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オベサの種類|シンメトリカ・仔吹き・交配種の呼び分けと、似た球形種との見分け

木の縁側に並べた素焼き鉢のオベサ3鉢。左は稜と横縞のはっきりした球形、中央は低く扁平な株、右は株元から子株を吹いて群れた株
AIで生成したイメージです
この記事の結論

「オベサの種類」として並ぶ名前は、実は3つの層が混ざっています。①同じ種のなかの呼び分け(シンメトリカ)、②姿や年数につく呼び名(仔吹き・群生・木質化した株)、③別種を掛け合わせた交配種(オベサブロウ・梵天・オベサ鉄甲)。このうち品種として分かれているのは③だけで、①と②は同じオベサの見え方の幅にあたります。層が分かると、札の名前と目の前の株が食い違っても慌てずに済み、似て見えるバリダや貴青玉との線引きもはっきりします。

通販サイトや売り場で「オベサ」を探すと、シンメトリカ、仔吹き、群生、オベサブロウ、梵天、オベサ鉄甲といった名前が横並びに出てきます。どれも同じくらいの顔で並んでいるので、全部が別々の品種のように見えますが、実際には性質の違う3つの層が混ざっています。この記事では、その層をまず分けたうえで、それぞれの呼び名が何を指しているのか、似ているだけの別種とどこで線を引くのか、そして呼び名によって育て方が変わるのかを順にまとめます。育て方そのものはオベサの育て方にまとめてあります。

「オベサの種類」は3つの層に分かれる

まず全体の見取り図です。名前を暗記するより、その名前がどの層のものかを見分けるほうが、あとあと迷いません。

層何を指しているか呼び名の例
① 同じ種のなかの呼び分け同じ種のうち、育ち方の傾向が違う集団シンメトリカ
② 姿・年数につく呼び名品種ではなく、その株の状態仔吹き、群生、木質化した株
③ 交配種別の種と掛け合わせて生まれた株オベサブロウ、梵天、オベサ鉄甲

品種として別れているのは③だけです。①は分類上の扱いそのものに議論があり、②にいたっては品種名ですらありません。それでも売り場では同じ列に並ぶので、「シンメトリカを買ったのに、育ったらただのオベサに見える」「仔吹きオベサという種類があるのだと思っていた」という食い違いが起きます。

層さえ分かっていれば、手元の株がどれに当てはまるかは落ち着いて見られます。以下、①から順に見ていきます。

同じ種のなかの呼び分け|基本種とシンメトリカ

売り場でいちばんよく見る呼び分けが、基本種(ただ「オベサ」と書かれた株)と「シンメトリカ」です。

シンメトリカは、かつて独立した種として記載され、のちにオベサの亜種として扱われ、現在ではオベサに含めて整理されることが多い名前です。分類上の位置づけには今も幅があり、園芸の場では呼び分けだけが続いています。つまり「別の品種を買っている」というより、「同じ種のなかで、こういう育ち方をする株を指す言葉」と捉えるのが実態に近い呼び名です。

呼び分けの中身は、育ったときの姿の傾向です。

呼び名育ったときの姿見分けがつく時期
オベサ(基本種)直径8〜10cmを過ぎると上へ伸び、円柱に近づく育ってから
シンメトリカ低く平たいまま、横に広がる傾向育ってから

どちらも若いうちはほぼ完全な球形で、幼い株では見分けがつきません。実生の小苗を前にして「これはどちらか」を当てようとしても、確かな答えは出ないと考えたほうが正直です。札に書かれた名前は、種を採った親株がどう呼ばれていたかを引き継いでいるもので、その株自身を確かめた結果ではありません。

なお、オベサが年を経て縦に伸びるのは加齢による自然な変化で、光不足で細く伸びる徒長とは別物です。色も稜も締まったまま幅を保って伸びていれば、心配はいりません。見分け方はオベサの徒長にまとめています。

素焼き鉢に植えた2つのオベサの比較。左は縦に伸びて円柱に近づいた株、右は平たく低いまま横に広がった株 同じオベサでも、育つと縦に伸びる株と低いままの株があります。(AIで生成したイメージです)

姿につく呼び名|仔吹き・群生・木質化した株

「仔吹きオベサ」「群生株」「オールドタイプ」といった名前は、品種名ではなく、その株が今どういう姿をしているかを言っている言葉です。ここを品種として読むと話が合わなくなります。

  • 仔吹き(子吹き)オベサ:親の球から子株を出している株の総称です。基本種にもシンメトリカにも交配種にも起こるので、「仔吹きオベサ」という1つの品種があるわけではありません。子株を出しやすい性質は株によって差があり、頂部を傷めたあとに吹き出すこともあります。
  • 群生株:子株が育って、いくつもの球が寄り集まった姿の呼び名です。仔吹きの株が年数を重ねればこうなります。
  • 木質化した株(オールドタイプ):年を経て根元の肌が茶色く硬くなった株のことです。これは老化ではなく成熟の印で、柔らかさや黒ずみを伴わなければそのまま育てて構いません。

