育て方

ソテツキリンの水やりと育て方|季節ごとの頻度、冬越し・子株が出ない理由と増やし方

縁側に置いた素焼き鉢のソテツキリン。松かさのような突起が螺旋に積み重なった短い幹の頂部から、細長い葉がロゼット状に広がっている
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ソテツキリンの水やりは、葉の出入りで切り替えます。葉があるあいだは土が中まで乾いてから鉢底から流れ出るまで(春秋は7〜10日に1回が目安)、真夏は乾いてからさらに3〜5日待って夕方に、葉が落ちた冬は月1回ほどの少量に。乾いたかは竹串か鉢の重さで確かめ、日数は鉢と置き場所で変わるので確かめる日の目安として使います。冬は最低10℃を目安に明るい室内へ。子株が出ないときは、原種の鉄甲丸ではないか・株の若さ・光不足・植え替え直後かを順に見直し、出た子株は指でつまめる大きさで外して挿し木にします。

小さな蘇鉄(ソテツ)のような幹に、松かさを思わせる突起が螺旋に積み重なり、その頂から細長い葉がふわりと開く。ソテツキリン(蘇鉄麒麟)は、ユーフォルビアの中でも姿のおもしろさで手に取られることの多い一鉢です。育て方の骨組みはほかの多肉質タイプと同じ「乾かしてからたっぷり」ですが、葉を出しては落とす一年のリズムと、日本の真夏の蒸れに気をつけることの2つが、ソテツキリンならではの気にかけどころです。この記事では、まず名前が指す植物を確かめてから、いちばん迷いやすい水やりを季節ごとの目安と確かめ方まで詳しく扱い、そのあと置き場所・冬越し・植え替え、子株が出ないときの見直し方と増やし方を順にまとめます。ユーフォルビア全体の育て方はユーフォルビアの育て方にあります。

ソテツキリンとは|同じ名前で売られる植物は2通り

「ソテツキリン」の札が付いた株には、実は2通りの中身があります。育て方の骨組みは同じですが、増やし方と丈夫さに違いが出るので、最初に手元の株がどちらに近いかを見ておくと迷いません。

項目交配種のソテツキリン原種の鉄甲丸
学名・表記Euphorbia ‘Sotetsukirin’(園芸品種)Euphorbia bupleurifolia
成り立ち鉄甲丸と鱗宝(マミラリス)の系統を掛け合わせた日本の交配種南アフリカ東部に自生する原種
姿幹がすっと縦に伸び、古い部分は木質化して小さな蘇鉄のようになる松かさを立てたような短く太い幹。伸びはとてもゆっくり
子株株元や幹からよく吹くほとんど吹かない
増やし方子株を外して挿し木実生(種まき)が基本
夏の蒸れ比較的よく耐える苦手。とくに慎重に

園芸品種としてのソテツキリンは、鉄甲丸(E. bupleurifolia)と鱗宝(E. mammillaris)を親にもつ交配種として流通しています。資料によっては「怪魔玉(鉄甲丸×鱗宝)にもう一度鉄甲丸を掛けたもの」と書かれていたり、峨眉山鉄甲の別名として売られていたりと、系統の説明は一つに定まっていません。学名として登録された名前がないため、店ごとに呼び方が揺れるのです。

もう一方は、原種の鉄甲丸そのものを、小さな蘇鉄のような姿から「ソテツキリン」「パイナップルコーン」と呼んでいる場合です。英語でも鉄甲丸は cycad spurge(蘇鉄のようなユーフォルビア)と呼ばれ、名前の由来は同じところにあります。

見分けの手がかりは、伸び方と子株の出方です。幹が縦に伸びて株元から子株をよく吹いているなら交配種、太く短い松かさ状で子株がほとんど見当たらないなら鉄甲丸の可能性が高くなります。どちらと決めきれなくても、以下の育て方はそのまま使えます。鉄甲丸を片親にした交配種の一覧と見分け方は鉄甲丸の交配種まとめにあります。

水やり|葉の出入りで切り替え、「中まで乾いた」を確かめてから

ソテツキリンの水やりは、葉があるかどうかを合図にすると組み立てやすくなります。葉が開いているあいだは葉からも水が抜けるので、土が中まで乾いたのを確かめてからたっぷり与えます。葉を落として幹だけになったら、量も回数もぐっと絞ります。暦の月で決めるより、株のようすで切り替えるほうが外れません。

