿を紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

サンデルシーは真夏に水やりを控えたほうがいいですか?

控える必要はほとんどありません。サンデルシーは夏に雨が降る地域の出身で、暑さに強く、夏がいちばん育つ時期です。鉢の中まで乾いたら、たっぷり与えます。ただし梅雨どきのように何日も乾かない時期は、乾くのを待ってから与え、雨の当たらない場所に置きます。

肥料を多めにすれば早く太りますか?

早くはなりません。太さをつくるのは葉が受け取る光で、肥料はその下支えです。光が足りないまま肥料を増やすと、塊根より先に枝が細く伸びます。濃い肥料は根を傷めることもあるので、5〜9月に薄めた液肥を月2回ほどにとどめ、落葉期には与えません。

塊根を土から出すと太らなくなりますか?

止まるわけではありませんが、土に埋めていたときより太り方が穏やかになることがあります。土の中のほうが乾きにくく、根と塊根が動きやすいためです。太さを優先する時期は深めに、姿を見せたくなったら植え替えのたびに少しずつ出す、という進め方が取られることが多いです。

枝を切ると塊根が太りますか?

枝を切ること自体で塊根が太るわけではありません。塊根を太らせるのは葉なので、切りすぎるとむしろ一時的に太る力が落ちます。伸びすぎた枝を生育期に切り戻し、切った先から新しい枝と葉が出て株全体の葉が増えれば、その後の太りにつながります。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

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