この層の呼び名は、値段の理由になっていることがあります。群生した大株や、根元まで木質化した株は、そこまで育てるのに年数がかかっているぶん値が付きます。姿の希少さに対する値段であって、品種としての希少さではない、と分けて見ておくと納得しやすくなります。何で値段の差がついているかはオベサの選び方でも扱っています。

株元から小さな子株をいくつも吹いて群れたオベサの鉢を斜め上から見た構図 子株が吹き出して群れた株。呼び名は「仔吹き」でも、種類としてはオベサのままです。(AIで生成したイメージです)

交配種|オベサブロウ・梵天・オベサ鉄甲

3つ目の層が、別の種と掛け合わせて生まれた交配種です。ここだけは、親が違うぶん姿も性質も分かれます。

名前片親とされる種姿の特徴
オベサブロウ瑠璃晃(スザンナエ)球にとげ状の突起、子株をよく吹く
梵天(ぼんてん)流通の場で一定しない稜が太くうねり、筒状に伸びやすい
オベサ鉄甲鉄甲丸肌に葉痕の突起、頂部に小さな葉

交配の親の記述は、流通の場では必ずしも一致しません。同じ名前で呼ばれていても由来の違う株が混ざることがあり、とくに梵天のように園芸の側で選び育てられてきた名前は、掛け合わせをさかのぼれないことがあります。名前を頼りに姿を予想するより、目の前の株の稜の太さや突起の出方を見るほうが確かです。

オベサブロウは、球の表面に硬い突起が並び、株元から子株を吹きやすいのが特徴です。基本種より手に入れやすい値段で並ぶことが多く、「ごつごつしたオベサ」を探している方には合います。梵天は稜が太くうねるように出て、育つと筒状に高くなる傾向があります。どちらも幼い株のうちは基本種と見分けにくく、姿が出てくるのは育ってからです。

オベサ鉄甲は、球形のオベサと松かさのような幹を持つ鉄甲丸を掛け合わせた交配種です。オベサ寄りの丸い体に鉄甲丸ゆずりの葉痕の突起が浮かび、頂部から小さな葉を出します。3つのなかでは育て方の組み立てがいちばん変わる交配種で、葉の出入りに合わせて水を切り替えます。鉄甲丸を片親にした交配種はほかにもあり、まとめて鉄甲丸の交配種で扱っています。

交配種の呼び名が増えるわけ

オベサは雌雄異株で、オスの株とメスの株がそろわないと種ができません。1株だけでは殖やせないので、種を採る場面では自然と複数の株が並びます。このとき同じ属の近縁種の花粉でも実るため、意図した掛け合わせも、そうでないものも起こります。実生で殖やされる植物である以上、中間的な姿の株が生まれ続け、それぞれに呼び名が付いていく。これがオベサまわりの名前が多い理由です。

雌雄の見分け方はオベサの花に、受粉から種まきまでの流れは実生の育て方とオベサの受粉にまとめています。

オベサ鉄甲をもう少し詳しく縁側が中心に扱っている交配種です。姿の特徴と、1株ずつ顔が変わる理由をまとめています。
オベサ鉄甲とは を見る →

似ているけれど別の種|バリダ・貴青玉・ホリダ

ここまでは「オベサの内側」の話でした。売り場にはもうひとつ、オベサではないけれど球形で似て見える仲間が並びます。縞のある球体という共通点があるので、札を見ずに並べられると迷います。

名前稜と肌いちばんの手がかり
オベサ8本前後の浅い稜、つるりとした肌表面に何も突き出ていない
バリダ(万代)深い稜、紫褐色の縞枯れた花柄が硬く残る
貴青玉(メロフォルミス)深い稜、ムチっとした厚み同じく花柄がとげ状に残る
ホリダ深い稜、灰白色硬いとげが稜に並び、柱状に伸びる
鉄甲丸稜ではなく葉痕の鱗葉が出る/松かさのような幹

見分けの決め手は、表面から何か突き出ているかどうかです。オベサの肌には花の柄が落ちた小さな点が残るだけで、触ってもなめらかです。バリダや貴青玉は、咲き終わった花の柄が硬く残ってとげのように見え、指で触れると引っかかります。ホリダはさらにはっきりとしたとげが稜に並びます。

なお、バリダと貴青玉は分類のうえでは同じ種として整理されることがあり、名前の扱いが資料によって分かれます。売り場でどちらの札が付いていても間違いとは言い切れないので、名前より姿で見るのが実際的です。