季節ごとの間隔の目安

時期株のようす間隔の目安与え方
春(最低気温10℃を超えてから)頂部から新しい葉が動き出す最初は2週間に1回ほどの少量。2〜3週間かけて7〜10日に1回へ慣れてきたら鉢底から流れ出るまで
初夏・初秋葉が茂っている土が中まで乾いてから。7〜10日に1回前後鉢底から流れ出るまで
真夏(7月中旬〜9月上旬)暑さで動きが鈍る乾いてから、さらに3〜5日待つ。10日〜2週間に1回ほど涼しくなった夕方に。35℃を超える日が続くあいだは控える
秋(10月〜)下の葉から黄色くなる2週間に1回ほどへ、少しずつ間隔を伸ばす暖かい日の午前に
冬(葉が落ちてから)幹だけで休む月1回ほど、土の上3分の1が湿る程度暖かい日の午前に。5℃を下回る場所なら断水

日数はあくまで目安で、鉢の大きさや素材、置き場所によって倍近く変わります。表の間隔は「その日に必ず与える」ためではなく、そろそろ乾いたかを確かめる日として使うと加減を外しにくくなります。

「乾いた」の確かめ方

土の表面は1〜2日で乾いて見えますが、根が多い鉢の下半分はまだ湿っていることがよくあります。ソテツキリンで見たいのは、この中の乾きです。

  • 竹串を挿す:鉢の縁から、鉢の深さの半分ほどまで竹串を挿しておき、抜いたときに先が湿って色が変わっていなければ乾いています。挿したままにしておけば、毎回抜いて確かめられます。
  • 鉢の重さで見る:水やり直後の重さを一度持って覚えておき、それよりはっきり軽くなっていれば乾いています。小さな鉢ほど分かりやすい方法です。
  • 鉢と場所で乾き方が変わる:素焼き鉢や小さな鉢、風の通る屋外は早く乾き、プラスチック鉢や陶器鉢、大きな鉢、空気の動かない室内は遅く乾きます。

迎えたばかりの株は、たっぷり与えた日から竹串の先が乾いて抜けるまでの日数を一度数えておくと、その鉢の「春秋の間隔」が分かり、そのあとの季節も迷わずに済みます。

1回の与え方

  • 量は鉢底から流れ出るまで:少しずつ与えると、表面だけが湿って根の多い下のほうに水が届きません。与える日はたっぷり、与えない日は与えない、のめりはりが根を健やかに保ちます。
  • 注ぐのは鉢の縁から土へ:頂部の葉の付け根や、幹の突起のすき間に水をためないようにします。株の上からかけると、乾きにくいくぼみに水が残り、傷みの入り口になります。
  • 受け皿の水は捨てる:ためたままにすると鉢底が乾かず、根が下から傷みます。
  • 時間帯:春・秋・冬は暖かい日の午前に、真夏は日が落ちて涼しくなった夕方に与えます。真夏の日中に与えると、鉢の中が蒸れて温まります。
  • 冬の水は冷たすぎないものを:冷え込む朝の水道水は、くみ置きして室温に近づけてから使うと根を驚かせません。

素焼き鉢のソテツキリンに、鉢の縁から細口のじょうろで土へ水を注いでいる。鉢の縁には竹串が挿してあり、受け皿に水が流れ出ている 葉や頂部にかけず、鉢の縁から土へ。鉢の縁に挿した竹串で、中の乾きを確かめます。(AIで生成したイメージです)

夏と冬で情報が分かれるのはなぜか

ソテツキリンの水やりを調べると、夏は「週1回」とも「月1回で十分」とも書かれ、冬も「断水」と「月1〜2回」に分かれています。どれかが間違っているというより、前提にしている置き場所と鉢が違うのです。

夏の場合、風の通る屋外の素焼きの小鉢なら土は数日で乾き、週1回でも中まで乾きます。一方、室内のプラスチック鉢や大きな鉢では、乾くまでに2週間以上かかることもあります。さらに、日本の蒸し暑い夏は株の動きが鈍るため、成長期と同じ調子で与えると、湿った土が乾ききらずに株元から傷みます。そこでこの記事では、乾いてからさらに数日待つという書き方にしています。

冬の分かれ目は置き場所の最低気温です。10℃前後を保てる明るい室内なら、細い根を枯らさないよう月1回ほどの少量を続けます。5℃を下回る場所なら乾かしたまま越します。株の中の水分が少ないほど冷え込みに耐えやすくなるためです。種類を横断した考え方はユーフォルビアの水やりで表に整理しています。

こんなときの水やり

  • 迎えたばかりのとき:届いた直後に慌てて与えず、まず竹串で土の乾きを確かめます。乾いていれば、置き場所に数日なじませてから与えます。
  • 植え替えのあと:根を整えた傷口がふさがるまで、1週間ほど空けてから与えます。
  • 子株を挿したあと:挿して1週間ほど待ち、少量から始めます。根が出るまでは土を湿らせすぎないようにします。
  • 暖房の部屋で、冬も葉が残っているとき:「葉がある」扱いにして、乾いてから少量を与えます。
  • 数日家を空けるとき:乾き気味で問題ありません。出かける前に多めに与えたり、鉢を水を張った受け皿に置いたままにしたりするほうが、根を傷める原因になります。

水が多すぎる・足りないときのサイン

見えているもの考えられること次の水やり
成長期に、幹に細かいしわが寄って張りがない水不足土が乾いていれば、鉢底から流れ出るまでたっぷり。数日で張りが戻る
成長期に葉が垂れ、薄く柔らかくなる水不足、または根の傷み土が乾いていれば与える。湿っているのに垂れるなら根元を確かめる
成長期に葉が黄色くなって落ち、根元が柔らかい・黒ずむ水の多すぎによる根腐れ水を止めて鉢から抜き、傷んだ部分を切る
1週間以上たっても土が乾かない鉢が大きい・用土が細かい・置き場所が暗く風がない明るく風の通る場所へ移し、次の植え替えで粒の粗い用土に
冬に、幹に浅いしわが寄る休眠中のふつうの姿水を増やさず、春に葉が動き出すのを待つ

迷ったときは、待つほうが安全です。水不足のしわは次の水やりで数日のうちに戻りますが、根が傷んでからの立て直しには数か月かかります。根腐れの見分け方と手当ての手順はユーフォルビアの根腐れにまとめています。

置き場所と日当たり|明るさと風通しを両方そろえる

ソテツキリンは日光を好み、よく当てるほど葉が短く締まり、幹の突起もくっきりします。そのうえで大事なのが風通しです。葉が茂る季節は株元に湿気がこもりやすく、ここが傷みの入り口になります。

  • 春と秋:屋外の日なたか、室内ならいちばん明るい窓辺。室内から外に出すときは、1〜2週間かけて半日陰から慣らします。
  • 真夏:遮光30〜50%程度。午前中は日が当たり、午後は明るい日陰になる場所が理想です。照り返しの強い床の上は避け、棚の上で風を通します。
  • 雨:長雨の当たる場所は避けます。軒下や屋根のある棚に置きます。

室内では空気が動かないぶん、サーキュレーターでゆるく風を当てておくと蒸れを防げます。光が足りないと葉と葉の間が伸び、幹も細く間延びします。南か東の窓辺で足りない時期は植物育成ライトで補うと、締まった姿を保ちやすくなります。伸びてしまった姿の扱いはユーフォルビアの徒長にまとめています。

葉が落ちるのは休眠の合図|秋から冬の見守り方

秋に頂部の葉が黄色くなり、土の上に数枚落ちているソテツキリン。幹には螺旋状の突起が並んでいる 秋になると、下の葉から黄色くなって落ちていきます。(AIで生成したイメージです)

秋に気温が下がると、ソテツキリンは下の葉から黄色くなり、やがて頂部の葉まで落として幹だけの姿になります。初めて迎えた年は枯れたように見えて驚きますが、これは冬の休眠に入る合図で、根や幹が傷んだわけではありません。葉が落ちた跡は硬くなって突起の一段に加わり、毎年この繰り返しで松かさ状の幹が積み上がっていきます。