鉄甲丸だけは系統が離れていて、葉を出し、季節によって落とします。葉のない冬に幹だけの姿を見ると球形の仲間に見えることがありますが、肌が縦の稜ではなく鱗のような葉痕でできている点で分かります。1株を前にして順に確かめる手順はオベサと鉄甲丸の違いに、属全体の顔ぶれはユーフォルビアの種類にまとめています。

呼び名の前に確かめること|買うときと、迎えたあと

名前の層が分かったうえで、実際に株を選ぶときに見るところと、迎えたあとに変わることを整理します。

買うときに確かめたいのは、名前より株の状態です。 幼い株では基本種・シンメトリカ・交配種の区別がつかないことが多く、そこを詰めても答えが出ません。それよりも、球がぐらつかずに根が張っているか、根元が黒ずんでいないか、稜の谷に白い綿のようなものがないかを見るほうが、迎えたあとに効いてきます。国内で種から育った株と、根を落として運ばれてきた株では最初の扱いが変わるので、実生株と輸入株の違いもあわせて見ておくと迷いません。

迎えたあとの管理は、呼び名でほとんど変わりません。 乾いてから鉢底まで与える、受け皿の水は捨てる、冬は大きく減らす。この組み立ては層をまたいで共通です。変わるところだけ挙げると、次の3つです。

  • 子株が群れている株:球と球のすき間に水が残りやすく、根元が乾きません。球にかけず株元の土に注ぎ、風の通る場所に置きます。オベサが腐るで扱っている傷み方は、群生株でとくに起こりやすい形です。
  • 稜が深い交配種・とげの残る種:谷や花柄のすき間に水がたまります。こちらも球にかけない与え方が効きます。
  • 葉を出す交配種(オベサ鉄甲など):葉があるあいだは乾きが早く、基本種と同じ間隔では足りません。暦ではなく葉の出入りで切り替えます。

乾き具合の確かめ方と季節ごとの頻度はオベサの水やりに、1年の全体像はオベサの育て方にまとめています。

縁側では、オベサと鉄甲丸の交配種「オベサ鉄甲」(愛好家のあいだでは「オベ鉄」)の個体を、1株ずつ姿を見て紹介していく予定です(個体販売は準備中)。はじめの入荷は入荷通知に登録いただいた方から先にお知らせします。

よくある質問

シンメトリカとオベサは、買うときに見分けられますか?

幼い株では見分けられません。違いが出るのは育ってからで、オベサが直径8〜10cmを過ぎて上へ伸びるのに対し、シンメトリカは低く平たいまま横に広がる傾向がある、という育ち方の差です。分類のうえでも同じ種として整理されることが多く、園芸の場で呼び分けが続いている名前だと考えてください。札の名前は、種を採った親株の呼び名を引き継いだものです。

「仔吹きオベサ」は別の品種ですか?

品種名ではなく、子株を吹いている株の呼び名です。基本種にもシンメトリカにも交配種にも起こるので、同じ「仔吹き」でも中身はさまざまです。子株を出しやすいかどうかは株ごとの性質で、頂部を傷めたあとに吹き出すこともあります。育て方は普通のオベサと同じですが、球と球のすき間に水が残りやすいので、株元の土に注ぐ与え方と風通しを意識します。

オベサブロウはオベサより育てやすいですか?

扱いはほぼ同じです。オベサブロウは瑠璃晃(スザンナエ)との交配種とされ、球に硬い突起が並んで子株をよく吹きます。乾かしぎみに育てる考え方も、冬に水を減らす切り替えも基本種と変わりません。違いが出るのは、突起や子株のすき間に水が残りやすいところで、球にかけず株元に注ぐ与え方がより効いてきます。

オベサと書かれた株を買ったのに、姿がだんだん違ってきました。

まず加齢による変化を疑ってください。オベサは直径8〜10cmを過ぎると横に広がらなくなり、上へ伸びて円柱に近づきます。根元が茶色く硬くなるのも自然な変化です。色が薄く稜が浅いまま細く伸びている場合は光不足なので、明るい場所へ移します。また交配種は幼いうちは基本種と見分けにくく、育ってから稜の太さや突起が出てくることもあります。

バリダと貴青玉は同じものですか?

分類のうえでは同じ種として整理されることがあり、資料によって名前の扱いが分かれます。売り場ではどちらの札も見かけますが、姿はどちらも深い稜に紫褐色の縞が入り、咲き終わった花の柄が硬くとげのように残るのが共通点です。オベサとの見分けは、この残った花柄に触れるかどうかがいちばん分かりやすい手がかりになります。

縁
縁側 編集部オベサ鉄甲を中心に、塊根植物とユーフォルビアの育て方と選び方を、静かに言葉にしています。

入荷のお知らせと育て方の便りを、月に二度。

個体販売は準備中です。はじめの入荷は、登録いただいた方から先にお知らせします。