確かめるのは幹の硬さです。指で軽く押して硬く張りがあれば、休眠しているだけです。葉が落ちたら水を月1回ほどに減らし、明るい場所で春を待ちます。反対に、成長期の途中で急に葉が落ち、幹の根元が黒ずんだり柔らかくなったりしているときは、根腐れの疑いがあります。その場合は後半の「調子を崩したときのサイン」を見てください。

暖房の効いた15℃以上の部屋に置いていると、葉を付けたまま冬を越すこともあります。そのときは「葉がある」扱いにして、乾いてから少量を与えます。

冬越し|最低10℃を目安に室内へ

ソテツキリンは寒さに強くはありません。**最低10℃**を冬越しの目安にし、夜の最低気温が10℃を切りはじめる頃(地域によって10月下旬〜11月)に、室内のいちばん明るい窓辺へ取り込みます。原種の鉄甲丸は、土を乾かしていれば5℃前後まで耐えるとされますが、霜と凍結には耐えられません。安心して越すなら10℃を保てる場所を選びます。

  • 窓辺の冷え:夜の窓ガラスのそばは外気並みに冷えます。夜だけ窓から少し離すか、厚手のカーテンの内側に置きます。
  • 暖房の風:エアコンや温風ヒーターの風が直接当たる場所は、急に乾いて幹を傷めるので避けます。
  • 春の再開:最低気温が安定して10℃を超え、頂部に新しい葉の芽が見えてから、少量の水で再開します。屋外へ出すときは半日陰から1〜2週間かけて慣らします。

冬のあいだに幹に浅いしわが寄っても、根が動き出せば戻ります。幹に水をためて季節をしのぐ植物の冬の過ごし方は、塊根植物の冬越しでも詳しく扱っています。

用土と植え替え|根を傷めず、春に済ませる

用土は水はけを最優先に、赤玉土(小粒)・軽石・鹿沼土などの粒を中心にした多肉植物用の配合を使います。乾きを早めたいので、軽石を多めにすると扱いやすくなります。配合の考え方は用土配合、鉢の素材と形は鉢の選び方にまとめています。通気のよい素焼き鉢は、蒸れを避けたいソテツキリンと相性がよい鉢です。

植え替えは2〜3年に1回、頂部の葉が動き出した春(4〜5月)に行います。真夏と、葉を落とす秋以降は避けます。

  1. 植え替えの数日前から水を止め、土を乾かしておく
  2. 鉢から抜いて古い土を軽く落とし、黒く柔らかくなった根だけを切り取る
  3. 根を切った場合は、半日〜1日乾かす
  4. 乾いた用土に、幹の付け根が埋まりすぎない高さで植える
  5. 1週間ほどおいてから水を与える

根を大きく崩すと回復に時間がかかるので、健全な根はできるだけそのまま残します。根や幹を切ると白い乳液が出るため、手袋をして作業し、皮膚や目に付かないように扱います(樹液の扱い)。手順の全体はユーフォルビアの植え替えを参考にしてください。

子株が出ないとき|理由の切り分けと、外して挿すまで

交配種のソテツキリンは株元や幹の途中から子株を吹くことが多く、群生した姿もこの植物の楽しみのひとつです。ところが「迎えて1年たっても1つも出ない」「前は出ていたのに止まった」ということもよくあります。子株は、親株が育って余力ができたときに出るものです。水や肥料を足すより先に、まず「出ない理由」がどこにあるかを見ていきます。

子株が出ない理由の切り分け

当てはまること考えられる理由見直すこと
幹が太く短い松かさ状で、縦にほとんど伸びない原種の鉄甲丸に近い株で、もともと子株をほとんど吹かない出ないのがふつうの姿。増やすなら種まき(後述)
迎えたばかり、または幹がまだ指ほどの細さ株が若く、まだ脇に回す余力がない1〜2年は親株を太らせることを優先する
室内の窓辺で育てていて、葉の間が伸びている光が足りず、頂部を伸ばすだけで手一杯春〜秋は屋外の日なたか、いちばん明るい場所へ
植え替えたばかり、根を整理したばかり根の立て直しが先になっている根が張って新しい葉が勢いよく出るまで待つ
1週間以上たっても土が乾かない、冬に湿った土で越した根が傷み、株が充実していない粒の粗い用土と、株に見合った大きさの鉢に。根の状態を確かめる
春から初秋の成長期に、水をかなり控えている葉の季節に水が足りず、株が太れていない葉があるあいだは、乾いたら鉢底から流れ出るまで与える
秋〜冬に「出ない」と感じている休眠中で、そもそも動かない時期春に頂部の葉が動き出してからの様子で判断する

いちばん多いのは、光が足りないことと、株がまだ若いことの2つです。どちらも、成長期によく日に当てて葉を茂らせ、幹を太らせていくうちに解消していきます。水を増やしても子株が出るわけではなく、真夏や冬に増やすとかえって根を傷めます。

子株が出やすい育て方

子株を出すための特別な手入れより、親株をよく育てることが近道です。

  • 春から初秋は、よく日に当てる:屋外の日なたで締まって育った株ほど、株元や突起のあいだから芽が動きやすくなります。真夏だけは遮光して蒸れを避けます。
  • 葉の季節は、乾いたらたっぷり:春と秋の成長期は、土が中まで乾いたら鉢底から流れ出るまで与え、葉を長く保たせます。水やりの細かな目安は上の「水やり」の節のとおりです。
  • 肥料は控えめに:春と秋に、緩効性の肥料を少量置く程度で十分です。多く与えても子株が増えるわけではなく、株が間延びしたり根を傷めたりします。
  • 鉢は大きすぎないものを:鉢が大きいと土が乾くまでに時間がかかり、根が傷みやすくなります。株の太さよりひと回り大きい程度の鉢で、根が健やかに回っている状態が、株の充実につながります。
  • 時期は春から初夏:子株が動くのは、葉が勢いよく出る季節です。秋から冬に出なくても気にせず、春の様子を見ます。

頂部を切ると脇から芽が出ることも

ユーフォルビアは、頂部(成長点)を失うと、その下の脇から新しい芽を吹く性質があります。ソテツキリンのように縦に伸びる交配種でも、頂部を切ると切り口の近くや幹の途中から芽が出て、枝分かれした姿に変わることがあります。伸びすぎて姿が乱れた株や、光不足で間延びした株を仕立て直すときの方法です。

ただし、切った頂部の姿は戻らず、株の形そのものが変わります。子株を出すためだけに切るより、「姿を作り直したい」ときに選ぶ方法と考えておくと迷いません。行うなら、葉が動いている春から初夏に、清潔な刃物で切ります。白い乳液を洗い流し、親株の切り口は雨の当たらない明るい場所で乾かします。切り取った頂部は、下の子株と同じ手順で挿し木にできます。姿の変わり方は、同じ一族の峨眉山鉄甲の節でも扱っています。

子株を外す目安と、挿し木までの流れ

手袋をした手で、松かさ状の幹の株元から外した子株を持ち、新聞紙の上で乾かそうとしている 株元から外した子株。切り口が乾くまで日陰で休ませてから挿します。(AIで生成したイメージです)

子株が出たら、群生させるか外して増やすかを選べます。外すなら、指でつまめるくらいの大きさになり、子株の頂部から小さな葉が出ているころが目安です。小さすぎるうちに外すと、乾かしている間にしぼんで発根まで持たないことがあります。時期は春から初夏です。

  1. 手袋をつけ、子株の付け根を清潔な刃物で親株側に少し寄せて切り離す(指で倒すように外せる子株もある)
  2. 切り口から出る白い乳液を水で洗い流す
  3. 明るい日陰で、切り口に乾いた皮ができるまで1〜2週間乾かす
  4. 乾いた用土に浅く挿し、水は1週間ほど待ってから少量で始める
  5. 発根までは1〜2か月。軽く引いて抵抗が出てきたら根が出ている合図で、そこから水を通常に戻していく

親株の側の切り口も同じように乾かしておけば、外した跡からまた子株が出てくることがあります。子株が密に詰まりすぎると株元が乾かず蒸れの原因になるので、群生させる場合も、込み合ってきたら一部を外して風を通します。乾かし方と発根の確かめ方はユーフォルビアの挿し木に詳しくまとめています。挿し木で増えた株は親と同じ性質を受け継ぐので、交配種のソテツキリンは店が違っても姿がよくそろいます。

原種の鉄甲丸だった場合

原種の鉄甲丸は単頭で立ち、子株をほとんど吹きません。育て方に問題がなくても出ないのがふつうなので、増やすなら種まきが基本です。雌株と雄株が分かれている雌雄異株なので、種を採るには両方の株が要ります。受粉の手順はオベサの受粉の考え方がそのまま使えます。まれに株元から子株が出ることもあり、その場合は上と同じ手順で外して挿せます。鉄甲丸そのものの育て方は鉄甲丸のページにあります。

松かさ状の肌をもつ、もう一つの交配種縁側では、オベサと鉄甲丸の交配種「オベサ鉄甲(オベ鉄)」の個体を、1株ずつ紹介する準備を進めています。はじめの入荷は、入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。
入荷通知に登録する →

調子を崩したときのサイン

見えているもの考えられること手当て
秋〜冬に下の葉から黄色くなって落ちる冬の休眠水を絞って見守る。春に頂部から新しい葉が出る
成長期に葉が落ち、幹の根元が黒ずむ・柔らかい根腐れ水を止めて鉢から抜き、傷んだ部分を切って乾かし、植え直す
葉の間が伸び、幹が細く間延びする光不足明るい場所へ。伸びた部分は戻らないので以降の成長を締める
幹や葉に茶色く乾いた跡日焼け戻らないが株は育つ。半日陰から慣らし直す
葉の付け根や突起の間に白い綿状の塊カイガラムシ綿棒や歯ブラシでこそげ落とす。多ければ粒剤を土に

根腐れは、真夏に水を与えすぎたときと、冬に冷えた場所で湿った土が乾かないときに起きやすくなります。傷んだ部分の見分け方と切り戻しの手順はユーフォルビアの根腐れと同じです。子株を吹く交配種は、上部や子株に健全な部分が残っていれば、それを挿し直して育て直せることが多くあります。

ソテツキリンによく似た姿の株には、鉄甲丸と瑠璃晃を掛け合わせた峨眉山もあります。ほかの代表種との姿の違いはユーフォルビアの種類で見比べられます。幹に水をためる植物という点では、塊根植物(コーデックス)とも通じるところがあります。

よくある質問

ソテツキリンとパイナップルコーンは同じ植物ですか?

どちらも松かさのような姿から付いた呼び名で、同じ株を指して使われることが多い名前です。ただ、店によって原種の鉄甲丸(Euphorbia bupleurifolia)を指していることもあれば、鉄甲丸と鱗宝の系統を掛け合わせた交配種を指していることもあります。どちらであっても、葉の出入りで水を切り替え、冬は10℃を目安に取り込む育て方は共通です。

冬に葉が全部落ちました。枯れていますか?

幹を指で軽く押して硬ければ、休眠しているだけです。ソテツキリンは気温が下がると葉を落として冬を越します。水を月1回ほどの少量に絞り、明るい場所で春を待つと、頂部から新しい葉が出てきます。幹の根元が黒ずんで柔らかい場合は根が傷んでいるので、鉢から抜いて確かめます。

夏に元気がなく、成長が止まっています。水が足りないのでしょうか?

日本の真夏は暑さと湿気で株の動きが鈍るため、成長が止まって見えるのはよくあることです。ここで水を増やすと、乾ききらない土で株元が傷みやすくなります。土が乾いてからさらに3〜5日待ち、涼しくなった夕方に与える程度にして、風通しのよい明るい日陰で秋を待つのが安心です。

霧吹きで葉に水をかける(葉水)は必要ですか?

ふだんの水やりの代わりにはならず、必要ありません。表面が湿るだけで根に水が届かず、頂部の葉の付け根や突起のすき間に水が残って傷む原因にもなります。水は鉢の縁から土に注ぎ、鉢底から流れ出るまで与えます。

子株が出ないのは、水が足りないからですか?

水を増やしても子株が出るとは限りません。原種の鉄甲丸はもともと子株をほとんど吹かず、交配種でも株が若いうちや、光が足りない場所、植え替えの直後は出にくくなります。理由ごとの見直し方は本文の「子株が出ないとき」の表にまとめています。春から初夏によく日に当て、葉があるあいだは乾いたらたっぷり与えて親株を太らせると、株元から吹きやすくなります。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。